category: 日記
DATE : 2007/10/15 (Mon)
DATE : 2007/10/15 (Mon)
ひとまず今日であらかた片が付きそうな感じであります。なかなかハードな日々でしたが、過ぎてしまえばこっちのもの。
とりあえずヘロヘロなので、SSだけ置いておきます。一仕事片付けてからのヤッツケなので、誤脱は勘弁してネ!
ではまた明日~。
とりあえずヘロヘロなので、SSだけ置いておきます。一仕事片付けてからのヤッツケなので、誤脱は勘弁してネ!
ではまた明日~。
前回はこちら
涼宮ハルヒの信愛:一章-d
予想に反して現れた喜緑さんだが、その口を裂いて出てきた台詞は予想の遙か斜め上を行くものだった。
朝倉……朝倉ねぇ。そんな苗字はありふれたもの……とまでは言わないが、そこまで珍しい苗字でもない。探せばそれなりにいると思われる。
「けど、俺には朝倉って苗字の知り合いはいないですけど」
などと言ったら、さらに睨まれた。睨むと言うよりも、凄味を利かせてくるんだが……何なんだ、いったい?
「申し訳ありません。ちょっと解りにくいのかもしれませんけれど、わたし、極めて真面目なお話をしているつもりなんですが」
「ええっと……」
「いつの時代の朝倉さんか、なんてことはどうでもよろしいですよ。重要なのは、あなたがいつ、どこで朝倉さんとお会いしたかと、それをお聞きしているのですが」
にこりともせずに切って返す喜緑さんの態度は、どうにも洒落が通じそうにない雰囲気だ。もっとも、この人の場合はつねに洒落が通じないと言えるかもしれないが、そういう意味ではなく、今はかなりピリピリしている……ように見える。
「何かあったんですか?」
「それをお聞きしたいというのであれば、先にこちらの質問に答えていただきたいのですけれど。正直に」
どうやらここは、軽口を叩ける場面ではないらしい。何があったのか、それを知る前に聞かれたことに対して正直に答えなければ、我が身に危険が迫るかもしれん。理不尽な気がしないでもないが、今の喜緑さんを前に下手な意地を張ってもは無意味だろう。そんな気がする。
「俺が朝倉と会ったのは先月ですよ。喜緑さんも知ってるでしょう? 件のオーパーツ騒ぎのときに、過去からやってきたあいつと会ったのが最後ですよ」
「そうですか」
ふぅ、と溜息一つ。喜緑さんは今にも苦笑のひとつでも漏らしそうに口をへの字に曲げてから、しずしずと俺に近付くや否や、ばしんっと両手で人の顔を挟み込んでジーッと睨み付けてきた。
「な、なんですか……」
「嘘じゃありませんね? 間違いないことですね? 適当な言葉でごまかそうとしても無駄ですよ?」
「あのですね」
人の顔を両手でサンドイッチにしているばかりか、むにむにと弄ぶ喜緑さんの手を取って、俺は溜息混じりに憤りの言葉をぶつけることにした。埒が明かない。
「天地神明に誓って言いますが、俺が朝倉と会ったのはあのときが最後です。それは間違いありません。ってか、何なんですかいったい? 俺の行動くらいはすぐに把握できるんでしょう? だったら聞くまでもないじゃないですか」
「相手が朝倉さんですから。解らないかもしれないので確認しているまでです」
「今度は何事ですか」
これまでの喜緑さん情報をまとめれば、どうやら朝倉絡みで何事か起こってるらしい。起こっていて、怒っているようだ。それは確実だろうが、そこにどうして俺が巻き込まれなくちゃならないんだ?
