category: 日記
DATE : 2007/09/15 (Sat)
DATE : 2007/09/15 (Sat)
しすぎてこの時間。あれもこれもとやりたいことは山盛りで、時間が足りない足りない。ああ、困った困った。
そんな感じで、今日はさささっとSSを置いていきますね( ´∀`)つ□
本日は、風雲急を告げるミヨキチさんSSの続きです。
そんな感じで、今日はさささっとSSを置いていきますね( ´∀`)つ□
本日は、風雲急を告げるミヨキチさんSSの続きです。
前回はこちら
【Respect redo】吉村美代子の憂鬱
時は戦国、乱世の時代。鳥羽伏見の戦いで云々……と言うようなナレーションが頭の中を一瞬だけ過ぎりましたが、よくよく考えればそこまで仰々しいものでもないなぁ、なんて思いつつ、今のわたしは雨具を着込み、どんより気分を背中に張り付けながら無意味にロッド・ダウジングを両手に持って歩いてたりします。
周囲は雨。雨と言っても叩きつけるような豪雨じゃなくて、視界を遮るような霧雨です。水のカーテンが、視界を悪くしちゃってて、これはこれでうろうろするのは危ない気がするんですけど、皆さんの意見を聞かせてください。
「導かれるままに歩けばノープロブレムです」
「僕は後ろから付いていくから。崖とか落ちるときは、先頭に立つ人が危ないんじゃないかな?」
「────般若波羅蜜多────是大神呪────是大明呪────是無上呪────……是無等等呪────…………」
「わたしを信じて付いてきてください、くらいの言葉が欲しいところですね」
「やらないで後悔するより、やって後悔しましょうよ」
全員が全員、まずはそこに座れ、とでも言ってやりたい態度なのが癪に障りますね。中でも周防さん、そろそろ般若心経を唱えるのはやめましょうよ。
はぁ~あ、まったくもう。自然の驚異をナメちゃいけませんと、昔の偉い人が言ってたじゃないですか。えーっと、その偉い人が誰なのかと聞かれても、返す言葉はありませんけど。
「このロッドを持つのは橘さんがいいんじゃないですか? 自分の宝物を探すための強行軍じゃないですか」
「いえいえ、こういうのはですね、若くて感受性豊かな方が行うのが一番なのですよ。ですから吉村さんと、朝倉さんなのではありませんか」
もっともらしいことを言って懐柔しようとしてもですね、さすがにもう欺されませんよ。こぉ~んな湿度80%以上はありそうで不快指数もぐんぐん上昇中の今、手を野ざらしで歩いくのは苦行以外の何ものでもありませんよ。
「そんなことないのでーす。ささっ、雑念は捨てて集中しましょう」
雑念まみれの人が何をおっしゃいますか。それに、ダウジングで宝探しって現役小学生のわたしが断言しますけど、小学生だってしません。
おまけに天気は最悪な状況ですし、一秒過ぎるたびに、どんどんやさぐれた気分になってくるんですけど……。
「朝倉さんの方に、何か反応あります?」
わたしがロッドなら、朝倉さんはペンデュラムです。やっぱり五円玉に糸を通しただけじゃ……そのぅ、あまり有り難みというか、らしさというか、そういうものを感じませんね。凄く……貧乏ったらしいです……。
「全然ね。フラフラ揺れてるのだって、歩いてるからだと思うの。そっちは?」
「反応なんて、あるわけないじゃないですか」
先に言っておきますが、反応がないのは強く握りすぎているからじゃないですよ。ちゃんと柄の部分はストローで通して、ロッドそのものはフラフラ動くようになってるんですから。
「ふぅ~む、場所が違うんですかねぇ」
ここに来て、橘さんがそんなことを言いだしやがりました。場所が違う、なんてことを真っ先に考える辺り、さすがです。それってつまり、ダウジングは100%完璧に作用すること前提での意見じゃないですか。
「もう少し、奥まで進んでみましょうか?」
なんて提案が、喜緑さんの口から出てきました。やっぱりやる気があったのは、朝倉さんじゃなくてあなたの方だったんですね。
