category: 日記
DATE : 2008/12/13 (Sat)
DATE : 2008/12/13 (Sat)
昨日UPしたのはブログ用のものではありません……ってのは、昨日に記事にも書いてある通り。
じゃあブログ用のはなんじゃらほい? と言うと、今日のSSになります。
そういうわけで久しぶりですねー。ヒロインズシリーズ第四弾、ワンダフル・デイズがこれからしばらくお茶を濁すSSになります。まー、今のモチベーションと状況を考えると、ヒロイン視点のザッピングストーリーまで手が回りそうにないのがにんともかんとも。
それでは。
じゃあブログ用のはなんじゃらほい? と言うと、今日のSSになります。
そういうわけで久しぶりですねー。ヒロインズシリーズ第四弾、ワンダフル・デイズがこれからしばらくお茶を濁すSSになります。まー、今のモチベーションと状況を考えると、ヒロイン視点のザッピングストーリーまで手が回りそうにないのがにんともかんとも。
それでは。
ワンダフル・デイズ:1
善と悪に光と影。天と地に上と下。どっちがどっちとは言わないが、片方を『善し』とすれば、もう一方は『悪し』になる。
世の中ってのはそこまで単純じゃないことは理解してるつもりだが、それでも人間、物事はわかりやすく解釈したいし、わかりやすい方が自分自身も素直にすぐ納得できる。
何の話かと言えば、つまり二面性の話だ。
例えばハルヒ。
こいつの場合、いい意味でも悪い意味でも裏表のないヤツだ。自分に素直というか怖いもの知らずと言うべきか、とにかく素直に生きてるな、と見ていて思う。
逆にひどい二面性を持ってるヤツもいるわけで、それが誰だと問われれば、俺はひとまず朝倉涼子の名前を挙げておきたい。面倒見のいいクラス委員を表の顔とするならば、俺のトラウマになっている襲撃事件なんかは「中身が別なんじゃないか?」と疑問を抱かずにはいられないほどの豹変振りと言えるだろう。
そういう二面性というのは、もしかすると誰にでもあるのかもしれない。ハルヒにだって、ただ俺が知らないだけで、普段とは違う顔を見せるときがあるのかもしれない。
ただ、どちらにしろ言えることは、表と裏で顔を持ってるヤツは、どちらか一方をさらけ出しているのなら、もう片方の面は常に隠し続けている、ってことだろうか。だからこそ、裏の顔が何かの拍子に表に出てしまうと、周囲は何事かと不審に思うんだろう。
「どうしたのかしらね、あれ」
不審に思ったのは、事もあろうにハルヒも含まれていた。
これはまた珍しい。青天の霹靂というよりも珍しい。ハルヒが、人の態度を見て他所に話題を振るほどに興味を示している。
それも無理はない。あの姿は、他のヤツにしてみれば近寄りがたく思うほど空気が悪く見えそうだ。その二面性を知っている俺でさえ、できることなら近付きたくない。
「さぁな」
実際そうなのかどうなのか、俺にはさっぱりだけどな。ひとつだけ言えることは、関わり合いになりたくないってこと、ただそれだけだ。
「でも、朝倉があそこまでイラついてるのって珍しくない?」
確かにハルヒが言うように、いつも笑顔を振りまいて、悪く言えば愛想の塊みたいな朝倉が、渋い表情を作って頬杖を突き、せわしなく机を叩いている。それもかなりの速度で。
「まさかとは思うけど……あんた、何かしたんじゃないでしょうね?」
「おいおい」
慌てるよりも呆れてしまう。濡れ衣もいいとこだぞ、それは。
「機嫌の良し悪しなんて、その日のテンションや体調によって変わるもんだろ。何でも俺のせいにするなよ」
「ホントかしら」
そんな疑いの眼差しで人を見るな。端から人を有罪にしようとしてないか?
「嘘吐いてどうすんだよ。だいたい、どうして朝倉の不機嫌イコール俺のせいって方程式が成り立つんだ?」
「……あんたのそういう態度は別方面から見れば安心なのかもだけど、もし自分に向けられたらイラつくわね」
「だから何が?」
リングに上がったプロの格闘家よりも迫力ある眼光で人の顔を睨み、鼻息だけで巨木を倒しそうな一瞥をくれてハルヒはそっぽを向く。朝倉の機嫌の悪さが伝播して、こいつまで不機嫌になられちゃたまったもんじゃない。
「どーでもいいけど、あれ、ホントどうにかしてくんない? カツカツカツカツうるさいんだけど」
ハルヒが言うように、朝倉は朝からずっとむくれ面で頬杖を突き、二拍子のリズムでコツコツと机を叩いている。確かにあの音だけでもやめて欲しいところだが、他のクラスメイト同様に、俺だって近寄りたくない。何度も言うけど。
「気にしないようにすればいいんだよ」
少なくとも、俺は気にしない。あの音が気にならないのかと問われれば否と答えるが、だからといってこちらから関わってまで止めようとは思わない。
嵐の日は過ぎ去るのを待つだけさ。
そう思っていたんだが……。
がたんっ!
