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DATE : 2024/03/28 (Thu)
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DATE : 2008/07/04 (Fri)
docomoのトップがこんなことを言ってますが、どうなんでしょうね。
そもそも携帯の機能にあれこれ付いてますが、自分のようなフリーで在宅ワーカーだと、秋・冬を目処に開始を予定している新サービスはまるで意味がないんですが。

しかも自分の場合、契約年数が10年を超えちゃってるわけで、利用料金価格をあれこれ打ち出していても、実際にdocomoショップに言って話を聞いたら現状維持が一番お得って言われちゃいました。長期ユーザーへのサービスは何もないんですね。おーけー把握。

そんなdocomoを使い続けている理由は、単に番号がむちゃくちゃわかりやすいからだったりします。番号ポータビリティもあるんですが、これって手続きが面倒っぽいので、他メーカーへの移行もちょっとねぇ。

ま、自分みたいに携帯を酷使してない人間にとってみれば、通話とメールだけで充分なんですよ。だから何を言いたいのかと言うと、妙なサービス始める前に利用料金下げてくれってことだったりします。

ではまた。



前回はこちら
喜緑江美里の策略:12

「如何も何も……」
 これはある種の脅迫じゃないのか? 蘇らせるなら敵対勢力のスパイとして、それが無理ならこの話そのものがなしってのは、あまりにもあんまりな二択だ。おまけにその決断を俺に迫るなんて、どうかしている。
「だいたい、朝倉をスパイにするって……そんな真似をしても、すぐにバレるんじゃないんですか?」
「かもしれません。でも、朝倉さんに万が一はあり得ませんよ」
 やけに自信たっぷりだ。その根拠はなんなんだ?
「あなたも見ていたでしょう? 周防九曜が守ります。彼女は本当にただ、朝倉さんを朝倉さんとして蘇らせたいだけですから。片時も離れなかったことと、蘇らせる算段が整って即時行動に移した姿を見て、よく理解できました。彼女の目的とわたしの目的は同じようで違います」
「違う……って」
 朝倉を蘇らせること。そうじゃないのか?
「いいえ、違います。わたしがしていることは朝倉さんを蘇らせることであり、それはあなたがそう望んだから応じているんです。ただ周防九曜の場合は、朝倉さんを蘇らせて存続させることが目的です。決定的な違いですね」
「……? 意味がよくわからないんですが」
「わかりませんか? わたしが弄している策は『朝倉さんを蘇らせること』その一点に絞られています。その結果、朝倉さんがどのような立場になるか、どのようなことになるかは考慮しておりません。方や周防九曜は、朝倉さんとともに過ごす時間を欲しているんです。仮にこちらの思惑を察していても、朝倉さんとの時間を過ごすためには目をつむり、上に背くことになっても朝倉さんを守るでしょうね」
 この人は……つまり、九曜でさえも自分の手駒として扱おうとしているんだな。あいつの気持ちさえも利用して、自分の思惑通りに事を進めようってわけか。
「彼女の思惑がわたしの策に組み込めることでしたから、組み込んだまでです。向こうも納得しているからこそ、あれほど大事に抱えていた朝倉さんを残して帰ったんじゃないかしら。利害関係の一致というものですよ」
「もし、あいつの思惑が別にあったらどうしてたんですか」
「それならそれで、別の策を弄するだけです。何もわたしは、すべて思惑通りに動くプログラムを組んでいるわけではありません。不測の事態が起こり得ることは多々あることです。それに対応してこそ、上策というものでしょう?」
 口元に薄く笑みを浮かべて、喜緑さんはそう言う。
「そしてこの策を練らせたのはあなたです。だからわたしは、あなたに尋ねているんです」
 さっきとまるで変わらぬ声音で、けれど俺に掛ける重圧はさらに激しさを増して、喜緑さんは問いかけてくる。
「如何なさいますか?」
 まるで悪魔の囁きだ。とても応じられるものではないが、けれどこの人と契約してしまったのは俺であり、その責任を負わなければならないのも事実だ。だから俺が決めなくちゃならない。そのことはわかっている。わかっちゃいるが……だからってこの選択はあんまりじゃないか。
「それは……」
 二者択一。究極の二択だ。どちらかを選べと言うのなら──。
「今すぐに……決めなくちゃならないことですか?」
 ──時間が欲しい。 納得して結論が出せるようになるまでの、悩む時間を与えてくれ。
「悩まなければ結論が出せません?」
「当たり前じゃないですか、そんなこと」
 喜緑さんの物言いに怒鳴ることこそ抑えたものの、脊髄反射で反論すれば……何かを言われたわけじゃないが、それでも何か言い返したくなるような、呆れを通り越した冷ややかな眼差しが向けられている。
「そりゃ……だってそうでしょう!? そんなこと、今すぐに決めろったって無理な話じゃないですか!」
「……わかりました。ただ、かといって悠長に事を構えていられるほど、時間があるわけでもありません。すでに朝倉さんを蘇らせる手はずは整いつつありますので」
 手はず……が、整いつつある、って?
「今、わたしには朝倉さんのパーソナルデータの一部があります」
「え……はっ!?」
 喜緑さんが持ってる……ってことは、それを目の前にある朝倉に入れ込めば、それで話はもう終わるってことなのか?
「一部と言ったじゃないですか。朝倉さんのパーソナルデータは長門さん、情報統合思念体、そして大多数のインターフェースという三系統に分けて保管されています。わたしが入手してきたのは、大多数のインターフェースが共通管理していた……そうですね、人で言えばた非陳述記憶、いわゆる『手続き記憶』と『プライミング』になります」
「手続き記憶……と、プライミング?」
「手続き記憶は俗に言う『体で覚える』記憶ですね。意識せずとも動くような、慣れのことを言います。プライミングは先行する事象が後の行動に影響を及ぼす記憶です。あれですよ、ピザと十回言わせたあとに『ヒジ』の部位名を尋ねても、咄嗟では『ヒザ』と答えてしまう現象のことです。あれも記憶に関わるものですから」
「はぁ……」
