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DATE : 2017/11/24 (Fri)
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DATE : 2007/12/01 (Sat)
ちょっとアレやコレやソレでSS書いてる時間が取れずで( ´Д`)
えーっと、それでも本日分でSSはUPします。するったらします。しますよ! するんですから! ええっと……するんだもん!

そういうわけでして、やや遅れる……それこそ本日昼過ぎとかになってしまうかもしれませんが、あとで追記でUPしておきます。

しばしまたれよ( ´ω`)ニャムー


※15:10ごろ追加
なんとか年内で終わらせるぞ。おーっ! ということで、SSをUPしときます。

前回はこちら
涼宮ハルヒの信愛:五章-c


 夜、寝るときに部屋の電気を消して布団の中に潜り込んだときは、ただ暗いだけだ。街灯もない森の中にキャンプに行って、テントの中で眠るときもかなりの暗さだが、逆に星明かりが世界を照らしている。
 本当に一切の光も届かない闇の中なんて、まともな生活を送っていればそうそう赴くような場所じゃないのは、たぶん間違いないだろう。
 顔の近くまで引き寄せた手は形すら見えず、耳を澄ませたところで何も聞こえない。勢いよく部屋の中に飛び込んだのはいいが、それほどの闇に包まれた空間は正直言って尻込みするほどだ。おまけに何だ、場所は確かに室内だったよな? なのに何で歩いても歩いても壁にぶち当たらないんだ?
 側には誰もいない。いる気配もない。闇の中、目は見えず音も聞こえない。ここは本当に大丈夫なんだろうな? 何かで見たか読んだか忘れたが、原始時代の名残とかそんな理由で、人間、闇というものが先天的にダメらしい。何も見えずに何も聞こえないなら何もないわけで、だったら何かが起こるわけでもないと思うのだが、どうにもびくついている自分がいる。
 これでもし──。
「うわっ!」
 不意打ちだった。まったく予期しない出来事でもある。闇の中、文字通り手探りで進んでいたその腕を、急に掴まれたかと思うと力一杯引っ張られた。
 驚いたってもんじゃない。心臓が肋骨を突き破る勢いで驚いた。そんな強い力じゃなかったが、掴まれた腕を勢いよく振り解こうとしたときにバランスを崩し、相手も──姿は見えないが腕を掴んできたってことは誰かいるはずで──俺が抵抗することが意外だったのか姿勢を崩し、互いが互いにもつれ合うように倒れた。
 どうしてこういうとき、俺が下になるんだろうな。理由を考えればシンプルなのは解ってる。相手が引っ張る力より、抵抗した俺の力の方が強かったせいで、だから俺の方が仰け反るように倒れたってだけで……だからって頭を床に打ち付ける勢いで倒れるのはどうかと思う。目から火花が飛び散ったぞおい。
「ってぇ~……」
「何をやってるんだ、キョン。大丈夫かい?」
「え?」
 目を開く。世界が明るい。今まで目を見開いていても何も見えなかった世界から一転、世界は光に包まれ、新鮮味も何もない見慣れた空が目に映る。ただし、世界は霧に包まれているようにどこか霞んで見える。そして目の前、俺に覆い被さるようにいるそいつは。
「佐々木、か」
「そうだ、僕だ」
 応えて佐々木は体を起こし、俺に手を差し伸べてくる。その手を掴んだ感触は確かに人の温もりが感じられるものであり、俺の目に映るその姿も佐々木で間違いない。
 ただ──。
「キョン、何がどうなってるのかどうにも理解できないんだが……キミにはこの事態が理解できてるのかい?」
「うん? ああ」
 胡乱に応えて、俺は周囲を見渡す。そこは病院内でもなければ、俺の記憶にある既知の場所でもない。もしかすると過去に一度くらいは訪れたことがあるのかもしれないが、記憶に残っているような目印らしきものはどこにもない。
 そこは、緑覆う山肌が一望できる丘の上だった。元々いた病院の面影はどこにもなく、近くに誰かがいるとも思えない。何より世界を覆う霧が、どうにも幽界との狭間に立たされている気分にさせる。
 ここはいったいどこなんだ?
「佐々木、何でおまえはここにいるんだ?」
「妙なことを聞くね。何でって、それは……ん? あれ? そう言えば、僕は……」
 珍しく、佐々木は口籠もる。
「ここにいる前のことは、何を覚えてる?」
「何を……うう~ん」
「俺と一緒に須藤の見舞いに病院へ行ったことは覚えてるか?」
「ああ、そうだ。僕たちは入院した須藤の代わりに同窓会のセッティングをしていたね。それが一通り済んだから、病院まで行って、」
「そこでのことを、どこまで覚えてる?」
「それで……気がついたら、ここにいた。うん、そうだな。僕が覚えているのは、そういうところだ」
 佐々木はそこまで覚えている。俺もそれは解っている。そういう共通認識がある俺たちは、けれど今、見覚えのない丘の上にいる。つまりここは、あの病院で起きていた出来事から繋がっている場所なのは間違いない。間違いないが、どうやって繋がっているのか解らない。
