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DATE : 2017/05/30 (Tue)
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DATE : 2008/06/02 (Mon)
でもそろそろ限界。

ひとまず自分で定めたルールは厳守しようそうしよう。というわけで「策略」の続きになります。今回はお待ちかね、ようやくあの人の登場です。

それにしてもうちのブログ、この子の名前で飛んでくる人が多いみたいですが、原作ではっきり出てくるのはいつなんでしょう。驚愕でがっつり出番があるといいなぁと思う次第であります。

ではまた。

前回はこちら
喜緑江美里の策略:3

 今日はやけに星が見えるなぁ、と夜空を見上げて俺は思う。この日の俺は、この時間に何をしていたっけかな。何であれ、一昨日の晩飯のメニューが思い出せない時点で、あれこれ思い返そうとしても無駄だろう。
「はぁ~……」
 我知れず、漏れる溜息は鉛のように重い。俺の人生は、どうしてこうも面倒事が次々に舞い込んでくるんだろうな。こういう出来事を望んでいるのはハルヒの方だろう? なのにどうしてハルヒは蚊帳の外で、俺ばっかりに降りかかってくるんだ?
 そりゃ俺も、昔はマンガ的アニメ的特撮的な展開に憧れを抱いていたこともある。それは否定しない。けれど高校生になって、そんなことは夢物語だと割り切り、きっぱり現実を受け入れているんだ。
 神様が本当にいるのなら、ハルヒのような唐変木パワーを俺に寄越して、ハルヒを今の俺の立ち位置にすべきだったんじゃないか? そうしてくれりゃあ俺以上に、アクティブに、今のふざけたこの状況を心ゆくまで楽しんでくれるさ。
 まぁ……仮に俺とハルヒの立場が能力的な話もコミで入れ替わったとしても、あいつの性格だ、今のこの状況は納得しないかもしれないな。今のこんな……コンビニで一人寂しく夕飯の弁当を物色しなけりゃならん状況なんて、あいつだったら「ふざけんな」と喚きだしていそうだ。
 今、俺は一人でいる。側に喜緑さんはいない。あの人は俺の言葉を頼りに、朝倉が本当にいるのか、いるならそれがどういったことになっているのか、そこに九曜がどういう関わりを持っているのか調べるために帰ってしまった。
 なぁ~にが「お食事のお世話はいたしますよ」だ。
 理由はわからなくもないが、それだって今の俺を一人にするとは薄情極まりない。
 それでも万が一のために携帯電話を渡してくれたが、去り際に「寂しかったら電話してくださいね」と、小さな子供を諭すような言い方をしてくださりやがった。
 そんな言い方をされたら、電話しようにもできないじゃないか。こっちは、まだ大人とは言い切れないが、高校生になりゃあ子供ではない、と思う。そして俺は男であり、ささやかながらも男としてのプライドってもんがあるのさ。
 もしここで、特に用事もないのに電話なんてしてみろ。相手は喜緑さんだ。どういうからかわれ方をするのかわかったもんじゃない。ただでさえ、喜緑さんを押し倒すという痴態を晒しているのだから、これ以上の恥の上塗りはゴメンだね。
「あれ? お兄さんじゃないですか」
 五百円のハンバーグ弁当にしようかと思ったが、こってりしたものは胃が受け付けそうにないのであっさり風味のざるそばにした方が無難かな、などと悩んでいれば、ここ最近、あまり耳に馴染みがない声が届いた。
 家の近所でもない、学校の側でもない場所で声をかけられるとは夢にも思わなかった俺は、驚くと同時に戸惑いも感じていた。
 今ここにいる俺は、本来ならいるはずもない人間だ。この時間に本来いる俺は、家で風呂なりテレビを見てるなり妹の宿題を教えてやってるはずだ。それなのにここで知り合いと出会うということは、あってはならない状況であり、ともすれば歴史が変わり兼ねない非常事態になる……のだが。
「ああ……なんだ」
 その顔を見れば、そこまで切羽詰まった状況ではない、と思えなくもない。
 何しろ毎日顔を合わせているような交友があるわけでもなく、ハルヒやSOS団のメンバーとも親しいわけでもない。連絡を取るにしても、ワンクッションを置かなければならないような相手だったからだ。
「ミヨキチじゃないか」
「こんばんは。でもお兄さん、ちょっとひどいですよ」
「え、何が?」
「偶然お会いできたのに、『なんだ』なんて落胆混じりに言うんですもの。声をかけたのがわたしじゃダメでした?」
 三つ編みに結った髪を肩から前に流し、どこかしら咎めるような上目遣いでミヨキチはそう言うが、それは大きな勘違いというものだ。俺としては、声を掛けてきたのがミヨキチだったことでどれほど救われたことか。言葉では言い表すことができないほどだ。
 これが割と頻繁に顔を合わせるような知り合いだったら、顔を隠して挙動不審なことこの上ない態度で逃げ出していたさ。
「大袈裟ですよ~。でもお兄さん、どうしてこちらにいらっしゃるんですか? ご自宅はこの近所じゃないですよね?」
「えー……あー、今日はちょっと、知り合いの家に遊びに来てたんだ。その買い出しでね」
 本当のことなど言えるはずもなく適当にはぐらかしたのだが、よくよく考えれば話をでっち上げるよりも「散歩のついで」の一言でよかったんじゃないかと思う。後悔先に立たずとはよく言ったもんだ。
「それよりミヨキチこそ、こんな時間に一人なのか? よく外出なんて出来たな」
「あ、違います」
 これ以上、墓穴を掘り続ける気分を味わいたくないので切り返してみれば、ミヨキチは慌てたように両手をぶんぶんと振って見せた。
「その、一人なのはそうなんですけど、今週、親がそろって旅行に出かけちゃって。わたし、一人でお留守番してるんです」
「へぇ」
