category: 日記
DATE : 2008/05/26 (Mon)
DATE : 2008/05/26 (Mon)
実はこれ、投稿時間を設定してUPしてます。ええ、修羅場っている今の状況では、時間通りにUPするのが難しいと思って予め仕込んでおきました。
はてさて、そういうわけでSSです。前回の『森園生の変心』から直で続く物語です。なので今回のSSから読み始めても、さっぱりわけがわからないかと思いますので、前作をざっくりでも目を通していただければ助かります。
今回も、章立てではなく通しナンバーで行きます。まだどこでどう区切るか決めてないので、そのあたりは終わってHTMLでまとめるときにでも。
引っ張った挙げ句、今回UPした分量は随分少ないと思われるでしょうが、実際にはもう少し書き進めてたりします。
あれですよ、一気に出すと自分の首がしm(ry
こほん。
ボリューム的には前作よりも短くなるんじゃないかと今の段階では予想しておりますが、今回も最後までお付き合いいただければと思います。次回は一週間後-コメント数=更新日って感じでしょーか。こうやって時間を少しでもかせg(ry
ではまた。
はてさて、そういうわけでSSです。前回の『森園生の変心』から直で続く物語です。なので今回のSSから読み始めても、さっぱりわけがわからないかと思いますので、前作をざっくりでも目を通していただければ助かります。
今回も、章立てではなく通しナンバーで行きます。まだどこでどう区切るか決めてないので、そのあたりは終わってHTMLでまとめるときにでも。
引っ張った挙げ句、今回UPした分量は随分少ないと思われるでしょうが、実際にはもう少し書き進めてたりします。
あれですよ、一気に出すと自分の首がしm(ry
こほん。
ボリューム的には前作よりも短くなるんじゃないかと今の段階では予想しておりますが、今回も最後までお付き合いいただければと思います。次回は一週間後-コメント数=更新日って感じでしょーか。こうやって時間を少しでもかせg(ry
ではまた。
喜緑江美里の策略:1
かちゃかちゃと耳に届くのは、食器が触れ合う音。鼻孔をくすぐる香ばしい匂いは、コーヒーか何かだろうか。馴染みのない羽毛に包まれた感触を肌で感じながら、俺の意識は五感のうちの三つで感じる気配で、周囲の状況を頭の中で処理しようとしていた。
どうにも意識がはっきりしない。そもそも、どうして俺はそんなことを確かめるように考えてるんだ? 耳や鼻で判断するよりも、人間だったら目で見て確かめた方が早いじゃないか。
なのにどうしてこんな……ああ、そうか。目を閉じているから真っ暗なのか。だったら瞼を開けば周囲が見える。見えるようになれば、こんな不確かな認識であれこれ思い悩む必要もない。
「…………」
重い瞼を開いて、俺はますます混乱した。
見慣れない天井。覚えのないベッド。左右を見れば、記憶を探っても手がかりさえ出てこない家具が、ぽつりぽつりと置かれてある。
何だこれは。どうして俺はこんなところにいるんだ? ここはいったいどこで、どうして俺は呑気に寝ていたんだ?
「あら、お目覚めになりました?」
自分が置かれている状況がさっぱり理解できない現状で、驚きと怯えにも似た感情に苛まされているとは対照的に、耳に届いた声は穏やかで落ち着きがあり、マイナスイオンでも含まれているんじゃないかと思えるような、落ち着きというかリラックスした気分を取り戻させてくれる声。
もっとも、その顔を見れば安心とか安穏とか言ってられない。
「きっ、きききっ、喜緑さん!?」
「はい、わたしです」
驚きと困惑に苛まされる俺とは裏腹に、目の前の喜緑さんはどこまでも牧歌的な声音で答える。制服ではなく私服姿で、両手で一組ずつ持っていたコーヒーカップをテーブルにおいていた。
「どういうことですか!?」
「あらら」
頭で考えるより、先に体が動いていた。喜緑さんの手を乱暴に掴んだのは、ここで逃がしてたまるかという考えがあったからだ。
「いったい、何をやろうとしてるんですか!」
どうしてここに喜緑さんがいるのか、俺に何があったのかなど、理解できないことも言いたいことも山のようにあるが、それでも目の前に疑わしき人物がいる。我が身に降りかかっている不可解な状況で悩むより、もっと大きな問題を解明する手がかりを追求するのは、ごく自然なことじゃないか。
