category: 日記
DATE : 2007/08/29 (Wed)
DATE : 2007/08/29 (Wed)
週の真ん中すいようびーっ! な今日を含めて、八月も残り三日。
そろそろ九月なんですから、この暑さもどうにかしてもらいたいと思わずにはいられません。
そういえば、うちのゴミ捨て場の側に、柿の木があるんですが、その木の根本にぴくりとも動かないセミが5~6匹くらいコテンと倒れておりました。これはまた、一夏の終わりを感じる風景です。……嫌な感じ方ですネ。
ともかく。
今日のSSは、お待たせしましたミヨキチさんSSの続きです。藤原くんがいい目を見てそうですが、気にしたら負けかなって思ってる。
ではまた明日!
そろそろ九月なんですから、この暑さもどうにかしてもらいたいと思わずにはいられません。
そういえば、うちのゴミ捨て場の側に、柿の木があるんですが、その木の根本にぴくりとも動かないセミが5~6匹くらいコテンと倒れておりました。これはまた、一夏の終わりを感じる風景です。……嫌な感じ方ですネ。
ともかく。
今日のSSは、お待たせしましたミヨキチさんSSの続きです。藤原くんがいい目を見てそうですが、気にしたら負けかなって思ってる。
ではまた明日!
前回はこちら
【Respect redo】吉村美代子の憂鬱
「うぅ~……ったたた……」
あ~、何か窓の外が明るいです。気がつけばもう、夜が明けて悪夢の一夜が過ぎ去ったみたいですね。
まったく昨晩は散々でした。世の中では、酒の席では酔った者勝ちとか言うらしいですが、どうやらそれは事実のようです。
ただでさえテンションの高い橘さんは、それはそれは見ているこっちがドン引きするくらいのハイテンションでケラケラと笑いながら絡んでくるし、一方の佐々木さんは愛しい恋人が逃げた直後に可愛がっていたペットが老衰で死んじゃったみたいな涙を流しながら、わたしにべったり抱きついてすり寄って来るわけですよ。
それを朝倉さんが必死になだめようとしてくれたのが唯一の救いでしたが、それをあっさりと反故にする喜緑さんの底意地の悪さにうんざりです。次から次に取り出す酒瓶は、瞬く間にダースを越えて、酔いつぶれた藤原さんの顔には、それはそれは心に一生ものの傷が付きそうなステキなラクガキをされちゃってました。
そんな中で唯一平和だったのは、周防さんでしょう。とっとと寝ちゃったものだから誰にもイタズラされることなく、至福の寝顔を見せていました。ところで、寝言なのかどうなのか知りませんけれど、いつもの平坦で間延びするような声音で「チベットでラマの毛皮がネクタイに」とか言ってたんですけど、いったいどんな夢を見ていたのか謎すぎます。理解できる方がいらっしゃいましたら、是非ともご一報いただきたく思う次第です。
「はぁ~……」
窓辺から見える外の日差しは、まだ本当に日が昇ったばかりという感じでした。時計を見れば、朝の六時頃でしょうか。他のみなさんは……ええっと、年頃の乙女とは思えない姿で眠り続けています。もしここで優しさを見せるなら、何も見なかったことにして立ち去るべきなのかもしれません。
それにしても酒臭いです……。
寝不足というのもありましたが、それでも昨晩は未成年にはあるまじき酒盛りからスタートして、早い時間に寝てしまいました。朝の早い今ではすっかり眠気も取れて、二度寝する気にもなりません。おまけに、お酒の臭いもキツいですしね。
なので。
ぱっと見たところ、全員が眠りこけている今のこのチャンスを最大限に活かすべきだと、わたしは思うわけですよ。何をするって、それこそ邪魔されず、自然の天然温泉で骨を休めるチャンスじゃないですか。
思い立ったら即行動、というわけで、足音を忍ばせて部屋を出たわたしは、かなりウキウキ気分で温泉に向かったわけです。だってこの旅行で、唯一安心してのんびりできるリラックス空間が、今のこの時の温泉じゃないですか。
脱衣所でお酒の臭いが染み付いた浴衣を脱ぎ捨て、タオルを片手にれっつごー。ようやくこの広い温泉で、足腰伸ばしてゆっくりできそうで……。
「うん?」
「……え?」
湯船に近付くと見える影。近付くわたしの足音に気付いたんでしょう、振り向かれた途端に目が合えば、そこにいるのは藤原さんに違いなく、ええっとつまりこれは……。
「き……っ」
「うおわああっ!」
って、わたしより先に、なんで藤原さんが悲鳴を上げるんですか。
