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DATE : 2008/02/19 (Tue)
次の話はだいたいこんな感じになります。いちおう、カテゴリー的には長篇ですが、実際最後まででどのくらいの分量になるか。思ったよりも短く終わるかもしれず。

って、まだタイトルすら決まってないんですがどうしたもんですかね。舞台設定も「信愛」から続く形にするか、リセットするかも決めてなかったりします。そこをどうするかによって話もだいぶ変わってきそうですが、まぁそこいらは適当に。

とりあえず、他にも書かなくちゃならない原稿があるので今日はこれにて!

タイトル未定:プロローグ


「遅いっ! 罰金!」
 などというハルヒお決まりのセリフを耳にするのは、果たしてこれで何度目だろうか。その度に俺はハルヒを筆頭に朝比奈さんや長門、古泉にまで集合直後のミーティングで使っている喫茶店の代金を支払い続けている。
 今でこそ週に一度という感じではなくなったが、それでもハルヒの気まぐれで突発的に催される市内不思議探索は、その都度、俺のひっ迫した懐事情に大打撃を与え続けていた。
 よく考えて欲しい。うちは何も阪中のところみたいなセレブでもなければ、俺個人が確保している安定した収入源も、親から貰える月に一度の小遣いだけなのである。その小遣いとて、誰もが羨むような金額であろうはずもなく、全国の高校生の平均的小遣いと大差ない額面だ。
 はっきり言って、市内不思議探索が行われる度に、俺の財布から札やら小銭やらを引っ張り出すのはやめてもらいたいんだがな。
「遅刻するあんたが悪いんじゃないの」
 けれど我らが団長さまは、俺のせめてもの嘆願を無下にも却下してくれやがった挙げ句、すべての責任は俺にこそあるとばかりに言い放つ。
「誰がどう見てもあんたに責任があるでしょ。前も言ったと思うけど、あんた一人が遅刻すれば、それだけあたしたちの時間も無駄に過ぎていくの。あんた一人で行動してるなら話は別だけど、あたしたちも一緒である以上、その時間は等価なのよ。こっちは何もあんたを待つ時間なんて用意してないし、待ちたくもないわけ。なのに遅れて来たんだったら、せめてもの謝意を込めてあたしたちにご馳走するのは、天地開闢より続く真理だわ」
 どうしてこいつはここまで偉そうにものを言えるのかさっぱりだが、そもそも俺は遅刻してるわけじゃない。待ち合わせ時間ピッタリに到着してるんだ。けれど他の面子が予定時間よりも前に集まっているが故に、俺を待つという状況を自ら作り出しているだけじゃないか。しかも勝手に。そこに俺の責任は一切発生しないだろう。しないよな?
「するわよ。だから、そうまで言うなら、あんたも早く来ればいいじゃない。そうすれば、待っているあたしたちの気分が少しでも理解できるってもんでしょ」
 だから、その『早く』ってのが問題なんだ。いったいおまえらは九時集合の何時間前に集まっているんだと問い質したい。
「あのぅ……キョンくん、もしそんなに大変だったら、ここの支払いはあたしが……」
「いや、そこまでじゃ、」
「ダメよ、みくるちゃん。これはね、遅刻したキョンからの罰金なの。罪を犯したらその償いをするのも自分自身。他の人が肩代わりすれば済む話じゃないのよ」
 いくら自分の懐事情が厳しいからと言って、朝比奈さんに支払いを任せるつもりはない。俺がせめてもの見栄を張って朝比奈さんからの有り難い申し出を丁重にお断りしようとした矢先に、ハルヒが一刀両断に切って捨てやがった。
「そんなことよりほら、班分けするわよ」
 これ以上は議論の余地なしとばかりに、ハルヒは五本の爪楊枝を突き出す。朝比奈さんから順に長門、古泉、俺が一本ずつ抜き取る。印が付いていたのは、俺と古泉だった。最悪だ。
「それじゃ、お昼にまたお店前で集合よ。キョン、わかってると思うけど、遅れたら罰金だからね」
 何かを暗に期待しているようなハルヒの物言いに、俺は溜息しか出なかった。


