category: 日記
DATE : 2008/04/05 (Sat)
DATE : 2008/04/05 (Sat)
ちょっと仕事のスケジュールがつまってきまして、かなり時間が取れなくなりそうです。
どのくらい取れないかというと、もし仮に5/3の「涼宮ハルヒの大号令」に当選してサークル参加できることになっても、実際に自分が足を運べるかどうかわからない、という感じでして。
一昨日に話を振られて、初校がGW開けってどんだけってもんです。
今から資料整理してラフ切ってネーム書いて写真撮ってで、約1カ月ですか。うへぇ。
てなわけで、これから先、またぞろSSの更新頻度は下がりそうです。ブログの更新もどうしようかなぁ……書いても「きょうわ、いちにちぢゅうおちごとしてました。えへ☆」とか、そんなことしか書けそうにありませんヨ。
あーうー。
ではまた。
どのくらい取れないかというと、もし仮に5/3の「涼宮ハルヒの大号令」に当選してサークル参加できることになっても、実際に自分が足を運べるかどうかわからない、という感じでして。
一昨日に話を振られて、初校がGW開けってどんだけってもんです。
今から資料整理してラフ切ってネーム書いて写真撮ってで、約1カ月ですか。うへぇ。
てなわけで、これから先、またぞろSSの更新頻度は下がりそうです。ブログの更新もどうしようかなぁ……書いても「きょうわ、いちにちぢゅうおちごとしてました。えへ☆」とか、そんなことしか書けそうにありませんヨ。
あーうー。
ではまた。
前回はこちら
森園生の変心:14
朝比奈さんが見たと言うもう一人の俺と、含みのある喜緑さんの言葉。まったく朝っぱらから妙なことを吹き込まれたわけだが、かといってそう言ってるのがあの二人だから、真に受けるのは如何なものか、とも思う。
朝比奈さんはご存じの通り、頻繁に……もとい、ごく稀に……いや、それでも世の平均と比べれば多い方かもしれんが……ともかく、ハルヒの教育の賜物でドジっ娘スキルが高く、俺を見たと言っても本当に俺なのか疑わしい。というか、それは間違いなく他人のそら似だ。そりゃそうだろう。俺が二人いるわけがない。
方や喜緑さんは、若干考える必要がある。あの人がわざわざ出張ってきて妙なことを言い出したからには、何かしらあるのかもしれない。が、あの人のことだ、何もなくとも暇つぶしに妙なことを突発的にやりかねない。一から十まで信用するのは難しく、話半分、いや三割程度で聞いておくのが無難だろう。
つまり、あの二人が朝っぱらに言っていたことは右から左に聞き流しても問題ない話だと思われる。せいぜい、頭の片隅にとどめておけば、万が一のときに「ああ、このことを言ってたのか」と納得する程度で、仮に忘れていても困らないだろう。
事実、その日は特に何もなかった。ハルヒの機嫌も日に日に元に戻ってきているようだし、昼間の飯時も放課後の団活でも、その後に鶴屋さんを自宅まで送り届けるということでさえも、妙なアクシデントも厄介なイベントもなく、ただただ淡々と過ぎていった。
「ただいまっと」
家に帰宅するころには、すっかり朝にあったことなど忘れている。いや、完全に忘却の彼方に追いやってたわけではないのだが、意識しなければ表層まで出てこない程度には忘れていたってわけだ。
そんなことを思い出させたのは、自分の部屋に戻って制服から私服に着替えようとしていた時に、俺の携帯に掛かってきた一本の電話だった。
『やあ、キョン』
「佐々木か」
着信を見ずに出てしまったが、声を聞いて一発でわかった。
「どうしたんだ。そっちから連絡してくるなんて珍しいな」
『そうかい? キミからこそ、滅多に連絡をしてくれないじゃないか。今は大丈夫なのかな?』
