category: 日記
DATE : 2007/03/17 (Sat)
DATE : 2007/03/17 (Sat)
2007年のF1が明日、開幕決勝。去年でシューマッハ(兄)が引退して、アロンソはメルセデスに移籍して、なかなか混迷したレースになりそうな感じです。
やっぱり、こういうのは1チームが飛び抜けているより、各チームの力が拮抗していた方が見ていて楽しいです。ピットで順位が入れ替わるよりも、コーナーで抜くか抜かれるかの勝負が楽しい、みたいな。
それにしてもHONDAのマシンですが……これは凄い。こんなカラーリングで許されるんでしょうか? こうなったら何でもアリですね。
ともかく、やはり日本人なので、HONDAやトヨタ、スーパーアグリに頑張ってもらいたいもんですね。
そんなとりとめもない感じで。
今日は喜緑さんです。
やっぱり、こういうのは1チームが飛び抜けているより、各チームの力が拮抗していた方が見ていて楽しいです。ピットで順位が入れ替わるよりも、コーナーで抜くか抜かれるかの勝負が楽しい、みたいな。
それにしてもHONDAのマシンですが……これは凄い。こんなカラーリングで許されるんでしょうか? こうなったら何でもアリですね。
ともかく、やはり日本人なので、HONDAやトヨタ、スーパーアグリに頑張ってもらいたいもんですね。
そんなとりとめもない感じで。
今日は喜緑さんです。
前回はこちら
【週刊喜緑江美里】
不自然ささえ感じるほどの闇に包まれた世界は、音もなく、街灯りもありません。空を見上げれば星はなく、ただ丸い月が青紫色に煌々と輝いているだけ。そして何よりわたしを戸惑わせたのは、情報統合思念体との連結ができない、ということです。
かつて長門さんが雪山で隔離されたときの情報を得ていますから、それに類することかと最初は考えました。けれど、何かおかしいんですよね。
長門さんの報告によれば、インターフェースが情報統合思念体との接続を強制的に遮断された場合、その処理機能の低下によって無理な情報介入行動を行えばオーバーロード状態に陥る、とありました。それがどういう状態なのかと言えば、今のわたしのように他の情報に介入し改ざんすることができなくなっている状況、だと思われます。言うなれば、普通の人と同じような状態なんです。
でも、その異常事態にあって、わたしのインターフェースにはまったく異常が見受けられません。平熱ですし、あれほどまでに強かった睡魔も、今ではすっきり消え去っていて……どちらかというと、気分的には爽やかな状態です。
これは敵性勢力による攻撃と判断するべきでしょうか。けれど、何故わたしを狙うのか、その理由がまったく見当が付きません。
それにこの場所。
目が覚めたとき、すぐにはどこかわかりませんでしたけれど、ここって学校じゃないですか。しかも、人の気配がまるでない廃校舎みたいです。
なんでわたし……自分の住まいから学校まで、そんな近いわけじゃありません。自分が猛烈な眠気に襲われて眠りについたことは覚えています。ですが、学校までやってきた覚えはありません。眠っている間に移動した……なんて、夢遊病じゃあるまいし。
困りましたね。ええ、本当に困ってるんです。情報統合思念体との連結も断たれ、能力も使えない。おまけに人の気配がまるでない。唯一の救いはインターフェースに異常が見られないということ。
お手上げですね。なので、こうなったら長門さんに助けを求めようかと思うんですけれど……でもあの人がわたしを助けてくれるのかしら。
まぁ、悩んでいても仕方ありません。
わたしは目の前の学校へ向かいました。近付いても灯り一つ見えません。非常灯さえ点いていないのは、やっぱりおかしいことです。
校門は閉ざされていませんでした。閉ざされていればよじ登らなければならなかっただけに有り難いですけれど、そんな些細なことで感謝しても仕方ありません。
窓やドアにはすべて鍵がかけられていたので、仕方なくガラスを割って中に入ります。力が使えればこんなことをせずに済むのですけれど……こんな真似をするなんて、わたしのキャラじゃありませんよ。
「はぁ~……」
ため息をひとつ、校内に忍び込むことができたわたしは、その足で職員室へ向かいました。どれでもいいので電話を手に取って受話器を耳に当てると……ウンともスンとも言いません。やっぱり、どこにも連絡が取れないみたいです。
