category: 日記
DATE : 2007/07/05 (Thu)
DATE : 2007/07/05 (Thu)
ちょっと時間がないので、今日は駆け足で!
とりあえずSSだけおいて行きますね( ´Д`)つ □
それでは!
とりあえずSSだけおいて行きますね( ´Д`)つ □
それでは!
前回はこちら
【Respect redo】吉村美代子の憂鬱
わたしの正面、つまり佐々木さんの横に腰を下ろしたツインテールのお姉さんは、名前を橘京子と言いました。どうやらそれがお名前みたいですけど、まずは幸せ云々の前にそっちを言うのが先なんじゃないかなーって思っちゃ……ダメなのかもしれませんね。
「あのぅ……それでその、一緒に頑張りましょうってどういうことなでしょう……?」
ともすれば後ろに身を仰け反らせそうになる体をなんとか垂直状態で保ちつつ、幸せ云々をヌキに尋ねてみると、橘さんはエヘンと咳払いをして、授業中に自分の自慢話をする先生みたいにテーブルに両手をついて身を乗り出してきました。
「あたしたちは戦っているのです」
ああ、なるほど。戦って……はい?
「敵は涼宮さんを筆頭とする五人組です。その結束力は固く、いかにあたしたちでも個々のままでは太刀打ちできないのです。そんなとき、どうすればいいかわかります?」
「……はぇ? あ、えっと……なん、でしょうか?」
涼宮さんと言われて、誰だったかなぁと考えているところに不意打ちです。つい、聞き返してしまいました。
「あたしもわかりませんでした」
聞き返すんじゃありませんでした。
「……はぁ」
ため息とも返事とも取れる吐息が、口を割いてこぼれちゃいます。何をおっしゃりたいのか、さっぱりなんでそろそろ帰ってもいいでしょうか……って佐々木さん? どうしてそっぽ向いてるんですか? そっちを向いて見えるのは、パントマイムをしている大道芸人のおじさんくらいですよ。確かにちょっと見てたいなぁって思いますけど、今の状況でそんなことをされちゃうと、現実逃避にしか見えないのでやめませんか?
「でもあたし、気がついたんです」
佐々木さんに「こっち向け」念波を送っていたら、橘さんの方に届いちゃったみたいです。北極星くらいにまばゆい目の輝きを浮かべちゃってたりして、ずいっと身を乗り出して来ました。
………………。
え? あ、ここでわたしの方から聞かなくちゃダメなんですか?
「何を……でしょう?」
「こちらも結束力を高めればいいのです!」
あー……なんて言いますか、何て言えばいいんでしょう? もしかしてここは拍手喝采をしなければならないシーンなんでしょうか。もしくは、「ですよね!」って応えるべきなのかもしれませんけど……うーん、ごめんなさい。わたし、小学六年生の若さですべてを投げ捨てたくないです……。
「あの……それでそのぅ、何をなさりたいんでしょうか?」
「こちらもチームを作ります!」
まるで背後に波しぶきが見えるような雄々しい宣言ですが、わたしにはさっぱり関係ないことなので、結局どうでもいいかなーって気分なのは……うん、バレないようにしないといけない気がします。
「そういうわけで、共に手を取り合い、一緒に頑張りましょう」
やっぱり興味なしさ加減を醸し出す態度をしておくべきでした。
「な、なんでわたしが!?」
「一人足りないからです」
「た、足りないって……」
だからなんでそこでわたしなんですか?
「敵は五人一組。けれどこちらは四人なのです。一人足りません。あたしも八方手を尽くして適切な人材を捜そうとしましたが、『これだ!』という人がいなかったのです。残念でなりません」
橘さんの眼鏡にかなう人がいるのであれば、それはそれで同情を余儀なくされる人生を歩まれている方だと思わずにはいられない……あれ? もしかしてそれって、今の状況だとわたしのことなのかしら?
