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DATE : 2017/10/22 (Sun)
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DATE : 2008/05/02 (Fri)
なんだか昨日から暑い日が続いております。関東近県では夏日ですか。北海道では真夏日を記録したんでしたっけ? 梅雨時になればまた寒くなりそうですが、制服の学生さんたちは大変そうです。

それはともかく、どうにも先方のやむを得ない事情によって仕事の進行がgdgdになっているような気がしてならず。その隙にSSを軽く書いて話を進めておきましょう。おきました。

そのおかげ、と言うとアレですが、3日の大号令は無事に会場へ行くことができそうです。ブースで死んだ魚のような目をして黄昏れているか、会場を抜け出してビルの入り口付近にある灰皿側で缶コーヒー片手に紫煙を燻らせているのが自分で間違いありません。

そんなボクと、会場で握手!

( ´∀`)........

ではまた。

前回はこちら
森園生の変心:21

「森さん!」
 わざわざ叫ばずとも、俺が気付いたことなら森さんだったらとっくに察しているはずだ。察していてもなお、対応しきれないこともある。
 ぐにゃりと歪む空間は圧縮されているようにも見える、と思った瞬間には、森さんを目がけて頭上から無数の槍が降り注いだ。
 樹氷のように数十本の槍が地面に突き刺さり、もうもうと煙を舞い上がらせた。肝心の森さんはどうなった? 朝倉は? とにかく、もしあの突き刺さってる槍の真下に森さんがいるのなら、無事で済むはずがない。
 胸の内に絶望的な気分が広がる中、舞い上がる煙が晴れてゆく。その中で、俺は見た。
 何を?
 無事だった森さんと、そしてもう一人。
「な……長門!?」
 何故、とか、どうして、など、そんな考えばかりが脳裏を過ぎる。けれど長門は俺をちらりとも見ようとせず、かといって森さんを見るでもなく、その冷ややかな眼差しは朝倉に向けられていた。
「あなたは誰」
 それが、長門の第一声だった。誰も何も、そこにいるのは朝倉……じゃ、ないのか? 見た目は同じでも、そこにいるのは朝倉じゃないってことか?
「彼女を真似る、あなたは誰?」
 再度問いかけるその声は、いつにも増して平坦かつ無感情の声音だった。
 ああ、これは怒ってるな──と、俺は達観の境地で茫洋と判断した。
 別に何かがいつもと違うわけではない。口調も変わらなければ、表情もそのままだ。けれど、小柄なセーラー服姿から放たれる気配というか空気というか、そういうものは限りなく重い。気配というものに重力があるのなら、ブラックホールのひとつやふたつ、早々に作り出しちまってるような気さえする。
 そんな風に感じる長門の気配を、ここにいる他の連中はどう察しただろう。とりあえず森さんは長門から離れている。賢明な判断だと思う。
 そして朝倉は……まるで空気が読めていなかった。
 あの長門を前に、どうして手出ししようなどと考えるのかまるでわからん。獲物を狙う蛇のようなしなりを見せて、光の鞭が長門を襲う。
 ばちん、どころじゃない。猛スピードで走っているトラックが壁に激突したような、腹に響く重低音が響き渡った。
 モロに長門を直撃した朝倉の攻撃は……けれど何事もなかったかのように、微動だにせず片手で受け止められていた。
「対象アンノウの敵対行動を確認。当該対象への物理的殲滅および構成情報根絶を開始する」
 その言葉の意味に、それ以上も以下もない。相手に告げる宣言でも自分に対する言葉でもなく、その発言が世界の在り方を決めるかのようだ。
 押さえる朝倉の光の鞭は、長門が触れている部分から光の粒子となって霧散する。それを危険と感じたのか、朝倉はバックステップで後ろに飛び退くが、詰める長門の動きはそれの倍速い。一瞬で間合いを詰めて、朝倉の顔を鷲づかみにするや否や、地面がめり込むほどの勢いで叩きつけた。
 いきなり、周囲の景色が幾何学模様が漂う異常空間から、高級料亭でありがちな日本庭園に戻った。さっきまでの空間が朝倉の情報制御空間とやらなら、それが元に戻ったってことは、長門の一撃で無力化されたってことなんだろうか。