「それで、キミは何を解っているんだ?」
「え?」
「え、って……今、自分で言ったじゃないか。この事態が理解できているって。そうじゃないのか?」
 あー……確かにそう言ったが、はっきり言って佐々木の話を聞き流しながらの生返事だったわけで、改めて答えれば「何も解ってない」ってのが正解だ。せいぜい、俺が解っていることは今しがた佐々木が自分で口にしたように須藤の見舞いに来て、その後……佐々木が作り出している閉鎖空間の中に入って、ハルヒと佐々木の閉鎖空間の切り離し作業に立ち会い、その流れで黒い煙で満たされた部屋の中に飛び込み、今、ここにいる。
 それは佐々木が知らないことだ。知らないことだから話はするが、それは俺と佐々木がこんなところにいる理由にはなってない。
「そう……僕と涼宮さんの閉鎖空間が、ねぇ……」
 起きていたことを、佐々木に隠し立てする理由はない。ハルヒと違って元から何もかもを知っているこいつに隠し事をする意味はないし、何より状況が状況だ。話さないという選択肢は、状況解決までの道のりを逆に困難にするように思う。
「ならここは、僕の内面世界ということになるのかな?」
 どこか感慨深く、佐々木はそんなことを言って緑覆う山肌を一望した。緑覆う、とは言っても世界は霧に包まれているように、どうにもクリアな視界とは言い難いのだが。
「こういう風になっていたとはね。人は自分のことなら自分自身がよくわかっていると言うが、あまりそうではないのかもしれない。思ったよりもまともそうだ。なるほど、こうなっているのか……」
「そうか」
 ここは、静寂に包まれた場所だ。大きなアクシデントもハプニングもない平穏とさえ言ってもいいだろう、そういう場所だ。けれどここにいる俺たちは、それ以前のことを覚えている。非現実的で騒がしい日常から繋がっている場所だ。そして俺は、長門と朝倉の導きがあってここにいる。
 ここが佐々木の閉鎖空間内であることは間違いない。そしてここに、その世界を作り出している佐々木がいる。ふたつの閉鎖空間の切り離しとやらが成功したのかは解らないが、俺は佐々木と出会うことが出来ている。
 ……待てよ? 朝倉は何て言ってた? 閉鎖空間が融合しかけている今、そこにいるのはハルヒも佐々木も自分がどっちか解ってない状況だと言ってなかったか? なら、ここにいる佐々木はどうして自分を『自分』だと認識できているんだ?
 いや、まぁいい。その理由は後回しだ。何しろ佐々木が自分自身を認識できているのなら、俺がここに来た目的は果たされているんだ。
 となればあとはハルヒを……どうやって? ここは佐々木の閉鎖空間内であって、ハルヒがいるであろう、あいつの閉鎖空間じゃない。おまけにここから抜け出す手段もない。
 まずい。考えれば考えるほど、次から次に困難な問題が吹き出てくる。
「佐々木、ここがおまえの閉鎖空間内なら、おまえで何かできるんじゃないのか? 元の世界に戻る方法とか、何かないのか?」
「そう言われてもね、僕は橘さんから話を聞いているだけであって、ここに訪れたのは今回が初めてだ。そもそも僕自身が作り出している世界だと言われても、ピンッと来ない」
 そりゃねぇだろ。自分が作り出したものを自分で制御できないって、欠陥品にも程がある。側には万能宇宙人も閉鎖空間のスペシャリストも時空間移動のエキスパートもいない。俺にできることは何もなく、せいぜい空間創造主の佐々木だけが頼りなんだ。
 その佐々木が、どうして何もできないんだ? こんな誰もいない、何もない場所に、いつまでものんびりしていられないんだ。
 くっそぅ……あれこれ考えても、ロクな解決策が思い浮かばない。俺が考えたところで無意味かもしれないが、画期的な閃きなんぞ何もない。せいぜい、前にハルヒと二人で閉鎖空間に閉じこめられ、曖昧模糊とした赤く輝く人の形をした古泉が「産めや増やせで」云々とふざけたことをほざいていたことを思い出すくらいだ。
 まさにあのときと同じ再現か。相手がハルヒから佐々木に変わっただけで、それ以外の条件は同じってことか? じゃあ、脱出方法もハルヒのときと同じ……ん? それなら……いや、そうなのか?
「佐々木、おまえはここを見て、どう思う?」
「唐突だね」
「どう思う?」
「……そうだな、静かな場所だ、と思う」
 そりゃあな、人どころか動物も何もいない場所だ。おまけに《神人》すら出現しない場所と来ている。静かすぎるほどに静かだろうさ。
 ただ、俺が聞きたいのはそういうことじゃない。そんな客観的な感想ではなく、佐々木自身の個人的な気持ちだ。
 もし俺の考えが正しければ、それがここから抜け出せない理由で間違いない。つまり佐々木は──。
「この閉鎖空間のことが……気に入ってるんじゃないのか?」
 端的に聞いた俺の言葉に、佐々木は何も応えなかった。

つづく
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