category: 日記
DATE : 2008/06/05 (Thu)
DATE : 2008/06/05 (Thu)
どうも椅子に座ってPCと向き合っていると、体全体に倦怠感が漂い始めてダメだ。別にSSを書きたくないとかそういうことではなく、長時間椅子に座っていると、どうもこう、夏バテのような気怠さを感じて仕方がないとですよ。
うーん、なんだろう。知らずのうちに疲れが溜まってるのかしら。軽くストレッチなんてものをやっちゃいるんですが、一向に改善される兆しは見えず。
これも運動不足による体力低下が原因か。スタミナ不足で満身創痍か! そろそろ過ごしやすい気温になってきたことですし、一日1時間くらは散歩にでも出かけてみるかと思ってみたりみなかったり。
そんな感じなので、今日はこの辺で。
ではまた。
うーん、なんだろう。知らずのうちに疲れが溜まってるのかしら。軽くストレッチなんてものをやっちゃいるんですが、一向に改善される兆しは見えず。
これも運動不足による体力低下が原因か。スタミナ不足で満身創痍か! そろそろ過ごしやすい気温になってきたことですし、一日1時間くらは散歩にでも出かけてみるかと思ってみたりみなかったり。
そんな感じなので、今日はこの辺で。
ではまた。
前回はこちら
喜緑江美里の策略:4
ミヨキチが行ってみたいと言っていた店とは、もちろんファミレスなどではなく、少しこじゃれた感じが漂うイタリアンレストラン……らしい。らしいというのは、今はまだ向かっている最中であり、ミヨキチが嬉々として説明してくれているから、そういうところだと俺も把握できているわけである。
なんでも、オーナーシェフが何かしらの賞を受賞した人らしく、本場のナポリピッツァが味わえるのが店の売り……だ、そうだ。普通のピザと何がどう違うのか俺にはわからんが、ミヨキチに言わせると「生地が小麦粉と水と酵母と塩だけですし、石窯でちゃんと焼いて、燃料もちゃんと薪や木くずを使ってるんですよ」ってことらしい。どうやらその辺りがナポリピッツァがナポリピッツァと呼ばれる所以のようだが、どうしてこう、女性というのはそういうことに詳しいんだろうね。
「クラスの女子はみんな知ってますよ」
それはない、と思う。断言してもいい。そりゃだって、もしミヨキチと同じクラスの女子全員がカフェなりイタリア料理店の情報なりを熟知しているとなれば、うちの妹も知っている、ってことになる。
それはないだろう、どう考えても。
脳内でチラチラと思い起こされる我が妹の姿を反すうし、強く思う。もしあの妹が、兄である俺の目から見ても実年齢と比べて幼いと感じるあの妹が、俺も知らないようなオシャレなカフェやら何やらを熟知しているとすれば驚きだ。驚天動地だ。
そりゃ、妹だって女の子なわけだから、そういうものにまったく興味がないとは言わない。もしかするとミヨキチ言うところの「女の子の常識」とやらに興味がないとも考えられるが、世間一般の女子とは違う趣向があったとしても、無関心ではなさそうだ。一緒に住んでいるんだから、そのくらいはわかる。
ただ、今はまだ興味が薄いようだ。妹がより強くそういうことに興味を持つのは、もう少し経ってからだろう。中学……いや、高校に入学すればあるいは。いやいや、けれど今の妹の姿を見るに、もう少し時間が必要かもしれない。そうだな、ちょうど正面から歩いてくるあのお姉さんみたいに立派な大人になって……って。
「あ……朝比奈さん!?」
妹もああいう風になればいいな、と思って行き交う人々の中から無作為に目を留めた人物をよく見てみれば、俺は掛け値なしに驚いた。暗がりの中だから今の今まで気付かなかったが、そこにいたのは紛れもなく朝比奈さんである。
しかもだ。朝比奈さんと言っても、先ほどコンビニで接近遭遇しかけた部室のメイドさんではない。あらゆる点でボリュームアップした朝比奈さん(大)の方じゃないか。
おまけに──。
「こんばんは、キョンくん」
──向こうから声をかけてきた。
まさかここで、しかも隣にはミヨキチがいる状況であるにもかかわらず、声を掛けられるとは思わなかった。現れるにしても俺が一人の状況がいつものパターンだし、何より俺は土曜日から無理やりこの日、この水曜日まで時間遡航させられている。そういうことができるのは俺の友人知人顔見知りの中でもこの人か、藤原くらいしかいない。つまり朝比奈さん(大)は──疑いたくはないが──俺をこの時間に無理やり連れて来た最重要容疑者であるわけだ。
どうして現れたんだ? もしかして、やはり俺をこの時間に連れてきたのは藤原だからこそ、朝比奈さんは救出に来てくれたとでも言うのか?
