category: 日記
DATE : 2007/10/03 (Wed)
DATE : 2007/10/03 (Wed)
なんだか今日のSSで、ミヨキチさん話は幕を下ろしてもいいんじゃないかと思えて来た。気分はあれです、『編集長☆一直線』で恋愛小説を任されたキョンくんが、ひとまず書き上げた時の心境に近いものがあります。
あれ? じゃあアレですか。「これではオチがありませんね」とか言われちゃうんでしょうか。
うん、まぁとりあえず今日の分までを八章として、多少の手を加えてまとめの方に追加しておきます。あとで。
そんな感じで、吉村美代子の憂鬱完結です! 次回からは吉村美代子の溜息が始まります!!←ウソ
ではまた~。
あれ? じゃあアレですか。「これではオチがありませんね」とか言われちゃうんでしょうか。
うん、まぁとりあえず今日の分までを八章として、多少の手を加えてまとめの方に追加しておきます。あとで。
そんな感じで、吉村美代子の憂鬱完結です! 次回からは吉村美代子の溜息が始まります!!←ウソ
ではまた~。
前回はこちら
【Respect redo】吉村美代子の憂鬱
見えた風景は、すぐに天井の木目模様だって解りました。
これはまた、なんと言えばいいんでしょう。近年稀に見る目覚めの良さです。眠っていた状態をゼロとするならば、目を開いた途端に意識が一〇〇パーセント覚醒してるって感じです。それだけに、あのヘンテコな日本家屋で起きた出来事から、今こうして布団にくるまって横になっている状況に至るまで、いったい何がどうなっているのか解らずに混乱していることは間違いありません。
「やあ、気がついたかい?」
状況を確認しようとしていたのか、はたまた混乱したままだったのか自分でも解りませんが、瞬きも忘れるくらいにボーッと天井を見つめ続けていると、耳に届いた声でハッと我に返りました。首だけを巡らせて横を見ると、傍らで正座してわたしの様子を伺っている佐々木さんの姿がありました。
「あのぅ……何がどうなってるんでしょう?」
「うん? ああ、覚えてないの?」
「えっと……」
覚えてない……と言われても、ええっと、わたしは……。
「ほら、吉村さんが先頭を歩いていただろう? そうしたら急に目の前から消えたんだよ。こう……幽霊みたいに、フッ……とね。そりゃあもう、僕だけじゃなく、橘さんや他の人たちも驚いたよ」
「消えた……って?」
「崖……と言えば急斜面に聞こえるけど、そこはでひどいものではなく、やや急勾配の下り坂の道だったかな。雨で道もぬかるんでいたしね、どうやら足を取られて滑り落ちたみたいなんだ。そこをね、喜緑さんたちがすぐに追いかけて引っ張り上げてくれた。幸いだったのが、やはり雨のおかげかな。地面も柔らかくなっていたみたいで、大きな怪我がなくてよかったよ」
下り坂で滑り落ちた? あたしが? うぅ~ん……そうだったかしら? なんだか頭の中に霧がかかってるみたいで、いまいち覚えてませんけど……佐々木さんがそうおっしゃるなら、そうだった……のかしら? じゃあ、今まで見ていたのは……夢?