「ともかく、この非陳述記憶というのは直感的な動作に関わる記憶なんです。わたしが持つパーソナルデータを移設すれば目を覚まし、感覚的な動作ならできるようになるでしょう。もっとも、それでもまだあなたや周防九曜が知っている朝倉さんとはほど遠いのですが」
 ほど遠かろうが、それを入れれば、少なくとも朝倉が蘇る第一段階はクリアってことになる。なるのだが……。
「あなたがどのような結論を出すにしろ、わたしが持っている朝倉さんのパーソナルデータはこのインターフェースに移設します。いつまでも持ち歩きたくないものですから」
 可も不可もない。今の俺にはどちらとも言えない。止めようと思えば止められたにもかかわらず、俺は喜緑さんが朝倉の額に熱を測るように手を当てている姿を、ただ黙って見ていることしかできなかった。もしかすると、俺がこうやって何も言えずにいることさえも、この人の思惑通りなのかもしれないな、と──。
「そうそう」
 ──考えているところで、喜緑さんが声を掛けてきた。
「この分割されているパーソナルデータ、一刻も早く残りのパーソナルデータを入れなければ、統合できなくなって破損いたしますのでご注意くださいませ」
 ………………。
「ってちょっと! どういうことですか!?」
「そのままの意味ですよ。三つのデータは現状では同一バージョンのデータですが、このインターフェースに非陳述記憶のデータを入れてしまえば、そのデータだけがどんどん成長していきます。他のデータとバージョンが合わずに統合できなくなるのは、当たり前のことですね」
「そんな理屈を聞いてんじゃないですよっ!」
 そういうことなら話は別だ。俺の決断云々の前に、残りのパーソナルデータがそろってから入れ込んでくれ。
 朝倉の額に当てていた喜緑さんの手を慌てて引き離すも、それが間に合ってないのはよくわかる。今まで閉じていた朝倉の目が開き、どこを見るでもなく見ている。
「朝倉……」
「あまり刺激を与えない方がよろしいかと。それも『経験』となり『記憶』となって、残りのパーソナルデータとの齟齬になりかねませんから」
 ご丁寧に説明してくれるが、だからそれ以前の問題として三つそろえてから入れ込んでくれ。ああ、そうさ。言ってやりたいことは山盛りなんだ。
「なんで大事なことを言わず、勝手にやってんですか!」
「その方があなたのためだと判断したからです。いつまでも先延ばしにできる話でもございませんし、タイムリミットがあった方が決断もしやすくなりますでしょう?」
「だからって……」
 いや、わかってる。理屈で言えば喜緑さんの判断はあながち間違いじゃない。事はあまりにも重大すぎる話であり、期限なく先延ばしにしても、一向に答えなんて出てこないのは明らかだ。
 だったらタイムリミットでもあればいいのかもしれないが、それだからって……今さら愚痴っても、もう遅いか。
「そのタイムリミットってのは、いつまでですか」
「残りふたつのパーソナルデータ……つまり、宣言的記憶の『エピソード記憶』と『意味記憶』のどちらかを二十四時間以内にひとつでも入れ込めば、また二十四時間くらいなら猶予ができそうです」
「つまり……最長で四十八時間?」
「ええ、土曜日のこの時間がタイムリミットです。もちろん、早ければ早いに越したことはありませんが」
 土曜日のこの時間……ええと、今は十九時くらいか? それまでに残りふたつのパーソナルデータをそろえなくちゃならなくて……うん? 土曜日?
 そういえば俺は、その土曜日から何者かに無理やり時間遡航させられ、今のこの日にいるんだった。そしてその土曜日には、鶴屋さんの結納が執り行われ、そこで俺は……あれ?
「あの、喜緑さん。俺って土曜日の話をしましたよね?」
「え? ああ、ええ。何者かに今の時間平面まで無理に連れてこられていて、その土曜日には朝倉さんに襲われ……あ」
 気付いたか。ようやく気付いてくれたか。この宇宙人には『忘却』って記憶のシステムがないらしいから、忘れてたなんて言わせない。それとも何か? 忘れていなくても、それが関係することかどうか思い至らなかったから、無視していたとでも? 
 つまりこの朝倉が、土曜日に俺を襲う朝倉とイコールで結ばれる存在であるのなら──。
「ぅげぇっ!」
 いきなり襟首を掴まれて、喉が絞められるほどの勢いで引き倒された。誰がそんな真似をしてくれやがったのかは言うまでもなく、あろうことか俺を引き倒した張本人の朝倉は、俺の上に馬乗りになって首に手を掛けてきやがった。
 情報操作とか、妙な力を使わないだけまだマシ……なわけがない。手加減なしの力に、こっちも本気で振り払わなければ命が危ないと本能的に思ったんだろう。力任せに朝倉を突き飛ばせば、その勢いに乗じて窓を突き破り、そのまま室外へ逃げ出してしまった。
「だ、大丈夫ですか!?」
 さすがの喜緑さんも驚いている。それ以上に俺は混乱している。どうして何の知識も知恵も思い出さえも持ってないあの朝倉が、いきなり俺の顔を見るや否や首を絞めてくるんだよっ!?
「そのことが朝倉さんにとっての最後の記憶だったから……じゃないかしら?」
「意味がわかりませんよ。げほっ」
「つまり、あなたを殺そうとする意味や理由は『思い出』や『智慧』によるところですが、実際の行動は考えるまでもない『手続き記憶』での肉体的な行動であり、ここにわたしもいるのにあなたを狙ったのは、あなたの姿から『殺さなければ』と連想した『プライミング効果』だから……かしら?」
 そんな無茶苦茶な。無茶苦茶だが、それならそれで土曜日に現れた朝倉が、俺を真っ先に殺しに掛かってきた理由は納得できる。そういう理由があったからこそ、いきなり俺を襲って来た……って。
「じゃあ土曜日に俺が襲われたのも、人の制止も聞かずにパーソナルデータをあの朝倉に入れ込んだ喜緑さんのせいじゃないですか!」
「驚きの事実ですね」
 ……なぁ、そろそろ本気でこの人に怒鳴りつけたいところなんだが、ちゃんと聞いてくれると思うか?
「ともかく」
 聞く気はないらしい。
「ともかく! どうやら歴史上では土曜日まで無事のようですが、どこでねじれが生じるかわかりません。捕まえておかないと」
「俺も行きますよ」
 息苦しさの残る俺も、このままゲホゲホ咳き込んでいる場合じゃない。喜緑さん一人で捜すより、俺も捜した方がいい。何よりあいつの狙いが俺なら、俺が出歩いていた方が向こうからも寄って来そうだ。情報操作能力とやらがない今なら、俺でもなんとか押さえ込めるだろう。
 どこまでも面倒かけさせてくれやがるなぁ、朝倉め。

