category: 日記
DATE : 2007/08/05 (Sun)
DATE : 2007/08/05 (Sun)
どうにもカオスっぽい話を書いてると、その反動のせいで、糖分過多の純愛ストーリーでも書きたくなりますね! と言っても、自分にはオムニバスのようなレベルがせいぜいですが。
んーと。
今日の更新は少し遅くなったので、小ネタもなしで! でもSSはアルヨ。
アルヨと言えば……いえ、やっぱやめときます。
ではまた!
んーと。
今日の更新は少し遅くなったので、小ネタもなしで! でもSSはアルヨ。
アルヨと言えば……いえ、やっぱやめときます。
ではまた!
前回はこちら
【Respect redo】吉村美代子の憂鬱
お風呂場から逃げ出したわたしは、とにかくため息の連続です。本当に妙なことになってきたとしか言えません。どうして周防さんに見惚られちゃったのかさっぱりですが、それでも少し、去り際に見た憂い気な表情が気に掛かります。
うーん、突然のことにわたしも気が動転していたっていうのがありますけれど、やっぱり逃げ出すような真似はせずに、しっかり話し合って、ちゃんとお断りすればよかったのかしら……? いやでも、下手に甘い顔を見せると、そのままずるずるいっちゃうこともありえるわけで……あーうー、何がなんだかさっぱりです。
こういうときは一人で思い悩むよりも誰かに相談したい……ところではあるんですが、今ここで、周囲にいるのはロクでもない人たちばっかりです。唯一まともなのは佐々木さんだけかもしれませんが、それもどうだろう、と疑問符が付いちゃう感じです。
「……ん?」
部屋に戻るのも躊躇われ、あれこれ考えながら宿の中を適当にウロウロしていたわたしですが、なんだか今、妙な音が聞こえたのは気のせいでしょうか? まるで何か大きなものが戸板にぶつかったような音です。
……あれ? でもこの宿には、わたしたち一行と朝倉さんと喜緑さんペアしかいないはずですよね? 従業員もロクにいない、なんていうか少し豪華な山小屋ってレベルのとこですし。
え? じゃあ今の音って何ですか? こんな山奥で泥棒はないだろうし……また何か、猛獣の類というのであれば勘弁してください。あるいは幽霊や物の怪ですか? 一番確率が高いのは、わたしの聞き間違いってことですけど……。
がたたたんっ!
なんて、聞き間違いとは思えないほどの大きな音が聞こえて来れば、やっぱり何かいるってことです。いることは間違いないわけで、えーっと、それじゃいったい誰?
いちおう、この宿の管理者は……記憶している限りでは、橘さんの個人的な繋がりのある人、でしたっけ? その人がいないわけですから、じゃあ責任者は橘さんということになるんでしょうか? うわぁ、自分の責任を果たすことを放棄しちゃいそうな、無責任な責任者だなぁ。
仕方がありません。こうなったら現場に居合わせたわたしが確認するしかなさそうです。ええ、そんなことせずに気付かず過ぎ去ってもいいんですけど、何故でしょう、どっちにしたってロクなことにならない気がします。
「誰かいるんですかぁ~……」
それでもやっぱり、少し怖いですよ。びくびくしながらドアを開けると──。
「ふんむむむっ! ふんむーっ!」
「ひやあっ!」
それはそれはおぞましい怪音を発しながら室内から転がり飛び出してきたその物体に、条件反射でかかと落としを炸裂させそうになりましたが、幸いにしてわたしの足は、部屋から飛び出してきた物体をかすめて、板張りの廊下を凹ませたくらいの不発に終わりました。
あとにして思えば当たらなくてよかったぁと思うんですけど、そのときはさすがに驚きが前に出ていたもので、仕方のない反応だと思ってください。
部屋から飛び出して来たのは、ロープで円筒状に丸められた布団の塊でした。でも、それが……なんて言うんでしょう? 某球団マスコットみたいな動きをしてるんですよね。まるで巨大な芋虫みたいで、かなりその……はい、正直キモいです。
「な、何これ……?」
この宿では、布団が勝手に飛び跳ねるんですか? わたし、今晩は寝袋で寝ちゃおうかしら……なんて思いながらも引きつった目を向けていれば、何やら人の頭らしきものがありました。タオルを猿ぐつわ代わりに噛まされているその顔は……ええっと……。
「ああ、藤原さん?」
「んふむっ! ふむぅっ! ふぐぐぐぐっ!」
すみません、いったい何を言いたいのかさっぱりです。そういえば、橘さんが藤原さんを「スマキにしてリネン室に放り込んでいる」とか言ってましたが、事実そんなことをされていたんですね。てっきり冗談……だと、今では思えませんが。
「あ、少し待ってくださいね」
さすがにこの格好は人権侵害になるんじゃないかなーとか思いまして、見つけてしまった以上は救出するのが善良な市民の義務だと思うんですよ。
「大丈夫ですか?」
「っぶはっ! はぁはぁはぁ……」
何やらとても苦しそうに見えたので、猿ぐつわをはずして上げると案の定、肩で息をするようにぜーはー言っちゃってます。大変でしたね。
「こっ、この現地民! 発見してからいつまでボーッと見ている!? とっととこれをはずさないか!」
……なんでしょう、この尊大な物言いは。もしやこれがあれですか、世間一般で言うところのツンデレってヤツなんでしょうか?