「さて、目を覚ましたことだし、他の人たちを呼んでくるよ」
「え? あ、あのちょっと」
なんだか頭がボーッとしてますし、できることなら静かにしていたいんですが……佐々木さん、わたしが呼び止める間もなく部屋から出ていっちゃいました。出て行っちゃってすぐに、遠くの方から徐々に近付いてくる音。ドドドドドと響いて近付き、部屋の前まで聞こえてきたなーと思ったら。
「ご無事ですか、吉村さん!」
あの足音を聞けば、真っ先に駆けつけてきたのが誰なのかなんて考えるまでもありません。遠慮無しに襖が開かれるや否や、これはもう嫌がらせとしか思えないようなタックル……もとい、抱きつきを食らわせてきたのは橘さんでした。
「まったく、なんてドジっ子さんなのですかアナタは。怪我とかしてませんか? 痛むところはありませんか? 心配したのですよ、これでも!」
「あ……あの……今のタックルで……なんと言いますか……頸椎に深刻なダメージを負ったような気がするんですけど……」
「どうやら無事のようですね」
だから、あなたのタックルで首に深刻な深手を負ったと……。
「──────」
そんな橘さんの隣には、まったく気付きませんでしたけど、周防さんも一緒にいました。なんだか立ったまま、見下ろされてるんですが……その冷ややかな眼差しはいったい何をおっしゃりたいのか、推し量るにも難しいんですけども……。
「あ、あの……何でしょう……か?」
妙な凄味のある周防さんにおそるおそる声をかけると、まばたきすることすら忘れているかのようにわたしを直視したまま、すとんっと腰を下ろすや否や、橘さんほどのダイナミックさはなかったものの、慎ましやかに体を寄せて、しっかり人の背中に手を回してくるんですもの。今までいろいろな目に遭ってきたわたしも、これにはさすがにビックリです。
「なっ、なんですか周防さん。いったいぜんたい、どうしちゃったんですか?」
「これはあれですよ、九曜さんも吉村さんのことを心配していたってことなのですよ。え~っとですね、言葉にすれば『捨てないでぇ~、置いてかないでぇ~』と言ったところでしょうか」
またそんな、なんて適当なアテレコをしてるんですか。そもそも捨てるだの置いて行くだの、なんだって周防さんがそんな風に思わなくちゃならないと言うんですか。いったい橘さんはどういう経路を辿ってその思考にたどり着いたのか、甚だ疑問でなりません。
なりませんけども……コバンザメのようにぴったり張り付いて離れない周防さんを見るに、百歩譲ってもしかするとそういうこともあるのかなぁ、なんて思えてきちゃいます。仕方ないので、頭でも撫でておきましょう。
「あ~……そのぅ……あ、そうだ。喜緑さんと朝倉さんは?」
佐々木さんの話では、急勾配の道から滑って落ちたわたしを引っ張り上げてくれたのが、あのお二方なんですよね? ちゃんとお礼を言わなくちゃ、とも思うんですけど。
「ああ、あの二人なら帰ったよ」
「え?」
「藤原さんが麓まで車で送って行ってるよ。何でも、宿を取っていたのは今日まででした、と言ってたかな? 最後の最後まで、こちらに付き合ってくれていたようだよ。ああ、そうそう。吉村さんに伝言があったな」
「伝言……ですか」
「大変でしょうが、お大事に……だってさ」
「は、はぁ……」
お大事に、って言うのは解りますよ。滑り落ちて、怪我はしてないですけど、今の今まで寝てたんですから。でも大変でしょうが……って、何がでしょ?
「僕らも明日には帰るからね。吉村さんに怪我はないとはいえ、あとはのんびりした方がよさそうだ。あの二人が帰って、もうこの宿には僕らしかいないし、ゆっくりと骨休めをするのも悪くないと思うんだが、さて橘さん。どう思う?」
「そうですねぇ……敵の先兵が逃げ帰ったことから、あたしたちの勝利は明白です。あとはゆっくりしちゃいましょう」
人様の宿泊スケジュールの都合を『逃げ帰る』と称するんですか、橘さん。それにしては、藤原さんが麓まで車で送り届けるなんて、サービス満点ですね。
「あ、そういえば橘さんが小さいころに隠したっていう宝はどうなったんですか? 結局、見つかってないんですよね?」
「何をおっしゃいますか」
あれれ? そんなわたしの発言を鼻先で笑い飛ばしちゃいそうなことを言うなんて、もしかして見つかってたんですか?
「いえ、モノは見つかっていませんが、あたしは気付いたのです」
「何をですか?」
「紆余曲折ありましたが、吉村さんも無事でみんな仲よくこうしているんですよ? これもひとつの大きな宝じゃーありませんか」
……あー、えっと、うん、そ、そのぅ……まぁ、なんと言いましょうか……。上手いことを言ったつもりですか、橘さん。
佐々木さんも、そんなくつくつと笑いを噛み殺すような表情を浮かべないでください。わたしだって、そんなことを言われても返すコメントに困りますよ。
「そ、そうかもしれないです……ね」
仕方ないので、ぴったりくっついて離れない周防さんの頭を撫でてあげながら、わたしは溜息混じりに同意しておくことにしました。
だって、他の言葉の選択肢が何もないんですもの。憂鬱混じりの溜息に紛れた言葉でも、それは仕方ないですよね?
