category: 日記
DATE : 2007/10/08 (Mon)
DATE : 2007/10/08 (Mon)
なんだかここ最近、朝は7時くらいに目が覚めて、夜は0時を過ぎるころになって眠くなります。
とか言ってるうちに、この更新は明け方3:45ごろ。言ってることとやってることが必ずしも一致しないのが、言語というコミュニケーション能力を持つ人間らしい一面ってヤツですね!
なんだか小難しいことを言ってお茶を濁しているわけですが、あまり気にしてはいけません。
ええっと。
ひとまずSSを置いておきます。
では、また明日に~。
とか言ってるうちに、この更新は明け方3:45ごろ。言ってることとやってることが必ずしも一致しないのが、言語というコミュニケーション能力を持つ人間らしい一面ってヤツですね!
なんだか小難しいことを言ってお茶を濁しているわけですが、あまり気にしてはいけません。
ええっと。
ひとまずSSを置いておきます。
では、また明日に~。
前回はこちら
涼宮ハルヒの信愛:一章-a
真夏の炎天下、学舎へ続く坂道はある種の拷問だと思う。特に朝っぱらに急勾配の坂道をグリルのように照り付ける日差しの下を延々と歩き続けていれば、倒れるヤツだって一人や二人ほどいてもおかしくないだろう。
特に、今時の高校生は若さ故に健康管理をないがしろにしている。幸いにして俺の場合は、母親が「朝ごはんはしっかり食べろ」とうるさく、それに従ってタイマーのように毎日決まった時間に俺を起こしに来る妹のおかげで、朝のエネルギー摂取はちゃんと行われているが、世の中には食欲よりも睡眠欲を優先させるヤツだっていてもおかしくない。かくいう俺も状況が許すのであれば、一分、いや一秒、いやいやコンマ何秒単位で、布団の中でぬくぬくと怠惰な時間を過ごしていたいものさ。
そういう風に布団の中でギリギリまで寝てるヤツが、朝っぱらから強い日差しが照り付ける坂道を登ってみろ。気持ちいいくらいにバッタリ倒れること間違いなしだ。ちゃんと朝飯を喰ってきた俺だって、今すぐにでも倒れたい気分だしな。
もっとも、俺が倒れたいと思う気分にさせているのは、日差しの他にもうひとつある。今、この手に握られている一枚のプリントだ。
昨日、中学時代の同窓会幹事(男子側)を任された俺宛に、佐々木が昨晩のうちに中学時代のクラスメイト一覧をメールで送って来やがった。その一覧をチェックリストにして各種連絡をよろしく頼む、ということらしい。妙なやる気を出しているもんだ。
面倒なことこの上ないが、理不尽な状況の中とはいえ、引き受けた手前はちゃんとやらねばならんだろう。今日は北高に進学したかつてのクラスメイトに声をかけておくべきか。いや、国木田に頼んで校内の連絡は任せるってのもひとつの手だな。そうした方がいいかもしれん。
何しろ今日は、そんな煩わしい連絡係をやる前に、ひとつの大きな壁を乗り越えなければならないのだ。
「よう」
その大きな壁とやらは、クーラーなんぞという文明の利器が取り入れられていない教室の中、全開にしてある窓の外を、頬杖を突きながら眺めていた。後頭部しか見えていないから上機嫌なのか不機嫌なのか正確な判断はできないが、醸し出すオーラはいつもと変わらないように思える。
「で」
訂正しよう。
涼宮ハルヒは不機嫌だった。ぐりん、と首が一八〇度曲がる物の怪みたいな動作でこちらに向けた顔は、眉間に皺を寄せて今にも舌打ちしそうなくらいだ。ガラの悪さで言えば、そこいらのヤンチャな連中より格上だろう。
「昨日、ちゃんとした理由もなく放課後に姿を眩ませた理由は何? 携帯の電源も切ってどこに行ってたのか、あたしが納得する答えを出してみなさい」
ヤケに挑戦的だな。正義は我にあり、と言わんばかりだ。こんな態度を前にすれば、どれだけ堅固で確かな理由があろうとも通じそうにない。おまけに今は、確かにハルヒが言うように、ちゃんとした連絡もせずに機能の活動を早引けした負い目がある。
いや、それにも理由はあるんだぜ? 佐々木が送って来たメールがあまりにもあんまりな内容で、急がなければと思ったんだ。待っていると言っていた喫茶店に向かう最中にハルヒから掛かってきた電話にも構ってられなかったから、電源を切っておいたわけさ。