すみません、わたしはその方面には疎いもので、どういう対応を取っていいのかわかりません。このまま猿ぐつわを噛ませて元通りに戻して置いた方が、デレが出やすいものなんでしょうか?
「あーっ! 待て待て待て、待ってくれ。いや、すまん。僕もこんな状況で少し気が立っていたと思えなくもないかもしれないと考えられるかもしれん。まずはロープをほどいてくれ」
「えー……でも橘さんに怒られそうな気がするんですけれど」
「いや、大丈夫だ。問題ない。そんな目先の些末なことなど気にするな。僕がそう言うのだから間違いない」
なんと言うか、必死ですね。よっぽど酷い目にあったんでしょうか? いえ、スマキにされてリネン室に放り込まれているってのは、確かにヒドイ状況ではありますけれど……いや、少し待ってわたし。
なんだか橘さんやら周防さんやらに囲まれて、もしかして自分の常識度がおかしくなっちゃってるような気がします。藤原さんの憤慨して救いを求めるような態度が当たり前ですよね?
おや、もしかすると藤原さんは、数少ない常識人ということになるんでしょうか? なら、ちょっとした相談をするのに最適な人?
「ちょっと聞いてくださいよ藤原さん」
「……キサマは僕の今の状況を差し置いて話したいことでもあるのか」
「わたしのこれまでの人生で、大ピンチな出来事なんですよ~。さっきのことなんですけど……」
「おい、現地民。あー、吉村美代子とか言ったか。どうでもいいが、この布団を縛り付けているロープを先にほどかないか?」
「なんかですねー」
「人の話を聞け」
まったくなんですかいったい。男のくせにぶつぶつぶつぶつと文句の多い人ですね。そんな小さいことにこだわる人は、男女を問わず大成しませんよ。
「さっき、お風呂場でなんですけど、どうもわたし、周防さんに好意を寄せられているんですよ。どうしたらいいでしょう?」
「あいつが、あんたに? 好意だって? はっ」
藤原さん、わたしの話を聞いてぽかーんとした顔を見せたかと思えば、次の瞬間には大爆笑です。頭に来るくらいの大爆笑で、これはつまり、そのままリネン室とやらに放り込んでおいてくれという合図ですね? はい、わかりました。
「うおーっ、待て待ってくれ! 別にあんたの話をバカにしているわけじゃない。そんなことはあり得ないと、そういう意味だ」
「あり得ないって、どういう意味ですか?」
「そのまんまさ。あいつが人に興味を持つだって? それも好意だと? そんな高尚な感情などあるものか。どうせあんたの勘違いだろうさ」
勘違い……なんですか? うーん、どうなんでしょう? わたしはまだ周防さんと知り合って日も浅いですけど、藤原さんはそうではないんですよね? その藤原さんがそう言うのなら……そうなのかしら?
それなら、お風呂場でわたしに「話がある」って言ってた周防さんのお話って何だったんでしょう? あれれ?