「あの……お兄さん、どちら様ですか?」
「え? あ、あー、えっと、この人は……」
あるいは、そうか。ミヨキチが隣にいるから姿を現したんじゃないだろうな? この状況では、朝比奈さん(大)に詳しい事情を問い詰めることもできやしない。
「朝比奈みちるです、初めまして」
にっこり笑顔でミヨキチに名乗る朝比奈さんを前に、吹き出しそうになったのはここだけの話だ。この朝比奈さんにとって、その話がいったいどれくらい前のものかわからないが、よくその名を覚えてくれていたもんだ。
「キョンくんにはいつも妹がお世話になっていて。ですよね?」
「え? あー、ええ、まぁこちらもお世話になってますと言うかなんというか」
俺に話を振ってきたということは、つまりそういうことにしておいてくれ、ということなんだろう。
「それでキョンくん。こちらの可愛らしいお嬢さんは誰なの?」
「あ、こっちは、」
「よっ、吉村美代子です」
俺が紹介しようと口を開けば、それは不要とばかりにミヨキチは慌て口調で名乗った挙げ句にバネ仕掛けの人形のように頭を下げた。
「お兄さんの……あ、お兄さんといっても実の兄とかじゃなくて、お兄さんの妹さんと仲良くさせていただいてて、そのご縁でこうしてご面倒をかけていることもあって……それでその」
「そうなの。よろしくね」
何をそんなに、と思うほど、ミヨキチは言い訳でもしているかのような態度で俺との関係を口走るが、朝比奈さんはミヨキチの態度に初々しさを感じているのか、何かこう、見守るような大人の笑顔を浮かべてミヨキチに手を差し伸べた。
「あ、はい。こちらこそ」
方やミヨキチは、そんな朝比奈さんの雰囲気に呑まれでもしたのか、何故か頬をわずかに上気させながら差し出された手を握り返す。
こういうのも、貫禄と言うんだろうか。いつも部室で愛らしい姿を見せてくれる朝比奈さんも、ここまで成長すれば醸し出す雰囲気で人を飲み込むことができるらしい。それだけの美貌があることは……ま、今さら言うまでもない。
そんなことよりも、俺にはどうしても聞いておかなくちゃならないことがある。
「朝比奈さん、どうしてここにいるんですか」
喜緑さん曰く、今の俺は地球人類の科学力ではもちろんのこと、長門でさえ居場所の特定ができないようになっているんじゃなかったのか? なのにこの朝比奈さん(大)──みちるさんと呼んだ方がいいのか──は、まるで俺の居場所がわかっていたかのようにピンポイントでの登場じゃないか。
ミヨキチにさえ突っ込まれるようなキスマークを人の首筋に残した挙げ句に朝比奈さんに遭遇するのでは、片手落ちもいいところだ。
「さっき、キョンくんの姿を偶然見かけたの。急に逃げるんですもの、どうしたのかなって思って、捜しちゃった」
照れくさそうに舌をちょろっと見せて弁明じみた口調でそう言うみちるさんだが、この人に限って偶然などというものがないことを俺は知っている。いつも一緒にいる朝比奈さんならいざ知らず、過去を──俺にとっては未来を──知るこの人との出会いに偶然などあり得ない。
かといって、いくら大人になったからと朝比奈さんが咄嗟の思いつきで無難な言い訳ができるとも思えず、俺を偶然見かけたって言われてもそんなことは……あっ、そうか。
確かに俺は、偶然にも朝比奈さんと出会っている。しかもついさっき、目が合ってしまうほどの距離で遭遇したじゃないか。
この時代、いつも一緒にいる朝比奈さんと、目の前にいる朝比奈さんは繋がっている。あの時点で見つかっていれば、たとえ喜緑さんがチャフだかなんだか知らんが俺の居場所を特定できないようにしていても、朝比奈さんには意味がない。何しろ目視で見つかっているんだからな。
だから、ここに現れることができた。でもなんで今なんだ? 側にミヨキチがいる、このタイミングなのはどうしてだ?
