category: 日記
DATE : 2008/04/25 (Fri)
DATE : 2008/04/25 (Fri)
とりあえず、今回のお話で主要メンバーが出そろった感じでしょうか。これであとは話をたたむだけなんですが、ストックしている分は今回まででして、続きはまだ脳内にしかありません( ´Д`)
続きは……んーむ、大号令の前に1回くらいはUPしたいところですが、それもすべてお仕事次第といったところでしょうか。時間が取れるとイイナァ……気長にお待ちください。
とりあえず明日はどうしよう('A`)....って、あれがあったのをたった今思い出した! わっ、忘れてたわけじゃないんだからねっ><
ではまた。
続きは……んーむ、大号令の前に1回くらいはUPしたいところですが、それもすべてお仕事次第といったところでしょうか。時間が取れるとイイナァ……気長にお待ちください。
とりあえず明日はどうしよう('A`)....って、あれがあったのをたった今思い出した! わっ、忘れてたわけじゃないんだからねっ><
ではまた。
前回はこちら
森園生の変心:19
「超能……力、者?」
「ですね」
俺が呟いた一言に、橘は満面の笑みを浮かべて頷いた。
「全世界に十人程度しかいない、涼宮さんの閉鎖空間へ自由に出入りができて《神人》を倒す能力を持つ人。その稀有な能力を持つ人材を確保しておけば、『機関』を介さずとも閉鎖空間や《神人》の調査を行えます」
何故なら、古泉のような能力者だけが自由に自分の意思で他人を閉鎖空間に招き入れることができるから。
「世界を作り替える閉鎖空間は、言い換えればあらゆる可能性を内包した世界。今後、仮にその世界の原理をこの世界にひとつの技術として実現できれば、得られる利益は図り知れません。そうでなくても資源の少ないこの国ですからね、人的資源はそれだけで貴重です。そして『機関』は、その希少性の高い存在を元にスポンサーとのパイプをより太くしておく。理にかなった話ですねぇ」
つまり……橘の言い分だと、古泉は『機関』の資金確保のために身売りされた、ってことになるんじゃないのか?
「すべて憶測です」
森さんは、その一言で橘の話を断ち切った。
「ええ、憶測です」
橘は、森さんの言葉を認めながらも、それでも平然としていた。
「ただ、ここ最近の『機関』周辺で動いているお金のことをですね、ちょこっと調べてみたわけなのですよ。蛇の道は蛇と申しますか、そういうことを調べるのはウチでもできますので。多額の金銭が動くとなれば、どうしても痕跡が残りますから、ワリと簡単に辿ることが出来ました。その結果、『機関』の懐事情があまり芳しくないと見ましたが、さて、どうなんですか?」
「だからと言って、我々はそのような手段を用いてまで、資金調達を行おうとはいたしません」
「ええ、森さん自身はそのようにお考えなのかもしれませんね。でも他の人たちは? 『機関』上層部の他の人たち全員が、そのようにお考えなのかしら?」
「どうなんですか、森さん」
橘は、自分の話を憶測だと言っている。そもそも、こいつが言うことを鵜呑みになんてできるわけがない。ただ、理にかなった話でもある。端から嘘だとかデタラメだとか一蹴できる話でもない。
もし、こいつの言うことが本当だとすれば、冗談じゃない。鶴屋さんも古泉も、周りの都合でいいように利用されているだけじゃないか。
「そのようなことはない……と、わたしは信じて、」
「信じる信じないの話じゃないだろっ!」
申し訳ないが、森さんの考え方が論点になってるわけじゃない。鶴屋さんと古泉の結納に、そんなくだらない周りの思惑が付きまとっているのかいないのか、その事実関係をハッキリしてくれと俺は言ってるんだ。
もしここに、橘が言うような理由が絡んでいるのなら、俺は認められない。納得も理解もできない。
「森さん、前にも、さっきも言いましたよね? 俺に二人を祝福してくれと。でも、裏でそんなふざけた思惑があるのなら、たとえ二人が納得ずくの結婚であっても、俺には祝福することなんてできない。できやしない。だから、どうなんですか? こいつが言ってたことが本当なのか嘘なのか、はっきりさせてください」
「それは……わたしにも、わかりません」
わからない? 森さんでも把握してない話なのか? それとも今になってなお、惚けているだけなのか?