「いったい何をたくらんでいるんですか!? まさか九曜と一緒に何かやらかそうとしているわけじゃないでしょうね? あの朝倉はいったい何なんですか!」
「……朝倉、さん?」
「さすがに今回ばかりはやり過ぎだ。適当にはぐらかそうとしても無駄です。納得する答えを出してください」
「……わかりました。わかりましたから、その前にひとつだけよろしいですか?」
「何ですか」
「今のこの状況を、どうお考えになります?」
この状況、だって? だからそれを聞きたいのは俺の方だ。まったく状況が理解できてないくせに厄介事の渦中に放り出されている、不幸を絵に描いたようなマヌケは、この広い世界のどこを捜しても俺以上のヤツはいないだろうさ。
「ではなくて、今です。今、あなたがしていること。それを客観的に見ますと、どうなのでしょうか、という話です」
今? 今はただ、喜緑さんを逃がさないように手を掴んで引き寄せて、その勢いが強すぎたのか組み伏せているような格好に……なって、いる……ような。
「まさか、劣情に身を任せ、破廉恥な行為に走ることはございませんよね?」
うふふふ、と微笑む喜緑さんを前に、頭に昇っていた血が、貧血で倒れる寸前くらいまで一気に引いた。
「いっ、いや! そんなつもりはまったくなく、俺はただ、」
「殿方の強引さは嫌いではありませんが、この姿勢ではわたしも冷静な話し合いなどできそうにありません。離していただけないでしょうか」
言われるまでもなく俺は喜緑さんの手を離し、そそそっと身を引いた。冷静になった今にして思えば、俺は何てことをしたんだと、腹を切りたくなるほどの自己嫌悪を感じる。しかも相手は、よりにもよって喜緑さんだ。他のヤツならいい、という話でもないが、喜緑さんが相手だということが大問題じゃないか。
これはもう、生涯ネタにされ続けられるであろう大失態のような気がしてならない。
「さて」
乱れた衣服を何事もなかったかのように正し、喜緑さんはそれはそれはステキな笑顔を浮かべて見せる。胃と言うか腹と言うか、あちこちギリギリと痛むのは、肉体的な疲労よりもストレスによる急性なんとかってもので間違いなさそうだ。
「わたしの方こそお聞きしたいことがありますが、どうやら状況を把握しなければならないのはあなたの方かもしれませんね。簡単な質問をいたします。ええ、先にわたしの質問に答えてください。話はそれからです」
しつこいくらいに言葉を重ねる喜緑さんに、先ほどの件がある俺には、返す言葉が何もない。今はただ、従うのみだ。
そんな俺の沈黙を了承と受け取ったのか、喜緑さんが『質問』とやらをしてくる。
「今日が何曜日か、おわかりになります?」
肩すかしを食らった。それは俺が頭の中で膨らませていたような、おののくような無理難題ではなく、考えるまでもない容易い質問だった。
「土曜日でしょう?」
鶴屋さんの結納が行われたのは、間違いなく土曜日である。その結納も無事に破談し、ひとつの決着を向かえたからこそ俺は北高へ向かっていて……そして気付けばこんなところにいるんだ。
「土曜日、ですか」
即答した俺の言葉を受けて、何故か喜緑さんは嘆息混じりにテレビのリモコンを手に取って点ける。ちょうど、夕方のニュース番組が始まるところだった。
『それでは本日、水曜日のニュースをお届けします。はじめに……』
……水曜日? 今、テレビのアナウンサーはそう言ったのか? ……水曜日だって!?
「ええ、水曜日です」
呆気に取られる俺を他所に、喜緑さんもアナウンサーの言葉を補強するように今日が水曜日であることを主張して、テレビを消した。
「やはりあなたは、別の時間平面からいらっしゃった彼の異時間同位体なんですね。現時間平面にいらっしゃるあなたとは差異も少ないようですし……土曜日ですか。今週末から遡航してきたのかしら? でも、あなた一人で時間遡航ができるわけもありませんし、同行者がいらっしゃるはずです。なのにどうして、あんなところで行き倒れになってたのでしょう?」
「そ、それこそ俺が聞きたい話ですよ!」
今日が水曜日? 土曜日から時間遡航してきた、だって?
冗談じゃない。どうして俺がそんなことになってなくちゃならないんだ? これも喜緑さんの手の込んだ冗談じゃないかと思う俺を、いったい誰が咎められる!?