「ちょうど今、帰ってきたところだ。後でいいなら、こっちからかけ直すが」
『それは悪いことをしてしまったかな。だが、急ぎの話でね』
佐々木から急ぎの話……ねぇ。何事もない一日だと思っていたのだが、ここに来てそれが少し揺らいできたか? 出来ることなら有無を言わさず通話をシャットダウンしたいところだが、相手が佐々木じゃそうもいかない。
「何かあったのか?」
『最近どうだい? そっちの様子は』
そんなことを言われて、俺は携帯電話を耳から離してディスプレイに目を向けた。急ぎと言う割には、そんな世間話を振ってくるなんて佐々木らしくない。
「おまえが言う急用ってのは、こっちの様子伺いなのか?」
『キョン、それは少し思慮が足りないな。キミが僕のすべてを理解しているとは言わないが、先に述べた言葉をまるで無視した話を振ると思うかい? キミの日常に変化があるか否か、そのことが火急の用件になっている』
「俺の日常?」
そんなもんは特に何もなく、佐々木がどの程度を把握しているかにも依るが、特に変化はないと結論づけて間違いないだろう。せいぜい──。
「バイトを始めたことくらいか」
『バイト? へぇ、キミがか。どんなことをしてるんだい?』
「執事、かな」
『…………』
なんで黙るんだよ。
『いや、ええっと……そうかい。それはまた、興味深い社会勉強をしているようで何よりだ。僕も時間が取れるのなら、キミの勤め先で一緒に働いてみたいものだよ。となれば、僕はメイドということになるのかな。どう思う?』
佐々木のメイド姿がどうにも想像できないのだが、それでどう思うと問われても、思い浮かばないものは答えようがない。
「それで、それがおまえの急用とどう直結するんだ?」
『いや、今のは単に話が逸れただけさ』
「切っていいか?」
『つれないことを言わないでほしいね。では、用件だけを伝えよう』
ずいぶんと勿体ぶって、ようやく話は本筋に戻ったらしい。佐々木がこぼした言葉は、一日を終えて帰宅したばかりの俺の疲労度をさらに増すものだった。
『どうもここ最近、橘さんが裏でこそこそしているようなんだ』
「橘が?」
『そう、橘さんが。何をしているのか、それは僕にもわからない。問い詰めてみたが、僕やキミには迷惑をかける話ではない、の一点張りでね。嘘を言ってるわけではないと思うが、腑に落ちない』
あいつめ……やっぱり何かたくらんでいるのか? 昨日、俺の前に姿を現したときも胡散臭さは五割り増しだったが……佐々木から話を先に聞いていれば、もっと問い詰めることもできたんだが、タイミングが悪すぎだ。
『そうか、すでにキミの前にも顔を出していたのか』
「確かに俺やハルヒに迷惑をかける話じゃない、とは言っていたが」
『その点は信用していいんじゃないかな? 先の件もあるし、今さら何かを表立ってするとは思えない。諦めているわけではないが、機は今ではない。そんな愚行を犯すほど、彼女も愚かではないよ』
「だといいんだがな」
『もし、彼女が僕にまで嘘を吐いて何かをたくらんでいるのだとしても、言葉が通じる相手だ。僕の責任において、キミに直接的な被害が及ぶのだけは食い止めると約束するよ』
「約束は守るためにあるんだぜ?」
『わかっているさ。破ることになれば、それなりのペナルティは払うよ。そうだな……キミの苦手教科を克服するために、じっくり指導してもかまわない』
それはどっちのペナルティになってんだ? 勘弁してくれ。
『ともかく、橘さんが裏で暗躍しているのは間違いない。それについては僕の方でなんとかしたいと思う。ただ問題なのは……そこに九曜さんまで巻き込んでいる可能性が高い』
「……どういうことだ?」
俺の見立てでは、九曜がそこまで橘に協力的には見えない。その逆ならあり得るかもしれないが、九曜から橘に手を貸しているとでも?
