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DATE : 2009/06/08 (Mon)
順当に落選しましたが、幸いにして委託させていただけることになりました。なので、予定していた同人本はそこでの頒布ということになりそうです。

日にちは8/14のコミケ1日目。スペースの場所とかどちらにお邪魔するとかは、まぁ追々ということで。

でー、久しぶりにSSでも。場つなぎって感じのものですね。どんな場に繋ぐんだという話は横に置いておきましょう。
タイトルも考えてねぇです。さー、みんなで考えよう!

あ、近々ブログの構築を少し変えるかもしれません。面倒だと思ったら変えないかもしれません。人生行き当たりばったり。

ではまた。



 ちらりと腕時計に目を向ければ、時間は十六時になろうかという頃合いだった。こうやって時間を確認したのは、かれこれ何回目だろう。数えるのもバカバカしいことこの上なく、三つ以上は「いっぱい」と判断するらしい霊長類のような判断で、俺はすべての考えを放棄している。
 ここはSOS団の定例集合場所になっている駅前公園である。そこに俺がいるということはつまりそういうことだと、改めて説明する必要はもはやないだろう。
 にしても遅い。
 集合時間は、十四時と聞いていた。つまり午後二時だ。休日の今日、名乗りもせず具体的な説明もなく、声音と横柄な態度からハルヒであることは間違いない人物に「何があっても遅れずにちゃんと来ること」と言われたのは、確か昼飯を喰った後だから、十二時半から十三時の間だったように思う。
 あまりにも急な呼び出しに、慌てて身だしなみを整えて家を飛び出したのは言うまでもなく、それでも駅前公園にたどり着いたのは、指定された時間の五分前だった。
 なのに誰もいない。
 いつもなら、俺が到着するころには全員がそろっているはずだ。こっちが遅刻こそすれ、ハルヒを筆頭にSOS団の全員が一〇分前行動でも心がけているのか、俺が先立って集合場所に到着することなんぞ稀である。挙げ句、連絡を受けた時間からかれこれ二時間も過ぎようとしているのに、誰一人として現れないのは腑に落ちない。まぁ、それまでボーッと突っ立ってる俺も俺だと思うが、さすがにこれは待ちすぎだ。
 いったい何をやってんだ。遅れるにしても、連絡の一本でも入れて然るべきじゃないか。まさかそういうことができない状況に……としても、長門や朝比奈さん、古泉まで何かしらの事態に陥ってるなんてことはあり得ない。
 これは何かしらのドッキリか、それとも俺の壮大な勘違いなのか、はたまた誰かしらの謀略なのか……。
「あら、キョン。あんたにしては珍しく早いじゃない」
 なんてことを考えていたら、何の感動も驚きもなくごくごく自然な装いであっさりとハルヒが現れやがった──挙げ句、自分で指定した時間を大幅に過ぎているにもかかわらず、俺がいることが意外とばかりのことを言いやがる。
「俺が早いってもんじゃないだろ。何やってたんだ、こんな時間まで人のこと待たせやがって」
「はぁ? あんた何言ってんの」
 至極まっとうに俺が怒り混じりの態度で文句を言えば、ハルヒはハルヒでそんな俺の態度が理解できないと言わんばかりに表情をしかめて見せやがる。傍若無人なのは今に始まったことじゃないが、だからといって寛容な態度を取ろうにも、こっちだって待ちすぎた。
「おまえが言ったんだろ。十四時に駅前の公園に来いって。なのにもう十六時になるじゃないか」
「誰がそんなこと言ったのよ。あたしは四時に駅前公園に来なさい、って言ったのよ」
「四時? 十四時だろ。そう言ってたぞ」
「言ってないわよ。あのね、キョン。あたしは自分の言ったことはあたしが四時って言ったらぜぇ~ったいに四時って言ったの!」
 ウソつけ。自分にとって都合の悪いことはすべからく聞き流すか速攻で忘れるヤツだってことは、今さら言うまでもない周知の事実だろ。
「だいたい十四時なんて言いにくいじゃない。メールならともかく、電話でそんな面倒な言い回しするわけないでしょ。だいたいあんたの方こそ、あたしが『十四時に駅前公園に』って言ったって絶対の揺るぎない自信を持って断固とした態度で断言できるわけ?」
「ぐっ……」
 そこまで自信満々な態度で言われると、こっちの自信が揺らいでくる。いや、ハルヒが常日頃から根拠のない自信に満ちあふれたヤツだってのはわかっちゃいるが、ここまではっきり言われると、こっちが聞き間違えたんじゃないかと思えてならない。
 実際どうだったかな……? まずい、ますますわからなくなってきた。
「ほら見なさい。曖昧な記憶力で人を糾弾しようだなんていい度胸だわ」
 こっちが言葉に窮すると、ハルヒはここぞとばかりにふんぞり返る。
「でもま、あんたが遅刻しないってんならそういうやり方もありかしら?」
 ハルヒは神妙な面持ちで余計なことを真剣に考え始めやがった。このままでは、俺だけ集合時間の二時間前の時間を言い渡される事になりかねない。