何なんだ、いったい。これは何だってんだ? 森さんも把握してない状況の中、二人を結婚させようってことなのか? ふざけるのも大概にしてくれ。
「俺は、鶴屋さんを連れて帰ります。あの人を、こんな茶番に巻き込むわけにはいかない」
「お待ちください」
「今になってもまだ、二人を結婚させようってんですか」
「そうです」
「何故? こんな茶番に、二人を巻き込んで、それでもいいと森さんは言うつもりですか」
「わたしは『機関』の一員です。もしこの結納にわたしがあずかり知らぬ思惑があろうとも、なかろうとも、今のわたしの役目は今日という日を無事に終わらせることです。その邪魔をするというのであれば、あなたであっても見逃すことはできません」
そう言って、森さんは冷ややかな眼差しを俺に向けてくる。
つまり……わかりやすい言い方をすれば、「鶴屋さんを連れ出すなら自分を倒してから行け」とでも言うつもりか? そんなマンガ的展開にしちまうつもりか?
勘弁してくれ。そんなこと、俺にできるわけがない。力づくでかなうかなわない以前の問題として、森さんと敵対することなんてできるわけないだろ。
「えー……あたしの話がまだ終わってないんですけど、お二人とも、ちょっといいでしょうか?」
と、呑気なことこの上ない発言をしたのは橘だった。おまえ、まだいたのか。
「失礼ですね。まだいますよ。そもそも、あたしの本題は今の話じゃありませんから」
「じゃあ何だってんだ」
「最初に言ったじゃないですか。あたしは釈明しに来たんですよ」
ああ、そういえばそんなことを言ってたが……。
「あなたが鶴屋家のご令嬢と古泉さんの結婚が認められないように、あたしたちの組織も今回のことは見過ごせないわけですよ。だってほら、ウチの敵対勢力がスポンサー筋と強固なパイプを確保してしまうわけじゃないですか。そうなると、資金面での格差が開いてしまいますものね。だから当然、邪魔しようと思っていました」
こいつ……涼しい顔してそんなことを考えていたのか……って、いました? 過去形の話なのか?
「ええ。実はそのぅ、それよりももっと厄介なことが起きてしまいまして。何故、彼女が……と、あたしも疑問に思うところなのです。ただ、どうにも面倒事になってしまう気がしましたので、そうなる前に片を付けたかったんですけど……残念ながら失敗してしまいまして。もしかすると、この場に現れるんじゃないかと思っているわけなんですよ」
「……何の話だ?」
「九曜さんの話です。数日前、あたしがあなたの前に現れたことで、あなたが佐々木さんと連絡を取ることは予想してました。実際は逆だったのかしら? なんであれ、佐々木さんはあたしが九曜さんと協力して何かしてると思っていたのかもしれませんが、そうじゃありません」
「だから、何の話なんだ?」
「これからのことは、あたしはもちろん、あたしが属している組織も関わりないことです。そのことを『機関』の皆様にご理解いただきたいと思いまして、こうやって訪ねてきたのですよ」
橘が言わんとしていることがまるで理解できずにいる俺だが、そうしていられたのは俺の耳に爆音らしき音が聞こえて来るまでだった。
「なんだ!?」
「ああ……やっぱり」
頭を抱えそうな嘆息混じりの声で、橘が呟く。今の爆音の原因を知っているのか、こいつは。
「ごめんなさいです。本当にあたしは、あなたに面倒をかけるつもりも巻き込むつもりも、毛頭なかったんですよ」
そんなことはどうでもいい。今の音はなんだ? 何をした!?