『どうだろう。キミが言うように、九曜さんが何かしようとしていることを橘さんが利用しているのかもしれない。あるいは結託したのかもしれない。そこまで僕も把握しているわけではないが、九曜さんの様子もここ最近、どこかおかしい』
「おかしいって?」
『気もそぞろ、と言う感じかな。何かに気を取られているようだ』
「九曜も、か?」
佐々木が九曜に対する認識は、俺やハルヒが長門を見ている目と近いものがある。その佐々木をして、九曜の様子が『気もそぞろ』と言うのであれば、俺がここ最近、長門に抱いている違和感と通じるものがありそうだ。
『それはなかなか興味深い話ではあるね。長門さんと言えば、九曜さんと似たような人物だったと認識しているが……そういう言い方は失礼かな?』
長門と九曜を一緒にするな、と言いたいところではあるが、それは俺の判断価値であり、他の連中からしてみれば同列に見えてしまうんだろう。そのことで今は怒っている場合でもない。
『ともかく、キミには少し注意してもらいたいと思ってね。こんな連絡をしたわけさ』
「そっちでなんとかしてくれ。俺を巻き込むなよ」
『もちろん、できることなら僕で食い止めるさ。これ以上、キミに嫌われてしまうのは本意ではないのでね。ただ、橘さんだけならなんとかなるが、そこに九曜さんまで加わるとなれば、話は変わってくる。彼女は少し、特殊だからね』
それはわかっちゃいるが。
「念のために聞いておくが、藤原はどうしてる?」
『彼ならここ最近、姿を見てないな』
そりゃよかった。ここに藤原まで絡んできたら、さすがにお手上げだ。もっとも、もし佐々木が危惧しているように橘と九曜が結託して何かたくらんでいるのなら、それだけでも勘弁してほしいところだけどな。
『ではキョン、くれぐれも注意してくれたまえ。できることなら、彼女たちが何かしでかしても、可愛らしい乙女のジョークだと思って笑い飛ばしてくれ』
乙女というのは、もしや橘と九曜のことを言ってるのか? だとしたら、それこそしょーもないジョークだ。
「だったらおまえに怒ればいいのか?」
『あまりいじめないで欲しいな。こう見えても、僕だって繊細なんだよ』
などと言いながら声を殺して笑う佐々木の態度を前に、怒るには気をそがれたような気がする。事前に連絡したのは、そういうことか?
『そこまで打算的に思われるのは心外だね。僕はキミのことを心配しているんだよ』
「そりゃどうも」
『では、夜分に済まなかったね。また』
「ああ」
そんな言葉を最後に、佐々木との通話は切られた。
携帯をベッドの上に投げ捨てて、自然に溜息がこぼれ落ちるのも仕方がない。あんな話をされた後では、誰だってそうなるだろうさ。
まったく、とんでもない話を聞かされたもんだ。橘と九曜が結託だって? いったい何をしでかすつもりだ、あいつらは。
もしやそれは、朝比奈さんが見たという俺のドッペルゲンガーと絡んでる話じゃないだろうな? はたまた喜緑さんが振ってきた話とも関係あるのか?
何がどこでどう絡んで、どの話がどう関係してるんだ?
まるでわからん。予想もできないし、想像もできん。佐々木も、あんな電話をしてきたのはいいが、俺は何をどう気をつければいいんだ?
難問を吹っ掛けられて答え合わせをさせてもらえない気分だ。しかもその難問が、難しい話だとわかっているだけで、どんな問題なのかさえ、さっぱりわからんときている。
俺は何をどうすればいいんだ? 何ができる?
なにもありゃしない。俺ができることは、目の前に降りかかった出来事に全力で取り組むだけだ。それ以外のことは、どうしようもないじゃないか。
だから。
「やれやれ」
今はせいぜい、そんな常套句しか言えないわけだよ。
つづく
森園生の変心:14
朝比奈さんが見たと言うもう一人の俺と、含みのある喜緑さんの言葉。まったく朝っぱらから妙なことを吹き込まれたわけだが、かといってそう言ってるのがあの二人だから、真に受けるのは如何なものか、とも思う。
朝比奈さんはご存じの通り、頻繁に……もとい、ごく稀に……いや、それでも世の平均と比べれば多い方かもしれんが……ともかく、ハルヒの教育の賜物でドジっ娘スキルが高く、俺を見たと言っても本当に俺なのか疑わしい。というか、それは間違いなく他人のそら似だ。そりゃそうだろう。俺が二人いるわけがない。
方や喜緑さんは、若干考える必要がある。あの人がわざわざ出張ってきて妙なことを言い出したからには、何かしらあるのかもしれない。が、あの人のことだ、何もなくとも暇つぶしに妙なことを突発的にやりかねない。一から十まで信用するのは難しく、話半分、いや三割程度で聞いておくのが無難だろう。
つまり、あの二人が朝っぱらに言っていたことは右から左に聞き流しても問題ない話だと思われる。せいぜい、頭の片隅にとどめておけば、万が一のときに「ああ、このことを言ってたのか」と納得する程度で、仮に忘れていても困らないだろう。