「そこで佐々木さんにも相談したのです。そこであなたのお名前が出て、あなたしかいないと!」
ちょっ。
「いや、そうじゃないんだ」
パントマイムのおじさんの大道芸を遠目ながらも堪能していた佐々木さんは、そこでようやくこちらを向いてくれました。ええ、充分遅いです。
「僕は何も吉村さんを推薦したわけじゃない。ただ、キミがキョンの妹さんと親友だったということをね、口にしただけなんだ。そうしたら橘さんは、これ以上の適材な人物はいないだろうと言いだし、是非とも会わせてくれと懇願されただけであって……つまり、そういうことなんだよ」
そういうことってどういうことなのか、あとでしっかりきっちり聞かせていただきます。そもそも、なんでわたしがお兄さんの妹と親友だからって、それが高ポイントになるのかさっぱりです。
……うん? あ、あーっ! もしかして、ここでお会いしたのも偶然じゃなかったんですか? お茶に誘ってくださったのも、すべてわたしを橘さんと会わせるためだったんですね!?
「い、嫌ですよ、わたし! なんでわたしがそんなことに巻き込まれなくちゃならないんですか!」
「今後は、ここを集合場所にしましょう」
聞いちゃいませんね、わたしの話……。
「あの、わたしはそのぅ、五人に一人足りないから巻き込まれ……ええと、スカウト? されたように思うんですけど、残り二人の方はどこにいらっしゃるんですか?」
橘さんはちっとも人の話を聞かなそうなので、これはもう、残り二人が至極真っ当な方であることを祈るばかりです。せめてそういう方にきっちりお断りの一言を伝えておかなければ、泥沼に足を取られるかのごとくダメになりそうですもの。
「一人はいつも時間に遅れます。まったく、未来人なのに時間にルーズなのは如何なものでしょう」
……え? み、未来人……って?
「もう一人はそちらに」
「え?」
いったい何のことでしょう? 誰もいない空席となっているわたしの隣の席を指さすものですから、ついそこを見て。
「わっ!」
いったいいつからそこにいたのかさっぱりですけど、生まれてから一度も美容院にも床屋にも行ったことのない座敷童みたいな女の人が、わたしのダージリンティをずずずっと飲んでいました。
つづく
【Respect redo】吉村美代子の憂鬱
わたしの正面、つまり佐々木さんの横に腰を下ろしたツインテールのお姉さんは、名前を橘京子と言いました。どうやらそれがお名前みたいですけど、まずは幸せ云々の前にそっちを言うのが先なんじゃないかなーって思っちゃ……ダメなのかもしれませんね。
「あのぅ……それでその、一緒に頑張りましょうってどういうことなでしょう……?」
ともすれば後ろに身を仰け反らせそうになる体をなんとか垂直状態で保ちつつ、幸せ云々をヌキに尋ねてみると、橘さんはエヘンと咳払いをして、授業中に自分の自慢話をする先生みたいにテーブルに両手をついて身を乗り出してきました。
「あたしたちは戦っているのです」
ああ、なるほど。戦って……はい?
「敵は涼宮さんを筆頭とする五人組です。その結束力は固く、いかにあたしたちでも個々のままでは太刀打ちできないのです。そんなとき、どうすればいいかわかります?」
「……はぇ? あ、えっと……なん、でしょうか?」
涼宮さんと言われて、誰だったかなぁと考えているところに不意打ちです。つい、聞き返してしまいました。
「あたしもわかりませんでした」
聞き返すんじゃありませんでした。
「……はぁ」
ため息とも返事とも取れる吐息が、口を割いてこぼれちゃいます。何をおっしゃりたいのか、さっぱりなんでそろそろ帰ってもいいでしょうか……って佐々木さん? どうしてそっぽ向いてるんですか? そっちを向いて見えるのは、パントマイムをしている大道芸人のおじさんくらいですよ。確かにちょっと見てたいなぁって思いますけど、今の状況でそんなことをされちゃうと、現実逃避にしか見えないのでやめませんか?
「でもあたし、気がついたんです」
佐々木さんに「こっち向け」念波を送っていたら、橘さんの方に届いちゃったみたいです。北極星くらいにまばゆい目の輝きを浮かべちゃってたりして、ずいっと身を乗り出して来ました。
………………。
え? あ、ここでわたしの方から聞かなくちゃダメなんですか?