「ですからあたしも、あたしの組織も何もしてません。だいたい、あたしを問い詰めるより、実際に視た方が理解もしやすいと思いません?」
「くそっ」
悪態一つ、俺が動き出したときには、森さんはすでに料亭内に駆けだしていた。俺は橘をこのまま見逃していいのか迷ったが、森さんが先に向かったせいか、理由もなく遅れちゃならないと思ったんだろう。
いったいどこで何が起きているのかわからない。ただ、音が聞こえたであろう方向に向かって駆け込めば、そこは料亭の中庭に通じる廊下だった。
先に中に駆け込んでいた森さんが、そこに立ち止まっている。顔は、中庭に向けられていた。
「いったい何が、」
と、続く言葉が出てこない。
そこで俺は、森さんも見ているであろうその姿を目の当たりにする。
中庭に佇む人影。それが、先ほど響いた爆音を巻き起こした張本人なのかわからない。
ただ、そこにそいつがいることが、まるで信じられなかった。今こうして目の当たりにしてなお、自分の目が信じられない。
そこにいたのは周防九曜? いいや、違う。九曜じゃない。あの姿は九曜と似ても似つかない。
「お……まえ……」
朝倉涼子が、そこにいた。
つづく
森園生の変心:19
「超能……力、者?」
「ですね」
俺が呟いた一言に、橘は満面の笑みを浮かべて頷いた。
「全世界に十人程度しかいない、涼宮さんの閉鎖空間へ自由に出入りができて《神人》を倒す能力を持つ人。その稀有な能力を持つ人材を確保しておけば、『機関』を介さずとも閉鎖空間や《神人》の調査を行えます」
何故なら、古泉のような能力者だけが自由に自分の意思で他人を閉鎖空間に招き入れることができるから。
「世界を作り替える閉鎖空間は、言い換えればあらゆる可能性を内包した世界。今後、仮にその世界の原理をこの世界にひとつの技術として実現できれば、得られる利益は図り知れません。そうでなくても資源の少ないこの国ですからね、人的資源はそれだけで貴重です。そして『機関』は、その希少性の高い存在を元にスポンサーとのパイプをより太くしておく。理にかなった話ですねぇ」
つまり……橘の言い分だと、古泉は『機関』の資金確保のために身売りされた、ってことになるんじゃないのか?
「すべて憶測です」
森さんは、その一言で橘の話を断ち切った。
「ええ、憶測です」
橘は、森さんの言葉を認めながらも、それでも平然としていた。
「ただ、ここ最近の『機関』周辺で動いているお金のことをですね、ちょこっと調べてみたわけなのですよ。蛇の道は蛇と申しますか、そういうことを調べるのはウチでもできますので。多額の金銭が動くとなれば、どうしても痕跡が残りますから、ワリと簡単に辿ることが出来ました。その結果、『機関』の懐事情があまり芳しくないと見ましたが、さて、どうなんですか?」
「だからと言って、我々はそのような手段を用いてまで、資金調達を行おうとはいたしません」
「ええ、森さん自身はそのようにお考えなのかもしれませんね。でも他の人たちは? 『機関』上層部の他の人たち全員が、そのようにお考えなのかしら?」
「どうなんですか、森さん」
橘は、自分の話を憶測だと言っている。そもそも、こいつが言うことを鵜呑みになんてできるわけがない。ただ、理にかなった話でもある。端から嘘だとかデタラメだとか一蹴できる話でもない。
もし、こいつの言うことが本当だとすれば、冗談じゃない。鶴屋さんも古泉も、周りの都合でいいように利用されているだけじゃないか。
「そのようなことはない……と、わたしは信じて、」
「信じる信じないの話じゃないだろっ!」
申し訳ないが、森さんの考え方が論点になってるわけじゃない。鶴屋さんと古泉の結納に、そんなくだらない周りの思惑が付きまとっているのかいないのか、その事実関係をハッキリしてくれと俺は言ってるんだ。
もしここに、橘が言うような理由が絡んでいるのなら、俺は認められない。納得も理解もできない。
「森さん、前にも、さっきも言いましたよね? 俺に二人を祝福してくれと。でも、裏でそんなふざけた思惑があるのなら、たとえ二人が納得ずくの結婚であっても、俺には祝福することなんてできない。できやしない。だから、どうなんですか? こいつが言ってたことが本当なのか嘘なのか、はっきりさせてください」
「それは……わたしにも、わかりません」
わからない? 森さんでも把握してない話なのか? それとも今になってなお、惚けているだけなのか?
何なんだ、いったい。これは何だってんだ? 森さんも把握してない状況の中、二人を結婚させようってことなのか? ふざけるのも大概にしてくれ。
「俺は、鶴屋さんを連れて帰ります。あの人を、こんな茶番に巻き込むわけにはいかない」
「お待ちください」
「今になってもまだ、二人を結婚させようってんですか」
「そうです」
「何故? こんな茶番に、二人を巻き込んで、それでもいいと森さんは言うつもりですか」
「わたしは『機関』の一員です。もしこの結納にわたしがあずかり知らぬ思惑があろうとも、なかろうとも、今のわたしの役目は今日という日を無事に終わらせることです。その邪魔をするというのであれば、あなたであっても見逃すことはできません」
そう言って、森さんは冷ややかな眼差しを俺に向けてくる。
つまり……わかりやすい言い方をすれば、「鶴屋さんを連れ出すなら自分を倒してから行け」とでも言うつもりか? そんなマンガ的展開にしちまうつもりか?
