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DATE : 2017/03/25 (Sat)
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DATE : 2008/06/11 (Wed)
そういえば今度の日曜日がSC40じゃないですか。早いなぁ、あっという間だなぁ。ってことで、そろそろ準備をしっかりしなくちゃというわけで。

確か宅急便での受付は12日必着だった気がしないでもなく、それをふと思い出したので慌てて出しにいきました。
それとそろそろ既刊も多くなってきたので、配置スペースが足りなくなってきているのも問題でして。棚とかもあると便利だなぁってことで100円ショップで購入。これで立体的に配置できるゼ!

はてさて。

そういうわけでSSです。今回は前回よりも作中時間の経過が短いので、あれこれ詰め込んでいこうかなぁと考えておりまして。なので早々とここで登場と相成りました。

ではまた。

前回はこちら
喜緑江美里の策略:5

 そんな会話はレストランまで続いていて、俺はただ着いていくことに終始した。
 ほどなくして見えてきたレストランは、そりゃファミレスっぽい紋切り型の安っぽさなどはなく、中に足を踏み入れてもその印象は変わらない。店のシンボル的な位置づけなのか、客席からも石窯が見える。
 メニューを開けば、ピッツァとパスタのメニューが多い。それ以外はサラダやドリンクなど、サイドメニューばかりだ。あまり聞き覚えのない名前がズラリと並んでおり、どれがいいのかさっぱりわからん。コースメニューもあるようだが、それはさすがに手が出せそうにない。そもそもそんなに腹が減ってるわけではないので、妙にテンションの高いミヨキチとみちるさんにすべて任せてよさそうだ。
 そんな感じで、レストランでの食事はつつがなく進行した。俺があえて口を挟むまでもなく女性二人は盛り上がっているし、俺は俺で料理の味を堪能する作業で忙しい。いや、そこまで忙しくないが、口を挟むよりもみちるさんの目的を探ることで口を動かす暇もない、というのが正しい。
 先ほどコンビニで朝比奈さん……みくるさんの方と遭遇したことで、今日が水曜日であることは間違いない。あのときが翌日登校時間に朝比奈さんが言ってた、俺のドッペルゲンガーの正体だろう。だから今日は水曜日であり、喜緑さんの冗談でもなんでもなく、俺は土曜日から時間遡航して来ている。
 そういう時間移動に巻き込まれているのは、誰の仕業かわからない。俺の記憶に残っているのは、北高へ向かう途中に急に意識が薄れ、その最中に見た男か女か判別できない足下を見ただけであり、そいつが俺を今日のこの日に連れてきたと思われる。
 それは目の前にいるみちるさんだっただろうか? 違うような気がする。少なくとも、今のみちるさんじゃないことは確かだ。足下しか見てないとは言っても、その相手はハイヒールの靴じゃなかったことだけは断言できる。
 では、みちるさんは俺を元の時間に連れ戻すために来てくれたのか?
 それも違うような気がする。
 今の俺が置かれている状況が、みちるさんにとって不測の事態だとしたら、ミヨキチと一緒にいるところに現れるはずがない。確かに朝比奈さんと会ったのはついさっきだが、目の前の朝比奈さんにとってそれはだいぶ前のことなんだから、頃合いというものを見計らって姿を現すのが自然じゃないか。とても今がその『頃合い』とは思えない。
 となれば、俺の中から出てくる結論はひとつしかない。
 みちるさんと俺をこの日に連れてきたヤツとの間では、何かしらの協定が結ばれている。つまり、協力関係にある俺の知らない未来人だ、ってことさ。
 ま、それで正解がどうかわからん。そしてみちるさんの思惑も見当が付かない。あれこれ考えるだけ無駄かもしれないな。
「お兄さん、どうかされたんですか?」
 そんなことをつらつらと考えていれば、どこか心配した風な声音でミヨキチに話しかけられた。
「え? 何が?」
「いえ、ずっと何かこう……考え事をされてるみたいでしたから。料理の味が合いませんでした?」
「いや、そういうことじゃなくて、」
「ダメよ、キョンくん。女の子と一緒にいるときに、他のことを考えているなんて」
 俺の弁明に被せるように、からかい口調でそんなことを言うみちるさんに、俺は驚きを禁じ得ない。いつも一緒にいる朝比奈さんのこともあるから、だろうか。そういう事は頭の中で思っていても、口にしなさそうなイメージがあるんだが……何故だろう、登場したタイミングのこともあるせいか、すべてにおいて『らしくない』と感じてしまう。
 それを『大人になる』って意味での成長だと思えばそうなんだろうが……うーん、少し、疑念に思うところがあるせいかな。それともミヨキチがいるから、キャラを作っているのかもしれん。あとでしっかり説明さえしてくれれば、どうにも釈然としない今の俺の気持ちもすっきりするだろう。