「とは言ってもね、天気が天気だ。あまり宿から離れるのは考え物じゃないかな?」
「そうですよ」
ここは立場的にも心情的にも佐々木さんの提案に乗っかるとしましょう。
「今はまだ小降りですけど、どうなるかわかりませんし。晴れてからだって遅くないじゃないですか。成果だってまったくなんですもの」
「確かに闇雲に歩くのであれば宿に戻るべきかと思うのですけれど」
と、何故か困り顔で喜緑さんが頬に人差し指をあてて小首を傾げております。
「でも、そのロッドに反応が出ていませんか?」
「え?」
やだなー、何をおっしゃいますか。霊験あらかたな法具ではなく、宿のハンガーをぶっ壊して作ったロッドでお宝反応なんか出るわけありませんよ。そんなので反応があるのなら、世の中はトレジャーハンターだらけになってしまいます。
「右に傾いてるように、わたしには見えるんですけれど」
「それはだって、持ちながらフラフラしてますから」
「いえいえ、そうではなく」
喜緑さんがわたしの持ってるロッドを正面に向け直して手を離すと……あら? すすーっと、二本のロッドの先端が、揃って左に傾いちゃいましたよ。
「おおっ! 凄いじゃないですか、吉村さん!」
や、別にわたしが何かしてるわけでもないんですが……。
「反応があるのなら、戻るわけにもいきません。さささ、吉村さん。れっつごーです」
「ええぇ~……」
行くんですか? 行くんですね、やっぱり。
こうなったら仕方ないですけど……本当に、雨が降る森の中、若い女の子が六人も集まって何やってんのかしら? なんて考えちゃダメなんでしょうか。
「でも、わたしの方には反応がないんだけど」
確かに、反応を示しているのはわたしのロッドの方だけです。朝倉さんのペンデュラムはまったく無反応。
「それは朝倉さんだからですよ」
「どんなコメントを返せばいいのか、悩む言い方ね」
「どちらにしろ、反応してるのは吉村さんですから。道案内はお願いします」
そういうことなら仕方ないですけど……どうして一番やる気のないわたしが、先頭に立って歩くことになっちゃってるんでしょう。神様が本当にいるのなら、意地悪さんなのは間違いなさそうです。
ロッドが倒れた方向に、まずは進むとしましょう。確かに右へ左へ正面へ、進めば方向を指し示すかのように勝手に動いてます。こういうことって、本当にあるんですね。偶然かもしれませんが。
そんなロッドの導きで進むと、雨足も徐々に強まって来ました。最初は霧か雨か解らない感じでしたが、今では雨粒もハッキリするほどの雨です。足音よりも大きく聞こえるなんて、かなりの雨になってきたと思うんですよ。雨具を着込んでいますが、それでも染み込んできた雨水で、服が体に張り付いて気持ち悪い感じです。
「これ、どこがゴールなんでしょう?」
さすがにちょっと雨が強くなりすぎな気がします。ロッドはずーっと右や左に傾いて、まったくゴールが見えてきません。
さすがに気になって誰ともなく問いかけてみたんですが……誰も反応してくれません。
「……あれ?」
振り向けば、そこに見えるのは木、木、木。木ばっかり。佐々木さんも橘さんも周防さんも喜緑さんも朝倉さんも、誰もいません。
「あ、あれ……?」
えーっと、待ってください。ちょっと待ってくださいよ。
進んでいた道ならぬ道を戻ってみますが、やっぱり誰もいません。
「佐々木さーん」
反応なし。
「橘さーん」
無反応。
「周防さーん」
あの人が反応するのは稀ですか。
「喜緑さーん」
聞こえていても無視しそうですね。
「朝倉さーん」
……………………。
「も、もしかして……」
冷静に考えてみましょう。
ここは深い森の中。天気のコンディションは雨という最悪なもの。場所は、初めて来たところであり、前日の経験で物を考えれば、熊や猪が普通に徘徊している森ですね。
そんな場所に、小学六年生のわたしが、どうやら一人でぽつーんといるようです。
こ……これって、もしかして…… 今のわたしの立場は、世間一般で言うところの……その、遭難者……というものに該当しませんか?