この場所……もしかすると、閉鎖空間なんでしょうか。そこがどういった場所であるのか、実際には体験していませんが、情報として存じています。周囲の状況とわたしが知っている閉鎖空間の情報を照らし合わせて考えてみても、敵性勢力が作り出した異常空間よりは、涼宮さんが作り出した閉鎖空間と考えた方が、符号する点も多いですし。
でも、それなら何故、わたしが閉鎖空間に迷い込んでいるんでしょう? もし涼宮さんが閉鎖空間を発現させているのだとしたら、ここには古泉さんを始めとする『機関』の方達がいて然るべきです。
でも、そんな人たちはどこにもいませんでした。そもそも、わたしが閉鎖空間に引きずり込まれなければならない理由がわかりません。
わたしと涼宮さんは、それほど深い接点がないじゃないですか。ここ最近、会話を交わしたのだって……一昨日くらいでしょうか、学校で朝比奈さんの忘れ物を届けたときくらいです。話した内容も、涼宮さんがパソコンで夢診断のホームページを探していたときに、ちょっとからかったくらいで。
……え? もしかして、それが原因なんですか? わたしはただ、涼宮さんが覚えていない夢を指して「前世の記憶」云々と言っていたから「理論的ではないですね」と、ちょっとからかっただけですのに。
もしかして、そのことで涼宮さんが怒ったのだとしたら、それが原因……なら、わたしはここから出ることが、
ジリリリリリリリリリーーーーーーーーーン!
「ひゃうっ!」
突然。もう、本当に突然です。
ほぼ無音の状況から音量最大のボリュームで、職員室にある電話という電話が一斉に鳴り出しました。驚いたなんてものじゃないですよ。腰が砕けるかと思いました。
……どうして電話が鳴ってるんでしょう。先ほど、受話器を耳に当てたときはビジー音すら聞こえなかったのに。
それなのにどうして電話が。
「…………」
驚き、戸惑い、呆然としている間も、ずっと電話は鳴り続けています。少なくとも幻聴ではなく、本当に電話が鳴っていました。
どうしましょう……出るべきなんでしょうか。電話がかかってくるなんて、ならここは閉鎖空間じゃないんですか? もう、さっぱりわかりません。
正直に言います。
もう、凄く不安なんです。どうして自分がこんな気持ちになっているのか分かりませんけれど、泣き出したい気分です。
そんな気持ちのまま、いつまで経っても鳴り止まない電話を前に、わたしはおそるおそる手を差し出しました。その手が、震えています。自分でも見て気づいたくらいで。
「はい……もしもし」
受話器を取り、耳に当てて。口の中が乾いているような気分を味わいながら、なんとか声を絞り出しました。もしこれで聞こえて来るのが、ホラー映画みたいな低くてひび割れた声だったら、卒倒していたかもしれません。
でも、聞こえてきたのは、
『ああ、よかった。ようやく繋がったわ』
わたしの今の気分とは真逆の、危機感も緊張感もない声でした。
〆
【週刊喜緑江美里】
不自然ささえ感じるほどの闇に包まれた世界は、音もなく、街灯りもありません。空を見上げれば星はなく、ただ丸い月が青紫色に煌々と輝いているだけ。そして何よりわたしを戸惑わせたのは、情報統合思念体との連結ができない、ということです。
かつて長門さんが雪山で隔離されたときの情報を得ていますから、それに類することかと最初は考えました。けれど、何かおかしいんですよね。
長門さんの報告によれば、インターフェースが情報統合思念体との接続を強制的に遮断された場合、その処理機能の低下によって無理な情報介入行動を行えばオーバーロード状態に陥る、とありました。それがどういう状態なのかと言えば、今のわたしのように他の情報に介入し改ざんすることができなくなっている状況、だと思われます。言うなれば、普通の人と同じような状態なんです。
でも、その異常事態にあって、わたしのインターフェースにはまったく異常が見受けられません。平熱ですし、あれほどまでに強かった睡魔も、今ではすっきり消え去っていて……どちらかというと、気分的には爽やかな状態です。
これは敵性勢力による攻撃と判断するべきでしょうか。けれど、何故わたしを狙うのか、その理由がまったく見当が付きません。
それにこの場所。
目が覚めたとき、すぐにはどこかわかりませんでしたけれど、ここって学校じゃないですか。しかも、人の気配がまるでない廃校舎みたいです。