「では、協力してくださいますか?」
「できれば何が起こってるのか、その説明を先にお願いしたいんですけど」
「そうですね……」
しばし考える素振りを見せる喜緑さんは、果たしてその頭の中にどんな図を思い描いているのか知らないが、勉強机の椅子に腰を下ろして、くるりとこちらに向き直った。
「朝倉さんが時間跳躍を行っているのはご存じですね?」
「前回のことですか? そういやあいつ、四年前から来たんでしたね。朝比奈さんと一緒に」
その朝比奈さんは、いつも部室でお茶を淹れてくれる麗しの上級生ではなく、あらゆる面でボリュームアップした朝比奈さん(大)ではあったが。
「違うんです」
「違う? 何がですか」
「朝倉さん、単独での時間遡航を行っているんです」
「……へぇ」
これはまた、どういうリアクションを取るべきだろうか。朝倉が単独で時間遡航をしていると言われても、万能宇宙人だからなぁ。そのくらいは簡単にできそうで、今さら驚くに値しないことじゃないだろうか。
「驚いてください」
「何でですか」
「わたしたちTFEIには、有機情報を伴っての時間遡航をする権限は与えられておりません。長門さんから聞いてないでしょうか?」
「……ああ」
もう一年以上も前の話だからすっかり忘れてた。そういえば、朝比奈さんみたいな時間遡航はできない、と長門も言ってたっけ。その代わり、異時間同位体と同期することで時間遡航ができる……だったか?
「どうやら朝倉さんは、TPDDの技術を得ているようなんです」
「それって朝比奈さんが時間遡航してるときの技術ですよね?」
「そうです。憶測ですけれど、前回の件で朝比奈さんが朝倉さんにTPDDを渡したのではないかと思われます。もしくは一時的に貸し与えたか……どちらにしろ、何百年か何千年か知りませんが、遙か未来の技術とは言っても、所詮は人間が扱う技術です。一度でもその技術を情報として得たのであれば、わたしたちが複製できないものではありません」
それは何ですか、さらりと嫌味を言ってるわけですか。
「つまり、朝倉は勝手気ままに時間遡航して遊んでる、と」
「それが困ったことなんです」
「あいつが何か悪さをするから、ですか?」
「その可能性も否定できませんが、時間遡航という行為そのものが、です。何故、わたしたちTFEIに有機情報を伴っての時間遡航が許可されてないか、解りますか?」
解りますか、と問われても、時間の概念すら危うい大宇宙の広域情報うんたらの考えることなんて、俺に解ろうはずもない。
「……さぁ?」
「わたしたちが、この惑星表面上ではイレギュラーな存在だからです」
「というと?」
「わたしたちは、涼宮さんの情報創造能力に自立進化の可能性を求め、観測という名目でこの惑星表面上に存在しているんです。それ以上もそれ以下もなく、あまり世間に深く干渉しません。雑多な人間に興味がないというのもありますし、人間独自の進化に手を加える気もありませんから」
つまり、ハルヒ以外はどうでもいいと、そういうことなのか。そもそもハルヒが今から四年前に何かしでかしたせいで情報統合なんたらが目を付けたわけだし、ハルヒ以外は眼中にないんだろうね。
「つまりですね、わたしたちは涼宮さんの能力が解析できれば、もう存在する意義はないんですよ。それが明日なのか、それとも銀河消滅のそのときまで不明のままなのかは解りませんけれど……」
「ええと、すみません。その話と喜緑さんたちが時間遡航できないことと、どういう関係があるのかさっぱりなんですが」
「時間遡航ができるということは、永遠に存在できるということです」
「はい?」
「わたしたちの同期は、過去、あるいは未来に『わたし』が存在していることが前提で行えるものです。朝倉さんの場合で言えば、本来なら四年前から一年前のわずか三年間でしか時間遡航はできないんです。同期による時間遡航だと。でも、有機情報を伴う時間遡航が可能であれば、遙か未来にも朝倉さんは存在できるんです。その気になれば、何時、如何なる場所であろうとも朝倉さんは存在します。それがちょっと困ったことなんです。理由は、先に述べた通りですね」
「まぁ……理屈は解りましたが」
本音で言えば、まだ少し理解しかねているところもあるんだが、簡単に言えば、朝倉がTPDDの技術を持ってるのはまずいと、喜緑さん──あるいはその親玉あたり──は判断したわけだ。それで朝倉からTPDDを取り上げたいと。
「それでどうして俺のとこに来るんですか」
「他に考えられるアテがないからです」
「アテがないって……俺のとこに来る理由もないでしょう」
「可能性の問題ですよ。時間遡航をするにしても、目的が必要じゃありませんか。わたしや長門さんに会うなんてことは、まずあり得ません。他の方々は事情を知らないですから省かれます。でも、彼女が時間遡航ができることを知っていて、会っても不利益にならない相手となれば……やっぱりあなたしかいないように思えるんですけど」
「んなこと言われても」