つづく
【Respect redo】吉村美代子の憂鬱
時は戦国、乱世の時代。鳥羽伏見の戦いで云々……と言うようなナレーションが頭の中を一瞬だけ過ぎりましたが、よくよく考えればそこまで仰々しいものでもないなぁ、なんて思いつつ、今のわたしは雨具を着込み、どんより気分を背中に張り付けながら無意味にロッド・ダウジングを両手に持って歩いてたりします。
周囲は雨。雨と言っても叩きつけるような豪雨じゃなくて、視界を遮るような霧雨です。水のカーテンが、視界を悪くしちゃってて、これはこれでうろうろするのは危ない気がするんですけど、皆さんの意見を聞かせてください。
「導かれるままに歩けばノープロブレムです」
「僕は後ろから付いていくから。崖とか落ちるときは、先頭に立つ人が危ないんじゃないかな?」
「────般若波羅蜜多────是大神呪────是大明呪────是無上呪────……是無等等呪────…………」
「わたしを信じて付いてきてください、くらいの言葉が欲しいところですね」
「やらないで後悔するより、やって後悔しましょうよ」
全員が全員、まずはそこに座れ、とでも言ってやりたい態度なのが癪に障りますね。中でも周防さん、そろそろ般若心経を唱えるのはやめましょうよ。
はぁ~あ、まったくもう。自然の驚異をナメちゃいけませんと、昔の偉い人が言ってたじゃないですか。えーっと、その偉い人が誰なのかと聞かれても、返す言葉はありませんけど。
「このロッドを持つのは橘さんがいいんじゃないですか? 自分の宝物を探すための強行軍じゃないですか」
「いえいえ、こういうのはですね、若くて感受性豊かな方が行うのが一番なのですよ。ですから吉村さんと、朝倉さんなのではありませんか」
もっともらしいことを言って懐柔しようとしてもですね、さすがにもう欺されませんよ。こぉ~んな湿度80%以上はありそうで不快指数もぐんぐん上昇中の今、手を野ざらしで歩いくのは苦行以外の何ものでもありませんよ。
「そんなことないのでーす。ささっ、雑念は捨てて集中しましょう」
雑念まみれの人が何をおっしゃいますか。それに、ダウジングで宝探しって現役小学生のわたしが断言しますけど、小学生だってしません。
おまけに天気は最悪な状況ですし、一秒過ぎるたびに、どんどんやさぐれた気分になってくるんですけど……。
「朝倉さんの方に、何か反応あります?」
わたしがロッドなら、朝倉さんはペンデュラムです。やっぱり五円玉に糸を通しただけじゃ……そのぅ、あまり有り難みというか、らしさというか、そういうものを感じませんね。凄く……貧乏ったらしいです……。
「全然ね。フラフラ揺れてるのだって、歩いてるからだと思うの。そっちは?」
「反応なんて、あるわけないじゃないですか」
先に言っておきますが、反応がないのは強く握りすぎているからじゃないですよ。ちゃんと柄の部分はストローで通して、ロッドそのものはフラフラ動くようになってるんですから。
「ふぅ~む、場所が違うんですかねぇ」
ここに来て、橘さんがそんなことを言いだしやがりました。場所が違う、なんてことを真っ先に考える辺り、さすがです。それってつまり、ダウジングは100%完璧に作用すること前提での意見じゃないですか。
「もう少し、奥まで進んでみましょうか?」
なんて提案が、喜緑さんの口から出てきました。やっぱりやる気があったのは、朝倉さんじゃなくてあなたの方だったんですね。
「とは言ってもね、天気が天気だ。あまり宿から離れるのは考え物じゃないかな?」
「そうですよ」
ここは立場的にも心情的にも佐々木さんの提案に乗っかるとしましょう。
「今はまだ小降りですけど、どうなるかわかりませんし。晴れてからだって遅くないじゃないですか。成果だってまったくなんですもの」
「確かに闇雲に歩くのであれば宿に戻るべきかと思うのですけれど」
と、何故か困り顔で喜緑さんが頬に人差し指をあてて小首を傾げております。
「でも、そのロッドに反応が出ていませんか?」
「え?」
やだなー、何をおっしゃいますか。霊験あらかたな法具ではなく、宿のハンガーをぶっ壊して作ったロッドでお宝反応なんか出るわけありませんよ。そんなので反応があるのなら、世の中はトレジャーハンターだらけになってしまいます。
「右に傾いてるように、わたしには見えるんですけれど」
「それはだって、持ちながらフラフラしてますから」
「いえいえ、そうではなく」
喜緑さんがわたしの持ってるロッドを正面に向け直して手を離すと……あら? すすーっと、二本のロッドの先端が、揃って左に傾いちゃいましたよ。
「おおっ! 凄いじゃないですか、吉村さん!」
や、別にわたしが何かしてるわけでもないんですが……。
「反応があるのなら、戻るわけにもいきません。さささ、吉村さん。れっつごーです」
「ええぇ~……」
行くんですか? 行くんですね、やっぱり。