「あ、いけない。もうこんな時間」
 と、みちるさんは細い手首には不釣り合いなゴツい腕時計に目を留めてそんなことを言い出した。
「ご免なさい。わたし、そろそろ帰らなくちゃ」
「えっ? あの、ちょっと待ってください」
「大丈夫、支払いは済ませておくから」
 いやいや、そんなことで俺は呼び止めたわけじゃない。みちるさんに話を聞きたいからこそ呼び止めたのであって、ミヨキチと別れるまでは一緒にいてもらわなくちゃ困る。
「それにキョンくん、こんな時間に吉村さんを一人で家まで帰らせるわけにはいかないでしょう? ちゃんと家まで送ってあげなくちゃ」
 そりゃそうだが、それを言ったらみちるさんだって危ないでしょう。
「もう、わたしは一人で大丈夫です。じゃあ、何かあったら電話してね。携帯電話、持ってますよね?」
「そりゃありますが」
 喜緑さんからの借り物だけどな。
「うん、それでお願い。それじゃ」
 電話しろと言われても、いったいどこへ電話すればいいんだ? あれか、いつも一緒にいる朝比奈さんに電話しろとでも言うのか?
 俺があれこれ考えている間に、みちるさんはささっと席から立ち上がり、レジで会計を済ませて店から出て行ってしまった。去り際に、こちらへ向かって笑顔で手を振る様子を見るに、まるで本当にただ通りすがりで出会った俺たちと食事を楽しみたかっただけのように見える。あるいは、俺の様子をうかがいに来たか……だが。
「ええい、くそ」
 追い掛けるのは簡単だが、去り際にあんなことを言われたのでは、ミヨキチを一人置いていくこともできやしない。
「俺たちも帰るか」
「え? あ、はい」
 どちらにしろ遅い時間だ。いくらなんでも、ミヨキチだってそろそろ家に帰らなくちゃならならい。みちるさんに言われるまでもなく、家まで送っていくことにするさ。
「綺麗な人でしたね」
 道すがら、ミヨキチがほんわかした声音で話しかけてきた。どこかしら夢見る乙女のような響きを感じるのは気のせいか?
「さっきの朝比奈さん。スタイルがよくて女優さんみたいだし、気だてもよくて……わたしもああいう風になれるかしら」
「ミヨキチはまだまだこれからだろ」
 逃げるように去っていったみちるさんをどうやって探し出して追い掛けようか、気もそぞろにそんなことを考えていたのがマズかったらしい。
「……何かこう、興味なしって感じですね……」
 ひどく落ち込まれた。
「あ、いやそういうことじゃなく、ただミヨキチはまだ小学生だし、発展途上の最中だと言いたいわけで」
 俺の曖昧模糊とした適当な応答を受けて、ひどく気落ちしたように肩を落とすミヨキチを前に、俺は必死の弁解を試みることとなった。みちるさんも言ってたが、女性と一緒にいるときに他のことを考えれば、男はドツボにはまるらしい。
 後にして思えば、妙な汗が噴き出しそうな恥ずかしい台詞も交えていたように思う。何をどう言ったのかさえ、いまいち不明瞭だ。何しろ気付いたときには、ミヨキチの家の前までたどり着いていたほどだから、俺の必死さ具合もおわかり頂けるだろう。。
 ただ、その甲斐あってミヨキチに笑顔を取り戻らせることができたのだから、よしとすべきかもしれん。
「それではお兄さん、今日はありがとうございました。わざわざ家まで送っていただいて」
「いいさ、別に。それより戸締まりはしっかりしておけよ」
「はい。それじゃあ、」
 ミヨキチが別れ際の台詞を口にしようとしたその直前、庭の植木が激しく葉音を鳴らした。風もなく、野良猫がイタズラしているにしては揺れている植木の範囲が広い。目測では中型犬程度の大きさがある何かがそこにいる。
「きゃあっ!」
 ミヨキチが黄色い悲鳴を上げて俺にしがみつくのと、植木の影からそれが現れたのは、ほぼ同時だった。俺はというと、植木の影から出てきたそれよりも、ミヨキチの悲鳴で心臓が潰されるかと思うくらいに驚いて、体が硬直したのは言うまでもない。
「な、なんですかいったい? お兄さん、何がいるんですか!?」
 そんなことを聞かれても、この薄闇の中じゃ俺にもよくわからない。それよりも人にがっちりしがみつくのはいいんだが、腕がへし折られそうなくらいに力を入れるのはやめてくれ。
「何って……」
 よく見れば、それは野良猫や野良犬ではなく、立派に人の姿をしていた。さらに目をこらせば、そいつは見慣れた北高の制服を着込んでおり、髪が長い。
 かといって近付くのも躊躇われるので、より一層目をこらせば、そいつはぴくりとも動かずに倒れたままであり、その表情を探るように伺えば、ミヨキチの悲鳴以上に俺の肝を潰すに充分な驚きを与えてくれた。
「あっ、朝倉!?」
 暗がりの中でも、俺が見間違えるわけがない。
 植木を揺らし、転がるように現れて倒れ、ぴくりとも動かないそいつは、朝倉涼子で間違いなかった。