と、椅子がひっくり返らんばかりの勢いで、当の朝倉が勢いよく立ち上がった。俺を含めて周囲がビクッと身を縮めたのは言うまでもなく、かと思えば、よどみない足取りで整然と並ぶ机の合間を早足で通り抜け、どこへ向かうのかと言えば、何故か俺の前に立ちはだかった。
「ちょっといい?」
それはもしや、俺に向けて口にした台詞なんだろうか。あまりにも平坦な声音には感情らしきものがまるで込められおらず、朝倉にそんな言葉遣いで話しかけられなければならない失態はしていない……はずだ。
何が何だかよくわからないものの、我が身に何かしらの脅威が迫っていることは紛れもない事実だろう。
「えー……俺?」
「ちょっといい?」
オウムじゃあるまいし、同じ台詞を二度も繰り返さないでくれ。そして何より、人に確認を取ってるフリをしながら、その実、こっちの自由意思をまるっきり無視してネクタイを引っ掴むな。
「ちょっと朝倉、確認がてらに聞くけど、キョンが何かしたの?」
ここはさすがに団長さまだ。何も言えずにいる俺に代わって、ハルヒが朝倉にそう聞いてくれる。本心としては、もっと強く言ってくれ、と言わずにはいられない。いつも俺にしているみたいにさ。
「ん、別に。ちょっと借りていいかな?」
「あぁ……好きにしていいわ。今回ばっかりは」
「ありがと」
おいこら、ちょっと待て。何を納得したんだハルヒ。どうして朝倉にもっとキツく言ってやらないんだ? 団員の危機じゃないか。
「おい、何なんだいったい!?」
「いいから来て」
凄味のある朝倉の言葉に、俺は明確な言葉を返せない。団員が訳もわからない窮地に陥っているにもかかわらず、団長は身内を助けるどころか喜んで譲渡しちまうなんて、不条理極まりない世の中だ。
華奢な見た目は何かしらのインチキを使ってると断言できるような力を込めて、人を持ち上げられない粗大ゴミのように引っ張る朝倉に連れられるままに、俺は教室から引っ張り出された。
ハルヒの侮蔑にまみれた視線が、何か知らんが無性に腹が立つ。
つづく
善と悪に光と影。天と地に上と下。どっちがどっちとは言わないが、片方を『善し』とすれば、もう一方は『悪し』になる。
世の中ってのはそこまで単純じゃないことは理解してるつもりだが、それでも人間、物事はわかりやすく解釈したいし、わかりやすい方が自分自身も素直にすぐ納得できる。
何の話かと言えば、つまり二面性の話だ。
例えばハルヒ。
こいつの場合、いい意味でも悪い意味でも裏表のないヤツだ。自分に素直というか怖いもの知らずと言うべきか、とにかく素直に生きてるな、と見ていて思う。
逆にひどい二面性を持ってるヤツもいるわけで、それが誰だと問われれば、俺はひとまず朝倉涼子の名前を挙げておきたい。面倒見のいいクラス委員を表の顔とするならば、俺のトラウマになっている襲撃事件なんかは「中身が別なんじゃないか?」と疑問を抱かずにはいられないほどの豹変振りと言えるだろう。
そういう二面性というのは、もしかすると誰にでもあるのかもしれない。ハルヒにだって、ただ俺が知らないだけで、普段とは違う顔を見せるときがあるのかもしれない。
ただ、どちらにしろ言えることは、表と裏で顔を持ってるヤツは、どちらか一方をさらけ出しているのなら、もう片方の面は常に隠し続けている、ってことだろうか。だからこそ、裏の顔が何かの拍子に表に出てしまうと、周囲は何事かと不審に思うんだろう。
「どうしたのかしらね、あれ」
不審に思ったのは、事もあろうにハルヒも含まれていた。
これはまた珍しい。青天の霹靂というよりも珍しい。ハルヒが、人の態度を見て他所に話題を振るほどに興味を示している。
それも無理はない。あの姿は、他のヤツにしてみれば近寄りがたく思うほど空気が悪く見えそうだ。その二面性を知っている俺でさえ、できることなら近付きたくない。
「さぁな」
実際そうなのかどうなのか、俺にはさっぱりだけどな。ひとつだけ言えることは、関わり合いになりたくないってこと、ただそれだけだ。
「でも、朝倉があそこまでイラついてるのって珍しくない?」
確かにハルヒが言うように、いつも笑顔を振りまいて、悪く言えば愛想の塊みたいな朝倉が、渋い表情を作って頬杖を突き、せわしなく机を叩いている。それもかなりの速度で。
「まさかとは思うけど……あんた、何かしたんじゃないでしょうね?」
「おいおい」
慌てるよりも呆れてしまう。濡れ衣もいいとこだぞ、それは。
「機嫌の良し悪しなんて、その日のテンションや体調によって変わるもんだろ。何でも俺のせいにするなよ」
「ホントかしら」
そんな疑いの眼差しで人を見るな。端から人を有罪にしようとしてないか?
