category: 日記
DATE : 2007/07/09 (Mon)
DATE : 2007/07/09 (Mon)
これまたしばらく、地味ぃ~に時間が足りない日々の始まりです。
明日とか、明後日とか、急にお休みしちゃうことがあるかもしれませんが、それはそれでねっとりと生暖かい眼差しで見守っていただければ。
例えばこんな→(=ω=)感じで是非!
それではまた~。
明日とか、明後日とか、急にお休みしちゃうことがあるかもしれませんが、それはそれでねっとりと生暖かい眼差しで見守っていただければ。
例えばこんな→(=ω=)感じで是非!
それではまた~。
前回はこちら
【Respect redo】吉村美代子の憂鬱
ぽんぺりぴんぽんぱんぴらぱんぽん、ぴんぴらぴんぽんぱんぽんぱーん♪
と、わたしの携帯電話が鳴り響く音で目が覚めました。まだ外は薄明かりで、ようやく東の空が白んできたかなって時間だと思います。
まったく非常識な感じで困りものですが、ついつい携帯を手に取って、そのまま出ちゃいました。
「はぁ……い、もしもし……?」
『その声の調子だと、まだ寝てるのですね?』
……え?
すっかり寝惚けて出ちゃったものですから、いったい誰からかかってきたのかさっぱりわかりませんでした。改めて携帯の画面を見れば、覚えのない電話番号からで……えっと、今の声、どういうわけか頭の片隅にはすっかりすり込まれてしまったようで、ピンッと思い至る相手が一人いるわけで、それに気付く自分にうんざりしてしまうんですが……。
「あの、えっと……もしかして、橘さんですか?」
『もしかしなくてもあたしなのです。すぐに外に出てくるように』
「ど、どうしてわたしの携帯番号知ってるんですか!?」
『ですから、あたしの情報網をナメないでいただきたいのです。四〇秒で支度しなってもんです』
四〇秒て。こんな朝っぱらからどこに行くつもりですか。もしかして空の彼方ですか。発達した積乱雲の中にでも突っ込まれちゃうんですか、わたし?
そもそもどこから電話をかけているんですか?
『準備ができたらすぐ外に出てきてください。お待ちしてますので』
外……?
気になりカーテンを開けてみると、家の目の前の通りに停車しているモスグリーンのワンボックスカーが一台。その中から、笑顔で手を振っている橘さんの姿。
あの人はまったくもう……わたしの携帯電話の番号のみならず、自宅の住所まで突き止めてるんですか? もしかして、部屋の中に盗聴機器とかないでしょうね? そんなことをしていたら、さすがのわたしでも訴えますよ。
はぁ~……ホントにもぅっ! これで昨日から通算で何回目のため息かしら。自宅前まで追ってこられるとなれば、逃げられないじゃないですか。気乗りしませんけど、あの人のことだから家の中まで押し入ってきそうです。下手すれば、窓から侵入してきてもおかしくありません。
まったく気乗りしませんけれど……ええと、二泊三日なのかしら? 両親にはその旨を説明してありますし、佐々木さんからも一言あったみたいで、残念ながらすんなり許可が出てしまったのが残念でなりません。ここでしっかりダメだしされるのを期待していたのに、いつもお世話になっている佐々木さんの信用度が、今回ばかりは裏目に出ちゃったみたいです。
ですので行く分には問題ないんですけど……一緒にいるのが橘さんなのが、最大級の問題のような気がします。
「遅いのです。四〇秒と言ったじゃありませんか」
……本気で言ってたんだ、この人。もしかして、この人の言うことは限りなくボケに聞こえても真面目に受け取った方がいいのかもしれません。
荷物をまとめて家を出て車の中に乗り込むと、そこにはすでに佐々木さんと周防さんも居ました。って周防さん、こんなときでも制服なんですか。
「やあ、おはよう」
周防さんはなんだか目を見開いたまま眠ってそうで反応なっしんぐですが、佐々木さんはさすがというか、平時と変わらずって感じでした。
「おはようござい……ぁふ……あ、すみません」
かくいうわたしは、それでもまだ眠くて欠伸が出ちゃいます。
「眠そうだね」
「今何時ですか?」
「ん~……五時半かな」
「えぇ~……」
確かに昨日、朝が早いと言ってましたけど……それでも五時半ってのは早すぎじゃないですか? いったいどこに行くんですか。箱根か別府ですか? どちらにしろ、かなり遠いですよ。
