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DATE : 2017/04/26 (Wed)
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DATE : 2008/03/04 (Tue)
とりあえず、ブログのデザインは元に戻そう!
いえ、変えてみて一日過ごしてみたわけですが、あまり評判がよくなくて……ってのもあるんですが、それとは別に

1:どこがリンクかよくわかんにゃい
2:記事のタイトルがわかりにくい
3:いただいたコメントと返信コメントの境がわかりづらい
4:文字が決め打ち

という理由がありまして。
1に関しては読んで時の如く。カーソル合わせれば色が変わるので一目瞭然なんですが、そうでない場合は通常の本文の中に埋もれてますしねぇ。
2もそのままの意味でありまして、3もそんな感じで。
4はあれです、ブラウザの設定で文字サイズを変えてもデザインを崩さないためなのか、フォントサイズが指定されてるようです。なので、うちの場合は文字サイズは「小」設定にしていたため今までのより文字サイズは大きくなってるんですが、そうでない場合は逆にちっちゃくなってるようで。

そんな理由で元に戻したわけでございまする。

で、SS。

ここまで書いておきながらずっと迷っていたんですが、決めました。話の設定を前回のSOS団篇から引き継ごうかと思います。かといってSOS団篇の三部作すべてを読んでないと意味わからん、とか言うほどガチガチに絡めるのでもなく、話の中でも「ああ、そんなことあったわね」くらいの軽い繋がりでいこうかと。どうにもその方が、話に深みを持たせられそうなもんで。

てな感じで、本日分で暫定的に一章はおしまい。次回から二章になります。

前回はこちら
森園生の変心:一章-d


 結局、朝はいつもより早く起きて家を出たというのに、教室に足を踏み入れたのはいつもと変わらぬ時間だった。人は目的の場所に向かうときは自ずとその方向に目を向けるわけで、とすればそこにはハルヒが居り、物憂げな眼差しをぼんやりと外に向けているのが目に入る。
 あの表情から察するに、退屈な授業時間を乗り越えた後の放課後に、いったい何をしてやろうかと目論んでいるに違いない。はた迷惑なことこの上ないヤツだ。
 そんなハルヒの顔を眺めつつ自分の席に向かって腰を下ろし、ふと朝の一幕を考える。
 俺がバイトをしていると知ればハルヒは機嫌を損ねる、という朝比奈さんと鶴屋さんの一致した見解は、果たして本当なんだろうか。
 俺がバイトをしようが何をしようが、そんなことでいちいちハルヒがむくれる意味がわからん。
「なぁ、試みに聞くんだが」
 避難訓練も、いつ起こるかもしれない自然災害が発生したときに慌てずに行動できるようにするためのものであり、そう考えれば何事においてもシミュレートしておくことは重要なのだと思う。
「俺がバイトを始めたとしたら、どう思う?」
 そう問いかければ、ぼんやり窓の外を眺めていたハルヒは油の切れかかったロボットみたいな首の動きで俺に顔を向け、おまえはまだ夢の中を彷徨っているのか? と暗に問いかけているような眼差しをしてみせた。
「バイトすんの?」
「いやだから、試みに、と言ってるじゃないか。例え話だよ。どう思う?」
「別に」
 ハルヒは肩に掛かった髪を後ろに凪がしながら、素っ気なく、かつ、簡潔にそう答えた。
「あんたがバイトしようが何しようが、あたしが何か思うわけないじゃん。好きにすればいいでしょ。まぁそうね、強いて言えばバイトを理由にSOS団の活動がおろそかになるのは許せないわね。両立できるもんならやってみなさいよ」
 だったらバイトを理由に早引けする古泉はどうなんだ? 今でこそそんな頻繁にじゃなくなってるが、SOS団発足当時はそう言う理由で帰っていたじゃないか。今もたまにあるぞ。
 だいたい、興味がないくせに挑戦的という態度も意味不明だ。
 が、それでも発信された言葉の意味を要約すれば、俺が予測していたものと大差はない。結局こいつは、俺がバイトを始めようが何しようが、どうでもいいに違いない。
 とすれば、仮に俺が鶴屋さんのところでバイトしているってことがバレたとしても、上級生二人が揃って結論づけた『ハルヒが機嫌を損ねる』という七面倒くさい厄介なイベントは発生しないだろう。むしろ、そんなもんが起こってたまるかってのが本音さ。
「……そんなにお金ないの?」
「あ?」
 シミュレートが無事に終了し、もはやハルヒと話すことはないと思っていたのだが、向こうからそんなことを言ってきた。
「だってあんた、急にバイトがどうこう言い出すんだもの。今までそんなこと、一度も口走ってないし、バイトしようって素振りすら見せなかったじゃない。で、昨日のあんたの態度でしょ? そう思うのは当然よ」
「あのな、ハルヒ」
 呆れを通り越して落胆したくなった。
「おまえは何かを勘違いしているのかもしれないから改めて言うが、俺は画期的な発明をして莫大な特許料を得ているわけでも、人類史に残るような驚異的な芸術作品を残して印税をもらっているわけでもない。かといって家が石油を掘り当てているわけでもないとなれば、ごくごく普通の一般人なのは言うまでもないだろ? 当然、もらっている小遣いは人が羨むような額であろうはずもなく、月にン千円という、世の中の物価上昇にくじけそうになるような微々たるものなんだ。そこから毎度毎度、喫茶店の飲み物代なんて出してみろ。破産するのは時間の問題だ」
「バッカじゃないの?」
 俺の切実かつ的を射た演説を、たった一言で切り捨てた。こいつが成長したな、と思うのは、そんな俺の助長な演説を最後まで黙って聞いていたってとこくらいか。
「よっぽどだったら、このあたしが知り合いのとこにバイトを頼んでやってもよかったけど、そんなくっだらないことをべらべら並べ立てられるなら、まだまだ平気そうじゃない。まっ、あんたみたいに時間にルーズなヤツが仕事なんて出来るわけないもんね。せいぜい今度から遅刻しないように気をつけなさい。それが遵守できるようなら、いいバイトを紹介してあげるわ」
 ハルヒが言う『いいバイト』とやらが、果たしてまともなものであるのかどうかが疑わしい。そもそも、こいつに仕事の世話をしてもらうのは屈辱的とさえ言える。
「それとも、今度から待ち合わせ場所はあんたの家にしてあげよっか? そうすれば遅刻しなくて済むもんね」
 それこそご免被る、ってやつだ。休日の朝っぱらからハルヒや古泉がやってこられても困る。朝比奈さんだけなら大歓迎だけどな。
「だいたいあんたはね、」
 ハルヒはここぞとばかりに説教をしたくなったようだが、そんなもんを聞く耳は持ち合わせていない。幸いにして予鈴のチャイムが鳴り、担任の岡部が定刻通りに教室にやって来たおかげで中断された。
 俺がバイトを始めたことをハッキリ言ってやってもいいのだが、どうにもハルヒは俺が働くことすらまともにできないダメ人間と思っている節がある。それはそれで心外だ。
 別に隠し立てする必要もないが、俺が鶴屋さんのところで働いていることは、気付かれるまで黙っていることにしよう。