「なっ、何をやってるんだあんた!? とっ、年頃の娘が何という無防備な格好で、しかも人前で裸になるなんて、もってのほかだ! これだから過去の現地民は野蛮だと……ああ、見てないぞ。僕は何も見てない」
こ、これはまた、なんというピュアボーイ。
そりゃあ、隠すところはタオルで隠してますから何も見られてないと思いますけれど、それでもタオル一枚の姿なんですよ、わたし。そんなあられもない格好を見られて恥ずかしいのはこっちのハズなのに、藤原さんの慌てっぷりに毒気を抜かれる思いです。
とりあえず落ち着けと言ってあげたい。
「あ、あのぅ……ここ、混浴ですから、そこまで騒がずとも……」
「混浴だと!? まったく信じられん。この時代にはそんなものが、まだまかり通っているのか」
この時代だろうが何だろうが、混浴なんて昔からあるじゃないですか。
「そんなに嫌なら、出てってください」
「ふん、どうして僕の方から出て行かなければならないんだ。ノコノコ入ってきたのはそっちだろう。そっちが出て行くのが道理というものだ」
「わたし、来たばかりです。さっきから入ってたんですから、とっとと出て行けです」
「僕だって来たばかりだ。そもそもあんたに指図される謂われなどあるものか」
なんという我が侭。橘さんじゃなくたって、張り倒したくなりますね……。
「わたしだって藤原さんに指図される謂われなんてありません」
出て行かないなら、ここは混浴ですし、別に構いませんけど。少しでもイヤらしい目を向けようものなら、二度と光を拝めないようにしてあげますから。
「入るのか、あんた!?」
「当たり前じゃないですか。お風呂に入りに来たんですもの」
「信じられん」
何ですかそれは。それじゃまるで、わたしが変な人みたいじゃないですか。まったく男の人なのに肝が据わってませんね。こういうときは、妙に意識しちゃうと恥ずかしさ倍増なんですから、何事にも動じないぞっていう気概を見せてもらいたいものです。
「まったく、あんたも変な女だ。男が入ってる風呂に堂々と入ってくるわ、佐々木たちなんぞとツルんでいるわ、まったく理解できん」
どうしてわたしが変な女呼ばわりされなければならないのか、我が身を省みて考えてもらいたいところです。
そういう藤原さんだって、橘さんにアゴでこき使われても付き合ってるじゃないですか。あなたの方がオカシイですよ。って、そういえば橘さんが妙なこと言ってましたね。
「藤原さんって、未来人なんですか?」
「ふん、だから何だ」
あれ、否定しませんよこの人。
「え、本当にそうなんですか?」
「それがどうした。そのことを知ったからと、あんたにどんな利点があるんだ?」
うわ~、何でしょうこの態度。ムカつくったらありゃしません。
「じゃあ、これから起こることもいろいろ知ってるんですか? たとえば……ギャンブル事で絶対負けないとか」
「ふん、そんなくだらんことは禁則にすらなりゃしない」
「明日の天気もバッチリわかるとか」
「禁則だ」
「もしかして、わたしの将来がどうなるかとかもご存じだったり?」
「禁則だ」
「…………なんですか、それ?」
「教えることはできない、という意味だ。もっとも、禁則でなくとも、何一つ教えてやるつもりもないがな」
何ですかそれは。上手いこと言って、結局は本当に未来人らしい未来的な情報なんて何も与えてくれないなんて、胡散臭いったらないですよ。
「じゃあ、どんなことなら話せるんですか」
「何もないな」
こ、この人は……。湯船に沈めてあげちゃおうかしら?
そもそも、人と会話を続けようとしない態度はどうかと思いますよ? わたしの方も、降った話題が橘さんからの与太話というのもどうかと思いますが、それでも多少なりとも食い付いてくれたっていいじゃないですか。
「ええい、やはり落ち着かん」
ざっぱーんと、藤原さんが立ち上がる音が聞こえました。ええ、見せるつもりも見るつもりもありませんので、同じ湯船に浸かっているとは言っても、藤原さんに背中を向けていますもの。
「あれ? もう上がっちゃうんですか」
「当たり前だ!」
それはそれは何よりです。これでわたしもゆっくりのんびりお風呂に浸かれると言うもので……。
「うおわあっ!」
「へ?」
またもや聞こえた藤原さんの悲鳴に、ついつい振り返れば……あら、周防さんじゃありませんか。ばったり藤原さんとご対面ですね。
「──────」
「ちょっ、まっ、待て! 僕は何も、」
周防さん、表情をぴくりとも動かさずに睨め付け、湯船の中で立ち上がっている藤原さんの頭を鷲づかみにするなり、その細身の腕からは想像も付かないような腕力で湯船の中に押し込んじゃいましたよ!?
