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DATE : 2017/12/19 (Tue)
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DATE : 2008/07/07 (Mon)
七夕は全国的に曇り空が通例デス。

それはともかく七夕といえば、ハルヒ界隈では笹の葉ラプソディということであり、公式でも何かしらの動きがあるんじゃないかなーと思ってる人はけっこういそうです。

それはそれとして、やはりここはひとつ、笹の葉というか七夕をテーマに何か短篇でも書いた方がいいのかと思いましたが、これといったネタも思い浮かばず、そもそも「そういや今日って七夕か」と気付いたのが前日夕方以降ということもあって、潔く断念しようよ思います。

というか、最近はずっと長篇ばかりで短篇の書き方忘れちゃってますよ。狙ったページ数で話が収まらずに大変でごわす。

ではまた。

前回はこちら
喜緑江美里の策略:13

 逃げ出した朝倉を追い掛けて外に飛び出せば、時間も時間なだけあって、すっかり暗くなっていた。
 サラリーマンの帰宅時間にぶつかる頃合いだからか、人影はそれなりにある。さらに場所が繁華街にほど近いこともあって、こんな人通りの多い場所で本能の赴くままとしか表現できない朝倉が解き放たれたのかと思うと、正直背筋が冷たくなった。
 まさか無差別に人を襲ってたりしないよな……なんて不吉な考えが脳裏を過ぎったが、喜緑さんの見解では俺だから殺しに掛かってくるのであって、無関係な一般人にまで襲いかかることはない、らしい。
 なんという迷惑この上ないヤツだ。そりゃ他のヤツらにしてみれば身の安全が保障されて一安心だろうが、唯一の攻撃対象になっている俺にしてみれば洒落にならない。
 どうやら今の朝倉は、親玉の情報統合思念体が管理しているという『意味記憶』がないおかげで、情報操作という反則技が使えないらしい。いざとなったら俺でもなんとか押さえつけられるだろう。
 どっちにしろ、大事になる前に確保しておきたい……んだが、ったく、どこに行ったんだあいつは? なまじ思い出もないらしいから、どこにいるのか見当さえ付かない。
 せわしなく周囲を見渡し、人混みをかき分けて雑踏を進む。そんなことをしていながら、ふと思ったんだが……今の状態の朝倉が、こんな人通りの多いところで、ふらふらと一人で歩いていれば、別の意味で目立ちそうな気もする。妙な連中に変なところに連れ込まれていそうでもあるし、警察で保護されているかもしれない。
「キョンくん」
 世の中の善意と悪意のどちらを信じようかと悩んでみたものの、どっちにしろ国家権力の捜査網に頼るのは悪い考えではないような気がしてきた矢先、不意に名を呼ばれて足を止めてしまった。止めてすぐに気がついた。
 本来なら俺は、この時間のここには存在しないはずじゃないか。つまり、他の誰であろうとも遭遇しちゃまずい立場にある。すでにミヨキチと顔を合わせているが、そこまで日々顔を合わせるような相手じゃないってことでギリギリセーフになってるだけだ。
 けれど今は、俺を指して『キョン』などと、八丈島にでも生息しているシカみたいな名称で呼ばれたんだ。ってことは、俺とかなり親しく、なおかつ頻繁に顔を合わせている相手である可能性が極めて高い。
「あっ、待って。わたしです」
 まるで何かしらの犯罪を目撃しつつも関わり合いになりたくないからと、顔を伏せて逃げるように相手を確認せず、その場から立ち去ろうとした……ところで、手を掴んで引き留められた。