「残念ながら、そんな冗談で人様をからかうつもりは毛頭ございません。面白くもなんともないでしょう?」
「い、いったい俺はどうしてここに……そもそも、どうして喜緑さんがいるんですか。ここ、喜緑さんの家ですか?」
「あれこれ一度に聞かれましても。コーヒーでも飲んで、落ち着いてください」
こんな状況で落ち着いていられるか、と言いたいところだが、目の前に湯気が漂うコーヒーカップを突き出されては受け取るしかない。
仕方なしにカップを受け取り、口を付けていれば、喜緑さんの方から話し始めてくれた。
「ここはわたしの家とも違いますけれど、そのことに大きな意味はありません。それよりも重要なのは、どうしてわたしがあなたをここに連れてきているのか、ということだと思いませんか?」
「え、ええ」
「理由は簡単です。生徒会の業務を終えて帰宅途中の坂道で、あなたを拾ったからですよ」
つづく
かちゃかちゃと耳に届くのは、食器が触れ合う音。鼻孔をくすぐる香ばしい匂いは、コーヒーか何かだろうか。馴染みのない羽毛に包まれた感触を肌で感じながら、俺の意識は五感のうちの三つで感じる気配で、周囲の状況を頭の中で処理しようとしていた。
どうにも意識がはっきりしない。そもそも、どうして俺はそんなことを確かめるように考えてるんだ? 耳や鼻で判断するよりも、人間だったら目で見て確かめた方が早いじゃないか。
なのにどうしてこんな……ああ、そうか。目を閉じているから真っ暗なのか。だったら瞼を開けば周囲が見える。見えるようになれば、こんな不確かな認識であれこれ思い悩む必要もない。
「…………」
重い瞼を開いて、俺はますます混乱した。
見慣れない天井。覚えのないベッド。左右を見れば、記憶を探っても手がかりさえ出てこない家具が、ぽつりぽつりと置かれてある。
何だこれは。どうして俺はこんなところにいるんだ? ここはいったいどこで、どうして俺は呑気に寝ていたんだ?
「あら、お目覚めになりました?」
自分が置かれている状況がさっぱり理解できない現状で、驚きと怯えにも似た感情に苛まされているとは対照的に、耳に届いた声は穏やかで落ち着きがあり、マイナスイオンでも含まれているんじゃないかと思えるような、落ち着きというかリラックスした気分を取り戻させてくれる声。
もっとも、その顔を見れば安心とか安穏とか言ってられない。
「きっ、きききっ、喜緑さん!?」
「はい、わたしです」
驚きと困惑に苛まされる俺とは裏腹に、目の前の喜緑さんはどこまでも牧歌的な声音で答える。制服ではなく私服姿で、両手で一組ずつ持っていたコーヒーカップをテーブルにおいていた。
「どういうことですか!?」
「あらら」
頭で考えるより、先に体が動いていた。喜緑さんの手を乱暴に掴んだのは、ここで逃がしてたまるかという考えがあったからだ。
「いったい、何をやろうとしてるんですか!」
どうしてここに喜緑さんがいるのか、俺に何があったのかなど、理解できないことも言いたいことも山のようにあるが、それでも目の前に疑わしき人物がいる。我が身に降りかかっている不可解な状況で悩むより、もっと大きな問題を解明する手がかりを追求するのは、ごく自然なことじゃないか。
「いったい何をたくらんでいるんですか!? まさか九曜と一緒に何かやらかそうとしているわけじゃないでしょうね? あの朝倉はいったい何なんですか!」
「……朝倉、さん?」
「さすがに今回ばかりはやり過ぎだ。適当にはぐらかそうとしても無駄です。納得する答えを出してください」
「……わかりました。わかりましたから、その前にひとつだけよろしいですか?」
「何ですか」
「今のこの状況を、どうお考えになります?」
この状況、だって? だからそれを聞きたいのは俺の方だ。まったく状況が理解できてないくせに厄介事の渦中に放り出されている、不幸を絵に描いたようなマヌケは、この広い世界のどこを捜しても俺以上のヤツはいないだろうさ。
「ではなくて、今です。今、あなたがしていること。それを客観的に見ますと、どうなのでしょうか、という話です」
今? 今はただ、喜緑さんを逃がさないように手を掴んで引き寄せて、その勢いが強すぎたのか組み伏せているような格好に……なって、いる……ような。
「まさか、劣情に身を任せ、破廉恥な行為に走ることはございませんよね?」
うふふふ、と微笑む喜緑さんを前に、頭に昇っていた血が、貧血で倒れる寸前くらいまで一気に引いた。
「いっ、いや! そんなつもりはまったくなく、俺はただ、」
「殿方の強引さは嫌いではありませんが、この姿勢ではわたしも冷静な話し合いなどできそうにありません。離していただけないでしょうか」
言われるまでもなく俺は喜緑さんの手を離し、そそそっと身を引いた。冷静になった今にして思えば、俺は何てことをしたんだと、腹を切りたくなるほどの自己嫌悪を感じる。しかも相手は、よりにもよって喜緑さんだ。他のヤツならいい、という話でもないが、喜緑さんが相手だということが大問題じゃないか。