勘弁してくれ。そんなこと、俺にできるわけがない。力づくでかなうかなわない以前の問題として、森さんと敵対することなんてできるわけないだろ。
「えー……あたしの話がまだ終わってないんですけど、お二人とも、ちょっといいでしょうか?」
と、呑気なことこの上ない発言をしたのは橘だった。おまえ、まだいたのか。
「失礼ですね。まだいますよ。そもそも、あたしの本題は今の話じゃありませんから」
「じゃあ何だってんだ」
「最初に言ったじゃないですか。あたしは釈明しに来たんですよ」
ああ、そういえばそんなことを言ってたが……。
「あなたが鶴屋家のご令嬢と古泉さんの結婚が認められないように、あたしたちの組織も今回のことは見過ごせないわけですよ。だってほら、ウチの敵対勢力がスポンサー筋と強固なパイプを確保してしまうわけじゃないですか。そうなると、資金面での格差が開いてしまいますものね。だから当然、邪魔しようと思っていました」
こいつ……涼しい顔してそんなことを考えていたのか……って、いました? 過去形の話なのか?
「ええ。実はそのぅ、それよりももっと厄介なことが起きてしまいまして。何故、彼女が……と、あたしも疑問に思うところなのです。ただ、どうにも面倒事になってしまう気がしましたので、そうなる前に片を付けたかったんですけど……残念ながら失敗してしまいまして。もしかすると、この場に現れるんじゃないかと思っているわけなんですよ」
「……何の話だ?」
「九曜さんの話です。数日前、あたしがあなたの前に現れたことで、あなたが佐々木さんと連絡を取ることは予想してました。実際は逆だったのかしら? なんであれ、佐々木さんはあたしが九曜さんと協力して何かしてると思っていたのかもしれませんが、そうじゃありません」
「だから、何の話なんだ?」
「これからのことは、あたしはもちろん、あたしが属している組織も関わりないことです。そのことを『機関』の皆様にご理解いただきたいと思いまして、こうやって訪ねてきたのですよ」
橘が言わんとしていることがまるで理解できずにいる俺だが、そうしていられたのは俺の耳に爆音らしき音が聞こえて来るまでだった。
「なんだ!?」
「ああ……やっぱり」
頭を抱えそうな嘆息混じりの声で、橘が呟く。今の爆音の原因を知っているのか、こいつは。
「ごめんなさいです。本当にあたしは、あなたに面倒をかけるつもりも巻き込むつもりも、毛頭なかったんですよ」
そんなことはどうでもいい。今の音はなんだ? 何をした!?
「ですからあたしも、あたしの組織も何もしてません。だいたい、あたしを問い詰めるより、実際に視た方が理解もしやすいと思いません?」
「くそっ」
悪態一つ、俺が動き出したときには、森さんはすでに料亭内に駆けだしていた。俺は橘をこのまま見逃していいのか迷ったが、森さんが先に向かったせいか、理由もなく遅れちゃならないと思ったんだろう。
いったいどこで何が起きているのかわからない。ただ、音が聞こえたであろう方向に向かって駆け込めば、そこは料亭の中庭に通じる廊下だった。
先に中に駆け込んでいた森さんが、そこに立ち止まっている。顔は、中庭に向けられていた。
「いったい何が、」
と、続く言葉が出てこない。
そこで俺は、森さんも見ているであろうその姿を目の当たりにする。
中庭に佇む人影。それが、先ほど響いた爆音を巻き起こした張本人なのかわからない。
ただ、そこにそいつがいることが、まるで信じられなかった。今こうして目の当たりにしてなお、自分の目が信じられない。
そこにいたのは周防九曜? いいや、違う。九曜じゃない。あの姿は九曜と似ても似つかない。
「お……まえ……」
朝倉涼子が、そこにいた。
つづく
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[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
ここでまさかの朝倉さん登場! すべて既定事項ですw
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
朝倉さん登場フラグもちゃんと立ててましたが、状況的には九曜さん側っぽいですね
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
なんとか早めに続きがUPできればいいんですけどねぇ。こればっかりはなんとも( ´Д`)
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
こういう登場のさせ方をしておいて、何も活躍しなかったらそれこそ驚愕ですネ!
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