「嘘吐いてどうすんだよ。だいたい、どうして朝倉の不機嫌イコール俺のせいって方程式が成り立つんだ?」
「……あんたのそういう態度は別方面から見れば安心なのかもだけど、もし自分に向けられたらイラつくわね」
「だから何が?」
リングに上がったプロの格闘家よりも迫力ある眼光で人の顔を睨み、鼻息だけで巨木を倒しそうな一瞥をくれてハルヒはそっぽを向く。朝倉の機嫌の悪さが伝播して、こいつまで不機嫌になられちゃたまったもんじゃない。
「どーでもいいけど、あれ、ホントどうにかしてくんない? カツカツカツカツうるさいんだけど」
ハルヒが言うように、朝倉は朝からずっとむくれ面で頬杖を突き、二拍子のリズムでコツコツと机を叩いている。確かにあの音だけでもやめて欲しいところだが、他のクラスメイト同様に、俺だって近寄りたくない。何度も言うけど。
「気にしないようにすればいいんだよ」
少なくとも、俺は気にしない。あの音が気にならないのかと問われれば否と答えるが、だからといってこちらから関わってまで止めようとは思わない。
嵐の日は過ぎ去るのを待つだけさ。
そう思っていたんだが……。
がたんっ!
と、椅子がひっくり返らんばかりの勢いで、当の朝倉が勢いよく立ち上がった。俺を含めて周囲がビクッと身を縮めたのは言うまでもなく、かと思えば、よどみない足取りで整然と並ぶ机の合間を早足で通り抜け、どこへ向かうのかと言えば、何故か俺の前に立ちはだかった。
「ちょっといい?」
それはもしや、俺に向けて口にした台詞なんだろうか。あまりにも平坦な声音には感情らしきものがまるで込められおらず、朝倉にそんな言葉遣いで話しかけられなければならない失態はしていない……はずだ。
何が何だかよくわからないものの、我が身に何かしらの脅威が迫っていることは紛れもない事実だろう。
「えー……俺?」
「ちょっといい?」
オウムじゃあるまいし、同じ台詞を二度も繰り返さないでくれ。そして何より、人に確認を取ってるフリをしながら、その実、こっちの自由意思をまるっきり無視してネクタイを引っ掴むな。
「ちょっと朝倉、確認がてらに聞くけど、キョンが何かしたの?」
ここはさすがに団長さまだ。何も言えずにいる俺に代わって、ハルヒが朝倉にそう聞いてくれる。本心としては、もっと強く言ってくれ、と言わずにはいられない。いつも俺にしているみたいにさ。
「ん、別に。ちょっと借りていいかな?」
「あぁ……好きにしていいわ。今回ばっかりは」
「ありがと」
おいこら、ちょっと待て。何を納得したんだハルヒ。どうして朝倉にもっとキツく言ってやらないんだ? 団員の危機じゃないか。
「おい、何なんだいったい!?」
「いいから来て」
凄味のある朝倉の言葉に、俺は明確な言葉を返せない。団員が訳もわからない窮地に陥っているにもかかわらず、団長は身内を助けるどころか喜んで譲渡しちまうなんて、不条理極まりない世の中だ。
華奢な見た目は何かしらのインチキを使ってると断言できるような力を込めて、人を持ち上げられない粗大ゴミのように引っ張る朝倉に連れられるままに、俺は教室から引っ張り出された。
ハルヒの侮蔑にまみれた視線が、何か知らんが無性に腹が立つ。
つづく
PR
●この記事にコメントする
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
単なる不幸なら某幻想殺しの人に通じるものがありそうですが、キョンくんの場合はそれが羨ましい方向に行く場合が多々ありまして、困ったものです。
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
真っ先に矢面に立たされるキョンくんは、これからも受難続きになるでしょう。可哀想に(;´Д`)
忍者ブログ [PR]