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DATE : 2008/03/28 (Fri)
前回からかれこれ2週間以上が過ぎ去りました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

いやあ、なんと言いますか自分の危機回避能力は錆びていないなと思う次第であります。しばしの休止宣言をした翌日からお仕事がテンパりまして、SS書いてる暇ねーですよって具合でありました。毎日更新続けていても、雑記ばかりだったと思われます。

そんな山場も過ぎ去りまして、ぼちぼち再起動と行きましょうかと考えてたのが今週頭くらい。と言っても、なんとなく再開するタイミングが掴めずにいたわけで今日までずるずる延ばしておりました。

で、再開のタイミングはどうすっかなーと思っていたところ、休止宣言してからのWEB拍手が押されていた回数が80~90回くらいだったので、100超えたらにしよう! と思い至ったわけです。それで今日まで延ばしていたってわけだったりします。
……今後もそういう区切りみたいなのがあって更新にしようかしら……。

ともかく。

前回の更新から、2週間ちょっとですか。うーん、『変心』の続きはどうしようかなぁ。間が空きすぎた感があるわけですが、とりあえず今日は続きをUPしておきます。今まで章分けしてましたが、ちょっとナンバリングに変更して(二章-cではなく、1とか2みたいな表示です)。そのさらに続きについては、様子見ってとこでしょうか。

そういうわけで、うちも今日から再起動です……って言ってる側から、仕事の催促メールが来てるってのはどういうことなんだぜ?