これはもう、生涯ネタにされ続けられるであろう大失態のような気がしてならない。
「さて」
乱れた衣服を何事もなかったかのように正し、喜緑さんはそれはそれはステキな笑顔を浮かべて見せる。胃と言うか腹と言うか、あちこちギリギリと痛むのは、肉体的な疲労よりもストレスによる急性なんとかってもので間違いなさそうだ。
「わたしの方こそお聞きしたいことがありますが、どうやら状況を把握しなければならないのはあなたの方かもしれませんね。簡単な質問をいたします。ええ、先にわたしの質問に答えてください。話はそれからです」
しつこいくらいに言葉を重ねる喜緑さんに、先ほどの件がある俺には、返す言葉が何もない。今はただ、従うのみだ。
そんな俺の沈黙を了承と受け取ったのか、喜緑さんが『質問』とやらをしてくる。
「今日が何曜日か、おわかりになります?」
肩すかしを食らった。それは俺が頭の中で膨らませていたような、おののくような無理難題ではなく、考えるまでもない容易い質問だった。
「土曜日でしょう?」
鶴屋さんの結納が行われたのは、間違いなく土曜日である。その結納も無事に破談し、ひとつの決着を向かえたからこそ俺は北高へ向かっていて……そして気付けばこんなところにいるんだ。
「土曜日、ですか」
即答した俺の言葉を受けて、何故か喜緑さんは嘆息混じりにテレビのリモコンを手に取って点ける。ちょうど、夕方のニュース番組が始まるところだった。
『それでは本日、水曜日のニュースをお届けします。はじめに……』
……水曜日? 今、テレビのアナウンサーはそう言ったのか? ……水曜日だって!?
「ええ、水曜日です」
呆気に取られる俺を他所に、喜緑さんもアナウンサーの言葉を補強するように今日が水曜日であることを主張して、テレビを消した。
「やはりあなたは、別の時間平面からいらっしゃった彼の異時間同位体なんですね。現時間平面にいらっしゃるあなたとは差異も少ないようですし……土曜日ですか。今週末から遡航してきたのかしら? でも、あなた一人で時間遡航ができるわけもありませんし、同行者がいらっしゃるはずです。なのにどうして、あんなところで行き倒れになってたのでしょう?」
「そ、それこそ俺が聞きたい話ですよ!」
今日が水曜日? 土曜日から時間遡航してきた、だって?
冗談じゃない。どうして俺がそんなことになってなくちゃならないんだ? これも喜緑さんの手の込んだ冗談じゃないかと思う俺を、いったい誰が咎められる!?
「残念ながら、そんな冗談で人様をからかうつもりは毛頭ございません。面白くもなんともないでしょう?」
「い、いったい俺はどうしてここに……そもそも、どうして喜緑さんがいるんですか。ここ、喜緑さんの家ですか?」
「あれこれ一度に聞かれましても。コーヒーでも飲んで、落ち着いてください」
こんな状況で落ち着いていられるか、と言いたいところだが、目の前に湯気が漂うコーヒーカップを突き出されては受け取るしかない。
仕方なしにカップを受け取り、口を付けていれば、喜緑さんの方から話し始めてくれた。
「ここはわたしの家とも違いますけれど、そのことに大きな意味はありません。それよりも重要なのは、どうしてわたしがあなたをここに連れてきているのか、ということだと思いませんか?」
「え、ええ」
「理由は簡単です。生徒会の業務を終えて帰宅途中の坂道で、あなたを拾ったからですよ」
つづく
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[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
喜緑さんはいつでも全開で喜緑さんですw
時間軸はまぁ、読み手の方にはあまり気にしなくてもいいような感じにしようかと。書いてるこっちは気にしなくちゃならないですがw
時間軸はまぁ、読み手の方にはあまり気にしなくてもいいような感じにしようかと。書いてるこっちは気にしなくちゃならないですがw
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:これはまた
謎が謎のままで終わらないようにがんばります(;´Д`)
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
勢いに任せて行動するとロクなことになりませんね、ということですね!
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
伏線に見えて伏線になってないダミー伏線もあるのでご注意を!
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
そのとき朝比奈さんはキョンくんが誰かと一緒だったと言ってましたね(・∀・)
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