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DATE : 2007/01/09 (Tue)
長い休み明けは、さすがにいろいろたまって忙しいですなぁ。
まぁ、自分の場合は暇だとそれはそれで困ったことになるので、忙しいくらいが丁度良いんですが。

ともかく今日の更新はかなり遅くなってしまいました。明日こそは! 明日こそは!!

なんて、確約はできませんが( ´-ω-)y‐┛~~


【Rain such as tears:seventh】

 その日は、家に帰ると母親しかいなかった。いつもは俺より先に家にいる妹が、今日はなんでもミヨキチの家で遊んでくるという話らしい。
 それはそれで「へぇ、そうなのか」程度にしか思わなかった。そう言う日がたまにはあってもいいだろうし、シャミセンにしてみれば妹がいないこのひとときこそ、家猫らしくゴロゴロしていられる安息の日に違いない。
 そんな妹から電話がかかってきたのは夕飯時だった。昨今なにかと物騒だから母親は心配していたが、思い返せば自分のときはそんな時間まで遊び歩いていたからまったく気にならない。そんな母親に小言を言われた妹からの電話内容は「ミヨちゃんのとこでご飯食べて帰るね」というものだった。
 これまた母親にため息を吐かせるような内容だが、俺にしてみればそれもどうってことはない。そもそも自分が妹のときくらいのことを思い返せば以下略ってなもんだ。
 妹がいない食卓を囲み、まったり気分を自室で満喫していると、今度は俺の携帯に電話が入った。見慣れない電話番号に最初は間違い電話かイタ電のどっちかかと思ったが、しつこく鳴り響く着信音に出てみると、相手はミヨキチだった。
『あ、お兄さん。すみません、こんな時間に』
「いや」
 時計を見る。もうすぐ二十時になろうかという頃合いだ。
「どうした?」
『いえ、妹さんをこんな時間までうちに引き留めちゃったので……もしよければ、迎えに来ていただけないかなと思って』
「え? ああ」
 確かに、こんな時間に小学生が外を一人で歩くのは危ないな。
「じゃあ、今から行くよ。こんな時間まで悪いね」
『いえ、わたしの方こそ……。それじゃ、お待ちしてますね』
 そんなこんなで妹を迎えに家を出ると、雨が降っていた。よりにもよって雨だ。雨がパラつく夜に外を出歩くのは正直勘弁だが、迎えに行くと言った手前、行かないわけにもいかず、仕方なく傘を差して歩きでミヨキチの家まで向かうハメになった。
 まったくツイてない。妹も、遊びに行くなら一人でちゃんと帰ってこられる時間にお暇しろと言いたい。
 そんな愚痴をこぼしつつ、傘を差してミヨキチの家に向かう。住宅街ではさすがに人通りも少なく、自分の足音と傘を叩く雨音だけが響く。
「おまたせ。こんな時間までうちの妹がお邪魔して悪かったね」
「いえいえ、わたしの方こそ」
「で、妹は?」
「それが……」
 困ったように言葉を濁すミヨキチに誘われ、彼女の部屋の中まで入ると妹は人の家のベッドで丸くなっていた。寝てんのかよ……。
「こういうこともあって、お迎えをお願いしたんです……すみません」
 いやもう、謝るんだったらこっちの方だな。遊びに来て夕飯までご馳走になってあまつさえ寝るってのも……我が妹ながら、いい根性してるとは思う。
「明日が休みなら、このまま泊めてもよかったんですけれど」
「いや、いいよ。悪いね、いろいろ迷惑かけて」
「いえ、そんな」
 こんなときでも恐縮しきりなミヨキチを見ていると、こっちの方がさらに恐縮してしまう。寝たままの妹を背に担ぎ、ミヨキチの両親にも礼を述べて後にした。
 雨の中、背中には妹を担ぎながら傘を差すのは骨が折れる。やれやれ、こいつももう小学校高学年なんだから、人様の迷惑をもうちょっと考えてもいいんじゃないかね。
「ん……」
 人の通りも車の通りも少ない住宅街。傘を叩く雨音が耳に響いたのか、肩に乗っかっていた妹が声を漏らした。
「起きたか」
「あれぇ~? キョンくんだー……」
「キョンくんだー、じゃないだろ。人の家で寝て、何やってんだおまえは」
「だって~」
「ほら、起きたなら自分で歩け。雨も降ってるんだ」
「んー」
 妹を支える手を離したが、けれど妹は力を込めて人の首にしがみつく。
「やだ~、このまま帰るーぅ」
「バカ言え。雨降ってる中でおまえを担いで歩きたくないぞ。とっとと降りろ」
「やだーっ」
 ええい、くそ。振り下ろしてやりたいのは山々だが、雨の中、暴れても自分が濡れるだけ。
 本当にこいつは、俺にどんだけ迷惑かければ気が済むんだ? しっかり人の首にしがみつき、再び寝息を立て始めたこの妹が、いつになったら兄貴離れをするのか……困ったもんだな。



いざ兄離れをされると、寂しく思うキョンくんなのでした~。
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