つづく
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★朝倉の明日はどっちだ!
NAME: N・N
策士喜緑さんの本領発揮かと思いきや、何だか意外な方向へ進みそうな予感。
九曜と長門についても気になります。
2008/07/04(Fri)00:15:50 編集
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:朝倉の明日はどっちだ!
喜緑さんはどこから計算通りでどこから天然なのかよくわかりませんw
二人の出番は……さて、どうなることでしょうか。
【2008/07/05 00:12】
★無題
NAME: ながとん
>どこまでも面倒かけさせてくれやがるなぁ、朝倉め。
だが、それがいい。
――でも、このままじゃいくない。(笑)

えみりんのボケは忘れた頃に来るから恐いです。
2008/07/04(Fri)00:18:18 編集
喜緑さんのボケっぷりは油断できませんw
【2008/07/05 00:12】
★無題
NAME: ソウ
ホントにキョンは朝倉とは(ナイフで)切っても切れない縁がありますねww (今度は首締め…。)
まだまだキョンの受難は続きそうだw ふぁいと、お~!w
2008/07/04(Fri)03:12:31 編集
今回のキョンくんは、苦労に苦労を重ねてもらおうかなとw
【2008/07/05 00:13】
★無題
NAME: 蔵人
つまり朝倉の心理に一番深く刻まれてるのはキョン、ということに?それはモテるなあ(笑)
これからどう長門と朝倉の接触へ繋がるか楽しみです。
URL 2008/07/04(Fri)03:57:40 編集
二人の出会いはすでに、って感じですが、長門さんが何をどう思うかがポイントですかねぇ〜。
【2008/07/05 00:14】
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