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DATE : 2007/03/16 (Fri)
amazonを覗いてみたら予約が始まってました。

涼宮ハルヒの分裂

発売日予定日は3/31ですか。って土曜日ですね。これってもしかすると、30日くらいには、書店に並んでいそうな気がします。

しかし、こうやって二次創作のSSを書いてる場合、新刊の内容をどのタイミングで反映させればいいのか悩みますね。発売翌日には新刊の内容を反映させたSS載せても、ネタバレいやーん、ってなっちゃいますし。

さて、どうしたものか。しばらく様子見にしたほうがいいのかしらん。

なんてことは、新刊出てからにしときましょう。


ともあれ。
今日は朝倉さんの出番であります。

前回はこちら
【週刊朝倉涼子】

 今のわたしの気分を一言で表せば、それはたぶん、不機嫌ってことになると思うの。少なくとも、もうすぐ放課後で帰りにスイーツでも食べて帰ろうかなーって考えている時みたいな、ルンルン気分じゃないことは確かね。
「あのさ」
 そっちから誘ったって言うのに、わたしのことなんかそっちのけで窓の外に目を向けている同乗者に声をかける。
「何が悲しくてわたしたち、女の子同士で観覧車になんか乗ってるのかな?」
「あら、よろしいじゃありませんか」
 窓の外を眺めたままで、喜緑さんは悪びれた様子もなくそう言った。その視線は、観覧車に乗ってから一度としてわたしの方に向けられていない。ずーっと窓の外で、なんだろう、視線を辿れば、どうも園内を見ているみたい。そんな楽しいものでもあるのかしらね。
「ええ、楽しいですよ。けっこう高いですから、ほら、人がゴミみたいに……うふふ」
 ……喜緑さん、いつも微笑んでるから、それがどこまで冗談で言ってる台詞かわからないんだけど。そういう物騒なことは、あまり人前で言わない方がいいんじゃないかな。
 そもそも、そんな高いところが好きなら遊園地まで来ることないじゃない。そこいらの高層ビルの最上階にあるような展望室に行けばいいのにね。
「あら、朝倉さんは楽しくありません?」
「うーん、高いところでウキウキするような気分じゃないかも。アトラクションなら、もっと他にもあるじゃない。絶叫系とか。そっちの方がいいかな」
「やっぱり、悲鳴を聞くのが大好きなんですね」
 ちょっと、その誤解を招くような言い方はやめてくれない?
「冗談じゃないですか。真に受けられても困ります。それよりも、そろそろ頂上ですね」
「そうね」
 わたしが適当な相づちを打つと、喜緑さんは楽しそうに窓の外に視線を移した。さっきの「人がゴミ」発言が本音だとは思わないけれど、やっぱり高いところが好きなのかしらね。何か一人ではしゃいでるように見えるんだけど。
「ほらほら、朝倉さん。見てください」
 狭い観覧車の中をぐらぐら揺らして、喜緑さんはわたしの手を引っ張った。そこまでしてわたしに何を見せたいのか、さっぱりわからない。こんな真っ昼間で空気も澱んでいるのに、遠くまで見えるわけでもないのにね。
「そんな遠くを見てどうするんですか。ほら、あそこ。あの青い屋根の売店のところ」
「え?」
 言われるままに視線を向けて……わたしは言葉を失った。なんでここに、彼と長門さんがいるの!? これはちょっと、マズイんじゃないかな。だってわたしは……。
「あの二人が何をやってるのか、気になりません?」
「…………」
「朝倉さん?」
「え? ああ、そうね。多少なりとも気にはなるね。でも、別にいいんじゃない? ほっといても」
「あら、そうですか?」
 さも意外そうな喜緑さんだけれど、わたしとしては、そんな喜緑さんの態度が意外かな。
「長門さんが遊園地に来るなんて珍しいじゃない。それに、何も二人で悪いことしてるわけでもないでしょう? おまけに、わたしは彼に会えないもの」
「なるほど。そういうことですか」
 何を白々しい。喜緑さんだって、わかってることじゃない。
「仕方ないですね。それなら、邪魔しに行きましょう」
「ちょっと」
 何もわかってなかったのね。
「だから、わたしは彼と会うわけにはいかないの」