なんでわたし……自分の住まいから学校まで、そんな近いわけじゃありません。自分が猛烈な眠気に襲われて眠りについたことは覚えています。ですが、学校までやってきた覚えはありません。眠っている間に移動した……なんて、夢遊病じゃあるまいし。
困りましたね。ええ、本当に困ってるんです。情報統合思念体との連結も断たれ、能力も使えない。おまけに人の気配がまるでない。唯一の救いはインターフェースに異常が見られないということ。
お手上げですね。なので、こうなったら長門さんに助けを求めようかと思うんですけれど……でもあの人がわたしを助けてくれるのかしら。
まぁ、悩んでいても仕方ありません。
わたしは目の前の学校へ向かいました。近付いても灯り一つ見えません。非常灯さえ点いていないのは、やっぱりおかしいことです。
校門は閉ざされていませんでした。閉ざされていればよじ登らなければならなかっただけに有り難いですけれど、そんな些細なことで感謝しても仕方ありません。
窓やドアにはすべて鍵がかけられていたので、仕方なくガラスを割って中に入ります。力が使えればこんなことをせずに済むのですけれど……こんな真似をするなんて、わたしのキャラじゃありませんよ。
「はぁ~……」
ため息をひとつ、校内に忍び込むことができたわたしは、その足で職員室へ向かいました。どれでもいいので電話を手に取って受話器を耳に当てると……ウンともスンとも言いません。やっぱり、どこにも連絡が取れないみたいです。
この場所……もしかすると、閉鎖空間なんでしょうか。そこがどういった場所であるのか、実際には体験していませんが、情報として存じています。周囲の状況とわたしが知っている閉鎖空間の情報を照らし合わせて考えてみても、敵性勢力が作り出した異常空間よりは、涼宮さんが作り出した閉鎖空間と考えた方が、符号する点も多いですし。
でも、それなら何故、わたしが閉鎖空間に迷い込んでいるんでしょう? もし涼宮さんが閉鎖空間を発現させているのだとしたら、ここには古泉さんを始めとする『機関』の方達がいて然るべきです。
でも、そんな人たちはどこにもいませんでした。そもそも、わたしが閉鎖空間に引きずり込まれなければならない理由がわかりません。
わたしと涼宮さんは、それほど深い接点がないじゃないですか。ここ最近、会話を交わしたのだって……一昨日くらいでしょうか、学校で朝比奈さんの忘れ物を届けたときくらいです。話した内容も、涼宮さんがパソコンで夢診断のホームページを探していたときに、ちょっとからかったくらいで。
……え? もしかして、それが原因なんですか? わたしはただ、涼宮さんが覚えていない夢を指して「前世の記憶」云々と言っていたから「理論的ではないですね」と、ちょっとからかっただけですのに。
もしかして、そのことで涼宮さんが怒ったのだとしたら、それが原因……なら、わたしはここから出ることが、
ジリリリリリリリリリーーーーーーーーーン!
「ひゃうっ!」
突然。もう、本当に突然です。
ほぼ無音の状況から音量最大のボリュームで、職員室にある電話という電話が一斉に鳴り出しました。驚いたなんてものじゃないですよ。腰が砕けるかと思いました。
……どうして電話が鳴ってるんでしょう。先ほど、受話器を耳に当てたときはビジー音すら聞こえなかったのに。
それなのにどうして電話が。
「…………」
驚き、戸惑い、呆然としている間も、ずっと電話は鳴り続けています。少なくとも幻聴ではなく、本当に電話が鳴っていました。
どうしましょう……出るべきなんでしょうか。電話がかかってくるなんて、ならここは閉鎖空間じゃないんですか? もう、さっぱりわかりません。
正直に言います。
もう、凄く不安なんです。どうして自分がこんな気持ちになっているのか分かりませんけれど、泣き出したい気分です。
そんな気持ちのまま、いつまで経っても鳴り止まない電話を前に、わたしはおそるおそる手を差し出しました。その手が、震えています。自分でも見て気づいたくらいで。
「はい……もしもし」
受話器を取り、耳に当てて。口の中が乾いているような気分を味わいながら、なんとか声を絞り出しました。もしこれで聞こえて来るのが、ホラー映画みたいな低くてひび割れた声だったら、卒倒していたかもしれません。
でも、聞こえてきたのは、
『ああ、よかった。ようやく繋がったわ』
わたしの今の気分とは真逆の、危機感も緊張感もない声でした。
〆
PR
忍者ブログ [PR]