ではまた。

前回はこちら
森園生の変心:8

 鶴屋さんの結納、などという少なからず衝撃を受ける話を耳にした後に従事した鶴屋家での仕事とは、あまりやることが多いわけでもない。時間が時間だし、何より森さんもいるわけだから、あらかたのことは済ませてあった。俺ができそうなことと言えば、せいぜい今やってる食器洗いくらいだ。
 それにしても……今週の土曜日に結納ってことは、鶴屋さんは近々結婚する……ってわけだよな? 俺より学年がひとつ上だから、今年で一八歳か。
 女子は親の同意があれば一六歳から結婚できることに法律上はなっているが、だからと言って昨今の結婚適齢期は二〇代後半から三〇代前半だと思われる。
 いくらなんでも早過ぎやしないか? 高校在学中に結納まで済ませるってことは──入籍まで話が一気に進むってことはないと思うから──高校卒業をしてすぐに籍を入れるんだろうか。
 どちらにしろ、早いよなぁ。なんでそんなに焦って結婚するんだ? ってか、相手はどこのどいつだ? 鶴屋さんに、そんな将来を誓い合った仲の男がいるなんて聞いたこともない。そもそも、その結納とやらは本当に鶴屋さんが望んで行われるものなのか? 俺にはとても鶴屋さんが結婚したがってるようには見えないんだが……。
「やーやーキョンくんっ、どぉ~だい調子はっ!」
 食器を惰性で洗いながら、ぼんやり鶴屋さんの結納が行われる理由をあれこれ考えていれば、当の本人がわざわざ調理場までやってきた。
「うっはーっ! キョンくん意外とキマってんねっ! いっつもダルそぉ~なカッコしてっけどっ、ビシっとしたもんも合うじゃないかっ!」
 ビシッとした格好というが、執事だなんだと言われている立場で、いつもの学校制服を着ているような着崩しじゃマズかろう。今は襟までノリが利いてるワイシャツにベスト、ツータックのスラックスという……あれだ、新川さんのような格好に近い。
「これでみくると並べたらさっ、もう言うことなしだねっ!」
 そのハツラツとした態度は、出会った頃からまったく変わらない。鶴屋さんはやはり鶴屋さんであり、その天性の明るさはいい奥さんになるだろうことは容易に想像できる。
 が、実際に籍を入れるわけではないが、その前段階の結納を間近に控えている割には、いつもの鶴屋さんと変わらない態度だ。もう少しこう、不安に思ったり喜んだり、どちらであれ、いつもと違う態度を感じさせてもいいんじゃないか?
「キョンくん、どーかしたかい?」
「え? ああ、いや別に何でも」
「もしかして、初仕事一日目で疲れちゃったかなっ?」
「まぁ、そんなとこですよ」
 いかんいかん。鶴屋さんがいつも通りなんだ、俺が妙な顔をしてどうするんだ。だいたい、鶴屋さんは勘が鋭いからな、ちょっとでも妙な態度を取ると悟られてしまう。
「まっ、仕事なんて疲れるもんさっ! でも楽なもんっしょ?」
「こんなんでいいのかって思えるくらいですね。感謝してます」
「いやぁーっはっはっはっ! いいっていいって、気にしなくていいよっ。んでキョンくん、もしかして土曜日の話、誰からか聞いちゃった?」
 …………。
「あーっ! 森さんからかなっ?」
 たまに思う。もしかして、鶴屋さんこそが正真正銘のエスパーなんじゃないかと。単に洞察力が優れているだけだとしても、この勘の良さは超を付けてもいい能力だ。
「えー……っと、まぁ……はい」
 もともと無理な話だったんだ、俺が鶴屋さんに隠し事をしているようなポーカーフェイスを続けるなんてことはさ。
「いっやーっ、隠すつもりとかはさらっさらもなかったんだけどっ、なかなか言い出すタイミングがなくってさっ!」
 すっかりバレバレだが、かといって鶴屋さんは怒り出すでもなく、いつものようにあっけらかんと笑って自らもその旨を認めてしまった。
 認めてしまったわけだ。森さんが話してくれたことが事実であると。
「つまり……土曜日に鶴屋さんの結納があるってこと、ですよね?」
「そそそっ! あたしもついに年貢の納め時ってわけさっ!」
 年貢も何も、いくらなんだって早すぎでしょう。だいたい高校も卒業してないのに、なんで結納なんてしなけりゃならないんですか。大学だって行くんでしょう? 何につけても早すぎますよ。
「ん~、世間様じゃそうだけど、ウチはほら、昔気質な家柄なんだよねっ。だから何事も早めを持って由とするんさ。それにほれ、あたしってば女じゃん? でもウチの跡取りでもあるわけっしょ? 旦那さんになる人が早めに決まっておかないと、いろいろ不都合があるわけさっ」
 それはつまり……え? 鶴屋さんの結婚話ってのは、結局のところ家の都合で決まってしまったものってことなのか? 鶴屋さんのことだから自分で選んで決めた相手じゃないのか?
「あたしってばホレ、こんなんだから恋愛事には疎いんだよねーっ。正直に言っちゃえば、あんま興味ないのだっ」
 そんなこと、胸を張って言われても。
「じゃあ……ある意味、親が選んだ相手と……ええと、見合いして結納ってことになったわけですか」
「相手の人、よっく知らないんだよねっ」
 …………俺はこんなとき、どうリアクションすればいいんだ?
「それでいいんですか、鶴屋さんは」
 せめてこのくらいしか言うことができない。
 なんというかそれは……そんなので結婚の約束をしてしまっていいのだろうかと、無条件で思ってしまう。まずは見合いでもいいじゃないか。なんで一工程を素っ飛ばしていきなり結納なんだ? せっかちって言葉で括るにはあまりにもあんまりだ。そもそも、話を聞く限りでは本人の意見を無視して結婚させようってことだろ? 時代錯誤も甚だしいじゃないか。しかもそれが家のためってなれば、そんなもんは反故しちまったって文句言われないでしょう。むしろ、そんな自分の意に反した結婚なんてやめちまえと言いたい。
「それは価値観の違いってヤツさっ。今は、うん。確かに相手のことはよく知らない。でもさっ、人の出会いなんて千差万別ってヤツだよ! キョンくんとハルにゃんの出会い方もあれば、あたしみたいなパターンもあるってことっ! 出会いはこんなんだけど、まっ、親が選んだ相手だから仕方ないっかなって!」
 仕方がない……ことなんだろうか。ウチの親が俺のあずかり知らぬ所でそんな真似をしていたら「冗談じゃない」と突っぱねるところだが、それは家柄とか何もないウチの話だからだろう。
 鶴屋さんの自宅の佇まいから感じさせる家柄を考慮すれば、中の中、あるいは中の下かもしれない平凡かつ一般的な家庭で育った俺では、推し量ることができない事情があるのかもしれない。
「じゃあ、鶴屋さんも納得してるってことですか?」
「まぁねっ! ホントはさ、十六歳になった頃には決めちゃおうかって話もあったんだけど、それはさすがに早いよってことで、今の今まで遊ばせてもらっちゃってたのさっ!」
 はっはっは、と豪快に笑う鶴屋さんだが、いくら何でもそれは割り切りすぎだろうと、俺なんかは思ってしまう。俺だって人のことは言えないが、色恋沙汰に疎いと言ってもそれは今の話じゃないか。これから先、鶴屋さんほどの人なら親が決めずとも相応しい人が現れるかもしれない。
 それに、ただの恋人ならまだいい。だが、事は結婚だ。相手はどんな人か知らないが、いくら親が決めて来た相手と言っても、鶴屋さんとの相性はどうなんだ? 見た目もそうだし、中身も合ってこそ、結婚に至るってもんじゃないか。
「その辺りは会ってみてかなっ。まっ、あたしの場合はさっ、中身はいつも笑っていられるような、見ていて楽しい人がいいっかなっ! あとは……そうそう! やっぱ何だかんだであたしも女の子だからねっ。あたしのことを一番に好きでいてくれる人がいいやっ。そうだったら、他は何でもいいかなっ!」
 それが鶴屋さんの異性の好みってわけか。いかにも快活なこの人らしい好みだと思うが……それでもなぁ、なんとも言えない複雑な気分だ。
「だからキョンくんさっ、あたしも女の子なワケだよっ。結婚ってのがどういう意味があるものかも、ちゃーんとわかってるのさっ」
「そりゃわかってますけど」
「いやいやっ! だからね? たぶん、このまま話が進めば高校卒業してすぐに結婚するわけだよっ! そんときには、せめて友だちには祝福してもらいたいのさっ。だからキョンくんには、別の言葉を口にしてもらいたわけっ!」
 それはもちろん、祝福はしますよ。しますが、それは鶴屋さん自身も納得ずくでなら、って前提あっての話なんだ。俺はそこを心配しているのであって……まぁ、俺なんかが心配しても仕方がないことかもしれないが……話を聞く限りでは鶴屋さんも納得ずくらしいけどさ。
 だとしたら、残る言葉はこれしかない。
「おめでとうございます、鶴屋さん」
 そう言えば、鶴屋さんは満面の笑みを浮かべて見せた。
「うんっ! あんがとっ!」
 まだ俺自身は納得していないし、呆れている。けれど俺が納得しようがしまいが、当事者たる鶴屋さんが納得して受け入れているのなら口を挟む話でもないじゃないか。
「おっと、こんな話をしに来たんじゃなかったんだ。キョンくん、それ終わったら今日はおしまいでいいよっ。それとさっ、あたしの結納とか結婚の話っ! みんなには内緒にしといてねっ! 人のことならともかく、自分のことだとやっぱちょっと恥ずかしいやっ!」
「わかってますよ」
 俺はそこまで口は軽くないっすよ。いくらなんでもそんな話、ハルヒにすれば面倒でうるさいことになりそうだし、朝比奈さんには刺激が強そうだ。長門は無関心だろうし、古泉はすでに知っていることだから、あえて話題を振る必要もない。
 まったく、初日から鶴屋さんの結納なんていうとんでもない爆弾を落とされたが、それでも人生初バイトの初日はようやく幕を下ろしたわけだ。
 肉体的な疲労はともかく、心労も計り知れないものがある。
 やはり、働くってのは大変なもんなんだと、身をもって実感したよ。本当に。