「何を……でしょう?」
「こちらも結束力を高めればいいのです!」
あー……なんて言いますか、何て言えばいいんでしょう? もしかしてここは拍手喝采をしなければならないシーンなんでしょうか。もしくは、「ですよね!」って応えるべきなのかもしれませんけど……うーん、ごめんなさい。わたし、小学六年生の若さですべてを投げ捨てたくないです……。
「あの……それでそのぅ、何をなさりたいんでしょうか?」
「こちらもチームを作ります!」
まるで背後に波しぶきが見えるような雄々しい宣言ですが、わたしにはさっぱり関係ないことなので、結局どうでもいいかなーって気分なのは……うん、バレないようにしないといけない気がします。
「そういうわけで、共に手を取り合い、一緒に頑張りましょう」
やっぱり興味なしさ加減を醸し出す態度をしておくべきでした。
「な、なんでわたしが!?」
「一人足りないからです」
「た、足りないって……」
だからなんでそこでわたしなんですか?
「敵は五人一組。けれどこちらは四人なのです。一人足りません。あたしも八方手を尽くして適切な人材を捜そうとしましたが、『これだ!』という人がいなかったのです。残念でなりません」
橘さんの眼鏡にかなう人がいるのであれば、それはそれで同情を余儀なくされる人生を歩まれている方だと思わずにはいられない……あれ? もしかしてそれって、今の状況だとわたしのことなのかしら?
「そこで佐々木さんにも相談したのです。そこであなたのお名前が出て、あなたしかいないと!」
ちょっ。
「いや、そうじゃないんだ」
パントマイムのおじさんの大道芸を遠目ながらも堪能していた佐々木さんは、そこでようやくこちらを向いてくれました。ええ、充分遅いです。
「僕は何も吉村さんを推薦したわけじゃない。ただ、キミがキョンの妹さんと親友だったということをね、口にしただけなんだ。そうしたら橘さんは、これ以上の適材な人物はいないだろうと言いだし、是非とも会わせてくれと懇願されただけであって……つまり、そういうことなんだよ」
そういうことってどういうことなのか、あとでしっかりきっちり聞かせていただきます。そもそも、なんでわたしがお兄さんの妹と親友だからって、それが高ポイントになるのかさっぱりです。
……うん? あ、あーっ! もしかして、ここでお会いしたのも偶然じゃなかったんですか? お茶に誘ってくださったのも、すべてわたしを橘さんと会わせるためだったんですね!?
「い、嫌ですよ、わたし! なんでわたしがそんなことに巻き込まれなくちゃならないんですか!」
「今後は、ここを集合場所にしましょう」
聞いちゃいませんね、わたしの話……。
「あの、わたしはそのぅ、五人に一人足りないから巻き込まれ……ええと、スカウト? されたように思うんですけど、残り二人の方はどこにいらっしゃるんですか?」
橘さんはちっとも人の話を聞かなそうなので、これはもう、残り二人が至極真っ当な方であることを祈るばかりです。せめてそういう方にきっちりお断りの一言を伝えておかなければ、泥沼に足を取られるかのごとくダメになりそうですもの。
「一人はいつも時間に遅れます。まったく、未来人なのに時間にルーズなのは如何なものでしょう」
……え? み、未来人……って?
「もう一人はそちらに」
「え?」
いったい何のことでしょう? 誰もいない空席となっているわたしの隣の席を指さすものですから、ついそこを見て。
「わっ!」
いったいいつからそこにいたのかさっぱりですけど、生まれてから一度も美容院にも床屋にも行ったことのない座敷童みたいな女の人が、わたしのダージリンティをずずずっと飲んでいました。
つづく
PR
●この記事にコメントする
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
それよりも何よりも、ラストをどうするかが問題だったりします。このままでは佐々木さんとミヨキチさんががが! ってことに。
★無題
NAME: ゆんゆん。
キョンくんとミヨキチさんの対立…というか同じ立場になるのならパシリですか!?(>_<)ってまさかぁ...ねぇ?wそれにしても九曜さんの登場の仕方いいですねぇ☆もうばっちしですよぉd(ゝω・*)
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
パシリもそうですが、プラスαでおもちゃ属性が付きそうですヨ。
忍者ブログ [PR]