 意気揚々と朝比奈さんと長門を引き連れて去っていくハルヒを見送り、俺はともかく本屋に駆け込もうと考えていた。いい加減、そろそろ真面目にバイト探しでもしなけりゃならんと思うわけだ。このままじゃ破産する。
「そこまで厳しいのですか」
 勝手に歩き出した俺の後を黙って着いてきた古泉は、求人情報雑誌を手に取った俺を見てそんなことを言う。俺がわざわざハルヒに進言した意味を考えれば、そんなことは聞くまでもないことだと理解してくれ。
「そこまで心配することはないと思いますよ。涼宮さんはああ見えて、あなたの財政状況を考慮していると思われますが」
「仮にそうだとしてもな、不思議探索のたびに財布の中身が減っていくことそのものをやめてくれりゃいいだろ」
「デートとなれば、男性が女性のために支払いを行うのがエチケットではないですか。あなたがその都度、支払いを任せられるのは、涼宮さんがあなたに恥をかかさないようにと願っているからです」
「何を言ってんだ、おまえは」
 そもそも、この不思議探索はデートじゃないとハルヒは幾度となく言っている。なのにそのハルヒが? デートなら男が金を払うもんだと思って? 俺が支払う羽目になっちまってるだと? 無茶苦茶な理屈じゃないか。支離滅裂もいいところだ。
「あなたもそろそろ学習されては如何ですか? 涼宮さんの表層的な言葉と、深層部分での本音は真逆と言っても差し支えないものです。確かにこの集まりには僕や朝比奈さん、長門さんもご一緒していますが、涼宮さんはあえて僕たちも巻き込んでいるのかもしれませんよ?」
「何故?」
「さて……涼宮さんも根本の部分では高校生らしい思春期の女性です。恥じらいというものも持ち合わせているでしょうね」
 憎たらしいほどに爽やかな笑みを浮かべ、意味ありげに自分の前髪を指で弄びながら古泉は惚けてやがる。
 ハルヒに恥じらい、ねぇ。人目も気にせず着替え始めたり、平気でバニーガールの格好になったりするハルヒに?
 ま、当初は恥じらいがなくても今はそういうのに目覚めているのかもしれんし、その点については多くを語るまい。
 それよりも、問題なのは俺の財政状況であって、ハルヒのことなんざどーだっていい。
「そこまで厳しいようでしたら、どうでしょう。僕がいいアルバイトを紹介しますよ」
「おまえが紹介するバイトだったら、3Kとか言われてる仕事をしたほうがよっぽどマシだ」
「それはまた、手厳しい。では、いったいどのようなアルバイトを探すつもりですか?」
「コンビニのレジ打ちか、ファーストフード店やファミレスのウエイターが妥当なとこじゃないか?」
「しかし、その手のアルバイトをするには時間がないのではありませんか? アルバイトとは言っても、仕事は仕事です。むやみに休めるものではありませんし、かといって市内不思議探索で必要な経費を稼ぐためにSOS団の活動がおろそかになるのは、本末転倒というものでしょう」
 言われてみれば確かにその通りだ。となると、探す仕事は時間が自由に取れて短時間で済み、かつ時給がいいもの、ってことになる。
「現実的ではありませんね」
 人を哀れむように嘆息しながらそう言う古泉を、無性に殴りたくなったのは言うまでもない。だいたい、そんなことは言われるまでもなくわかってるんだ。
 SOS団の活動がある以上、まともなバイトができるとは思っちゃいない。何かにつけてハルヒの我が侭に振り回されるのだから、そもそもプライベートの時間だって日々少なくなってきてるんだ。
「試みに聞くが、古泉。おまえが俺に紹介したいバイトってのは、何をするんだ?」
「おや、興味がありますか?」
「……いや、いい」
 こいつが俺にやらせたいことなんて、どうせハルヒに関わる『機関』の仕事に違いない。俺は齢十七にして、世の中におおっぴらにできないようなトンデモ組織の一員になりたいとは思わないね。
 しかし……やれやれ、そうなるとバイトをするのも難しいな。こうなると新聞配達とか、早朝にかけて行う仕事しかなくなりそうだ。睡眠時間はしっかり確保したいから、なんとかその選択だけは避けたいところだが……。
「おやおや~っ? キョンくんと古泉くんじゃあ~ないかっ!」
 俺がそんな風に求人雑誌を片手に溜息を吐いていると、背後から元気ハツラツとしか形容できない声が飛んできた。そんな風に俺たちに声を掛けてくる相手は、考えるまでもなく一人しかいない。
「ああ、鶴屋さん。どうも」
「やっぽーっ。こんなところで男二人で立ち読みかいっ? んん~っ、もしやハルにゃんの言いつけをほったらかしてサボリかなっ!?」