 昼休み、ついいつものクセで国木田と谷口の二人と食卓を囲みそうになったが、取り出した弁当の包みを見て、これには鶴屋さんの分も含まれていることを思い出した。なので俺は、森さんが作ったという弁当を味わう前に鶴屋さんへ弁当を届けなければならず、二人には先に喰っててくれと告げて三年の教室へ向かった。
 妙な倦怠感に包まれているこの時間帯、生徒たちの行動は大きく分けて二分されると言っても過言ではない。それはつまり学食や売店に駆け込むか、持参した弁当を食べるのに最適な場所へ移動するかのどちらかだ。
 慌ただしさと穏やかさが妙な具合で混ざり合う今の時間帯は、ある種、独特かと思う。
「やーやーっ、遅かったじゃないかっ!」
 下級生の俺が上級生の鶴屋さんの教室に顔を出すのはなかなか恥ずかしいものだが、鶴屋さんは俺が来るのを待ちかまえていたのか、誰かに呼び出してもらうまでもなく気付いてくれた。
「すっかり忘れられてるんじゃないかって、ちょこっと心配しちゃったよっ!」
「忘れるわけないじゃないですか」
 実際には弁当の包みを見て思い出したわけだが、それは言わぬが花ってヤツさ。
「思うんですが、何も昼にわざわざ俺が届けなくても、朝のうちに渡しておけばよくなかったですか?」
「なぁ~に言ってんのさっ! キョンくん、あたしにおべんと届けるのが嫌なのかい?」
 そういうわけじゃないのだが、朝も一緒に登校することになるのだから、そのときに渡しておけば二度手間にならずに済んだな、っていう効率の話をしているだけっすよ。
「そんな効率ばっか気にしてちゃダメにょろよ。急がば回れってことわざもあるくらいだしねっ! それにっ、こういうことしてるとイイコトあるかもよっ?」
「いいこと?」
「あ、キョンくん」
 いったい何のことだろうと首を捻っていれば、俺に気付いて声を掛けてきたのは朝比奈さんだった。俺とハルヒが進級しても同じクラスだったように、この二人もまた同じクラスだったようだ。
「鶴屋さんにお弁当を届けに来たの? あ、よかったら一緒に食べていきませんか?」
 俺が鶴屋さんに弁当の包みを渡した直後だったこともあってか、そんなことをおっしゃってくれた。
「まっ、そーいうことだよっ!」
 俺の背中をバシッと叩きながら快活に笑う鶴屋さんを見て納得した。
「……なるほど」
「え、なぁに?」
「いや、何でもないですよ。それなら、お言葉に甘えて」
 国木田と谷口という野郎二人と面を付き合わせて食べる弁当と、朝比奈さんと鶴屋さんに囲まれていただく食事なら、同じ料理でも味わいが違うのは自明の理ってヤツだ。
 これが毎日続くなら、鶴屋さんを迎えに早起きするのも悪くない。
 朝比奈さんと鶴屋さんに囲まれていただく昼食は、俺の高校生活の中で光り輝く思い出のトップスリーにランクインさせても申し分ないものだった。立場的に、多少は気を遣って鶴屋さんと朝比奈さんの飲み物を買ってきたり等、使いっ走りみたいな真似をしてはみたが、そんなもんはお安いご用だ。
 そして何より、弁当を作ってくれたのは森さんだ。その味わいたるや、俺の貧相なボキャブラリーでは表現し難く、有り体な言葉を借りれば「美味い」の三文字で事足りる。それは読んで時の如く、まさに美しい味わいで感動もひとしおだった。
「そういえば」
 食事も一通り食べ終えて、食後のお茶と談笑を繰り広げている最中にふと思いついた。
「帰りはどうするんですか?」
 一日の授業が終わって、部活があるならともかく帰宅部ならば学校に用はない。鶴屋さんが何かしらの部活に所属しているという話は聞いたこともなく、もし授業終了とともに帰るつもりなら、俺は文芸部部室に顔を出す前に送り届けなければならない。
「ああっ、気にしなくていいよっ。ちゃーんと待ってるからっ! そだねっ、漫研のトコにお邪魔させてもらって時間でも潰してるっさ」
「それなら先に送ってもいいですよ。どうせ俺だって、部室でやってることと言えば古泉とボードゲーム対戦くらいですからね」
「いいよいいよっ! 今日は特に用事もないし、キョンくんだってハルにゃんの相手を優先させたくてウチでバイトしてんっしょっ? 何か急用あっときはワガママ言わせてもらうけどっ! 今日はそーじゃないしねっ。終わってからでいいよっ」
 鶴屋さんは本当にそれでいいらしく、ならば俺も強くいう必要もなさそうだ。


