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DATE : 2018/11/19 (Mon)
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DATE : 2007/01/08 (Mon)
今日で正月休みも終了です。
明日からは一日短いとは言え、平日そのままの一週間の始まりです。休みぼけが抜けきらないうちにアクセル全開というのは、なかなかキツいものがありますなぁ。

なんてことを書きつつ、ネタがないのでこの辺で。


【Rain such as tears:sixth】

 分厚い雲が空を覆い、昼間でも灯りを点けていなければならないような時は、大抵、すぐに雨が降ってくる。それだけならまだしも、灰色より真っ黒と形容したほうがいいような雲が空を覆っていれば、雷も一緒になって落ちてくる大荒れの天気になるんだろうと予想が付く。
 案の定、窓を叩く水滴の音が聞こえてきたかと思えば、すぐに地面には水たまりが出来上がり、遠雷も耳に届いてくる。
 かなり激しい雨だ。帰りに傘を差していても濡れそうなくらい、叩きつけるように降っている。単なる雨模様というよりも、嵐と言った方が適切かもしれん。
 こんな天気だと、ふと夏合宿の孤島での出来事を思い出す。あのときは台風だったが、それと似たような雨に風。雷は鳴ってたかどうか覚えちゃいないが、よくあるミステリ小説では、こんな天気のときに密室で殺人事件でも起きれば、いい演出になるんじゃないかと思う。
 もっとも、場所が学校ではそんな事件がそうそう起こるはずもない。仮にハルヒが退屈を持て余し、それを見た古泉が殺人事件劇を催したとしても、今いるここは学校内だ。全校生徒を巻き込んでの殺人劇なんて無茶しすぎだ。
 ただ……そうだな、殺人事件劇は起こりようがなくても、別の事件なら簡単に起こせるかもしれない。何しろ天気さえも何かが起こりそうなことを予感させる嵐だ。
「ね、開かないの? そのドア」
 ガチャガチャとドアノブを回す俺の後ろで、阪中が不安げな声を漏らす。
 開かないな。やっぱり開かない。どういうわけか俺と阪中は、埃っぽい資料室に閉じこめられていた。殺人事件は起こらなくても、密室は発生するらしい。
 いったい何がどうなってるのかさっぱりだが、こうなると助けを待つしかない。
 ここで阪中と鉢合わせしたのは偶然だ。俺の方は某上級生に理不尽なお願いをされてここに来たわけで、阪中は別件でここに来たはず。ならば、なかなか戻らなければ不審に思って様子を見に来るかもしれん。
 もっとも、俺の方はあまりアテに出来ないわけだが……。
「きゃあっ!」
 すぐ真後ろで阪中が悲鳴じみた声を上げ、俺は心臓が口から飛び出すほど驚いた。
「なっ、なんだよ!? 驚かすな」
「あ、ごっ、ごめんね。あの、雷がね、ちょっとニガテで……ひゃああっ!」
 でかい音が怖いのか、それともビカビカ光る閃光が苦手なのかわからんが、阪中は窓の外が光っても音が聞こえても「きゃあきゃあ」と悲鳴を上げている。
「そんなにダメなのか、雷」
「う、うん。前にね、雷が落ちて……ルソーとの散歩のときにね。雨が降ってきたと思ったら……んきゃあああっ!」
 どこかに落ちたな、と思えるくらいのドでかい音が聞こえたその瞬間、その音に背中を押されたのか、阪中は俺に飛びついてきた。
「お、おい」
「…………」
 これにはさすがに戸惑いを覚えるが、かくいう阪中は痛いくらいに人の腕を鷲づかみにし、胸に顔をうずめてぶるぶる震えている。
 あー……なんだ、こういうときはどうすればいいんだ? 突き飛ばすのも違うだろうし、かといって抱きしめてやるのもヤバイような気がする。そもそも、こんな密室状態で同級生に抱きつかれて冷静にツッコミを入れられるほど、俺は悟りの境地に達しているわけではない。
 傍目に見れば情けないと思うが、正直に言えば今のそのときは、どうしていいのかわからずに俺は固まっていた。ただ、このままじゃ……なんかしらんが悪い気がして、阪中の背中に手を回すべきなんじゃないかと思い、手を動かそうとしたとき。
「あら」
 がちゃり、と音を立ててドアが開く。俺としては、雷よりもそっちの音に驚いた。俺をこんなところに派遣したワカメパーマの先輩が、今のこの状況を見てニコニコとした笑顔でドアノブに手をかけたまま「お楽しみの最中でしたか」なんてことを言いやがる。
「何がお楽しみですか」
「あら、だって……ねぇ?」
 何が「ねぇ」ですか。だいたいそこのドア、開かなかったはずなんだが……さもあっさり開いたのはなんでですかね?
「何のことでしょう? ドアは簡単に開きましたけれど」
 胡散臭い。何をおいてもその笑顔が胡散臭い。ここまで胡散臭いのにそれでも惚ける喜緑さんは、いろいろな意味で立派だと思う。
 どうしてだろう、阪中に抱きつかれているこの現場を目撃したいがために喜緑さんがこのシチュエーションを用意したとしか思えない俺がいるんだが……。
「ところで、また別にお願いしたいことがございまして」
 どう足掻いてもその『お願い』なるものを断れないだろうなと思い、俺はいまだ抱きついている阪中を見て、深い深いため息を吐いた。



やはり腹黒くなければ喜緑さんじゃないと思います。ちなみに、今回は阪中さんがメインですよー……メインに見えないですけど。
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★たまには…
NAME: せつや
どうも、毎日更新お疲れ様です。
喜緑さんを以前、魔性の女と称しましたが策士と言った方がしっくりきますね、これは。
あと、特にファンと言うわけではないんですが、阪中さんが結構酷い目に遭うことが多いので(ストーカー勘違い、告白→ふられる)たまには良い目をみさせてあげて下さい(キョンとラブラブってのは考えづらいですが)。
ではまた。
2007/01/08(Mon)23:35:23 編集
言われてみれば、確かに阪中さんはいい目にあまり遭ってないような……いやいや、けれどどさくさ紛れでキョンくんに抱きついたり手を握ってたりするので、それでプラスマイナスゼロになってるはずです! たぶん……。
【2007/01/09 18:11】
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