「まぁ、いい。それはともかくとして、じゃあこんな夕方に人を呼びつけて、いったい何の用だ。他の連中はどうしたんだ?」
「みんなは別に呼んでないわよ。あんたに用があるんだもの。ねぇちょっとキョン、これ見てよこれ」
「うん?」
 そう言ってハルヒが取り出したのは……これはまた何と表現していいものか、文字か図形かそれとも別の何かなのか、ヒエログリフと言うにはあまりにも物の形を捉えておらず、かといって楔形文字にしては複雑な形状をした、原色ばりばりの目に痛いラクガキだった。
「なんだこの……形容し難いものは」
「それ、新しいSOS団のエンブレムだから」
 何を言い出してるんだ、こいつは
「あたし、気付いたの。今までのエンブレムはパソコンに入ってたお絵かきソフトで作ったでしょ? でもやっぱり使い慣れてない道具じゃ思うようにいかなかったから、今度は手書きにしてみたってわけ」
 それでこの……形容し難い新たな宇宙語文字ってわけか。
「でね、それを明日、SOS団サイトのトップに差し替えておきなさい」
 そうすることがさも当然、とばかりに言い放つハルヒを前に、俺はさまざな疑問や危惧を心内で抱いていた。
 手書きで描いた新エンブレムをどうやってパソコンに取り込むんだ、とか。
 また妙な宇宙生物を蘇らせたりしないだろうな、など。
 いやそれよりも重要かつ優先させねばならない疑問はただひとつ。
「それを何故、今のこの時間に急に人を呼び出して押しつけてんだ」
 時刻は十六時──つまり、そろそろ夕飯時のまったりタイムだ。祝日の今日、外出していた人達はそぞろに帰宅の途に着き、あるいはレストランやら何やらに行ってみましょうか、などと相談し始める時間だろう。
 そんな時間を指定して、電話で呼び出して、挙げ句に言い出したことが……そんなことだぞ?
「明日、学校で言えば済む話じゃないか」
「思い立ったが吉日って言うでしょ。あたしはね、今できることを後回しにしないの。今日やろうと思って今日できるんだったら、今日中に雑用のあんたに渡しとこうってするのはアタリマエでしょ」
 おまえの常識を押しつけられても、こっちとしてはいい迷惑だ。ハルヒの常日頃の奇行を考えると、この程度なら何てことなく思えるが、それでも一般常識に照らし合わせれば迷惑なことこの上ない。
「じゃ、そういうわけで任せたわよ」
 こっちが何か文句を言う前に、ハルヒは押しつけるように新エンブレムのラクガキを俺に押しつけて来るや否や、話はそれで終わりとばかりにきびすを返しやがった。
 やれやれ……こんなどーしようもない理由で休日に呼び出された上に二時間近くも待ちぼうけか。まったくもってやってられん。
「あ、そーだ」
 と、用件を済ませてとっとと帰ろうとしていたハルヒが、何を思いついたのか足を止めて振り返った。
「そういえばあんた、理由はどうあれ珍しく遅刻しなかったわけだし、仕方ないから奢ってあげるわ」
「……何だって?」
 俺は幻聴か何かを聞いているんだろうか。今ハルヒは何と言ったんだ? 奢ってあげる、だって!?
「何よその顔」
 呆気に取られている俺を見て、ハルヒは眉根を寄せて睨みを利かせてくる。
 そりゃだってなぁ、あのハルヒから絶対に口にしないであろう言葉が出てくれば、こっちだって言葉の理解を正確に理解しようと思考に身体活動のエネルギーを注力してしまうのは当然だ。
「別にいいのよ、嫌なら。与えられた権利を放棄するもしないもあんたの自由だもの。あたしだってね、別に奢りたいわけじゃないし。ただ団の規律を守るためには仕方ないでしょ?」
 それは何だ、暗に辞退しろと言ってるんだろうか。自分で奢ると言っといて、本音としては奢ることはノーサンキューとでも言うつもりか。
 冗談じゃない。せっかくのこの機会を、みすみすドブに捨てる物好きがどこにいる。日頃の鬱憤も込めて満漢全席を出されようが残さず食い尽くしてやろうじゃないか。
「店はこっちで選んでいいんだよな」
「まったくがめついわね。まぁいいわ。時間もちょうど夕飯時だし。それじゃとっとと行きましょ」
 とは言っても、俺だって鬼じゃない。日頃のこともあるが、だからといって高校生には手の届かないような高級店を選ぶわけもなく、俺とハルヒはファミレスをちょっと豪華にした程度の飲食店で腹を満たすことになった。
 ちなみに、帰り際に「財布を忘れた」と白々しく言い放つハルヒに代わって、俺がすべて支払うことになった。
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★無題
NAME: Miza
つまりハルヒはキョン君と2人っきりで食事がしたかったというわけですね!w

夏コミは残念ですが委託されるならぜひ立ち寄りますう
2009/06/09(Tue)10:18:29 編集
つまりそういうお話だったのさー、というわけです。

なんというか、コミケはホントに縁がありませんねぇ。次回はどうしようかなぁと考えてしまいます、はい。
【2009/06/09 23:00】
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