事実、その日は特に何もなかった。ハルヒの機嫌も日に日に元に戻ってきているようだし、昼間の飯時も放課後の団活でも、その後に鶴屋さんを自宅まで送り届けるということでさえも、妙なアクシデントも厄介なイベントもなく、ただただ淡々と過ぎていった。
「ただいまっと」
家に帰宅するころには、すっかり朝にあったことなど忘れている。いや、完全に忘却の彼方に追いやってたわけではないのだが、意識しなければ表層まで出てこない程度には忘れていたってわけだ。
そんなことを思い出させたのは、自分の部屋に戻って制服から私服に着替えようとしていた時に、俺の携帯に掛かってきた一本の電話だった。
『やあ、キョン』
「佐々木か」
着信を見ずに出てしまったが、声を聞いて一発でわかった。
「どうしたんだ。そっちから連絡してくるなんて珍しいな」
『そうかい? キミからこそ、滅多に連絡をしてくれないじゃないか。今は大丈夫なのかな?』
「ちょうど今、帰ってきたところだ。後でいいなら、こっちからかけ直すが」
『それは悪いことをしてしまったかな。だが、急ぎの話でね』
佐々木から急ぎの話……ねぇ。何事もない一日だと思っていたのだが、ここに来てそれが少し揺らいできたか? 出来ることなら有無を言わさず通話をシャットダウンしたいところだが、相手が佐々木じゃそうもいかない。
「何かあったのか?」
『最近どうだい? そっちの様子は』
そんなことを言われて、俺は携帯電話を耳から離してディスプレイに目を向けた。急ぎと言う割には、そんな世間話を振ってくるなんて佐々木らしくない。
「おまえが言う急用ってのは、こっちの様子伺いなのか?」
『キョン、それは少し思慮が足りないな。キミが僕のすべてを理解しているとは言わないが、先に述べた言葉をまるで無視した話を振ると思うかい? キミの日常に変化があるか否か、そのことが火急の用件になっている』
「俺の日常?」
そんなもんは特に何もなく、佐々木がどの程度を把握しているかにも依るが、特に変化はないと結論づけて間違いないだろう。せいぜい──。
「バイトを始めたことくらいか」
『バイト? へぇ、キミがか。どんなことをしてるんだい?』
「執事、かな」
『…………』
なんで黙るんだよ。
『いや、ええっと……そうかい。それはまた、興味深い社会勉強をしているようで何よりだ。僕も時間が取れるのなら、キミの勤め先で一緒に働いてみたいものだよ。となれば、僕はメイドということになるのかな。どう思う?』
佐々木のメイド姿がどうにも想像できないのだが、それでどう思うと問われても、思い浮かばないものは答えようがない。
「それで、それがおまえの急用とどう直結するんだ?」
『いや、今のは単に話が逸れただけさ』
「切っていいか?」
『つれないことを言わないでほしいね。では、用件だけを伝えよう』
ずいぶんと勿体ぶって、ようやく話は本筋に戻ったらしい。佐々木がこぼした言葉は、一日を終えて帰宅したばかりの俺の疲労度をさらに増すものだった。
『どうもここ最近、橘さんが裏でこそこそしているようなんだ』
「橘が?」
『そう、橘さんが。何をしているのか、それは僕にもわからない。問い詰めてみたが、僕やキミには迷惑をかける話ではない、の一点張りでね。嘘を言ってるわけではないと思うが、腑に落ちない』
あいつめ……やっぱり何かたくらんでいるのか? 昨日、俺の前に姿を現したときも胡散臭さは五割り増しだったが……佐々木から話を先に聞いていれば、もっと問い詰めることもできたんだが、タイミングが悪すぎだ。
『そうか、すでにキミの前にも顔を出していたのか』
「確かに俺やハルヒに迷惑をかける話じゃない、とは言っていたが」
『その点は信用していいんじゃないかな? 先の件もあるし、今さら何かを表立ってするとは思えない。諦めているわけではないが、機は今ではない。そんな愚行を犯すほど、彼女も愚かではないよ』
「だといいんだがな」
『もし、彼女が僕にまで嘘を吐いて何かをたくらんでいるのだとしても、言葉が通じる相手だ。僕の責任において、キミに直接的な被害が及ぶのだけは食い止めると約束するよ』
「約束は守るためにあるんだぜ?」
『わかっているさ。破ることになれば、それなりのペナルティは払うよ。そうだな……キミの苦手教科を克服するために、じっくり指導してもかまわない』
それはどっちのペナルティになってんだ? 勘弁してくれ。
『ともかく、橘さんが裏で暗躍しているのは間違いない。それについては僕の方でなんとかしたいと思う。ただ問題なのは……そこに九曜さんまで巻き込んでいる可能性が高い』
「……どういうことだ?」
俺の見立てでは、九曜がそこまで橘に協力的には見えない。その逆ならあり得るかもしれないが、九曜から橘に手を貸しているとでも?