「おい、そんなことよりもこれを早く、」
「おー、自力で脱出しちゃったのですか」
一刻も早くスマキ状態から脱出したかった藤原さんの言葉を遮って飛んできた声は、誰であろう、橘さんでした。
「だっ、だから早くロープをほどけと言ったじゃないか!」
そんなこと言われても。
「何をごちゃごちゃやってるんです? そんなことよりも藤原さん、あなたにとてもとても重要な役割が出来てしまったのです。そういうわけで逝きま……もとい、行きましょう。あ、吉村さんもご一緒に。さささ、行きますよ!」
「え? あ、はぁ……」
いったい何事ですか、橘さん。泣き叫ぶ勢いの藤原さんを、スマキのままゴロゴロ頃がしてどこに持って行くつもりですか。そもそもあなた、夕飯の準備をしてませんでしたっけ? まぁ……とりあえず、着いて行きましょ。
つづく
【Respect redo】吉村美代子の憂鬱
お風呂場から逃げ出したわたしは、とにかくため息の連続です。本当に妙なことになってきたとしか言えません。どうして周防さんに見惚られちゃったのかさっぱりですが、それでも少し、去り際に見た憂い気な表情が気に掛かります。
うーん、突然のことにわたしも気が動転していたっていうのがありますけれど、やっぱり逃げ出すような真似はせずに、しっかり話し合って、ちゃんとお断りすればよかったのかしら……? いやでも、下手に甘い顔を見せると、そのままずるずるいっちゃうこともありえるわけで……あーうー、何がなんだかさっぱりです。
こういうときは一人で思い悩むよりも誰かに相談したい……ところではあるんですが、今ここで、周囲にいるのはロクでもない人たちばっかりです。唯一まともなのは佐々木さんだけかもしれませんが、それもどうだろう、と疑問符が付いちゃう感じです。
「……ん?」
部屋に戻るのも躊躇われ、あれこれ考えながら宿の中を適当にウロウロしていたわたしですが、なんだか今、妙な音が聞こえたのは気のせいでしょうか? まるで何か大きなものが戸板にぶつかったような音です。
……あれ? でもこの宿には、わたしたち一行と朝倉さんと喜緑さんペアしかいないはずですよね? 従業員もロクにいない、なんていうか少し豪華な山小屋ってレベルのとこですし。
え? じゃあ今の音って何ですか? こんな山奥で泥棒はないだろうし……また何か、猛獣の類というのであれば勘弁してください。あるいは幽霊や物の怪ですか? 一番確率が高いのは、わたしの聞き間違いってことですけど……。
がたたたんっ!
なんて、聞き間違いとは思えないほどの大きな音が聞こえて来れば、やっぱり何かいるってことです。いることは間違いないわけで、えーっと、それじゃいったい誰?
いちおう、この宿の管理者は……記憶している限りでは、橘さんの個人的な繋がりのある人、でしたっけ? その人がいないわけですから、じゃあ責任者は橘さんということになるんでしょうか? うわぁ、自分の責任を果たすことを放棄しちゃいそうな、無責任な責任者だなぁ。
仕方がありません。こうなったら現場に居合わせたわたしが確認するしかなさそうです。ええ、そんなことせずに気付かず過ぎ去ってもいいんですけど、何故でしょう、どっちにしたってロクなことにならない気がします。
「誰かいるんですかぁ~……」
それでもやっぱり、少し怖いですよ。びくびくしながらドアを開けると──。
「ふんむむむっ! ふんむーっ!」
「ひやあっ!」
それはそれはおぞましい怪音を発しながら室内から転がり飛び出してきたその物体に、条件反射でかかと落としを炸裂させそうになりましたが、幸いにしてわたしの足は、部屋から飛び出してきた物体をかすめて、板張りの廊下を凹ませたくらいの不発に終わりました。
あとにして思えば当たらなくてよかったぁと思うんですけど、そのときはさすがに驚きが前に出ていたもので、仕方のない反応だと思ってください。
部屋から飛び出して来たのは、ロープで円筒状に丸められた布団の塊でした。でも、それが……なんて言うんでしょう? 某球団マスコットみたいな動きをしてるんですよね。まるで巨大な芋虫みたいで、かなりその……はい、正直キモいです。
「な、何これ……?」
この宿では、布団が勝手に飛び跳ねるんですか? わたし、今晩は寝袋で寝ちゃおうかしら……なんて思いながらも引きつった目を向けていれば、何やら人の頭らしきものがありました。タオルを猿ぐつわ代わりに噛まされているその顔は……ええっと……。
「ああ、藤原さん?」
「んふむっ! ふむぅっ! ふぐぐぐぐっ!」
すみません、いったい何を言いたいのかさっぱりです。そういえば、橘さんが藤原さんを「スマキにしてリネン室に放り込んでいる」とか言ってましたが、事実そんなことをされていたんですね。てっきり冗談……だと、今では思えませんが。
「あ、少し待ってくださいね」
さすがにこの格好は人権侵害になるんじゃないかなーとか思いまして、見つけてしまった以上は救出するのが善良な市民の義務だと思うんですよ。
「大丈夫ですか?」
「っぶはっ! はぁはぁはぁ……」
何やらとても苦しそうに見えたので、猿ぐつわをはずして上げると案の定、肩で息をするようにぜーはー言っちゃってます。大変でしたね。
「こっ、この現地民! 発見してからいつまでボーッと見ている!? とっととこれをはずさないか!」
……なんでしょう、この尊大な物言いは。もしやこれがあれですか、世間一般で言うところのツンデレってヤツなんでしょうか?