つづく
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★無題
NAME: 筏津
出るだろう出るだろうとは思ってはいましたが、捨てられて弱った子猫みたいな登場でしたか。介抱という名のお持ち帰りを勝手に想像しちゃいましたけど、キョンでは紳士すぎてあれですね
ええ、コメントしますとも!早く続きみたいですから!
2008/06/11(Wed)00:38:46 編集
にゃんごろにゃーな登場ですが、さすがに正体不明な朝倉さんでは、キョンくんが紳士じゃなかったとしてもお持ち帰りは躊躇われそうな気がしますw
【2008/06/12 00:02】
★大変だ!!
NAME: N・N
これでまた、ミヨキチの憂鬱とキョンの気苦労は、一層深まるんですね。
2008/06/11(Wed)02:47:30 編集
キョンくんの気苦労は雪だるま式に増えていきますねー。ミヨキチさんは、まぁ大丈夫ではないかと。今は。
【2008/06/12 00:03】
★無題
NAME: 蔵人
あ、ミヨキチもいるとこでの登場なんですね。
これはミヨキチが全ての鍵を握っちゃうのか?
というか喜緑さんが暗躍しすぎて出てきてくれない(笑)
URL 2008/06/11(Wed)04:22:41 編集
鍵ですか。長篇では鍵を握ってるのはハルヒさんだといつも意識して描いてたりします。そして何より今回はタイトルに名を冠してるのは喜緑さんですから、喜緑さんを引き立たせるためにも脇をしっかり固めておかないとって感じで、今は話が進んでおります。
今後の活躍に期待をw
【2008/06/12 00:05】
★無題
NAME: Miza
むむ、せっかくこれからキョン君がケダモノとなってミヨキチを(ry
さすが朝倉さんだZE!
2008/06/12(Thu)10:37:11 編集
いやあ、さすがのキョンくんでも小学生相手に……(汗)
【2008/06/13 00:01】
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