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DATE : 2017/07/26 (Wed)
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DATE : 2008/08/14 (Thu)
明日からコミケですね~。1日目は参加いたしませんが、アクシデントもなく無事に過ぎることを祈るばかりです。

そんな自分は2日目にサークル参加ですが、どうもいろいろ準備しなけりゃならんようです。なにしろコミケは夏冬合わせて初参加ですので。
一般でもサークルでも参加経験のあるじぇばんにに「持ってくのこんなんでいいよねー」と確認してみたら「バカヤロウ! 貴様はコミケをナメてんのか! 死にたいのか! その程度の猛暑対策で事が済むと思ったら大間違いだ!」と罵倒され、ヒィッ(((( ;゚Д゚)))となっておりまして。

そんな用意も明日までには済ませておきたいと思います。

んで。

SSの続きはコミケ終わって一段落付いてからの再開ってことで。ちなみに今回のお話、次回以降5回で終わる予定になっております。ゴールはまだか!

ではまた。

前回はこちら
喜緑江美里の策略:20

 本気で駆け出した長門に追いつこうとしたところで、追いつけるわけがない。普段の長門を見ているとたまに忘れてしまうのだが、忍者じゃあるまいし屋根の上を伝って移動する様を見せつけられると、やっぱり普通と違うんだな、なんて思ってしまう。
 どちらにしろ、俺の足で追いつくには無理がある。物理的にあり得ない。かといって諦めるわけにもいかず、そもそもこの事態が後々どう転ぶかわからない。なによりあのタイミングで長門と遭遇したのは、偶然なのか喜緑さんの狙い通りなのかもわからず、少なくとも、追いつけないからと何の手も打たずに長門を行かせられないのは確かだ。
 走りながら携帯を取り出し、この状況で俺が回すダイヤルは一カ所だけ。
『どうなさいました?』
 ワンコールを待つまでもなく、電話は喜緑さんに繋がった。もしかして、この電話は喜緑さんの脳内にダイレクトに繋がってるんじゃないだろうか。
『この状況で掛けてくるなんて、不測の事態ですか?』
 さすが喜緑さん、理解が早くて助かる。
「すみません、今そっちに向かってるんですが、その途中で長門に会っちまいました」
『えっ?』
 驚きの声がスピーカーから聞こえてくる。ってことは、俺が長門と遭遇したのは、喜緑さんの思惑外の出来事なのか。余計にマズイ邂逅だったわけだ。
『それで長門さんは?』
「物凄い速さでそっちに向かってます。あいつ、確証はなかったみたいですが朝倉のことにも気付いてたみたいですよ」
『タイミングはどうですか?』
 俺がさらに不安を募らせていると、喜緑さんがそんなことを聞いてきた。
「何の?」
『時間ですよ。こちらはすでに朝倉さんが行動に移しています。長門さんの動きはこちらでも把握いたしまして……五分以内には現れそうです。あなたがかつて体験した今日という日と照らし合わせて、大きな齟齬が発生しますか?』
「えー……」
 携帯を耳元から離し、現時刻を確認してみれば……どうだろう。森さんと朝倉がガチバトルを繰り広げているときは時間なんて確認できる余裕もなかったが、鶴屋さんのところから料亭に向かって出発した時間は覚えている。そこからの移動時間と朝倉に襲われるまでの体感時間で考えれば……そうだな、そこまで大きなズレはないように思う。
『なら問題ありません』
 そう伝えれば、喜緑さんはそういう風に断言した。
『もしかすると、あなたと長門さんがお会いしたのは必然だったのかもしれません。だからこそ長門さんはこちらに向かっている、と考えていいでしょう』
「じゃあつまり……俺がこの時間に二人いるのは必然ってことですか?」
 でなけりゃ、あのタイミングにあの場所で長門に会うことなんてできなかった。
『時間の流れに限らず、世の中の仕組みというのは堅牢にして強固です。あり得ないことはあり得ませんし、起こらないことは起こりません。変わる歴史があるのなら、その変わることさえ歴史の一部です。これからもし不測の事態に遭遇しても、自分の行動を信じてください。それが歴史の必然になるはずです』
「そういうもんなんですか?」
『そうだと決めつけてください。でなければ、未来から干渉された今の状況では身動きが取れなくなってしまうじゃありませんか。違います?』
「……ま、確かに」
 と、俺が納得しかけたそのとき、携帯のスピーカーからズズ……ンと腹に響く音が聞こえてきた。
『ああ、こちらは始まってしまいました。では、後ほど』
 物々しい重低音とは裏腹に、軽やかな挨拶を残して通話が切れる。料亭の方向に目を向ければ、そこはかとなく白煙が空に向かって舞い上がってるようだ。