 そんな高校生男子、特に北高生が夢見るような昼食の一時を終えた俺は、足取りも軽く自分の教室へ戻る……その手前で、もしかして俺を待ちかまえていたのかもしれない野郎と出くわした。
「楽しい昼食時を過ごされたようですね」
 にこやかな笑みを浮かべつつ、俺の行動を監視でもしていたかのようなことを口にする。気のせいでなければ、その面持ちはひがんでいるというよりも、呆れていると捉えていいかもしれない。
「気のせいではありません。正直、少し呆れています」
「何が」
「まさか本当に鶴屋さんのところでアルバイトを始められるとは。その話を耳にしたときは、二の句が継げませんでしたよ」
 それはつまり、おまえは俺がバイトすることに反対だと言いたいのか。
「別にあなたがバイトを始めることに異論はありません。ただ、場所が問題だと言っているだけです」
「世の中には職業選択の自由が認められているんだぜ? 俺がどこでどんなバイトをしようが、それは俺の自由意思じゃないか」
「確かにその通りですが……」
 億劫そうに俺の言葉に同意を示しつつも、跳ねる前髪を指で弄びながら古泉は何かを言いたげだ。
「なんだよ?」
「いえ、あなたがそうと選んだのなら、多くを語っても仕方がないのかもしれません」
 奥歯に物が挟まった言い方だな。言い方だが、まぁいいさ。言いたくないのなら言わなくていい。それよりも、俺にだっておまえに言っておきたいことがある。
「俺が鶴屋さんのところで働く以前に、森さんが一足先にメイドをしてるじゃないか。確かおまえ、鶴屋さんを巻き込むのは感心しないとか言ってたが、『機関』に属する森さんこそが鶴屋家に深く関わってんじゃないのか? 御法度じゃないのか、それは」
「それはいいんですよ」
 何だそりゃ? まったく意味がわからん。『機関』とは直接的に関係ない俺が鶴屋さんのところでバイトするのはダメで、『機関』に所属している森さんならOKだと? 言ってることが無茶苦茶だ。
「すでにそう言うことになってしまっているのですから、仕方がありません。あなたが鶴屋さんのところで働いていることを含めてね。僕はこれ以上の文句もありません。ただ、職務を全うしてくださいと労うのが精一杯です。ではまた、放課後に」
 お手上げと暗に示しているのか、はたまた別れの挨拶を表現しただけなのか、どっちとも取れるように片手を上げて、古泉は自分の教室へと戻っていった。
 ちょうど、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴り響く頃合いだった。

つづく
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