「それより二人は、どこか行く途中だった?」
そんな俺の疑問を他所に、みちるさんはそんなことを聞いてくる。
「あ、そうなんです。これから食事に……すぐそこのイタリアンレストランなんですけど」
「もしかしてあそこのレストランかしら? わたしも行ってみたかったんだけど、一人で入るにはちょっと勇気がいるから結局行かず終いなの」
「そうですよね。わたしも、今日みたいな機会がなければなかなか……それに、わたし一人じゃとても行けませんし」
「いいなぁ。ねぇ、もしお邪魔じゃなかったら、わたしもご一緒していいかしら?」
いきなり何を言い出すんだ、と思ったのは俺だけじゃないはずだ。
「ええ、是非」
訂正しよう。思ったのは、どうやら俺だけだったらしい。俺が何か言う前に、ミヨキチがあっさりOKを出してしまった。
「本当? ありがとう。せっかくだし、無理を言ったんだからわたしがご馳走しますね」
あれよあれよと言う間に女性二人の間で約束が取り付けられ、俺が入り込む余地がないままで話が進む。意気投合……というには、まだミヨキチに遠慮こそあるようだが、少なくとも男の俺が間に入り込むことができなさそうな会話が二人の間で続いていた。
つづく
喜緑江美里の策略:4
ミヨキチが行ってみたいと言っていた店とは、もちろんファミレスなどではなく、少しこじゃれた感じが漂うイタリアンレストラン……らしい。らしいというのは、今はまだ向かっている最中であり、ミヨキチが嬉々として説明してくれているから、そういうところだと俺も把握できているわけである。
なんでも、オーナーシェフが何かしらの賞を受賞した人らしく、本場のナポリピッツァが味わえるのが店の売り……だ、そうだ。普通のピザと何がどう違うのか俺にはわからんが、ミヨキチに言わせると「生地が小麦粉と水と酵母と塩だけですし、石窯でちゃんと焼いて、燃料もちゃんと薪や木くずを使ってるんですよ」ってことらしい。どうやらその辺りがナポリピッツァがナポリピッツァと呼ばれる所以のようだが、どうしてこう、女性というのはそういうことに詳しいんだろうね。
「クラスの女子はみんな知ってますよ」
それはない、と思う。断言してもいい。そりゃだって、もしミヨキチと同じクラスの女子全員がカフェなりイタリア料理店の情報なりを熟知しているとなれば、うちの妹も知っている、ってことになる。
それはないだろう、どう考えても。
脳内でチラチラと思い起こされる我が妹の姿を反すうし、強く思う。もしあの妹が、兄である俺の目から見ても実年齢と比べて幼いと感じるあの妹が、俺も知らないようなオシャレなカフェやら何やらを熟知しているとすれば驚きだ。驚天動地だ。
そりゃ、妹だって女の子なわけだから、そういうものにまったく興味がないとは言わない。もしかするとミヨキチ言うところの「女の子の常識」とやらに興味がないとも考えられるが、世間一般の女子とは違う趣向があったとしても、無関心ではなさそうだ。一緒に住んでいるんだから、そのくらいはわかる。
ただ、今はまだ興味が薄いようだ。妹がより強くそういうことに興味を持つのは、もう少し経ってからだろう。中学……いや、高校に入学すればあるいは。いやいや、けれど今の妹の姿を見るに、もう少し時間が必要かもしれない。そうだな、ちょうど正面から歩いてくるあのお姉さんみたいに立派な大人になって……って。
「あ……朝比奈さん!?」
妹もああいう風になればいいな、と思って行き交う人々の中から無作為に目を留めた人物をよく見てみれば、俺は掛け値なしに驚いた。暗がりの中だから今の今まで気付かなかったが、そこにいたのは紛れもなく朝比奈さんである。
しかもだ。朝比奈さんと言っても、先ほどコンビニで接近遭遇しかけた部室のメイドさんではない。あらゆる点でボリュームアップした朝比奈さん(大)の方じゃないか。
おまけに──。
「こんばんは、キョンくん」
──向こうから声をかけてきた。
まさかここで、しかも隣にはミヨキチがいる状況であるにもかかわらず、声を掛けられるとは思わなかった。現れるにしても俺が一人の状況がいつものパターンだし、何より俺は土曜日から無理やりこの日、この水曜日まで時間遡航させられている。そういうことができるのは俺の友人知人顔見知りの中でもこの人か、藤原くらいしかいない。つまり朝比奈さん(大)は──疑いたくはないが──俺をこの時間に無理やり連れて来た最重要容疑者であるわけだ。
どうして現れたんだ? もしかして、やはり俺をこの時間に連れてきたのは藤原だからこそ、朝比奈さんは救出に来てくれたとでも言うのか?