 そこまでして俺を引き留めることに、まず驚いた。驚いて相手を見れば、さらに驚きが増した。
「なに……やってるんですか、こんなところで」
 そこにいたのは、朝比奈さんだった。朝比奈さん(大)の方だ。昨日はミヨキチと一緒にいるところで、今度は朝倉を捜している今、こんな短期間で二度も遭遇することになろうとは、誰が予測できたってんだ。俺が心底驚いたのは言うまでもないさ。
「キョンくんの方こそ、周囲をキョロキョロして何をやってたの?」
 それはたぶん、深い意味も何か裏があるわけでもない、ただ純粋に、俺がここで何をしているのか、不思議に思って聞いてきた世間話のそれに等しい問いかけだったんじゃないかと思う。
 それが……何故だろう、今は無性に呆れてしまった。呆れたというよりも、ひどく情けないような気分になった。
 理由なんてわからない。ただ、これが朝比奈さん(大)ではなく他の誰か……朝比奈さん(小)でもいい、まったく同じ態度で同じ台詞を投げかけられても、俺はそこまで落ち込みはしなかっただろう。
「俺が何をしているかって……そんなの、朝比奈さんこそが俺よりもわかってるんじゃないですか? 俺に何をさせたいんですか? 何で俺はこんなことになってるんですか」
 たぶん……と、後付的に思うことなんだが、俺は自分でも思う以上に、置かれている状況が不安で仕方なかったんじゃないかと思う。わけもわからずに今のこの時間まで連れてこられて、何がなんだか理解できずに朝倉を蘇らせようとしていて奔走している。これが正しいのか間違っていることなのかわからず、自分が思う正しいことをやればいいと理解していても、結果がわからない不確かさから不安に思っている。
 ある一時の朝比奈さんと同じだ。自分が何もわからず情けなく思って泣いていたあのときの朝比奈さんは、きっと今の俺と同じような気持ちだったんじゃないだろうか。
 なんてことに後になって気付くのだが、そんなことは今のこのときではハッキリしなかった。
「あ……そ、そうですよね。ごめんなさい。わたし、そういうつもりじゃ……」
 いつもより俺の言葉がキツめに感じたんだろうか、朝比奈さん(大)も少し驚きつつ、それでいて申し訳なさそうに顔を伏せるその姿を前に、俺もふと落ち着きを取り戻して先の考えに至ったわけだ。
 今はどうも朝比奈さん(大)と話をしても、実のある会話になりそうにない。こちらからコンタクトを取る手段がないので次にいつ会えるかもわからず、別れるのは賢い選択ではないと思うのだが、バカな考えでもマシと思える行動を取るのが俺らしいよな。
 第一、今は朝倉だ。あいつを捕まえておかなくちゃならない。
「あ、その朝倉さんのこと……で、なの」
「え……?」
 まさか朝比奈さん(大)の方から朝倉のことを話題に出してくるとは思わなかった。そんなことを話題に出されれば、逃げ出した朝倉を捜すより朝比奈さん(大)の方を優先させざるを得ないじゃないか。
「やっぱり……知ってるんですね? 朝比奈さんは、朝倉のことを……その、どうなるかを」
 けれど、それを話してくれるんだろうか。これから先に起こるであろうそのことを、いつも『禁則事項』の言葉ではぐらかす朝比奈さん(大)がちゃんと教えてくれるのか?
「ここじゃ何だから……どこか別の場所で。ね?」
 話の内容もそうだが、朝比奈さん(大)の口からそんな台詞を言われて断ることが出来る野郎がいたら、そいつは生物学的に『男』という看板を下ろした方がいい。