仮にそうだとしても、ここ最近、俺は朝倉に会ってないぞ。それだけは間違いない。会ってないのだから、あいつが時間遡航してるかどうかも知らん。
「本当にあいつが単独で時間遡航してるんですか?」
「間違いありません。前回の出来事があってから、少し気になって、一年前に北高の校内であなたを襲って長門さんに消されるまでの行動を調べてみました。そうしたら、時間にして一秒にも満たないほどですが、朝倉さんがこの惑星表面上から消失していたこが確認されましたので」
それが、朝倉が時間遡航をしている証拠なんだろうか。一秒にも満たない時間でも消えている、ということは……ああ、そうか。別の時間軸に跳んでるわけだから、行きと帰りの時間設定の誤差を少なくすれば、実時間では一秒に満たなくても、実際には長時間、別の時間軸に存在していたかもしれないわけか。
「あなたがまだ朝倉さんとお会いしてないと言うのであれば、これから先に現れるかもしれませんね」
現れるかもって……いったい何のために? もしかして、また何か起こるのか? そんな、過去や未来を行ったり来たりしなけりゃならん宇宙人絡みの面倒なことが。
……喜緑さんの話、聞かなきゃよかったな……。
「ですので、これからしばらくの間、監視させていただきます」
「……監視?」
「はい。いつ朝倉さんが現れてもいいように、プライバシー無視の二十四時間監視体制を敷かせていただきます」
「ちょっ」
何を言ってるんだこの人は!? んなもん、大却下に決まってる。承伏できるわけがない。
「嫌ですか?」
「当たり前じゃないですか!」
「それなら、協力してくださるんですね? 朝倉さんが現れたときに、逃がさないように捕まえておいてくれると」
「それは」
朝倉を捕まえておく? 俺が? なんでそんな真似を……そもそも俺に、あいつを捕まえられるのか? 考えただけで、脇腹がチクチク痛むんだが……。
「協力してくださいますね?」
にっこり微笑む喜緑さんは、笑顔の裏に「断ったら監禁です」など言い出しそうな思惑を、隠そうともせずにさらけ出していた。
つづく
涼宮ハルヒの信愛:一章-d
予想に反して現れた喜緑さんだが、その口を裂いて出てきた台詞は予想の遙か斜め上を行くものだった。
朝倉……朝倉ねぇ。そんな苗字はありふれたもの……とまでは言わないが、そこまで珍しい苗字でもない。探せばそれなりにいると思われる。
「けど、俺には朝倉って苗字の知り合いはいないですけど」
などと言ったら、さらに睨まれた。睨むと言うよりも、凄味を利かせてくるんだが……何なんだ、いったい?
「申し訳ありません。ちょっと解りにくいのかもしれませんけれど、わたし、極めて真面目なお話をしているつもりなんですが」
「ええっと……」
「いつの時代の朝倉さんか、なんてことはどうでもよろしいですよ。重要なのは、あなたがいつ、どこで朝倉さんとお会いしたかと、それをお聞きしているのですが」
にこりともせずに切って返す喜緑さんの態度は、どうにも洒落が通じそうにない雰囲気だ。もっとも、この人の場合はつねに洒落が通じないと言えるかもしれないが、そういう意味ではなく、今はかなりピリピリしている……ように見える。
「何かあったんですか?」
「それをお聞きしたいというのであれば、先にこちらの質問に答えていただきたいのですけれど。正直に」
どうやらここは、軽口を叩ける場面ではないらしい。何があったのか、それを知る前に聞かれたことに対して正直に答えなければ、我が身に危険が迫るかもしれん。理不尽な気がしないでもないが、今の喜緑さんを前に下手な意地を張ってもは無意味だろう。そんな気がする。
「俺が朝倉と会ったのは先月ですよ。喜緑さんも知ってるでしょう? 件のオーパーツ騒ぎのときに、過去からやってきたあいつと会ったのが最後ですよ」
「そうですか」
ふぅ、と溜息一つ。喜緑さんは今にも苦笑のひとつでも漏らしそうに口をへの字に曲げてから、しずしずと俺に近付くや否や、ばしんっと両手で人の顔を挟み込んでジーッと睨み付けてきた。
「な、なんですか……」
「嘘じゃありませんね? 間違いないことですね? 適当な言葉でごまかそうとしても無駄ですよ?」
「あのですね」
人の顔を両手でサンドイッチにしているばかりか、むにむにと弄ぶ喜緑さんの手を取って、俺は溜息混じりに憤りの言葉をぶつけることにした。埒が明かない。
「天地神明に誓って言いますが、俺が朝倉と会ったのはあのときが最後です。それは間違いありません。ってか、何なんですかいったい? 俺の行動くらいはすぐに把握できるんでしょう? だったら聞くまでもないじゃないですか」
「相手が朝倉さんですから。解らないかもしれないので確認しているまでです」
「今度は何事ですか」
これまでの喜緑さん情報をまとめれば、どうやら朝倉絡みで何事か起こってるらしい。起こっていて、怒っているようだ。それは確実だろうが、そこにどうして俺が巻き込まれなくちゃならないんだ?