 そろそろ体にたまった疲労物質の影響か、脳から「休め」と命令を出されているのだが、かといってそれで立ち止まる暇もなく、切羽詰まった状況故に逆ハイ状態で走り続けている。残り二~三キロメートルといったところか。俺の足でも、十分は掛かるまい。
 いい加減、酸欠でぶっ倒れそうになった頃合いで、ようやく料亭が見えてきた。もうそろそろ朝倉と森さんのガチバトルの間に長門が割ってはいる頃合いだ。俺もうかうかしてられない……のだが、事ここにいたり、最大の障壁が待ちかまえていることに気付かされた。
 朝倉、長門、喜緑さんの三つ巴は料亭の中庭で行われている。そこに行くためには中に入らなければならないわけだが、玄関には古泉が立っていた。
 そりゃそうだ。こいつは鶴屋さんを連れて逃走しようとする橘を、ここで待ちかまえていたんだ。喜緑さんは不測の事態に遭遇しても自分を信じろとか言っていたが、かと言ってここで古泉に挨拶しつつ中に入っていくのは気が気じゃない。
 どうすりゃいい? 塀をよじ登って行くか? いや、そうしたいのは山々だが、手が届きそうにない。
「……キョン、かい? ここで何をやってるんだ」
 思案に明け暮れていれば、不意に投げかけられる声。
「佐々木!?」
 驚きと戸惑いが入り交じったような、それこそ「キョトン」と言い表すに相応しい表情を浮かべた佐々木が、俺の真後ろに立っていた。
「おまえ……なんでここに」
「藤原さんから聞いたんだよ。ここで橘さんが悪さをするとね」
 そうだ。そうだった。あのとき、古泉と森さんの一触即発状態を収めたのは、他でもない、佐々木だった。
「それで、」
「佐々木!」
「うわっ!」
 こうなればなりふり構っていられない。あれこれ事情を説明することもしている暇もないが、相手は佐々木だ。一を語って十を理解してくれるヤツだと信じている。詰め寄ったときに佐々木らしからぬ声が出たようだが、それでも佐々木は佐々木に違いない。
「まっ、待ってくれ。いきなり何の真似だ? 気持ちは嬉しいが、ここは天下の往来じゃないか。思春期真っ盛りとはいえ、劣情に身を任せて人目をはばからずというのも品がない。いや、拒否してるわけじゃないが場所をわきまえてくれと、」
「頼むから黙って俺の言うことを聞いてくれ」
「キョン……」
 何かを捲し立てるように喚いている佐々木だが、あいにくその言葉を律儀に聞いている時間もない。言いたいこともあるだろうが、ここは素直に俺の話を聞いてくれと真面目に詰め寄れば、暴れていた子猫が諦めたかのように大人しくなってくれた。
「わかった」
 仕方がないとため息混じりながらも、どこかしら落ち着きがない。ほんのり赤くなってるが、もしや風邪とか引いてるんじゃないだろうな。
「キミがそこまで言うのなら、僕も素直に従おう。若さ故の、というヤツだ。ただ……何と言うか、知識はあるが経験がないというか、恥を忍んで白状すれば、どうすればいいのかよくわからない。できればキミがリードしてくれると有り難いんだが……」
「それは当然だろ。俺からじゃなきゃ話にならない。それより、顔が赤いがどうかしたのか?」
「よ……余計なことは言わないでくれ。こういうのは正気に返るとダメなような気がする。勢いというのは、何事においても大事なものじゃないか。それで、ええと、こういうときは目を瞑るのが礼儀なのかい?」
「瞑ってどうする」
「め、目は開いておいたほうがいいのかな? なかなか特殊な……いや、人それぞれだと思うがそれはそれで恥ずかしい、」
「いいから佐々木、よく聞いてくれ」
 このままじゃ埒が明かない。いまだもごもごしている佐々木の言葉に、強引に割って入ることにした。
「この先の料亭で、俺と古泉が玄関先で言い争いをしている。おまえにはそれを止めてほしい。俺が二人いるとかそういうことは気になるだろうが気にしないでくれ。ともかく今は、おまえが入り口付近にいる奴らの目を集めてくれればそれでいいんだ。その間に、俺は中に入らなくちゃならない」
「…………え、っと……なんだって?」
「だから、詳しく説明している暇はないんだ。できればここで俺に会ったことも口外しないでもらいたい。おまえも藤原のことがわかるなら、俺が言いたいこともわかるだろ?」
「あー……そう。そうなのか」
 何をそんな、フルラウンド戦い抜いて負けたボクサーみたいにがっくり項垂れてるんだ? ここでおまえにしっかりしてもらわなくちゃ困るんだよ。
「さて、これは果たしてどう表現すべきなのか自分でもよくわからない。胸の奥深くからわき出てくるドス黒い気持ちは何なのだろうねぇ、キョン。やり場のない怒りと言うか……どこにぶつければいいのか、僕の心の平定のためにも是非ともご教授願いたい」
「よくわからんが、橘にでもぶつけてやりゃいいだろ」
「そうか、ふふ、すべて橘さんのせいか……ふふふ」
 ぶつぶつと、虚ろな眼差しで呪詛っぽいものを口にしてるみたいだが、本当に大丈夫か?
「キミがあまりにも真剣に迫るものだから……いや、いい。忘れてくれ。とにかく、話が見えない。キミが二人いる?」