それで、佐々木が言って来たのは同窓会の手伝いだろ? あまりにも拍子抜けして、今朝の家を出る時まで、携帯の電源を切りっぱなしだったことを忘れていた。おかげで留守電のメモリはパンパンになっていやがった。聞くまでもなく消しておいたが、聞かなくて正解だったと、今のハルヒを見て思う。
「悪かったよ」
ここは素直に謝っておこう。そう思ったわけだが、それで怒りの矛先を収めるほど、ハルヒはお優しい団長さまではないわけだ。鋭い眼光そのままに、メトロノームのように規則正しく人差し指で机の上をコツコツと叩いていやがる。
「あたしはね、キョン。納得する答えを出せ、と言ってるわけよ。悪かった、なんてのは謝罪の言葉よね? そんなのはいらないわけ。もしかしてあんた、定型文からもそろそろ除外した方がいいような謝罪の言葉ひとつで、ことを済まそうと思ってんじゃないでしょうね? それとも、今になって必死に言い訳でも考えてんの? 夏休みの宿題を意図的にすっぽかした小学生みたいにさ」
何なんだろうな、こいつのどうでもいいようなところでの妙な勘の鋭さは。俺が今、考えていたことをまるっとトレースしてやがる。
「何もそこまで怒ることはないだろ。俺にだっていろいろあるんだよ」
「その『いろいろ』ってのを話してみなさいよ」
「ほれ」
仕方なく、俺は佐々木からメールで送られてきた中学時代のクラス名簿のプリントを突き出した。
「何よ、これ?」
ためつすがめつプリントを眺めながら、不機嫌気分を隠そうともせずにハルヒが聞いてくる。確かにそんなもんを見ただけじゃ、何も解らないだろうけどさ。
「昨日の用事ってのはそれだったんだよ。同窓会の幹事をやってくれと」
「それで何で携帯の電源まで切っとくのよ」
「その呼び出し方が酷かったんだって。ほら」
仕方なく、俺は佐々木からのメールをハルヒに開示することになった。どうして俺はここまで必死に弁解してるんだろうな、などと思っちゃいけないかね?
「ふーん」
メールに目を通して、それでようやくハルヒも納得したらしい表情になった。それほどまでに巧みで、人間心理を巧妙に突いているのが解るってもんだろう。
「呼び出しがあったのは確かみたいだけど……ホントにこの文面で同窓会の幹事を頼まれただけだったの?」
「だからそう言ってるじゃないか。俺だって欺されたが、幹事を頼まれたのは間違いないぞ。たった今、名簿だって見たじゃないか」
って、だから何で睨む。他に何を出せとおまえは言うんだ。
「あんたを呼び出したのって、誰?」
「何でそこまでおまえに言わなくちゃならないんだ」
「いいから」
何をそんなに気にしているのか知らないが、こいつは何をそこまでこだわってるんだ?
「佐々木だが」
別に隠すことでもないから正直に告白すれば、瞬く間にハルヒの柳眉がつり上がった。
「いやらしい」
意味がわからん。どうして詐欺まがいのメールで呼び出され、理不尽かつ面倒な同窓会の幹事を押しつけられた俺に対して、そんな言葉が出てくるんだ?
「ま、いいわ」
無駄だと思いつつも、その発言がどういう思考ルートを辿って口を裂いて出てきたのかトレースしようとしている間に、どうやらハルヒもお怒りの熱が下がってきたようだ。
「確かに嘘じゃなさそうだし、信用してあげる。でもね、今度からは遅くなってもいいから、ちゃんとその日のうちに連絡しなさいよね!」
放課後に寄り道した小学校低学年の子供を待つ過保護な親じゃあるまいし、遅くなっても連絡しろと言うのか。
「もしかしてとは思うが、そこまで心配してたのか?」
「バッカじゃないの!?」
耳をつんざく大音量で罵倒された。どうせなら、もう少し恥じらいある態度で言ってもらいたいもんである。
「昨日は大事な発表があったのよ。なのにあんた、いないんだもの」
「なんだよ、その発表って」
「今度の休みに海に行くわよって話。あ~あ、こんなんじゃ興ざめじゃない」
「海だって?」
「そう。最近、めっきり夏めいてるじゃない? ちょっと早いけど、みんなで海に行こうと思ってさ。その話をしようと思ってたのに、あんたいないんだもの。もうみんなには言ってあるから、あんたも予定空けときなさいよ。今週末だからね」