「がぼげぼがぼががっ!」
こ、これはマズイ。かなりまずいです。いくらなんでも、湯船で溺死は藤原さんにピッタリすぎて笑えないです。
「ちょっ、ちょっと周防さん! それはまずいですよぅ!」
「──────痴漢────」
「いえあの、ここ混浴ですから……あああああ、誰かーっ! ちょっと誰か来てくださーいっ!」
つづく
【Respect redo】吉村美代子の憂鬱
「うぅ~……ったたた……」
あ~、何か窓の外が明るいです。気がつけばもう、夜が明けて悪夢の一夜が過ぎ去ったみたいですね。
まったく昨晩は散々でした。世の中では、酒の席では酔った者勝ちとか言うらしいですが、どうやらそれは事実のようです。
ただでさえテンションの高い橘さんは、それはそれは見ているこっちがドン引きするくらいのハイテンションでケラケラと笑いながら絡んでくるし、一方の佐々木さんは愛しい恋人が逃げた直後に可愛がっていたペットが老衰で死んじゃったみたいな涙を流しながら、わたしにべったり抱きついてすり寄って来るわけですよ。
それを朝倉さんが必死になだめようとしてくれたのが唯一の救いでしたが、それをあっさりと反故にする喜緑さんの底意地の悪さにうんざりです。次から次に取り出す酒瓶は、瞬く間にダースを越えて、酔いつぶれた藤原さんの顔には、それはそれは心に一生ものの傷が付きそうなステキなラクガキをされちゃってました。
そんな中で唯一平和だったのは、周防さんでしょう。とっとと寝ちゃったものだから誰にもイタズラされることなく、至福の寝顔を見せていました。ところで、寝言なのかどうなのか知りませんけれど、いつもの平坦で間延びするような声音で「チベットでラマの毛皮がネクタイに」とか言ってたんですけど、いったいどんな夢を見ていたのか謎すぎます。理解できる方がいらっしゃいましたら、是非ともご一報いただきたく思う次第です。
「はぁ~……」
窓辺から見える外の日差しは、まだ本当に日が昇ったばかりという感じでした。時計を見れば、朝の六時頃でしょうか。他のみなさんは……ええっと、年頃の乙女とは思えない姿で眠り続けています。もしここで優しさを見せるなら、何も見なかったことにして立ち去るべきなのかもしれません。
それにしても酒臭いです……。
寝不足というのもありましたが、それでも昨晩は未成年にはあるまじき酒盛りからスタートして、早い時間に寝てしまいました。朝の早い今ではすっかり眠気も取れて、二度寝する気にもなりません。おまけに、お酒の臭いもキツいですしね。
なので。
ぱっと見たところ、全員が眠りこけている今のこのチャンスを最大限に活かすべきだと、わたしは思うわけですよ。何をするって、それこそ邪魔されず、自然の天然温泉で骨を休めるチャンスじゃないですか。
思い立ったら即行動、というわけで、足音を忍ばせて部屋を出たわたしは、かなりウキウキ気分で温泉に向かったわけです。だってこの旅行で、唯一安心してのんびりできるリラックス空間が、今のこの時の温泉じゃないですか。
脱衣所でお酒の臭いが染み付いた浴衣を脱ぎ捨て、タオルを片手にれっつごー。ようやくこの広い温泉で、足腰伸ばしてゆっくりできそうで……。
「うん?」
「……え?」
湯船に近付くと見える影。近付くわたしの足音に気付いたんでしょう、振り向かれた途端に目が合えば、そこにいるのは藤原さんに違いなく、ええっとつまりこれは……。
「き……っ」
「うおわああっ!」
って、わたしより先に、なんで藤原さんが悲鳴を上げるんですか。
「なっ、何をやってるんだあんた!? とっ、年頃の娘が何という無防備な格好で、しかも人前で裸になるなんて、もってのほかだ! これだから過去の現地民は野蛮だと……ああ、見てないぞ。僕は何も見てない」
こ、これはまた、なんというピュアボーイ。
そりゃあ、隠すところはタオルで隠してますから何も見られてないと思いますけれど、それでもタオル一枚の姿なんですよ、わたし。そんなあられもない格好を見られて恥ずかしいのはこっちのハズなのに、藤原さんの慌てっぷりに毒気を抜かれる思いです。
とりあえず落ち着けと言ってあげたい。
「あ、あのぅ……ここ、混浴ですから、そこまで騒がずとも……」
「混浴だと!? まったく信じられん。この時代にはそんなものが、まだまかり通っているのか」
この時代だろうが何だろうが、混浴なんて昔からあるじゃないですか。
「そんなに嫌なら、出てってください」
「ふん、どうして僕の方から出て行かなければならないんだ。ノコノコ入ってきたのはそっちだろう。そっちが出て行くのが道理というものだ」
「わたし、来たばかりです。さっきから入ってたんですから、とっとと出て行けです」
「僕だって来たばかりだ。そもそもあんたに指図される謂われなどあるものか」
なんという我が侭。橘さんじゃなくたって、張り倒したくなりますね……。
「わたしだって藤原さんに指図される謂われなんてありません」