つづく
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★リンク張らせていただきます
NAME: モカろう
再開待っていました!
ご多忙だとは思いますが頑張ってください。
それとリンク張らせていただきます。
新設したばっかりですがどうぞよろしくお願いいたします。
URL 2008/03/28(Fri)00:32:54 編集
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:リンク張らせていただきます
再開しちゃいました。お待たせしてスイマセン。
リンクの件、ありがとうございます~。こちらからもざっくり張り替えしておきましたので、今後ともよしなにヽ(´▽`)ノ
【2008/03/29 03:03】
★無題
NAME: 蔵人
再開お待ちしてました!!
多忙な中で大変だとは思いますが、これからも頑張ってください。
リンクというかウチのアンテナに貼らさせてもらってます。
事後承諾申し訳ありません。
SSも書いてるんですが、なかなかです(苦笑)
URL 2008/03/28(Fri)01:53:00 編集
なんとか形ばかりは再開という感じでしょうか。
SSはあれです、自分の場合は思いつくままにのんべんだらりと書いているもので、最近はどうにも良し悪しの判断が付きかねて困ったことになっております。アフン。
【2008/03/29 03:05】
★はじめまして!
NAME: ソウ
はじめまして! ソウと言います。
いつも楽しく拝見させてもらっています。
再開ありがとうございます。大変だと思いますが、これからも頑張って下さい!
2008/03/29(Sat)00:16:10 編集
あらあら、ようこそおいでくださいまして。
じっくり息抜きしたもので、これからもぼちぼち進めて行きたいと思います。頑張りますヨ!
【2008/03/29 03:06】
★無題
NAME: モカろう
リンクどうもありがとうございました。
新参者ですがどうぞよろしくお願いします。
URL 2008/03/29(Sat)22:22:35 編集
ウチのリンクは張るも剥がすもご自由にという感じですのでw
こちらこそ、今後ともヨロシクでございます。
【2008/03/30 00:59】
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