category: 日記
DATE : 2007/05/14 (Mon)
DATE : 2007/05/14 (Mon)
もうめがっさ時間がありません。
なのでSSだけ置いていきますね (;´Д`)つ【分裂ネタあり】
それでは!
なのでSSだけ置いていきますね (;´Д`)つ【分裂ネタあり】
それでは!
【Rain such as tears reverse】three
駅の改札を抜けて空を見上げると、分厚い雲が空を覆っていた。そろそろ雨でも降り出すんじゃないか──そう考えた俺の思いを読み取ったかのように、ぽつりぽつりと落ちてきた水滴は、瞬く間に本降りとなり、水のカーテンで視界を遮る。
やれやれ、まったくツイてない。何も駅から出た途端に降り出さなくてもいいじゃないか。せめて俺が家に帰り着くまで待ってくれてもよさそうなものだろう。
さて、どうしたもんか。通り雨のようにすぐに上がるかもしれないし、本降りになるかもしれない。降り始めでは、どうにも判断しにくいな。
幸いにして駅の売店なら傘の一本くらいは売っているだろうが、家路に着くその距離のためだけに、五百円の出費は考え物だ。あとは家に帰るだけだし、濡れるの覚悟で走るのも悪くない。
「やあ、キョン」
覚悟を決めて一歩踏み出そうとしたところで、背後から肩を叩かれた。振り返って声の主の姿を見て取れば、なんだ佐々木か。
「なんだ、とは随分なご挨拶だ。帰りかい?」
「ん? ああ」
佐々木の問いかけに答えてから、俺は踏み出すのを諦めて、再び雨が降り続く空に視線を戻した。と、その横に佐々木も並んで空を眺める。
「傘は?」
「ない」
「みたいだね」
独りごちるように頷く佐々木に改めて目をやれば、どうやらこいつも傘を持っていないらしい。持っていたら入れてもらおうと思ったんだが、もしかすると佐々木も俺と同じようなことを目論んでいたのかもしれない。残念だったな。
「残念……ねぇ。そういえば、知ってるかい?」
「何を?」
「雨に抱く人のイメージというのは、地域性や文化によって異なるものなんだよ。西洋の温暖な地域では、雨は悲しみを抱かせる。逆に中東やアフリカのような雨が少ない地域では、雨というのは喜びの象徴でもあるんだ」
あまりにも唐突な雑学の披露に、俺は果たしてどう答えるべきかな? 気の利いたコメントも思い浮かばずに黙っていると、佐々木も口を閉ざしている。
まさかそれだけで終わりの話なのか?
「おや、もう少し話を聞きたいのかい? それなら雨宿りも兼ねて、そこの喫茶店で続きを披露してもいいが……どうする?」
「ワリカンなら」
「言うと思ったよ」
喉の奥で転がすような笑い声を噛み締める佐々木だが、俺だって財布の中身に余裕があれば奢ってやってもいいさ。だが、現実とは厳しいもので、そうも言ってられないのも事実。
もっとも、足を踏み入れた喫茶店は全国にチェーン展開をしている店で、入り口で注文を済ませてから席に着くタイプの店だ。先払いだから、互いに金を払った方がお店の人にも優しいだろうさ。
そんな店の中、突然の雨のせいで佐々木と二人で雨宿りをすることになったが、その時間は中学時代の話で盛り上がった。もっとも、話の内容は会う機会も少なくなった級友との思い出話と言うより、中学最後の一年間、二人で通った塾での話題がメインとなっていた。
他愛もない話だが、佐々木と再会してからそういう思い出話に花を咲かせたのは初めてかもしれない。それはそれで、有意義なひとときであったと結論づけても好いだろう。
そんな話を一通り済ませ、それでも止まない雨は、どうやら本降りになることを選択したらしい。注文したホットコーヒーが冷めてきた頃合いで、どうやらこれ以上の雨宿りは無意味であると認識した俺たちは、仕方なく傘を購入することにした。
「ああ、しまった」
駅の売店で互いに傘を購入しようとしたところ、佐々木が財布の中を覗いて眉間に皺を寄せている。
「なんだ?」
「財布の中身を確認していなかった。済まないがキョン、キミの傘に入れてくれないか?」
「……仕方ないな」
そんなわけで、俺が購入した一本の傘に佐々木を入れて帰ることになった。結局、素直に傘を買った方が安く付いたわけだが、佐々木と昔話に花を咲かせることができたので、よしとしよう。
それよりも、ひとつ聞き忘れていたことがあった。
「なんだい?」
「雨のイメージ云々って話さ。続きがあるんだろ?」
「ああ……覚えていたのか。続きといっても、あとはまとめるだけさ。起承転結で言えば、結の部分しか残っていないよ」
「というと?」
「先ほどの例え話で言うのなら、キョンはこの雨に西洋的な悲しみ……と言えば大袈裟だが、うんざりしたイメージを抱いているだろう? 逆に、僕はこの雨に中東的文化のような喜びを見いだしていると、そういうことを言いたかっただけさ」
「なんだ、佐々木は晴れの日よりも雨の日の方が好きなのか?」
「うーん……」
そんな俺の問いかけに、佐々木は少し困ったような表情を浮かべる。今の質問のどこに、困るようなところがあったんだ?