すみません、わたしはその方面には疎いもので、どういう対応を取っていいのかわかりません。このまま猿ぐつわを噛ませて元通りに戻して置いた方が、デレが出やすいものなんでしょうか?
「あーっ! 待て待て待て、待ってくれ。いや、すまん。僕もこんな状況で少し気が立っていたと思えなくもないかもしれないと考えられるかもしれん。まずはロープをほどいてくれ」
「えー……でも橘さんに怒られそうな気がするんですけれど」
「いや、大丈夫だ。問題ない。そんな目先の些末なことなど気にするな。僕がそう言うのだから間違いない」
なんと言うか、必死ですね。よっぽど酷い目にあったんでしょうか? いえ、スマキにされてリネン室に放り込まれているってのは、確かにヒドイ状況ではありますけれど……いや、少し待ってわたし。
なんだか橘さんやら周防さんやらに囲まれて、もしかして自分の常識度がおかしくなっちゃってるような気がします。藤原さんの憤慨して救いを求めるような態度が当たり前ですよね?
おや、もしかすると藤原さんは、数少ない常識人ということになるんでしょうか? なら、ちょっとした相談をするのに最適な人?
「ちょっと聞いてくださいよ藤原さん」
「……キサマは僕の今の状況を差し置いて話したいことでもあるのか」
「わたしのこれまでの人生で、大ピンチな出来事なんですよ~。さっきのことなんですけど……」
「おい、現地民。あー、吉村美代子とか言ったか。どうでもいいが、この布団を縛り付けているロープを先にほどかないか?」
「なんかですねー」
「人の話を聞け」
まったくなんですかいったい。男のくせにぶつぶつぶつぶつと文句の多い人ですね。そんな小さいことにこだわる人は、男女を問わず大成しませんよ。
「さっき、お風呂場でなんですけど、どうもわたし、周防さんに好意を寄せられているんですよ。どうしたらいいでしょう?」
「あいつが、あんたに? 好意だって? はっ」
藤原さん、わたしの話を聞いてぽかーんとした顔を見せたかと思えば、次の瞬間には大爆笑です。頭に来るくらいの大爆笑で、これはつまり、そのままリネン室とやらに放り込んでおいてくれという合図ですね? はい、わかりました。
「うおーっ、待て待ってくれ! 別にあんたの話をバカにしているわけじゃない。そんなことはあり得ないと、そういう意味だ」
「あり得ないって、どういう意味ですか?」
「そのまんまさ。あいつが人に興味を持つだって? それも好意だと? そんな高尚な感情などあるものか。どうせあんたの勘違いだろうさ」
勘違い……なんですか? うーん、どうなんでしょう? わたしはまだ周防さんと知り合って日も浅いですけど、藤原さんはそうではないんですよね? その藤原さんがそう言うのなら……そうなのかしら?
それなら、お風呂場でわたしに「話がある」って言ってた周防さんのお話って何だったんでしょう? あれれ?
「おい、そんなことよりもこれを早く、」
「おー、自力で脱出しちゃったのですか」
一刻も早くスマキ状態から脱出したかった藤原さんの言葉を遮って飛んできた声は、誰であろう、橘さんでした。
「だっ、だから早くロープをほどけと言ったじゃないか!」
そんなこと言われても。
「何をごちゃごちゃやってるんです? そんなことよりも藤原さん、あなたにとてもとても重要な役割が出来てしまったのです。そういうわけで逝きま……もとい、行きましょう。あ、吉村さんもご一緒に。さささ、行きますよ!」
「え? あ、はぁ……」
いったい何事ですか、橘さん。泣き叫ぶ勢いの藤原さんを、スマキのままゴロゴロ頃がしてどこに持って行くつもりですか。そもそもあなた、夕飯の準備をしてませんでしたっけ? まぁ……とりあえず、着いて行きましょ。
つづく
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[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
ミヨキチさんが壊れているわけではないアルヨ。壊れているのが管理n(ゲフンゲフン
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
さっ、猿ぐつわはグローバルスタンダードなアイテムだと思ってたデスよ!(ぇ
ミヨキチさんも、きょこたんに毒されてきました……はい。
ミヨキチさんも、きょこたんに毒されてきました……はい。
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
えー、きょこたんからメッセージを預かっております。
「それはつまり、あたしと佐々木さんの料理が毒だと言うことですか?(にっこり)」
「それはつまり、あたしと佐々木さんの料理が毒だと言うことですか?(にっこり)」
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
藤原くんからツン成分を抜いたら、ただの人じゃあないですか!
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