 小学校六年生で一週間も一人で留守番か。よく親も十二歳の娘を残して旅行に行けるもんだ。それだけ信用してるってことなんだろうかね? うちの妹ではあり得ないな。
 いや、俺でもどうかな。一人で留守番くらいなら、そりゃできるさ。ただ、毎朝ちゃんと学校に行ける自信はない。
「あ、わたしもそうです。でも、毎朝電話が来るんですけどね」
 ミヨキチの場合は、学校をサボらないようにと電話してくるのではなく、単に心配して電話してきているような気がする。いくら信用していても、娘を残して不安に思わない親はいないだろうさ。
「だったら、こんな時間に外を出歩くのはあまりよくないんじゃないか? 親が知ったら怒られるぞ」
「いえ、今日は夕飯を作るのが面倒になっちゃったから、お弁当で済まそうかなって来ただけなんです……あれ?」
 ミヨキチは、ふと俺の顔……いや、首筋に視線を止めて眉根を寄せる。
「首筋、赤くなってますよ? 痒そうですけど、虫刺されですか?」
「え?」
 見られている視線の先に手を伸ばして、俺はようやく気がついた。そこは先ほど喜緑さんに噛みつかれたところであり、そこが赤くなっているということは決して虫刺されなどではなく、おそらく吸引されたことによって毛細血管が破裂し、内出血しているものと思われる。簡潔に言い表せば、キスマークだ。
 なるほど、今になって喜緑さんがこんなところからナノマシンの注入をしたのか納得した。確かにこんなところにキスマークがあれば、俺の方だって知り合いから遠ざかろうとするだろうさ。
 なんてことをしやがるんだ、あの宇宙人は。
「あー、いや、うん。そこまで痒くないんだが、気になってたんだ。そうか、赤くなってるのか」
 どうしてこんな言い訳口調で弁明してるのかわからんが、自分でもみっともない狼狽っぷりだと思う。それとなく、ミヨキチが言う『赤くなっているところ』を手で覆い隠しながら、ここにはいないウェーブヘアの地球外知的生命体へ、非科学的と笑われてもかまうものかと呪詛っぽい恨み節を脳内で垂れ流しておこうと思う。
「でもそこだと、キスマークみたいですよね~……なんて、ふふ、ごめんなさい。お兄さんに限って、そんなことないですよね」
「は、ははは、そんなわけないだろ」
 コロコロと笑うミヨキチを前に、女の勘か洞察力かしらんが、そら恐ろしいものを感じずにはいられない。このまま一緒にいては、いつボロが出るかわからん。
「まぁ、なんだ。時間も遅いし、」
 そんなもっともらしい理由を付けて退散しようかと思った矢先、ふと視界の隅が店内に入ってくる人影を捉えて卒倒しそうになった。
 朝比奈さんだ。あれは朝比奈さんで間違いない。たとえ普段着だろうと何だろうと、俺が朝比奈さんを見間違えるわけがない。
 そういえば、先週の木曜の朝に……って、今だと明日の朝か、鶴屋さんの送迎をしていて出会った朝に、俺をコンビニで見かけたとか言ってたな。お下げ髪の女と一緒だったとか言ってたが、ミヨキチのことだったのか。
「あれ?」
 やばい、目が合った。朝比奈さんのことだから、この流れでは絶対に声を掛けてくる。それだけは回避しなければならない。
 何も朝比奈さんと話をしたくないわけじゃないんだ。ただ、歴史的事実として俺はこのときに朝比奈さんと和やかに話をしていないわけだし、そうでなくともミヨキチと一緒のところで声を掛けられるのは……なんだろう、後ろめたいものを感じてしまう。
「あー、そうだミヨキチ。せっかくだからコンビニの弁当じゃなくてファミレスで軽く食事にしないか? うん、思うにコンビニの弁当はカロリーが偏るだろ? 育ち盛りにはよくないと思うわけだ」
「あの……どうしたんですか、急に?」
「いいからほら、行こうぜ。いいって、奢ってやるから」
「え、あの、あれれ?」
 ここであれこれミヨキチを説得している暇はない。「うん」と答えてくれようが「いいえ」と断られようがお構いなしにその手を取り、朝比奈さんから可能な限り距離を取りつつ顔を伏せてコンビニから逃げ出した。
 その姿は、ことさら胡散臭くみっともないものだっただろうな。店員には、まるで万引きでもしてるかのように見られていたかもしれない。よくも追い掛けられなかったものだと思う。俺が店員なら追い掛けているね。間違いなく。
「あ、あの、ごめんなさい。その、手がちょっと、痛いんですけど」
「え? あ、すまん」
 朝比奈さんから逃げ出すのに夢中で、引っ張ってきたミヨキチの手を思った以上の力で握りしめていたらしい。言われて気付き、慌てて離した。
「もう、ビックリしちゃいました。どうなさったんですか、急に」
「いや、ただ……そう、時間も遅いし、急いだ方がいいだろって思ったんだよ」
「はぁ? でもお兄さん、今日はお友だちのところに遊びに来ていたんじゃなかったんですか? あの……お誘いいただけるのは嬉しいんですけど、わたしとファミレスにだなんて、いいんですか?」
 ああ、しまった。そういえば、そういう話になっていたんだった。自分で言っておいて何だが、やはり思いつきの言い訳はすぐにボロが出るな。
「いや、いいんだ。うん、そんな細かいことを気にするヤツじゃないから。あとでこっちから連絡入れれば充分だし、放っておいても問題ない」
 こんなこと、喜緑さんに面と向かって言えやしないが、まぁいいだろう。放っておかれてるんだし
「そうなんですか? それならいいですけど……」
 取って付けたようなもっともらしい理由でも、ミヨキチは納得してくれたようだ。こういうピュアなところは、これからどんどん世俗にまみれていったとしても失わないでもらいたい。切に願うところだね。
「それならお兄さん、わたし、行ってみたいお店があるんです。そんな高いところでもありませんから……どうですか?」
「ああ、いいとも」
 今の俺に、ミヨキチの申し出を断る理由はミトコンドリアサイズもありゃしない。