「今週末?」
それはまた急だな。急すぎて、タイミング的には最悪すぎる。
「あ~……何というか、俺は辞退する」
「はぁ~っ!? んなこと、許されるわけないでしょ!」
「いや、こればっかりは仕方ないって。もう佐々木の手伝いをする約束をしちまったし、そもそも、今週から来週にかけては団活すら休もうと思ってたんだ。タイミングが悪すぎる。いいじゃないか、俺抜きでも他の連中はいるんだろ?」
「こンの……っ」
あのなぁ……そんな眼差しだけで人を殺せるような眼光を向けられても、だ。自分の都合だけで物理法則をねじ曲げるおまえじゃあるまいし、俺にはどうすることもできないって。
「あっそ。ああ、そう」
怒気たっぷりに、誰がどう聞いても投げやりな気分を醸し出しながら、偉そうに腕を組んだハルヒは、目の中のハイライトが消えてるような眼差しを向けてくる。
「だったらいいわよ。昔のオトモダチと仲よくやってりゃいいわ。勝手にしなさいよ」
いったん言葉を句切り、空気の澄んだ草原で深呼吸をするかのように大きく息を吸い込んだハルヒは、とどめの一言。
「バカァッ!!」
鼓膜が破けるかと思うような大音響が耳元で響いた。
俺の行動と、ハルヒの怒り具合を天秤にかけてみれば、どうにも釣り合わない気がしてならない。俺はそこまで罵倒されねばならんことをしたのかと思い、やはりどう考えてもこれは理不尽な八つ当たりとしか思えず、あれこれ言い返してやりたくもなったが、憤まんやるかたない表情を浮かべて窓の外に視線を戻したハルヒを前に、あえてこちらも口を閉ざした。
そりゃ言ってやりたいことは山のようにあるが、ハルヒを相手に真っ当な怒りをぶつけたところで意味がない。こちらもヒートアップして頭ごなしに怒鳴るつければ、それはそれはハルヒの意地をより強固なものにしてしまう。
引くことを知らないハルヒを相手にするならば、やはりここは世間一般のまともな対応ができる俺の方が引くしかない。
もしかすると閉鎖空間でも作り出してるんじゃないかと思えるハルヒの憤まん顔を後目に、俺はもはや口癖になっている言葉を、声に出さず態度で示すに止めた。
あぁ~……やれやれだ。
つづく
涼宮ハルヒの信愛:一章-a
真夏の炎天下、学舎へ続く坂道はある種の拷問だと思う。特に朝っぱらに急勾配の坂道をグリルのように照り付ける日差しの下を延々と歩き続けていれば、倒れるヤツだって一人や二人ほどいてもおかしくないだろう。
特に、今時の高校生は若さ故に健康管理をないがしろにしている。幸いにして俺の場合は、母親が「朝ごはんはしっかり食べろ」とうるさく、それに従ってタイマーのように毎日決まった時間に俺を起こしに来る妹のおかげで、朝のエネルギー摂取はちゃんと行われているが、世の中には食欲よりも睡眠欲を優先させるヤツだっていてもおかしくない。かくいう俺も状況が許すのであれば、一分、いや一秒、いやいやコンマ何秒単位で、布団の中でぬくぬくと怠惰な時間を過ごしていたいものさ。
そういう風に布団の中でギリギリまで寝てるヤツが、朝っぱらから強い日差しが照り付ける坂道を登ってみろ。気持ちいいくらいにバッタリ倒れること間違いなしだ。ちゃんと朝飯を喰ってきた俺だって、今すぐにでも倒れたい気分だしな。
もっとも、俺が倒れたいと思う気分にさせているのは、日差しの他にもうひとつある。今、この手に握られている一枚のプリントだ。
昨日、中学時代の同窓会幹事(男子側)を任された俺宛に、佐々木が昨晩のうちに中学時代のクラスメイト一覧をメールで送って来やがった。その一覧をチェックリストにして各種連絡をよろしく頼む、ということらしい。妙なやる気を出しているもんだ。
面倒なことこの上ないが、理不尽な状況の中とはいえ、引き受けた手前はちゃんとやらねばならんだろう。今日は北高に進学したかつてのクラスメイトに声をかけておくべきか。いや、国木田に頼んで校内の連絡は任せるってのもひとつの手だな。そうした方がいいかもしれん。
何しろ今日は、そんな煩わしい連絡係をやる前に、ひとつの大きな壁を乗り越えなければならないのだ。
「よう」