「のんのん。そんなメジャーな所ではないのです。人が多くて、親睦を深めるには向いてないじゃないですか。これから向かうのは我々の組織の慰安施設なのです」
「そ、組織? 何ですか、その組織って」
「組織は組織なのです。あたしが個人的に属しているので、我が、世界に……ええと、なんでしたっけ?」
昨日の今日で忘れちゃうってのが何とも……。わたしも覚えてないですけど。
「世界に平和と慈しみを与える橘京子の団」
わっ、佐々木さんったら律儀に覚えてるんですね。さすがです。
「長いので、世界で愛される橘京子の団にしましょう」
早くも名称変更みたいです。なんと言いますか、橘さんのファンクラブみたいな名称ですね。どうやれば脱退できるのか教えてください。
「ともかく、我らが団とは関係なく、あたし個人が所属している組織なのです。組織は組織であって他に適切な表現がありませんので、理解せずとも納得すればおっけーなのです。ちなみに、あたしは幹部なので施設も使い放題なのですよ」
橘さんが幹部の組織……何ででしょう、ロクでもない一味のように思えてなりません。これならまだ、幼稚園の送迎バスのみを狙う悪の秘密組織の方が健全のような気がしますね。
「いちおう、我が組織も何かと資金難なところがありますので、一般にも開放しているのです。もっとも、開店休業みたいなものなので、このオフシーズンには滅多に利用客はありません。今回もいないと思われます」
もしかしてその温泉施設とやらは、あれですか? シロアリにあちこち食われている柱ばかりの、しなびた温泉宿みたいなもんじゃないですよね? 嫌ですよ、わたし。泊まっているときに宿が崩れて生き埋めになる、なんて。
「失敬な。立派な日本家屋みたいなお屋敷っぽいな旅館なのです」
みたい、とか、ぽい、とか曖昧な表現ばかりなのが気がかりですが、それなら安心です。安心なんですが、橘さんに『失敬』と言われたのが、かなりショックです。
「もっとも、従業員もロクにいないので、ほぼ自炊になりますが」
それのどこが旅館ですか。
「でも大丈夫です。ちゃんと雑用係がおりますので」
それってわたしのことじゃないですよね? だとしたら、今すぐ帰らせていただきます。
「誰が雑用係だっ!」
と、声を大きく反論したのは、車を運転していた男の人でした。そういえば、この人はどちら様なんでしょう? 先ほど橘さんがおっしゃってた組織の人……かとも思ったんですが、口調を荒げて反論する姿から、橘さんの個人的な組織の知り合いという感じではありません。見たところ、佐々木さんや橘さんと同年代のように思えますけど……?
「そうそう、彼もきょこたん団の一員なのです」
ころころ団名を変えるの、そろそろやめませんか? って、この人も?
「昨日、結局最後まで姿を見せなかった団員その二です。名前は藤原さん。年齢不詳なので、車の運転をしてもらってます」
「年齢不詳って……あの、免許は持ってるんですよね?」
「面倒なので捏造しました。あんなもんはあれです、ただの飾りです。使うときはビデオレンタル屋で会員証を作るときくらいです。なので大丈夫です」
すみません、もうここで降ろしてください。歩いて帰ることになっても構いませんので、可及的速やかに降ろしてください。
「ふん、こんな原始的な乗り物を扱うことくらい造作もない」
運転できるのと、運転していいのとは別問題じゃないですか。やっぱり橘さんが率いている一団に、まともな人はいないんですね?
「ともあれ、メンバーも全員そろい、旅行に出発なのです」
そこで橘さんはニッコリ微笑み──。
「楽しい旅行になるといいですね」
と、わたしにとっては悪魔の嘲笑にしか見えない表情で言いました。
つづく
【Respect redo】吉村美代子の憂鬱
ぽんぺりぴんぽんぱんぴらぱんぽん、ぴんぴらぴんぽんぱんぽんぱーん♪
と、わたしの携帯電話が鳴り響く音で目が覚めました。まだ外は薄明かりで、ようやく東の空が白んできたかなって時間だと思います。
まったく非常識な感じで困りものですが、ついつい携帯を手に取って、そのまま出ちゃいました。
「はぁ……い、もしもし……?」
『その声の調子だと、まだ寝てるのですね?』
……え?