つづく
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★無題
NAME: パ〜ン
ミヨキチ登場でしたか♪
これからの展開が楽しみです。
無料をせず 頑張って下さいませ。
2008/06/02(Mon)05:23:19 編集
ここからがっつりミヨキチさんには頑張っていただこうかと思っておりますw
【2008/06/03 00:07】
★みよきっちゃ〜ん!!
NAME: N・N
そうきましたか。

そうすると、次はもしやレストラン→SOS団・佐々木団関係の誰かに遭遇→僕の彼女を紹介しますな雰囲気→ミヨキチ真っ赤っ赤の羞恥プレイ?
あふん
2008/06/02(Mon)09:31:19 編集
次更新するときは、そこからさらにもう一歩、話を進めたいなぁと思っておりますが、どうなることか( ´Д`)
【2008/06/03 00:08】
★三日連続コメ
NAME: ソウ
題の通りですね…ww

>なるほど、こういうわけでしたか。時系列を使った伏線はやはり上手いです!

そしてミヨキチ登場!喜緑さんと同じく原作でも活躍してほs(ry
2008/06/02(Mon)23:22:05 編集
本当に原作でもそろそろ……とにかく驚愕を……!

伏線ですが、コンビニで朝比奈さんとの遭遇は今回のこれではなかったりしますが、まぁ結果的にそうなったかなという感じでしょうか。
【2008/06/03 00:10】
★無題
NAME: Miza
またさりげなくミヨキチフラグを立ててるキョン君ステキです。
ミヨキチかわいいよミヨキチ!
2008/06/03(Tue)16:17:21 編集
さり気なくフラグを立ててはへし折るキョンくんなのでした~。
【2008/06/04 00:01】
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