「あの……お兄さん、どちら様ですか?」
「え? あ、あー、えっと、この人は……」
あるいは、そうか。ミヨキチが隣にいるから姿を現したんじゃないだろうな? この状況では、朝比奈さん(大)に詳しい事情を問い詰めることもできやしない。
「朝比奈みちるです、初めまして」
にっこり笑顔でミヨキチに名乗る朝比奈さんを前に、吹き出しそうになったのはここだけの話だ。この朝比奈さんにとって、その話がいったいどれくらい前のものかわからないが、よくその名を覚えてくれていたもんだ。
「キョンくんにはいつも妹がお世話になっていて。ですよね?」
「え? あー、ええ、まぁこちらもお世話になってますと言うかなんというか」
俺に話を振ってきたということは、つまりそういうことにしておいてくれ、ということなんだろう。
「それでキョンくん。こちらの可愛らしいお嬢さんは誰なの?」
「あ、こっちは、」
「よっ、吉村美代子です」
俺が紹介しようと口を開けば、それは不要とばかりにミヨキチは慌て口調で名乗った挙げ句にバネ仕掛けの人形のように頭を下げた。
「お兄さんの……あ、お兄さんといっても実の兄とかじゃなくて、お兄さんの妹さんと仲良くさせていただいてて、そのご縁でこうしてご面倒をかけていることもあって……それでその」
「そうなの。よろしくね」
何をそんなに、と思うほど、ミヨキチは言い訳でもしているかのような態度で俺との関係を口走るが、朝比奈さんはミヨキチの態度に初々しさを感じているのか、何かこう、見守るような大人の笑顔を浮かべてミヨキチに手を差し伸べた。
「あ、はい。こちらこそ」
方やミヨキチは、そんな朝比奈さんの雰囲気に呑まれでもしたのか、何故か頬をわずかに上気させながら差し出された手を握り返す。
こういうのも、貫禄と言うんだろうか。いつも部室で愛らしい姿を見せてくれる朝比奈さんも、ここまで成長すれば醸し出す雰囲気で人を飲み込むことができるらしい。それだけの美貌があることは……ま、今さら言うまでもない。
そんなことよりも、俺にはどうしても聞いておかなくちゃならないことがある。
「朝比奈さん、どうしてここにいるんですか」
喜緑さん曰く、今の俺は地球人類の科学力ではもちろんのこと、長門でさえ居場所の特定ができないようになっているんじゃなかったのか? なのにこの朝比奈さん(大)──みちるさんと呼んだ方がいいのか──は、まるで俺の居場所がわかっていたかのようにピンポイントでの登場じゃないか。
ミヨキチにさえ突っ込まれるようなキスマークを人の首筋に残した挙げ句に朝比奈さんに遭遇するのでは、片手落ちもいいところだ。
「さっき、キョンくんの姿を偶然見かけたの。急に逃げるんですもの、どうしたのかなって思って、捜しちゃった」
照れくさそうに舌をちょろっと見せて弁明じみた口調でそう言うみちるさんだが、この人に限って偶然などというものがないことを俺は知っている。いつも一緒にいる朝比奈さんならいざ知らず、過去を──俺にとっては未来を──知るこの人との出会いに偶然などあり得ない。
かといって、いくら大人になったからと朝比奈さんが咄嗟の思いつきで無難な言い訳ができるとも思えず、俺を偶然見かけたって言われてもそんなことは……あっ、そうか。
確かに俺は、偶然にも朝比奈さんと出会っている。しかもついさっき、目が合ってしまうほどの距離で遭遇したじゃないか。
この時代、いつも一緒にいる朝比奈さんと、目の前にいる朝比奈さんは繋がっている。あの時点で見つかっていれば、たとえ喜緑さんがチャフだかなんだか知らんが俺の居場所を特定できないようにしていても、朝比奈さんには意味がない。何しろ目視で見つかっているんだからな。
だから、ここに現れることができた。でもなんで今なんだ? 側にミヨキチがいる、このタイミングなのはどうしてだ?
「それより二人は、どこか行く途中だった?」
そんな俺の疑問を他所に、みちるさんはそんなことを聞いてくる。
「あ、そうなんです。これから食事に……すぐそこのイタリアンレストランなんですけど」
「もしかしてあそこのレストランかしら? わたしも行ってみたかったんだけど、一人で入るにはちょっと勇気がいるから結局行かず終いなの」
「そうですよね。わたしも、今日みたいな機会がなければなかなか……それに、わたし一人じゃとても行けませんし」
「いいなぁ。ねぇ、もしお邪魔じゃなかったら、わたしもご一緒していいかしら?」
いきなり何を言い出すんだ、と思ったのは俺だけじゃないはずだ。
「ええ、是非」
訂正しよう。思ったのは、どうやら俺だけだったらしい。俺が何か言う前に、ミヨキチがあっさりOKを出してしまった。
「本当? ありがとう。せっかくだし、無理を言ったんだからわたしがご馳走しますね」
あれよあれよと言う間に女性二人の間で約束が取り付けられ、俺が入り込む余地がないままで話が進む。意気投合……というには、まだミヨキチに遠慮こそあるようだが、少なくとも男の俺が間に入り込むことができなさそうな会話が二人の間で続いていた。
つづく
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