その大きな壁とやらは、クーラーなんぞという文明の利器が取り入れられていない教室の中、全開にしてある窓の外を、頬杖を突きながら眺めていた。後頭部しか見えていないから上機嫌なのか不機嫌なのか正確な判断はできないが、醸し出すオーラはいつもと変わらないように思える。
「で」
訂正しよう。
涼宮ハルヒは不機嫌だった。ぐりん、と首が一八〇度曲がる物の怪みたいな動作でこちらに向けた顔は、眉間に皺を寄せて今にも舌打ちしそうなくらいだ。ガラの悪さで言えば、そこいらのヤンチャな連中より格上だろう。
「昨日、ちゃんとした理由もなく放課後に姿を眩ませた理由は何? 携帯の電源も切ってどこに行ってたのか、あたしが納得する答えを出してみなさい」
ヤケに挑戦的だな。正義は我にあり、と言わんばかりだ。こんな態度を前にすれば、どれだけ堅固で確かな理由があろうとも通じそうにない。おまけに今は、確かにハルヒが言うように、ちゃんとした連絡もせずに機能の活動を早引けした負い目がある。
いや、それにも理由はあるんだぜ? 佐々木が送って来たメールがあまりにもあんまりな内容で、急がなければと思ったんだ。待っていると言っていた喫茶店に向かう最中にハルヒから掛かってきた電話にも構ってられなかったから、電源を切っておいたわけさ。
それで、佐々木が言って来たのは同窓会の手伝いだろ? あまりにも拍子抜けして、今朝の家を出る時まで、携帯の電源を切りっぱなしだったことを忘れていた。おかげで留守電のメモリはパンパンになっていやがった。聞くまでもなく消しておいたが、聞かなくて正解だったと、今のハルヒを見て思う。
「悪かったよ」
ここは素直に謝っておこう。そう思ったわけだが、それで怒りの矛先を収めるほど、ハルヒはお優しい団長さまではないわけだ。鋭い眼光そのままに、メトロノームのように規則正しく人差し指で机の上をコツコツと叩いていやがる。
「あたしはね、キョン。納得する答えを出せ、と言ってるわけよ。悪かった、なんてのは謝罪の言葉よね? そんなのはいらないわけ。もしかしてあんた、定型文からもそろそろ除外した方がいいような謝罪の言葉ひとつで、ことを済まそうと思ってんじゃないでしょうね? それとも、今になって必死に言い訳でも考えてんの? 夏休みの宿題を意図的にすっぽかした小学生みたいにさ」
何なんだろうな、こいつのどうでもいいようなところでの妙な勘の鋭さは。俺が今、考えていたことをまるっとトレースしてやがる。
「何もそこまで怒ることはないだろ。俺にだっていろいろあるんだよ」
「その『いろいろ』ってのを話してみなさいよ」
「ほれ」
仕方なく、俺は佐々木からメールで送られてきた中学時代のクラス名簿のプリントを突き出した。
「何よ、これ?」
ためつすがめつプリントを眺めながら、不機嫌気分を隠そうともせずにハルヒが聞いてくる。確かにそんなもんを見ただけじゃ、何も解らないだろうけどさ。
「昨日の用事ってのはそれだったんだよ。同窓会の幹事をやってくれと」
「それで何で携帯の電源まで切っとくのよ」
「その呼び出し方が酷かったんだって。ほら」
仕方なく、俺は佐々木からのメールをハルヒに開示することになった。どうして俺はここまで必死に弁解してるんだろうな、などと思っちゃいけないかね?
「ふーん」
メールに目を通して、それでようやくハルヒも納得したらしい表情になった。それほどまでに巧みで、人間心理を巧妙に突いているのが解るってもんだろう。
「呼び出しがあったのは確かみたいだけど……ホントにこの文面で同窓会の幹事を頼まれただけだったの?」
「だからそう言ってるじゃないか。俺だって欺されたが、幹事を頼まれたのは間違いないぞ。たった今、名簿だって見たじゃないか」
って、だから何で睨む。他に何を出せとおまえは言うんだ。
「あんたを呼び出したのって、誰?」
「何でそこまでおまえに言わなくちゃならないんだ」
「いいから」
何をそんなに気にしているのか知らないが、こいつは何をそこまでこだわってるんだ?
「佐々木だが」
別に隠すことでもないから正直に告白すれば、瞬く間にハルヒの柳眉がつり上がった。
「いやらしい」
意味がわからん。どうして詐欺まがいのメールで呼び出され、理不尽かつ面倒な同窓会の幹事を押しつけられた俺に対して、そんな言葉が出てくるんだ?