「どこ、と問われれば、鏡を見ろとしか言えないね」
傘を差している俺の腕に指を絡めながら、佐々木はからかうような微かな微笑みを浮かべた。
〆
駅の改札を抜けて空を見上げると、分厚い雲が空を覆っていた。そろそろ雨でも降り出すんじゃないか──そう考えた俺の思いを読み取ったかのように、ぽつりぽつりと落ちてきた水滴は、瞬く間に本降りとなり、水のカーテンで視界を遮る。
やれやれ、まったくツイてない。何も駅から出た途端に降り出さなくてもいいじゃないか。せめて俺が家に帰り着くまで待ってくれてもよさそうなものだろう。
さて、どうしたもんか。通り雨のようにすぐに上がるかもしれないし、本降りになるかもしれない。降り始めでは、どうにも判断しにくいな。
幸いにして駅の売店なら傘の一本くらいは売っているだろうが、家路に着くその距離のためだけに、五百円の出費は考え物だ。あとは家に帰るだけだし、濡れるの覚悟で走るのも悪くない。
「やあ、キョン」
覚悟を決めて一歩踏み出そうとしたところで、背後から肩を叩かれた。振り返って声の主の姿を見て取れば、なんだ佐々木か。
「なんだ、とは随分なご挨拶だ。帰りかい?」
「ん? ああ」
佐々木の問いかけに答えてから、俺は踏み出すのを諦めて、再び雨が降り続く空に視線を戻した。と、その横に佐々木も並んで空を眺める。
「傘は?」
「ない」
「みたいだね」
独りごちるように頷く佐々木に改めて目をやれば、どうやらこいつも傘を持っていないらしい。持っていたら入れてもらおうと思ったんだが、もしかすると佐々木も俺と同じようなことを目論んでいたのかもしれない。残念だったな。
「残念……ねぇ。そういえば、知ってるかい?」
「何を?」
「雨に抱く人のイメージというのは、地域性や文化によって異なるものなんだよ。西洋の温暖な地域では、雨は悲しみを抱かせる。逆に中東やアフリカのような雨が少ない地域では、雨というのは喜びの象徴でもあるんだ」
あまりにも唐突な雑学の披露に、俺は果たしてどう答えるべきかな? 気の利いたコメントも思い浮かばずに黙っていると、佐々木も口を閉ざしている。
まさかそれだけで終わりの話なのか?
「おや、もう少し話を聞きたいのかい? それなら雨宿りも兼ねて、そこの喫茶店で続きを披露してもいいが……どうする?」
「ワリカンなら」
「言うと思ったよ」
喉の奥で転がすような笑い声を噛み締める佐々木だが、俺だって財布の中身に余裕があれば奢ってやってもいいさ。だが、現実とは厳しいもので、そうも言ってられないのも事実。
もっとも、足を踏み入れた喫茶店は全国にチェーン展開をしている店で、入り口で注文を済ませてから席に着くタイプの店だ。先払いだから、互いに金を払った方がお店の人にも優しいだろうさ。
そんな店の中、突然の雨のせいで佐々木と二人で雨宿りをすることになったが、その時間は中学時代の話で盛り上がった。もっとも、話の内容は会う機会も少なくなった級友との思い出話と言うより、中学最後の一年間、二人で通った塾での話題がメインとなっていた。
他愛もない話だが、佐々木と再会してからそういう思い出話に花を咲かせたのは初めてかもしれない。それはそれで、有意義なひとときであったと結論づけても好いだろう。
そんな話を一通り済ませ、それでも止まない雨は、どうやら本降りになることを選択したらしい。注文したホットコーヒーが冷めてきた頃合いで、どうやらこれ以上の雨宿りは無意味であると認識した俺たちは、仕方なく傘を購入することにした。
「ああ、しまった」
駅の売店で互いに傘を購入しようとしたところ、佐々木が財布の中を覗いて眉間に皺を寄せている。
「なんだ?」
「財布の中身を確認していなかった。済まないがキョン、キミの傘に入れてくれないか?」
「……仕方ないな」
そんなわけで、俺が購入した一本の傘に佐々木を入れて帰ることになった。結局、素直に傘を買った方が安く付いたわけだが、佐々木と昔話に花を咲かせることができたので、よしとしよう。
それよりも、ひとつ聞き忘れていたことがあった。
「なんだい?」
「雨のイメージ云々って話さ。続きがあるんだろ?」
「ああ……覚えていたのか。続きといっても、あとはまとめるだけさ。起承転結で言えば、結の部分しか残っていないよ」
「というと?」
「先ほどの例え話で言うのなら、キョンはこの雨に西洋的な悲しみ……と言えば大袈裟だが、うんざりしたイメージを抱いているだろう? 逆に、僕はこの雨に中東的文化のような喜びを見いだしていると、そういうことを言いたかっただけさ」
「なんだ、佐々木は晴れの日よりも雨の日の方が好きなのか?」
「うーん……」
そんな俺の問いかけに、佐々木は少し困ったような表情を浮かべる。今の質問のどこに、困るようなところがあったんだ?
「どこ、と問われれば、鏡を見ろとしか言えないね」
傘を差している俺の腕に指を絡めながら、佐々木はからかうような微かな微笑みを浮かべた。
〆
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[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
待て、それは孔明のw(ry
というわけで、その真相はまとめの方で種明かしをしておりますヨ。
というわけで、その真相はまとめの方で種明かしをしておりますヨ。
★無題
NAME: ゆんゆん。
ぉ~佐々木さんも長門さん以上に策士家ですね(笑)喫茶店で注文したから残金わかりそうですけどキョンくんったら,,,わざと気づかないフリを!?(ナイナイ)最後までキョンくんはニブチンだったですね^^お忙しい中更新乙でしたd(ゝω・*)
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
キョンくんですからねぇ……おそらく「俺に傘を買わせて自分は傘代を浮かせるつもりか」程度にしか思ってないかもw
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
個人的には、佐々木さんのフルネームが知りたいところです!
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