「では、協力してくださいますか?」
「できれば何が起こってるのか、その説明を先にお願いしたいんですけど」
「そうですね……」
しばし考える素振りを見せる喜緑さんは、果たしてその頭の中にどんな図を思い描いているのか知らないが、勉強机の椅子に腰を下ろして、くるりとこちらに向き直った。
「朝倉さんが時間跳躍を行っているのはご存じですね?」
「前回のことですか? そういやあいつ、四年前から来たんでしたね。朝比奈さんと一緒に」
その朝比奈さんは、いつも部室でお茶を淹れてくれる麗しの上級生ではなく、あらゆる面でボリュームアップした朝比奈さん(大)ではあったが。
「違うんです」
「違う? 何がですか」
「朝倉さん、単独での時間遡航を行っているんです」
「……へぇ」
これはまた、どういうリアクションを取るべきだろうか。朝倉が単独で時間遡航をしていると言われても、万能宇宙人だからなぁ。そのくらいは簡単にできそうで、今さら驚くに値しないことじゃないだろうか。
「驚いてください」
「何でですか」
「わたしたちTFEIには、有機情報を伴っての時間遡航をする権限は与えられておりません。長門さんから聞いてないでしょうか?」
「……ああ」
もう一年以上も前の話だからすっかり忘れてた。そういえば、朝比奈さんみたいな時間遡航はできない、と長門も言ってたっけ。その代わり、異時間同位体と同期することで時間遡航ができる……だったか?
「どうやら朝倉さんは、TPDDの技術を得ているようなんです」
「それって朝比奈さんが時間遡航してるときの技術ですよね?」
「そうです。憶測ですけれど、前回の件で朝比奈さんが朝倉さんにTPDDを渡したのではないかと思われます。もしくは一時的に貸し与えたか……どちらにしろ、何百年か何千年か知りませんが、遙か未来の技術とは言っても、所詮は人間が扱う技術です。一度でもその技術を情報として得たのであれば、わたしたちが複製できないものではありません」
それは何ですか、さらりと嫌味を言ってるわけですか。
「つまり、朝倉は勝手気ままに時間遡航して遊んでる、と」
「それが困ったことなんです」
「あいつが何か悪さをするから、ですか?」
「その可能性も否定できませんが、時間遡航という行為そのものが、です。何故、わたしたちTFEIに有機情報を伴っての時間遡航が許可されてないか、解りますか?」
解りますか、と問われても、時間の概念すら危うい大宇宙の広域情報うんたらの考えることなんて、俺に解ろうはずもない。
「……さぁ?」
「わたしたちが、この惑星表面上ではイレギュラーな存在だからです」
「というと?」
「わたしたちは、涼宮さんの情報創造能力に自立進化の可能性を求め、観測という名目でこの惑星表面上に存在しているんです。それ以上もそれ以下もなく、あまり世間に深く干渉しません。雑多な人間に興味がないというのもありますし、人間独自の進化に手を加える気もありませんから」
つまり、ハルヒ以外はどうでもいいと、そういうことなのか。そもそもハルヒが今から四年前に何かしでかしたせいで情報統合なんたらが目を付けたわけだし、ハルヒ以外は眼中にないんだろうね。
「つまりですね、わたしたちは涼宮さんの能力が解析できれば、もう存在する意義はないんですよ。それが明日なのか、それとも銀河消滅のそのときまで不明のままなのかは解りませんけれど……」
「ええと、すみません。その話と喜緑さんたちが時間遡航できないことと、どういう関係があるのかさっぱりなんですが」
「時間遡航ができるということは、永遠に存在できるということです」
「はい?」
「わたしたちの同期は、過去、あるいは未来に『わたし』が存在していることが前提で行えるものです。朝倉さんの場合で言えば、本来なら四年前から一年前のわずか三年間でしか時間遡航はできないんです。同期による時間遡航だと。でも、有機情報を伴う時間遡航が可能であれば、遙か未来にも朝倉さんは存在できるんです。その気になれば、何時、如何なる場所であろうとも朝倉さんは存在します。それがちょっと困ったことなんです。理由は、先に述べた通りですね」