 ハルヒの言いつけとやらが市内に転がっていると言い張る不思議を探し出すことを指しているのならサボリと言われても致し方ないが、かといってそんなもんが本当にゴロゴロ転がっているわけもなく、言うなればこれはむさ苦しい野郎二人が暇を持てあましている風景だと認識してもらいたいところですね。
「むむっ。キョンくん、バイトでもすんの?」
 鶴屋さんは目ざとく俺が手にしている求人雑誌に目を留めて聞いてきた。
「そうしたいところなんですけどね、なかなか希望に即したのが見つからなくて」
「ほっほう? どんな条件のを探してんにょろ?」
「ええと、時間の融通がある程度取れて高収入のなら文句なしですね」
「うへっ、理想高いなぁっ! そんなの、ホントにあると思ってないよねっ? うっははははっ!」
 鶴屋さんは大爆笑するが、俺だって何も本気でそういう仕事があるなんて思っちゃいない。ただそれは俺のベストな希望なだけであって、それに近いものを吟味していこうかなというだけなんだ。
「古泉くんもキョンくんと一緒にバイト探し?」
「いえ、僕はすでにアルバイトをしていますから。登録制のもので彼の希望に添うものだと思っているのですが、残念ながらフラれてしまいました」
 登録制とは上手いことを言ったつもりか。何であれ、俺は古泉なんかと肩を並べて仕事をしたいとは思わないね。
「ふーむむむっ。つまりキョンくんだけってことか~っ。んー……んん~……キョンくん、ホントにバイトすんのっ?」
「条件に合うのがあれば、ですけどね。いい加減、ハルヒに奢り続ける状況が長く続きすぎてるもんで、ひっ迫してるんですよ」
「ほっほうっ! つまりはハルにゃんのためってわけだっ!」
 いや別にハルヒのためにバイトしようなどとは微塵も思っちゃいないわけだが。
「えっらいなぁっ! うんうんっ、おねーさん、感心しちゃったよっ!」
 いやだから、ハルヒのためのバイト探しじゃないんですけどね。人の話、聞いてるんだろうか。
「そういうことならさっ、協力してあげるよっ! ん~、キョンくんだしね。万事おっけーっしょっ!」
 協力? それで、俺だから万事おっけーってのはどういう意味だ?
「ウチでさっ、ちょーっと家事手伝いのお手伝いさんの求人してるんだよねっ。どーよ、キョンくんっ! ウチでちょろんと働いてみないかいっ?」
 家事手伝い? 鶴屋さんの家で? この俺が!?
「まー、あれだよっ! 今風に言えば執事って感じかなっ! 大丈夫だって、ハルにゃんには黙っといてあげるし、そっちの都合はちゃーんっと考慮すっからさっ!」
 いや別にハルヒに黙っていてくれなくたって……ああ、いや。あいつに知られるよりは、こっそりやってた方が邪魔されずに安心できそうか。わざわざ吹聴する必要もない。
 ただ……この俺に家事手伝いをやれと言うのか、このお人は。そりゃあ鶴屋さんの自宅を見れば、そういう人手が必要そうなのは理解できるが……だからって、俺が執事?
「おっと! もうこんな時間になっちゃってら。んじゃあキョンくんっ! やる気になったらあたしに電話するなり、直でウチまで来とくれっ! んじゃねーっ!」
 かしましいほどハツラツにそう言って、鶴屋さんは本屋の店内をぐるり一周した挙げ句に何かの雑誌を買って、すったかと出て行った。
 そんな後ろ姿を見て、どうしたもんかと考える。
「どうするんですか?」
「とりあえず、ハルヒたちと合流だな」
 問いかけてくる古泉に、俺はそろそろ十二時になろうかという店内の時計を見て、溜息混じりにそう答えた。
 こりゃ昼も奢る羽目になりそうだ。

つづく
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★無題
NAME: BPS
>時間の融通がある程度取れて高収入
そんなバイトがあったらぜひ自分もやってみたいものですねw

まあもしあったら仕事内容がとんでもなさそうですが。
今回のキョンはどうなるのやら。
2008/02/19(Tue)02:19:53 編集
今回のキョンくんは、仕事がいかに大変なものか痛感することになるかとw
【2008/02/20 01:47】
★無題
NAME: ながとん
なるほどっ!
それにしてもツッコミの帝王と(私にだけ)呼ばれているキョンが執事ってのは、それだけで笑えるシチュですね(笑)。
続きが楽しみです♪
2008/02/19(Tue)23:44:42 編集
キョンくんが果たして執事としてやっていけるかが問題です……。
【2008/02/20 01:48】
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