こうなったら仕方ないですけど……本当に、雨が降る森の中、若い女の子が六人も集まって何やってんのかしら? なんて考えちゃダメなんでしょうか。
「でも、わたしの方には反応がないんだけど」
確かに、反応を示しているのはわたしのロッドの方だけです。朝倉さんのペンデュラムはまったく無反応。
「それは朝倉さんだからですよ」
「どんなコメントを返せばいいのか、悩む言い方ね」
「どちらにしろ、反応してるのは吉村さんですから。道案内はお願いします」
そういうことなら仕方ないですけど……どうして一番やる気のないわたしが、先頭に立って歩くことになっちゃってるんでしょう。神様が本当にいるのなら、意地悪さんなのは間違いなさそうです。
ロッドが倒れた方向に、まずは進むとしましょう。確かに右へ左へ正面へ、進めば方向を指し示すかのように勝手に動いてます。こういうことって、本当にあるんですね。偶然かもしれませんが。
そんなロッドの導きで進むと、雨足も徐々に強まって来ました。最初は霧か雨か解らない感じでしたが、今では雨粒もハッキリするほどの雨です。足音よりも大きく聞こえるなんて、かなりの雨になってきたと思うんですよ。雨具を着込んでいますが、それでも染み込んできた雨水で、服が体に張り付いて気持ち悪い感じです。
「これ、どこがゴールなんでしょう?」
さすがにちょっと雨が強くなりすぎな気がします。ロッドはずーっと右や左に傾いて、まったくゴールが見えてきません。
さすがに気になって誰ともなく問いかけてみたんですが……誰も反応してくれません。
「……あれ?」
振り向けば、そこに見えるのは木、木、木。木ばっかり。佐々木さんも橘さんも周防さんも喜緑さんも朝倉さんも、誰もいません。
「あ、あれ……?」
えーっと、待ってください。ちょっと待ってくださいよ。
進んでいた道ならぬ道を戻ってみますが、やっぱり誰もいません。
「佐々木さーん」
反応なし。
「橘さーん」
無反応。
「周防さーん」
あの人が反応するのは稀ですか。
「喜緑さーん」
聞こえていても無視しそうですね。
「朝倉さーん」
……………………。
「も、もしかして……」
冷静に考えてみましょう。
ここは深い森の中。天気のコンディションは雨という最悪なもの。場所は、初めて来たところであり、前日の経験で物を考えれば、熊や猪が普通に徘徊している森ですね。
そんな場所に、小学六年生のわたしが、どうやら一人でぽつーんといるようです。
こ……これって、もしかして…… 今のわたしの立場は、世間一般で言うところの……その、遭難者……というものに該当しませんか?
つづく
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●この記事にコメントする
★無題
NAME: HILO
おおっ、本当に不運急を告げてる?!(←微妙に失礼な気が)
にしても、冒頭の会話シーンだけを読んでこれがどういったお話なのか分かる人がいたら、たぶん立派な予言者に成れると思いますが如何w
にしても、冒頭の会話シーンだけを読んでこれがどういったお話なのか分かる人がいたら、たぶん立派な予言者に成れると思いますが如何w
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
そもそもこの日だけの話を読んで、どんな話なのか解る人がいるのかどうかという疑問が……。
★無題
NAME: BPS
九曜さんのおかげで般若心経に興味が湧いてきましたw
自然をなめるな…小中の自然教室の宿泊施設の所長さんの言葉ですね(関係ない)
ミヨキチの災難は全て人為的なものが原因に思えてなりませんが。
自然をなめるな…小中の自然教室の宿泊施設の所長さんの言葉ですね(関係ない)
ミヨキチの災難は全て人為的なものが原因に思えてなりませんが。
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
般若心経は完成された智慧、真言を教え説くものだった気がします。違うような気もしますが、何分大雑把な記憶なので。
なんであれ、ミヨキチさんの災難はすべて人為的なものですよw
なんであれ、ミヨキチさんの災難はすべて人為的なものですよw
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
さすが喜緑さん、俺たちにできないことを平然とやってのける! そこにシビr(ry
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
小学六年生、樹海に消える……。
や、朝倉さんはつねに常識人ですよ。ええ、常識的にナイフを使いますもの(ニッコリ
や、朝倉さんはつねに常識人ですよ。ええ、常識的にナイフを使いますもの(ニッコリ
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