「まぁ……理屈は解りましたが」
本音で言えば、まだ少し理解しかねているところもあるんだが、簡単に言えば、朝倉がTPDDの技術を持ってるのはまずいと、喜緑さん──あるいはその親玉あたり──は判断したわけだ。それで朝倉からTPDDを取り上げたいと。
「それでどうして俺のとこに来るんですか」
「他に考えられるアテがないからです」
「アテがないって……俺のとこに来る理由もないでしょう」
「可能性の問題ですよ。時間遡航をするにしても、目的が必要じゃありませんか。わたしや長門さんに会うなんてことは、まずあり得ません。他の方々は事情を知らないですから省かれます。でも、彼女が時間遡航ができることを知っていて、会っても不利益にならない相手となれば……やっぱりあなたしかいないように思えるんですけど」
「んなこと言われても」
仮にそうだとしても、ここ最近、俺は朝倉に会ってないぞ。それだけは間違いない。会ってないのだから、あいつが時間遡航してるかどうかも知らん。
「本当にあいつが単独で時間遡航してるんですか?」
「間違いありません。前回の出来事があってから、少し気になって、一年前に北高の校内であなたを襲って長門さんに消されるまでの行動を調べてみました。そうしたら、時間にして一秒にも満たないほどですが、朝倉さんがこの惑星表面上から消失していたこが確認されましたので」
それが、朝倉が時間遡航をしている証拠なんだろうか。一秒にも満たない時間でも消えている、ということは……ああ、そうか。別の時間軸に跳んでるわけだから、行きと帰りの時間設定の誤差を少なくすれば、実時間では一秒に満たなくても、実際には長時間、別の時間軸に存在していたかもしれないわけか。
「あなたがまだ朝倉さんとお会いしてないと言うのであれば、これから先に現れるかもしれませんね」
現れるかもって……いったい何のために? もしかして、また何か起こるのか? そんな、過去や未来を行ったり来たりしなけりゃならん宇宙人絡みの面倒なことが。
……喜緑さんの話、聞かなきゃよかったな……。
「ですので、これからしばらくの間、監視させていただきます」
「……監視?」
「はい。いつ朝倉さんが現れてもいいように、プライバシー無視の二十四時間監視体制を敷かせていただきます」
「ちょっ」
何を言ってるんだこの人は!? んなもん、大却下に決まってる。承伏できるわけがない。
「嫌ですか?」
「当たり前じゃないですか!」
「それなら、協力してくださるんですね? 朝倉さんが現れたときに、逃がさないように捕まえておいてくれると」
「それは」
朝倉を捕まえておく? 俺が? なんでそんな真似を……そもそも俺に、あいつを捕まえられるのか? 考えただけで、脇腹がチクチク痛むんだが……。
「協力してくださいますね?」
にっこり微笑む喜緑さんは、笑顔の裏に「断ったら監禁です」など言い出しそうな思惑を、隠そうともせずにさらけ出していた。
つづく
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●この記事にコメントする
★無題
NAME: Miza
さすが朝倉さん!いつでもどこでもキョン君を刺せる様にそんなテクニックまで会得していたとは!
喜緑さんになら24時間監視されてあんなところやこんなところを見られちゃってもイイッ!
喜緑さんになら24時間監視されてあんなところやこんなところを見られちゃってもイイッ!
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
喜緑さんにアレやコレを見られていじめられたいとは、これまた豪気な( ´ー`)
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
長門さんが監視役なら、ほぼストレスなく過ごせそうです。でも喜緑さんは……(;´Д`)
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