 別の場所と言われても、どこへ行くでもなく肩を並べて歩くしかない。どこかの飲食店で腰を落ち着けて話をしようにも人の目や耳があり、朝比奈さん(大)との会話は人気のない場所での内緒話が基本だ。
 かといって、いつも使っている公園まで行くにもやや遠い。残されたのは歩きながら話をする以外になく、これなら多少誰かの耳に届いても、断片的な会話では何を言ってるのかわからないはずだ。
「さっき」
 朝比奈さん(大)もそれでいいと判断したのか、こちらから話を促すまでもなく口を開いてくれた。
「あ、さっきと言ってもキョンくんには昨日のことかしら? 吉村さんと一緒にいるところに、わたしがお邪魔したでしょう?」
 確かにそれは日付的に昨日の話だ。それを『さっき』と言うところを見れば、この朝比奈さん(大)は、あの時間に俺たちと別れてすぐにこの時間まで移動してきたんだろう。
 用があると言ってたが、それは今ここにいる俺に会うためだったのか。
「あのときにお邪魔したのは、少し気になることがあったからなの」
「気になった……って?」
 朝比奈さん(大)が俺のことを気に掛けてくれるのは、この上ない喜び上ない話だが、この人が『気になる』のは、どうせ別のところに起因するものだろうさ。そのくらいは学習しているんだよ、俺でもね。
「ほら、今日の……えっと、この時間平面に駐留しているわたしが、コンビニでのことを聞いたの、覚えてる?」
「えー……」
 それは昨日あったことだが、今の俺にとっちゃ時間的には三日は過ぎている話だ。まるで遠い昔のことのように思えるが、確かに日付的には今朝なんだよな。
「それが、気になったことですか?」
「だってあのときのキョンくん、本当に何も知らない素振りを見せるんですもの。コンビニで会った人は、あのときのわたしは間違いなくキョンくんだって思ってました。それで今、ある程度の権限を得て自由に時間移動ができるようになって、そのぅ……ごめんなさい、今になって確かめたくなったの」
「はぁ……」
 つまり……なんだ。昨日、俺がミヨキチと一緒にいるところに朝比奈さん(大)が現れたのは、この時間での思い出──というか気がかり──を確かめたくて、ってことだと、そう言いたいんだろうか。
「うん、あの……切っ掛けはそういうことなんだけど、でもそれでまた気になることができて」
「というと?」
 聞けば朝比奈さん(大)は、少し言い淀むように表情を曇らせ、かと思えば急に立ち止まった。本当に急に立ち止まるものだから、半歩ほど前に進んだ俺は振り向くしかない。
「どうしたんですか?」
「キョンくん、何をしようとしているの?」
「え?」
 そんな台詞が朝比奈さん(大)の口から出てくるとは思わなかった。いつも一緒にいる朝比奈さん(小)ならまだしも、俺たちに何が起こるのかそのすべてを経験しているであろう朝比奈さん(大)が、何故そんなことを聞いてくるのかすぐには理解できない。
「わたしだって、何でもかんでも知っているわけじゃないの。例えば……そうね、キョンくんだって、この時間平面にいるわたしと一緒にいるときのことは何をしているのか知っていると思うけど、そうじゃないときはわからないでしょう? わたしだって、キョンくんが平日の夜に何をしているのか知らないの」
 言われてみれば確かにその通りだ。そんなプライベートのことまで把握されていたんでは、いかに朝比奈さんでも「何やってんだ」と突っ込みたくもなる。
 ただ……今もそうなのか? 今のこの状況でそんなことを聞いてくるなんて、それこそおかしな話じゃないか。
「そう……そうね。それじゃはっきり聞くけど……キョンくん、朝倉さんを蘇らせようとしているの?」
 やっぱり俺が何をしているのか、朝比奈さん(大)は知っている。知っているのは間違いないことであり、なのに真っ直ぐ俺を見つめる視線はいつもよりどこか少し鋭い。
「そういうことになっちまってますが……」
「それを決めたのはキョンくん……ですよね?」
 やけに念押しされている。まるでわかっていることを認めたくないような素振りに、どうも背中がむず痒く感じるのは何故だ。
「何が言いたいんですか?」
「……キョンくん、覚えていますか?」
 どこかしら意を決したように、朝比奈さんが口を開いた。
「過去を変えるのは、その時代に生きる人じゃないとダメなんだって、わたしが言ったこと」
 その言葉は確か……年明けの後、橘か藤原か知らんが、ハカセくん救出……と言うほど大袈裟なもんじゃないと個人的には思うのだが、あの救出劇の後に落ち込んでた朝比奈さん(小)が、どこかしら自虐的に話していたことだったかな。
「だからあのとき、俺を誘ったんでしょう?」
「そうです。未来から来ているわたしには、直接この時代で起きることに干渉することはできません。それがルールだから。唯一できるのは、あのときみたいにその時代の人に協力してもらうか、あるいは……言葉は悪いけれど……利用するか、そうなるように誘導するしかできないの。だから……」
 早口でそこまで口にして、朝比奈さん(大)は深い深いため息で言葉を区切った。
「ごめんなさい、少し……余計なこと、かな。ごめんね、今のことは忘れてください」
「え? いや、あの」
 何か凄く気持ちが悪い。見せようとしているものが見えないような……なんて言うんだ? 白黒はっきりしろと思うような、精神的な気持ちの悪さを感じる。
 言いたいことがあるなら、遠慮せずに言ってくれればいいじゃないか。今まであれこれあったってのに、そんな遠慮をするなんて、いつの時代の朝比奈さんだろうともらしくない。
「わけがわかりませんよ。いったい、」
 俺がそう言いかけた矢先、急に震えだした携帯に気を取られて言葉が途切れてしまった。
「すいません、ちょっと……」
 これは喜緑さんから借りている携帯だ。掛けてくる相手なんて一人しかいない。
「なんすか、今取り込み中なんですけど」
『えっ? あ、ご、ごめんなさい』
 出てみれば、相手は喜緑さんじゃなかった。電話越しだが、その声は──。
「ミヨキチ?」
 そういえば、番号を教えていたっけ。
『すみません、あの、またあとでかけ直しますから……』
「あっ、ああ、いや。大丈夫、そうじゃなくて……あれ?」
 必死に取り繕う俺だが、こういうのがあれか、二兎追う者は一兎をも得ずと言うんだろうか。
 たった今まで目の前にいた朝比奈さん(大)が、わずかに気を逸らした隙にいなくなっていた。どこにもいなかった。

つづく
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NAME: 蔵人
これは朝比奈さんの未来には朝倉がいない、ということなのでしょうか?
それとも逆に朝倉が必要となるのか?
続きが気になります。
URL 2008/07/07(Mon)04:09:44 編集
さて、いったいどっちでしょうか?w
少なくとも、今回キョンくんがやろうとしていることは、かなり無茶な話ではあります。朝比奈さんが心配するのも当然ですね(・∀・)
【2008/07/08 00:10】
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