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DATE : 2017/07/26 (Wed)
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DATE : 2009/01/14 (Wed)
ちょっと本にする原稿をまとめ直してる際に、個人的に気に入らない話を差し替えようと思ったわけです。そういうのをつらつら書き上げて、組み上げたレイアウトに流し込もうとしたときに気付いたわけですよ。

あれ? これってテーマ違くね?

というわけで、書いたはいいけど差し替える話のテーマを間違えたので使えないボツ原稿ができあがりましたとさ。

( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

はぁ~あ。

今ブログにUPしているオムニバスの話がちょっと進んでないので、場つなぎってことで晒し上げておきましょう。本には入れない話です。
ちなみに、これもオムニバスの中の1作品なのは一目瞭然デスネ。近々なにか発表できるかもしれません。

ではまた。

タイトルなし:キョンの妹

 連日の暑さが猛威を振るっている。近所の犬や野良猫は日陰に隠れてへばっており、軒並み窓を閉め切って冷房の室外機がゴウゴウ唸りながらフル稼働だ。そんな中、外を出歩く俺は直火グリルでこんがりと焼き目を付けられるように太陽の光を浴びて、わき出す汗も即座に干上がって塩の塊になり、体にまとわりつくという散々な目に遭っていた。
 ハルヒに何かやられたわけじゃない。連日の暑さはハルヒにとっても堪える代物らしく、最近は借りてきた猫のように静かだ。そうではなくて、俺はただ学校で過ごす過程をすべて終え、帰宅中なだけである。にもかかわらず、一歩ごとに並々ならぬ体力の消耗を感じている。
 そういえば、ここ近年の話だな。真夏の猛暑で体力のないお年寄りに不幸が訪れたり、観葉植物が枯れるようになったのは。地球温暖化って話で済むことなのかね、これは。
「はぁ~……」
 そろそろ体の中からあふれ出る汗も打ち止めってところで、なんとか自宅までたどり着いた。それでも玄関先などは熱波の影響が残っていて──暑いのではなく──熱いのだが、直射日光を浴びるよりはいくらかマシだろう。
 帰宅直後に口にする、ひらがな四文字の単語を絞り出すように口にするが、けれど応対する返事はない。ふらふらした足取りで一階のリビングに赴いても家族の姿はなく、台所に母親の姿もない。
 その代わり、テーブルの上に一枚の書き置きがあった。
 どうやらそれは妹が残した手紙らしく、どうやら冷蔵庫の中にジュースが二本あるらしい。そのうちの一本は飲んでいいらしいが、もう一本は自分のものだと主張したいようだ。
 とりあえず了解した。その主張は兄として、余計な兄妹間の確執を生みたくないので受け入れてやろう。
 俺は妹の残したメモをテーブルの上に戻して、冷蔵庫を開けた。なるほど、炭酸ものと果汁一〇〇パーセントのオレンジジュースがある。このうち一本は俺のものでいいらしい。
 さすがにこの暑さの中、可及的速やかに水分を確保したい。となれば、炭酸では吸水速度が制限されていしまう。俺にはどこぞの芸人のように、炭酸水の一気飲みができるようなスキルはないんだ。
 かくして、単純かつ明確な理由によって俺の手には一本の果汁一〇〇パーセントのオレンジジュースがある。冷蔵庫から取り出し、キャップを外して一気に飲み干したのは言うまでもない。
 ほどよく水分を補給し、自室に引っ込んだ俺は、せめて生身の一般人が過ごせるであろう最低限の環境にすべく、クーラーをフル稼働させた。それでも室内が快適環境になるには時間がかかる。そこまで高性能のクーラーが、一般家庭の子供部屋にあるはずがないんでね。
 仕方がない、ベタついた体の汗を流すか。もしかするとシャミセンも、風呂場にいるのかもしれない。
 いや、いつも俺の部屋を寝床にしているその姿が見えなかったもんでね。この暑さで部屋の中にとどまっているわけでもないらしく、もしかすると水分があるであろう風呂場に逃げ込んでるのかもしれないと思ったわけだが……さて、実際どうだろう。
 そんな確認ついでにシャワーも浴びてスッキリした気分で部屋に戻ってくれば、適温な環境になっているはずだ。
 そう思っていたのだが──。
「キョンくんっ!」
 どたばたがちゃがちゃばたん、と妹がクソ暑い家の中を猛ダッシュで走り、凄まじい勢いで俺の部屋のドアを開いた。その手には、冷蔵庫で冷やされていた炭酸飲料水が握られている。
「あたしのオレンジジュースどこ!?」
 いきなり何を言い出してるんだ? どうやら俺の帰宅時間から間髪入れずに妹も帰ってきたようだが、それでいきなり何の話だ?
「台所に手紙置いてたでしょ? 読んだよね?」
「ああ、それで?」
「オレンジジュースは? あっちがあたしのなの」
 え? と、俺が言葉を詰まらせるのは当然だ。置き手紙には確かに目を通したが、そんなことはどこにも書かれていなかったぞ。
「だって、あたし炭酸ヤだもん。喉、痛くなるし。いつも言ってるよね? キョンくん、そのこと知ってるでしょー?」
 ああ、そういえば前にそんなことをちらりと話していたようないないような……。
 どうでもいいときにどうでもいいような理由でどうでもいい話ばかりをしてくるからすっかり聞き流していたが、眠っている記憶を掘り起こせば、確かにそういう話題があったような気がしないでもない。
「オレンジジュースは?」
 薄ぼんやりと妹の発言を思い返していれば、現実に引き戻すようなことを言ってきた。
「いやだっておまえ、メモにどっちがどっちのって書いてなかったじゃないか」
「でもキョンくん、あたし炭酸が嫌なの知ってたんでしょ?」
 そう言われると返す言葉がない。冷蔵庫を開けたときはすっかり失念してたが、今になれば思い出している。白々しい真似はとてもできそうにない。
「おまえが炭酸ダメなの忘れてた」
 ときに、兄と妹の間には駆け引きというものが発生してしまうものだ。覚えていることでも「知らない」と言って、相手を煙に巻かねばならないときがある。それは何も妹相手に限った話じゃないけどな。
「キョンくん、知ってたよね?」
「さぁ」
「知ってたでしょ?」
「んー……」
「キョンくん?」
 俺が白々しく惚けていれば、妹は胡散臭い人物を見るような目つきで睨んで来やがる。
 それならまだいいが、その目尻に涙がどんどん溜まっていってるようだ。これはマズイ。
「わかった、わかったって」
 泣き出されちゃたまらない。妹をなだめすかし、日が暮れてなお暑さの続く町の中へ、補給した水分をすべて吐き出す勢いでオレンジジュースを買いに出かけることになった。
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