 よくわからんが、少なくともまだ朝倉は実体をとどめている。が、長門は自分の口で「当該対象への物理的殲滅」などと過激なことこの上ない台詞を口にしていたわけだから、徹底的にやるつもりだろう。
「お、おい長門」
 そこにいるのが朝倉なのかどうなのか、俺にはわからない。偽物である可能性の方こそ高そうだが、それでも目の前で再び朝倉が消える姿を見るのは……どうにも気分がいいもんじゃない。
 そもそも、仮に消しちまうことになるとしても、その前に確認しておかなくちゃならないことがあるじゃないか。
「そいつはいったい何者なんだ? 朝倉じゃないのか? だいたい、なんでおまえがここに、」
「いえいえ、それは朝倉さんですよ」
 答えた声は長門ではない。森さんなんかは反射的に声が聞こえた方へ銃を向けてしまったようだが、その人を相手に拳銃一丁で立ち向かえるとは到底思えない。
「喜緑さん……」
「こんにちは。いろいろおっしゃりたいことも、わたしから言いたいことも多々ございますが、今はひとまず……」
 そのとき、喜緑さんが何かしたわけでも、何かやろうと動いたわけでもない。にもかかわらず、長門には何か察するところがあったんだろう。押さえつけていた朝倉から弾かれたように飛び退いた。
「賢明です、長門さん」
「説明を求める」
 喜緑さんを見据えてそう言う長門の言葉に、俺も激しく同意したい。いったいどういうことなのか、はっきりさせてくれ。
「説明と言われましても、あまり多くを語る言葉は持ち合わせておりません。正確性を問うのであれば、彼女は朝倉さんであって朝倉さんではない、と言うところでしょうか。それよりも」
 と、喜緑さんの視線は何故か俺に向けられた。
「数日前にわたしが言ったこと、覚えていますか?」
「え?」
「あなたは何故、ここにいらっしゃるんですか? それよりも、向かわなければならない所があるんじゃないでしょうか」
「何を、」
 言いかけて、俺ははたと思い出した。一昨日くらいの朝にふらりと声を掛けてきた喜緑さんが、まるで要領の得ない、けれどひとつだけはっきりしたことを言っていた。
「鶴屋さんに何かしようとしてるんじゃないでしょうね。喜緑さんは、いったい何を知ってるんですか」
「いえいえ、滅相もない。最初に言ったじゃありませんか。わたしも巻き込まれて、ほとほと迷惑しております、と」
 巻き込まれただって? いったい誰だ、この人を巻き込んだ考えなしは!?
「それはもちろん、あなたですよ」
 冗談じゃない。俺が何をしたって言うんだ。どんなことであれ、わざわざ好きこのんで喜緑さんを巻き込もうだなんてするもんか。
「そう言っていられるのも今だけ……かもしれませんね。それより、いつまでもここにいてよろしいんですか? 向こうも向こうで、大変なことになっているかもしれませんよ」
 その言葉に、真っ先に反応したのは森さんだった。戸惑いもなく身を翻し、躊躇いもなく奥へ向かって走り出す。向かうのはもちろん鶴屋さんのところだろう。
 その判断の速さはさすがとしか言いようがない。喜緑さんまで出張ってきたこの状況はまさに混乱の一言で十分に事足りることかもしれないが、森さんにとって鶴屋さんの結納に関わらないことであれば無視しても構わない出来事、と考えたのかもしれない。
 だが俺にとっちゃそうならない。もちろん、鶴屋さんのことがまるで気にならないわけではないし、そっちも重要な懸案事項だ。それと同じくらい、この宇宙人トリオが揃っている現状は緊急事態なんだ。
「行って」
 どっちつかずのままでいる俺の背中を押したのは、いつもと変わらぬ長門の淡々とした声音だった。
「ここは、わたしが居なければならない場所。あなたは、あなたが居るべき場所へ向かうべき」
「いや、でもな」
「行って」
 今なお躊躇う俺の背中を、長門の言葉が再度押す。重ねて同じことを言われては、もはや従うしかない。
「あとでしっかり説明してもらうからな。できるだけ、穏便な方法で事を収めてくれよ、長門」
「善処する」
 そこは「わかった」と答えて欲しかったところだが、そんなことを口にしている暇もない。俺は先に鶴屋さんのところへ向かったであろう森さんの後を追って、その場を離れた。
 後にして思えば、上手いように厄介払いされたんだと思う。どっちに、などと聞くまでもないだろう。もちろん、喜緑さんにだ。

つづく
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