すっかり寝惚けて出ちゃったものですから、いったい誰からかかってきたのかさっぱりわかりませんでした。改めて携帯の画面を見れば、覚えのない電話番号からで……えっと、今の声、どういうわけか頭の片隅にはすっかりすり込まれてしまったようで、ピンッと思い至る相手が一人いるわけで、それに気付く自分にうんざりしてしまうんですが……。
「あの、えっと……もしかして、橘さんですか?」
『もしかしなくてもあたしなのです。すぐに外に出てくるように』
「ど、どうしてわたしの携帯番号知ってるんですか!?」
『ですから、あたしの情報網をナメないでいただきたいのです。四〇秒で支度しなってもんです』
四〇秒て。こんな朝っぱらからどこに行くつもりですか。もしかして空の彼方ですか。発達した積乱雲の中にでも突っ込まれちゃうんですか、わたし?
そもそもどこから電話をかけているんですか?
『準備ができたらすぐ外に出てきてください。お待ちしてますので』
外……?
気になりカーテンを開けてみると、家の目の前の通りに停車しているモスグリーンのワンボックスカーが一台。その中から、笑顔で手を振っている橘さんの姿。
あの人はまったくもう……わたしの携帯電話の番号のみならず、自宅の住所まで突き止めてるんですか? もしかして、部屋の中に盗聴機器とかないでしょうね? そんなことをしていたら、さすがのわたしでも訴えますよ。
はぁ~……ホントにもぅっ! これで昨日から通算で何回目のため息かしら。自宅前まで追ってこられるとなれば、逃げられないじゃないですか。気乗りしませんけど、あの人のことだから家の中まで押し入ってきそうです。下手すれば、窓から侵入してきてもおかしくありません。
まったく気乗りしませんけれど……ええと、二泊三日なのかしら? 両親にはその旨を説明してありますし、佐々木さんからも一言あったみたいで、残念ながらすんなり許可が出てしまったのが残念でなりません。ここでしっかりダメだしされるのを期待していたのに、いつもお世話になっている佐々木さんの信用度が、今回ばかりは裏目に出ちゃったみたいです。
ですので行く分には問題ないんですけど……一緒にいるのが橘さんなのが、最大級の問題のような気がします。
「遅いのです。四〇秒と言ったじゃありませんか」
……本気で言ってたんだ、この人。もしかして、この人の言うことは限りなくボケに聞こえても真面目に受け取った方がいいのかもしれません。
荷物をまとめて家を出て車の中に乗り込むと、そこにはすでに佐々木さんと周防さんも居ました。って周防さん、こんなときでも制服なんですか。
「やあ、おはよう」
周防さんはなんだか目を見開いたまま眠ってそうで反応なっしんぐですが、佐々木さんはさすがというか、平時と変わらずって感じでした。
「おはようござい……ぁふ……あ、すみません」
かくいうわたしは、それでもまだ眠くて欠伸が出ちゃいます。
「眠そうだね」
「今何時ですか?」
「ん~……五時半かな」
「えぇ~……」
確かに昨日、朝が早いと言ってましたけど……それでも五時半ってのは早すぎじゃないですか? いったいどこに行くんですか。箱根か別府ですか? どちらにしろ、かなり遠いですよ。
「のんのん。そんなメジャーな所ではないのです。人が多くて、親睦を深めるには向いてないじゃないですか。これから向かうのは我々の組織の慰安施設なのです」
「そ、組織? 何ですか、その組織って」
「組織は組織なのです。あたしが個人的に属しているので、我が、世界に……ええと、なんでしたっけ?」
昨日の今日で忘れちゃうってのが何とも……。わたしも覚えてないですけど。
「世界に平和と慈しみを与える橘京子の団」
わっ、佐々木さんったら律儀に覚えてるんですね。さすがです。
「長いので、世界で愛される橘京子の団にしましょう」
早くも名称変更みたいです。なんと言いますか、橘さんのファンクラブみたいな名称ですね。どうやれば脱退できるのか教えてください。
「ともかく、我らが団とは関係なく、あたし個人が所属している組織なのです。組織は組織であって他に適切な表現がありませんので、理解せずとも納得すればおっけーなのです。ちなみに、あたしは幹部なので施設も使い放題なのですよ」
橘さんが幹部の組織……何ででしょう、ロクでもない一味のように思えてなりません。これならまだ、幼稚園の送迎バスのみを狙う悪の秘密組織の方が健全のような気がしますね。