「だから……っ!」
 もう一度同じ説明をしている暇はない。口であれこれ言うより、佐々木に直に見てもらった方が早そうだ。
「こっちに来い」
「お、おい」
 周囲を伺い、他に『機関』関係者とおぼしき人物がどこにもいないことを確認してから料亭玄関ロビーの外、門前に張り付いて中の様子を伺えば、そこにはすでに森さんさえ現れている。思ったより時間がないぞ、これは。
「……なるほど、確かに二人だ」
 一緒に中を覗く佐々木が、この時間の『俺』を見てようやく事態を理解してくれた。
「キミは本当にユカイな人生を歩んでいるようだね。羨ましい限りだ」
「代わってくれるなら喜んで代わってやるぞ」
「他人の人生を羨んでも仕方ない、とも理解しているのでね。それは遠慮しておこう。それで? 詳しい説明はいつしてくれるのかな?」
「そのうちな。とにかく佐々木、おまえにはあそこにいる全員の目を惹きつけてもらいたいんだ。向こうの状況はこうだ。今日ここで、古泉と鶴屋さん……あの、ぐったりしている女の人だが、その二人の結納が執り行われることになっていた。けど、俺はそれに反対している。あのメイドの姿をした……って、森さんとは顔見知りか」
「六月にね」
 九曜がオーパーツを使った事件のときに、そういえば会っていたな。
「森さんも、あそこにいる俺の味方だ。敵は古泉……ってわけなんだが、古泉も本心では乗り気じゃない。ただ、それを口にできない」
「何故?」
「あいつにもあいつの立場ってのがあるらしい。だから古泉は遠回しに『自分を信用してくれ』と言ってるが、あそこにいる俺も森さんも頭に血が昇っていて、それを理解できていない。おまえは古泉の真意を二人に気付かせてくれ」
「そこまで状況が理解できているのなら不可能な話ではないだろうけど……しかしここで急に出ても、」
「だからこそ、おまえに全員の目が向くんだよ。それに、おまえじゃないとダメなんだ」
 尻込みする佐々木に重ねて言えば、これ見よがしに盛大なため息を吐かれた。
「キミのその強引さは、もう少し他の場面でも見せてもらいたいものだよ。どちらにしろ、あそこに橘さんもいるのだから引き取りに出向かねばならない……か。いいだろう、引き受けよう。ここを出たら、キミと出会ったことは忘れた方がいいんだったね」
「そうしてくれると助かる。悪いな、恩に着るよ」
「貸しひとつだ。それは忘れないから覚悟しておきたまえ」
 そんな言葉を口にして、俺が何かを言う前に佐々木は料亭の玄関ロビーでモメている『俺』たちの前に、俺の記憶にある通りの言葉を口にしながら進み出た。
 すなわち「白熱した議論を戦わせているところに申し訳ないが」と。
 全員の視線がすぐに佐々木へ集まった。佐々木も状況を理解してくれているからなのか、そのまま玄関ロビーの中に入って外からは見えない位置まで移動してくれた。
 全員の目が佐々木に注がれている。この気を逃すわけにはいかない。
 門に張り付いていた俺は塀伝いに慎重かつ素早く行動に移した。当然ながら玄関ロビーに入るわけもなく、塀に沿うように進む。そのルートは人が通ることを考えて作られていないので、蜘蛛の巣やら何やらが張り巡らされており、一歩進むだけでも骨が折れる最悪な道のりだ。ちんたら進んでいれば心がくじけそうになるのは間違いなく、のんびりしている余裕もないので一気に突っ切れば──。
「っで!」
 庭木の張り出た根っこかそれとも別のものか、何かに足を取られて盛大にひっくり返った俺は、その勢いのままで中庭へと飛び出した。
「随分と焦らしたご登場ですね」
 真上から振ってくる声。見上げたそこにいるのは、喜緑さん。首を巡らせれば喜緑さんと対峙するように佇む長門、そして地面の上に転がったままの朝倉の姿があった。

つづく
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★無題
NAME: 蔵人
なるほど、これで佐々木登場だったわけか!というかちょい可哀想だな佐々木(笑)
たまに見せる真剣さという武器は誰にでも通用するんですね、そこがキョン。
URL 2008/08/14(Thu)03:21:16 編集
「変心」では妙に訳知りだった佐々木さんですが、実はこんな裏事情があったんですねー。
キョンくんの時折見せる真剣さには皆さんメロメロですw
【2008/08/15 00:04】
★無題
NAME: ながとん
かわいいよ佐々木(笑)……いや、かわいそうと言うべきか(苦笑)。

ところでキョン、君の息があるうちに喜緑さんのは何色か教えてくれるとありがたいのだが。
――ん、なにやら指先がサラサラッと……
2008/08/14(Thu)19:14:50 編集
あれですか、色ですか。喜緑さんの心の色と同じだと思いますよ!
【2008/08/15 00:06】
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