「そうですか。つまり、会えるなら邪魔しに行くわけですね?」
「行きません」
 会えるなら、って、そんな起こりそうもない出来事を前提に話をしても無意味じゃない。百歩譲ってそんなことが起こり得るとしても、だからってわたしが彼と長門さんのデートを邪魔する理由なんてこれっぽっちもないわ。
「素直じゃありませんね」
「わたしはこれ以上にないってくらい素直なの。ねぇ、喜緑さん。もしかして、彼と長門さんがここにいること知ってた?」
 急にわたしを連れて遊園地なんて、どう考えてもおかしいものね。聞いてみたら聞いてみたで、案の定というか何というか、まったく悪びれた様子もなく頷いた。
「そうでもなければ、どうしてわたしが朝倉さんと二人きりで遊園地なんかに来なければならないんですか」
「二人のデートを邪魔するつもりだったからでしょ」
「わたしは別に、そんなつもりはありませんけれど」
「じゃあ、ほっときましょうよ」
「わたしはそれでも構いませんよ。でも、朝倉さんはそれで本当にいいんですか?」
 いいも悪いも……そんなの、わたしが決められることじゃないでしょう。もう、いい加減にしてほしいわ。
「二人の邪魔をしたいのなら、一人でどうぞ。わたしは帰るね」
 ちょうど観覧車も一周して、係員がゴンドラの扉を開けたところでわたしは飛び降りた。
 まったく、喜緑さんの考えていることがさっぱりわからない。いえ、ひとつだけハッキリわかっていることは、バカバカしいとしか言いようがないこと、って点ね。
 なんでわたしが、長門さんと彼のデートを邪魔しなくちゃならないの? そんなことする必要なんてないし、する意味もわからない。
 何度も言うけど、わたしは彼に会うことができない。それは最大級の禁則行為に値するし、それを破ってまで会ったとすれば、わたし自身がどうなるかもわからない。自壊プログラムでも組み込まれているかもしれないし……とにかく、ロクなことにならないと思うの。
 そこまでして、わたしは彼に会いたいとは思わない。会う必要もない。
 そもそも、今日はいったい何なの? 古泉くんと言い、喜緑さんと言い、どうして会う人みんなが、そろったように彼のことを口にするの? いいえ、今日に限った話じゃないわね。前に長門さんもそんなこと言ってたし。
 いい加減にしてほしい。彼に……みんなに会いたいなんて、わたしは一言だって、
「きゃっ」
「あっ」
 一人憤慨して歩いていたら、周りが見えなかったみたい。こんな人が多いところを早足で歩いていたから、盛大に腕を引っかけて相手を転ばせちゃった……。
「ご、ごめんなさい。大丈夫?」
「いえ、わたしの方もよそ見していたから……あれ?」
 わたしが転ばせちゃったその子は、ええっと、いくつくらいだろう。同い年にも見えるけれど、どこか幼さも感じる年頃の子だった。もちろん、わたしが会ったことのある子じゃない。
 でも。
「あの……人違いだったらごめんなさい。もしかして、あなたが朝倉涼子さんですか?」
「え……?」
 重ねて何度でも言うわ。わたしはその子のことは何も知らない。会ったこともない。なのにその子は、わたしのことを知っていた。
「あなた……だれ?」
「あ、初めまして。わたし、吉村美代子って言います」
 訝しむわたしに向かって、その女の子は名乗りながら律儀なお辞儀を返して来た。

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★無題
NAME: せつや
朝倉さんに物騒とつっこまれる喜緑さん……納得です。
2007/03/17(Sat)03:25:48 編集
ナイフを振り回す朝倉さんも、自分のことを棚に上げてますねw
【2007/03/17 07:41】
★無題
NAME: クロトシ
ああもう朝倉さん可愛いなあ(*´Д`)
そしてここからはお姉さんモード突入ですか?
URL 2007/03/17(Sat)08:22:15 編集
まさに次回はお姉さんモード突入です。誰が、とは言いませんけれど( ´∀`)
【2007/03/18 01:20】
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