「ま、いいわ」
無駄だと思いつつも、その発言がどういう思考ルートを辿って口を裂いて出てきたのかトレースしようとしている間に、どうやらハルヒもお怒りの熱が下がってきたようだ。
「確かに嘘じゃなさそうだし、信用してあげる。でもね、今度からは遅くなってもいいから、ちゃんとその日のうちに連絡しなさいよね!」
放課後に寄り道した小学校低学年の子供を待つ過保護な親じゃあるまいし、遅くなっても連絡しろと言うのか。
「もしかしてとは思うが、そこまで心配してたのか?」
「バッカじゃないの!?」
耳をつんざく大音量で罵倒された。どうせなら、もう少し恥じらいある態度で言ってもらいたいもんである。
「昨日は大事な発表があったのよ。なのにあんた、いないんだもの」
「なんだよ、その発表って」
「今度の休みに海に行くわよって話。あ~あ、こんなんじゃ興ざめじゃない」
「海だって?」
「そう。最近、めっきり夏めいてるじゃない? ちょっと早いけど、みんなで海に行こうと思ってさ。その話をしようと思ってたのに、あんたいないんだもの。もうみんなには言ってあるから、あんたも予定空けときなさいよ。今週末だからね」
「今週末?」
それはまた急だな。急すぎて、タイミング的には最悪すぎる。
「あ~……何というか、俺は辞退する」
「はぁ~っ!? んなこと、許されるわけないでしょ!」
「いや、こればっかりは仕方ないって。もう佐々木の手伝いをする約束をしちまったし、そもそも、今週から来週にかけては団活すら休もうと思ってたんだ。タイミングが悪すぎる。いいじゃないか、俺抜きでも他の連中はいるんだろ?」
「こンの……っ」
あのなぁ……そんな眼差しだけで人を殺せるような眼光を向けられても、だ。自分の都合だけで物理法則をねじ曲げるおまえじゃあるまいし、俺にはどうすることもできないって。
「あっそ。ああ、そう」
怒気たっぷりに、誰がどう聞いても投げやりな気分を醸し出しながら、偉そうに腕を組んだハルヒは、目の中のハイライトが消えてるような眼差しを向けてくる。
「だったらいいわよ。昔のオトモダチと仲よくやってりゃいいわ。勝手にしなさいよ」
いったん言葉を句切り、空気の澄んだ草原で深呼吸をするかのように大きく息を吸い込んだハルヒは、とどめの一言。
「バカァッ!!」
鼓膜が破けるかと思うような大音響が耳元で響いた。
俺の行動と、ハルヒの怒り具合を天秤にかけてみれば、どうにも釣り合わない気がしてならない。俺はそこまで罵倒されねばならんことをしたのかと思い、やはりどう考えてもこれは理不尽な八つ当たりとしか思えず、あれこれ言い返してやりたくもなったが、憤まんやるかたない表情を浮かべて窓の外に視線を戻したハルヒを前に、あえてこちらも口を閉ざした。
そりゃ言ってやりたいことは山のようにあるが、ハルヒを相手に真っ当な怒りをぶつけたところで意味がない。こちらもヒートアップして頭ごなしに怒鳴るつければ、それはそれはハルヒの意地をより強固なものにしてしまう。
引くことを知らないハルヒを相手にするならば、やはりここは世間一般のまともな対応ができる俺の方が引くしかない。
もしかすると閉鎖空間でも作り出してるんじゃないかと思えるハルヒの憤まん顔を後目に、俺はもはや口癖になっている言葉を、声に出さず態度で示すに止めた。
あぁ~……やれやれだ。
つづく
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★無題
NAME: 凄い金魚
先週の中ごろから拝見させてもらってます。
ボリュームもあって内容も面白いので、大満足です。
今後も部屋の隅っこで読ませていただきます。
今後の展開、楽しみにしていますので頑張ってください!
ボリュームもあって内容も面白いので、大満足です。
今後も部屋の隅っこで読ませていただきます。
今後の展開、楽しみにしていますので頑張ってください!
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
ようこそおいでまして。ボリュームだけならけっこうありますので、暇つぶしには最適かと思いますヨ。
今後ともよしなにヽ(´▽`)ノ
今後ともよしなにヽ(´▽`)ノ
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
キョンくんが大変なのはいつものことですネ。
今回は長篇なので、風呂敷は広げられるだけ広げますヨ!
今回は長篇なので、風呂敷は広げられるだけ広げますヨ!
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
キョンくんは避難せずに、自ら関わってくるから困るってもんです。
苦労してこそ、ってヤツでさぁ~。
苦労してこそ、ってヤツでさぁ~。
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