「いちおう、我が組織も何かと資金難なところがありますので、一般にも開放しているのです。もっとも、開店休業みたいなものなので、このオフシーズンには滅多に利用客はありません。今回もいないと思われます」
もしかしてその温泉施設とやらは、あれですか? シロアリにあちこち食われている柱ばかりの、しなびた温泉宿みたいなもんじゃないですよね? 嫌ですよ、わたし。泊まっているときに宿が崩れて生き埋めになる、なんて。
「失敬な。立派な日本家屋みたいなお屋敷っぽいな旅館なのです」
みたい、とか、ぽい、とか曖昧な表現ばかりなのが気がかりですが、それなら安心です。安心なんですが、橘さんに『失敬』と言われたのが、かなりショックです。
「もっとも、従業員もロクにいないので、ほぼ自炊になりますが」
それのどこが旅館ですか。
「でも大丈夫です。ちゃんと雑用係がおりますので」
それってわたしのことじゃないですよね? だとしたら、今すぐ帰らせていただきます。
「誰が雑用係だっ!」
と、声を大きく反論したのは、車を運転していた男の人でした。そういえば、この人はどちら様なんでしょう? 先ほど橘さんがおっしゃってた組織の人……かとも思ったんですが、口調を荒げて反論する姿から、橘さんの個人的な組織の知り合いという感じではありません。見たところ、佐々木さんや橘さんと同年代のように思えますけど……?
「そうそう、彼もきょこたん団の一員なのです」
ころころ団名を変えるの、そろそろやめませんか? って、この人も?
「昨日、結局最後まで姿を見せなかった団員その二です。名前は藤原さん。年齢不詳なので、車の運転をしてもらってます」
「年齢不詳って……あの、免許は持ってるんですよね?」
「面倒なので捏造しました。あんなもんはあれです、ただの飾りです。使うときはビデオレンタル屋で会員証を作るときくらいです。なので大丈夫です」
すみません、もうここで降ろしてください。歩いて帰ることになっても構いませんので、可及的速やかに降ろしてください。
「ふん、こんな原始的な乗り物を扱うことくらい造作もない」
運転できるのと、運転していいのとは別問題じゃないですか。やっぱり橘さんが率いている一団に、まともな人はいないんですね?
「ともあれ、メンバーも全員そろい、旅行に出発なのです」
そこで橘さんはニッコリ微笑み──。
「楽しい旅行になるといいですね」
と、わたしにとっては悪魔の嘲笑にしか見えない表情で言いました。
つづく
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●この記事にコメントする
★無題
NAME: John Smith
「40秒」とあってまず最初に思い浮かんだのがラピュタでした・・・。
免許証の捏造とは・・・・・・警察官として許せませんな。ちなみに東京都の運転免許証はICが組み込まれてるので偽造はほとんど不可能です。
免許証の捏造とは・・・・・・警察官として許せませんな。ちなみに東京都の運転免許証はICが組み込まれてるので偽造はほとんど不可能です。
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
40秒ネタは、もちろんラピュタであります。
それにしてもお巡りさんでしたか。や、自分はあれですよ、ちゃんと車を乗り回している上でのゴールド免許ですよ? ホントですよ? それで免許更新は来年なので、ICチップ云々の話は初耳だったりします。昨今見かける煙草の自販機にあるIC読み取りは、もしかしてそれを使うんでしょうか? なんともハイテクな世の中になったもんですネ。
それにしてもお巡りさんでしたか。や、自分はあれですよ、ちゃんと車を乗り回している上でのゴールド免許ですよ? ホントですよ? それで免許更新は来年なので、ICチップ云々の話は初耳だったりします。昨今見かける煙草の自販機にあるIC読み取りは、もしかしてそれを使うんでしょうか? なんともハイテクな世の中になったもんですネ。
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
そして可哀想な役どころにしております(`Д´)ゞ
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
いいようにコキ使われるのが、藤原くんだと思います。原作でも、いいように使われてほしいところですね(´ー`)y─┛~~
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