出て行かないなら、ここは混浴ですし、別に構いませんけど。少しでもイヤらしい目を向けようものなら、二度と光を拝めないようにしてあげますから。
「入るのか、あんた!?」
「当たり前じゃないですか。お風呂に入りに来たんですもの」
「信じられん」
何ですかそれは。それじゃまるで、わたしが変な人みたいじゃないですか。まったく男の人なのに肝が据わってませんね。こういうときは、妙に意識しちゃうと恥ずかしさ倍増なんですから、何事にも動じないぞっていう気概を見せてもらいたいものです。
「まったく、あんたも変な女だ。男が入ってる風呂に堂々と入ってくるわ、佐々木たちなんぞとツルんでいるわ、まったく理解できん」
どうしてわたしが変な女呼ばわりされなければならないのか、我が身を省みて考えてもらいたいところです。
そういう藤原さんだって、橘さんにアゴでこき使われても付き合ってるじゃないですか。あなたの方がオカシイですよ。って、そういえば橘さんが妙なこと言ってましたね。
「藤原さんって、未来人なんですか?」
「ふん、だから何だ」
あれ、否定しませんよこの人。
「え、本当にそうなんですか?」
「それがどうした。そのことを知ったからと、あんたにどんな利点があるんだ?」
うわ~、何でしょうこの態度。ムカつくったらありゃしません。
「じゃあ、これから起こることもいろいろ知ってるんですか? たとえば……ギャンブル事で絶対負けないとか」
「ふん、そんなくだらんことは禁則にすらなりゃしない」
「明日の天気もバッチリわかるとか」
「禁則だ」
「もしかして、わたしの将来がどうなるかとかもご存じだったり?」
「禁則だ」
「…………なんですか、それ?」
「教えることはできない、という意味だ。もっとも、禁則でなくとも、何一つ教えてやるつもりもないがな」
何ですかそれは。上手いこと言って、結局は本当に未来人らしい未来的な情報なんて何も与えてくれないなんて、胡散臭いったらないですよ。
「じゃあ、どんなことなら話せるんですか」
「何もないな」
こ、この人は……。湯船に沈めてあげちゃおうかしら?
そもそも、人と会話を続けようとしない態度はどうかと思いますよ? わたしの方も、降った話題が橘さんからの与太話というのもどうかと思いますが、それでも多少なりとも食い付いてくれたっていいじゃないですか。
「ええい、やはり落ち着かん」
ざっぱーんと、藤原さんが立ち上がる音が聞こえました。ええ、見せるつもりも見るつもりもありませんので、同じ湯船に浸かっているとは言っても、藤原さんに背中を向けていますもの。
「あれ? もう上がっちゃうんですか」
「当たり前だ!」
それはそれは何よりです。これでわたしもゆっくりのんびりお風呂に浸かれると言うもので……。
「うおわあっ!」
「へ?」
またもや聞こえた藤原さんの悲鳴に、ついつい振り返れば……あら、周防さんじゃありませんか。ばったり藤原さんとご対面ですね。
「──────」
「ちょっ、まっ、待て! 僕は何も、」
周防さん、表情をぴくりとも動かさずに睨め付け、湯船の中で立ち上がっている藤原さんの頭を鷲づかみにするなり、その細身の腕からは想像も付かないような腕力で湯船の中に押し込んじゃいましたよ!?
「がぼげぼがぼががっ!」
こ、これはマズイ。かなりまずいです。いくらなんでも、湯船で溺死は藤原さんにピッタリすぎて笑えないです。
「ちょっ、ちょっと周防さん! それはまずいですよぅ!」
「──────痴漢────」
「いえあの、ここ混浴ですから……あああああ、誰かーっ! ちょっと誰か来てくださーいっ!」
つづく
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[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
このSSで、九曜さんが何気に一番のしっかり者みたいに考えていましたが、それもどうやら怪しくなってきました( ´ω`)
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
今の状況でも、充分幸せなんじゃないかと思っている自分は、もしかして間違ってるんでしょうか(((( ;゚Д゚)))
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
これほどまでにピュアなミヨキチさんは、そうそう居ませんよ! え? いませんよね?
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
未来人という属性がついている人は、何かしらの苦難を乗り越えねばならないのかもしれませぬ。
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