『どうだろう。キミが言うように、九曜さんが何かしようとしていることを橘さんが利用しているのかもしれない。あるいは結託したのかもしれない。そこまで僕も把握しているわけではないが、九曜さんの様子もここ最近、どこかおかしい』
「おかしいって?」
『気もそぞろ、と言う感じかな。何かに気を取られているようだ』
「九曜も、か?」
佐々木が九曜に対する認識は、俺やハルヒが長門を見ている目と近いものがある。その佐々木をして、九曜の様子が『気もそぞろ』と言うのであれば、俺がここ最近、長門に抱いている違和感と通じるものがありそうだ。
『それはなかなか興味深い話ではあるね。長門さんと言えば、九曜さんと似たような人物だったと認識しているが……そういう言い方は失礼かな?』
長門と九曜を一緒にするな、と言いたいところではあるが、それは俺の判断価値であり、他の連中からしてみれば同列に見えてしまうんだろう。そのことで今は怒っている場合でもない。
『ともかく、キミには少し注意してもらいたいと思ってね。こんな連絡をしたわけさ』
「そっちでなんとかしてくれ。俺を巻き込むなよ」
『もちろん、できることなら僕で食い止めるさ。これ以上、キミに嫌われてしまうのは本意ではないのでね。ただ、橘さんだけならなんとかなるが、そこに九曜さんまで加わるとなれば、話は変わってくる。彼女は少し、特殊だからね』
それはわかっちゃいるが。
「念のために聞いておくが、藤原はどうしてる?」
『彼ならここ最近、姿を見てないな』
そりゃよかった。ここに藤原まで絡んできたら、さすがにお手上げだ。もっとも、もし佐々木が危惧しているように橘と九曜が結託して何かたくらんでいるのなら、それだけでも勘弁してほしいところだけどな。
『ではキョン、くれぐれも注意してくれたまえ。できることなら、彼女たちが何かしでかしても、可愛らしい乙女のジョークだと思って笑い飛ばしてくれ』
乙女というのは、もしや橘と九曜のことを言ってるのか? だとしたら、それこそしょーもないジョークだ。
「だったらおまえに怒ればいいのか?」
『あまりいじめないで欲しいな。こう見えても、僕だって繊細なんだよ』
などと言いながら声を殺して笑う佐々木の態度を前に、怒るには気をそがれたような気がする。事前に連絡したのは、そういうことか?
『そこまで打算的に思われるのは心外だね。僕はキミのことを心配しているんだよ』
「そりゃどうも」
『では、夜分に済まなかったね。また』
「ああ」
そんな言葉を最後に、佐々木との通話は切られた。
携帯をベッドの上に投げ捨てて、自然に溜息がこぼれ落ちるのも仕方がない。あんな話をされた後では、誰だってそうなるだろうさ。
まったく、とんでもない話を聞かされたもんだ。橘と九曜が結託だって? いったい何をしでかすつもりだ、あいつらは。
もしやそれは、朝比奈さんが見たという俺のドッペルゲンガーと絡んでる話じゃないだろうな? はたまた喜緑さんが振ってきた話とも関係あるのか?
何がどこでどう絡んで、どの話がどう関係してるんだ?
まるでわからん。予想もできないし、想像もできん。佐々木も、あんな電話をしてきたのはいいが、俺は何をどう気をつければいいんだ?
難問を吹っ掛けられて答え合わせをさせてもらえない気分だ。しかもその難問が、難しい話だとわかっているだけで、どんな問題なのかさえ、さっぱりわからんときている。
俺は何をどうすればいいんだ? 何ができる?
なにもありゃしない。俺ができることは、目の前に降りかかった出来事に全力で取り組むだけだ。それ以外のことは、どうしようもないじゃないか。
だから。
「やれやれ」
今はせいぜい、そんな常套句しか言えないわけだよ。
つづく
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[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
いやー、百聞は一見にしかずと言いますし、事細かに描写したところでビジュアルで見た方がいいんじゃないかと。
願えばきっと、佐々木さん描きの偉い人が描いてくれるかもしれませんヨ。あるいは、探せばどこかですでに描かれているかも! 見つけたら、ご一報クダサイ。
願えばきっと、佐々木さん描きの偉い人が描いてくれるかもしれませんヨ。あるいは、探せばどこかですでに描かれているかも! 見つけたら、ご一報クダサイ。
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
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