【Respect redo】吉村美代子の憂鬱
見えた風景は、すぐに天井の木目模様だって解りました。
これはまた、なんと言えばいいんでしょう。近年稀に見る目覚めの良さです。眠っていた状態をゼロとするならば、目を開いた途端に意識が一〇〇パーセント覚醒してるって感じです。それだけに、あのヘンテコな日本家屋で起きた出来事から、今こうして布団にくるまって横になっている状況に至るまで、いったい何がどうなっているのか解らずに混乱していることは間違いありません。
「やあ、気がついたかい?」
状況を確認しようとしていたのか、はたまた混乱したままだったのか自分でも解りませんが、瞬きも忘れるくらいにボーッと天井を見つめ続けていると、耳に届いた声でハッと我に返りました。首だけを巡らせて横を見ると、傍らで正座してわたしの様子を伺っている佐々木さんの姿がありました。
「あのぅ……何がどうなってるんでしょう?」
「うん? ああ、覚えてないの?」
「えっと……」
覚えてない……と言われても、ええっと、わたしは……。
「ほら、吉村さんが先頭を歩いていただろう? そうしたら急に目の前から消えたんだよ。こう……幽霊みたいに、フッ……とね。そりゃあもう、僕だけじゃなく、橘さんや他の人たちも驚いたよ」
「消えた……って?」
「崖……と言えば急斜面に聞こえるけど、そこはでひどいものではなく、やや急勾配の下り坂の道だったかな。雨で道もぬかるんでいたしね、どうやら足を取られて滑り落ちたみたいなんだ。そこをね、喜緑さんたちがすぐに追いかけて引っ張り上げてくれた。幸いだったのが、やはり雨のおかげかな。地面も柔らかくなっていたみたいで、大きな怪我がなくてよかったよ」
下り坂で滑り落ちた? あたしが? うぅ~ん……そうだったかしら? なんだか頭の中に霧がかかってるみたいで、いまいち覚えてませんけど……佐々木さんがそうおっしゃるなら、そうだった……のかしら? じゃあ、今まで見ていたのは……夢?
「さて、目を覚ましたことだし、他の人たちを呼んでくるよ」
「え? あ、あのちょっと」
なんだか頭がボーッとしてますし、できることなら静かにしていたいんですが……佐々木さん、わたしが呼び止める間もなく部屋から出ていっちゃいました。出て行っちゃってすぐに、遠くの方から徐々に近付いてくる音。ドドドドドと響いて近付き、部屋の前まで聞こえてきたなーと思ったら。
「ご無事ですか、吉村さん!」
あの足音を聞けば、真っ先に駆けつけてきたのが誰なのかなんて考えるまでもありません。遠慮無しに襖が開かれるや否や、これはもう嫌がらせとしか思えないようなタックル……もとい、抱きつきを食らわせてきたのは橘さんでした。
「まったく、なんてドジっ子さんなのですかアナタは。怪我とかしてませんか? 痛むところはありませんか? 心配したのですよ、これでも!」
「あ……あの……今のタックルで……なんと言いますか……頸椎に深刻なダメージを負ったような気がするんですけど……」
「どうやら無事のようですね」
だから、あなたのタックルで首に深刻な深手を負ったと……。
「──────」
そんな橘さんの隣には、まったく気付きませんでしたけど、周防さんも一緒にいました。なんだか立ったまま、見下ろされてるんですが……その冷ややかな眼差しはいったい何をおっしゃりたいのか、推し量るにも難しいんですけども……。
「あ、あの……何でしょう……か?」
妙な凄味のある周防さんにおそるおそる声をかけると、まばたきすることすら忘れているかのようにわたしを直視したまま、すとんっと腰を下ろすや否や、橘さんほどのダイナミックさはなかったものの、慎ましやかに体を寄せて、しっかり人の背中に手を回してくるんですもの。今までいろいろな目に遭ってきたわたしも、これにはさすがにビックリです。
「なっ、なんですか周防さん。いったいぜんたい、どうしちゃったんですか?」
「これはあれですよ、九曜さんも吉村さんのことを心配していたってことなのですよ。え~っとですね、言葉にすれば『捨てないでぇ~、置いてかないでぇ~』と言ったところでしょうか」
またそんな、なんて適当なアテレコをしてるんですか。そもそも捨てるだの置いて行くだの、なんだって周防さんがそんな風に思わなくちゃならないと言うんですか。いったい橘さんはどういう経路を辿ってその思考にたどり着いたのか、甚だ疑問でなりません。
なりませんけども……コバンザメのようにぴったり張り付いて離れない周防さんを見るに、百歩譲ってもしかするとそういうこともあるのかなぁ、なんて思えてきちゃいます。仕方ないので、頭でも撫でておきましょう。
「あ~……そのぅ……あ、そうだ。喜緑さんと朝倉さんは?」
佐々木さんの話では、急勾配の道から滑って落ちたわたしを引っ張り上げてくれたのが、あのお二方なんですよね? ちゃんとお礼を言わなくちゃ、とも思うんですけど。
「ああ、あの二人なら帰ったよ」
「え?」
「藤原さんが麓まで車で送って行ってるよ。何でも、宿を取っていたのは今日まででした、と言ってたかな? 最後の最後まで、こちらに付き合ってくれていたようだよ。ああ、そうそう。吉村さんに伝言があったな」
「伝言……ですか」
「大変でしょうが、お大事に……だってさ」
「は、はぁ……」
お大事に、って言うのは解りますよ。滑り落ちて、怪我はしてないですけど、今の今まで寝てたんですから。でも大変でしょうが……って、何がでしょ?
「僕らも明日には帰るからね。吉村さんに怪我はないとはいえ、あとはのんびりした方がよさそうだ。あの二人が帰って、もうこの宿には僕らしかいないし、ゆっくりと骨休めをするのも悪くないと思うんだが、さて橘さん。どう思う?」
「そうですねぇ……敵の先兵が逃げ帰ったことから、あたしたちの勝利は明白です。あとはゆっくりしちゃいましょう」
人様の宿泊スケジュールの都合を『逃げ帰る』と称するんですか、橘さん。それにしては、藤原さんが麓まで車で送り届けるなんて、サービス満点ですね。
「あ、そういえば橘さんが小さいころに隠したっていう宝はどうなったんですか? 結局、見つかってないんですよね?」
「何をおっしゃいますか」
あれれ? そんなわたしの発言を鼻先で笑い飛ばしちゃいそうなことを言うなんて、もしかして見つかってたんですか?
「いえ、モノは見つかっていませんが、あたしは気付いたのです」
「何をですか?」
「紆余曲折ありましたが、吉村さんも無事でみんな仲よくこうしているんですよ? これもひとつの大きな宝じゃーありませんか」
……あー、えっと、うん、そ、そのぅ……まぁ、なんと言いましょうか……。上手いことを言ったつもりですか、橘さん。
佐々木さんも、そんなくつくつと笑いを噛み殺すような表情を浮かべないでください。わたしだって、そんなことを言われても返すコメントに困りますよ。
「そ、そうかもしれないです……ね」
仕方ないので、ぴったりくっついて離れない周防さんの頭を撫でてあげながら、わたしは溜息混じりに同意しておくことにしました。
だって、他の言葉の選択肢が何もないんですもの。憂鬱混じりの溜息に紛れた言葉でも、それは仕方ないですよね?
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[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
結局、ミヨキチさんはキョンくんと同じ道を選んじゃいましたw
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
どうにも好評な九曜さん。世の中はこういう宇宙人を求めているのか……っ!
しかし憤慨までとなると……これまたかなり先のことになりそうな(;´Д`)
しかし憤慨までとなると……これまたかなり先のことになりそうな(;´Д`)
★無題
NAME: W_M_Y
トラブルを全てミヨキチにスルーパスする佐々木や、
ミヨキチに異様に懐いてしまった九曜、
災難を一手に引き受ける藤原など、
このシリーズを通して佐々木団員にも色々な属性が
追加されたように思います。
(橘京子については、どう言い表せばいいのかわからないので、
敢えて触れないでおきます)
ミヨキチに異様に懐いてしまった九曜、
災難を一手に引き受ける藤原など、
このシリーズを通して佐々木団員にも色々な属性が
追加されたように思います。
(橘京子については、どう言い表せばいいのかわからないので、
敢えて触れないでおきます)
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
いやしかし、各属性もあくまで「Respect redoシリーズ」のみの話ですのでw
……シリーズということは続く……? いやいや、やっぱりこの辺りでやめておきますw
……シリーズということは続く……? いやいや、やっぱりこの辺りでやめておきますw
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