category: 日記
DATE : 2007/09/13 (Thu)
DATE : 2007/09/13 (Thu)
と言っても、もう木曜日になっちゃってますが。
それでも今週は、のんびりした時間を過ごせそうです。
しかし何ですね、ひとつの山場を越えちゃうと、気が抜けると言うかなんと言うか、テンションを上げるのも一苦労です。昨日なんか、特にボーッとしてた気がします。
とは言っても、今後もやること山盛りなので、そこまでのんびりしてもいられませぬ。
そんな感じで、今日のSSはミヨキチさんの続きになります。
ではまた明日に!
それでも今週は、のんびりした時間を過ごせそうです。
しかし何ですね、ひとつの山場を越えちゃうと、気が抜けると言うかなんと言うか、テンションを上げるのも一苦労です。昨日なんか、特にボーッとしてた気がします。
とは言っても、今後もやること山盛りなので、そこまでのんびりしてもいられませぬ。
そんな感じで、今日のSSはミヨキチさんの続きになります。
ではまた明日に!
前回はこちら
【Respect redo】吉村美代子の憂鬱
橘さんに引っ張られ、準備しろとせっつかれても何をすればいいのか解りません。五円玉に糸を通しておけばいいんですか? どうして五十円玉じゃダメなんでしょう。もしや無くしたときにショックの度合いが十倍になるから、なんて理由だったりしませんよね? もしそうなら、なくしたときはわたしから橘さんに、飴玉でもプレゼントして慰めてあげますので安心してください。
「雨だね」
わたしの準備なんてあるはずもなく、せめて浴衣から普段着に着替える程度です。当然、旅館の正面エントランスに到着するのも早かったわけですが、それよりも早いのは佐々木さんでした。
わたしが来たことに気付いているのかいないのか、少なくともこちらをチラリとも見ずに空を見上げて呟きました。
分厚い雲が空一面を覆い、ぽつりぽつりと雨粒が落ちてきています。
本降りにはなっていませんが、何しろ場所は山です。山の天気は変わりやすいとはよく言ったもので、今は小降りかもしれませんが、今後どうなるか解ったもんじゃありません。
「こうなると、中止でしょうか」
もともとやる気なんてゼロなわたしです。むしろ、中止になってくれた方がどれだけ嬉しいか。
いいじゃないですか。橘さんの小さいころの思い出を無理に掘り返すことありませんて。思い出は、胸の中に眠らせておくことに意味があるんです。思い出はあれです、心の中で良い方にどんどん膨らんじゃうものなんですよ。それが現実と直結しようものならあなた、そこにはギャップが生じるわけで、その差が大きければ大きいほどショックも大きいですよ、万が一のとき。
「あらあら、中止ですか」
佐々木さんと二人、並んで空を見上げていれば、背後から聞こえるのは喜緑さんの声でした。髪の毛は邪魔にならないようにポニーテールに結わいて、スカートの下にはスパッツなんて履いてます。昨日の食材探しの時でもスカートのみだったのに、今日はもしかしてやる気があるんですか?
「やる気ですか? いえいえ、同性相手と言っても下着を見せてしまうのは、さすがにはしたないと思い至っただけですよ。やる気で言えば、うちの朝倉さんでしょうか。ほら、このように」
つい……っと一歩横へ引いて、背後に控えていた朝倉さんがご登場です。その格好がまた……なんて言うんですか? よくある探検家ルックなんですよ。その格好だけでやる気満点なのが解ります。
「いえいえ、それだけではございません。ほら、水筒に双眼鏡、リュックにハンガーを壊して作った即席ロッド・ダウジングも装備しております。やる気をここまで格好で表せる方など、そうそうおりませんでしょう? わたしにはそこまで準備する気力など、とてもともて……」
確かに喜緑さんが言うようにやる気を見せている朝倉さんが……ですね。どうして、怒り爆発五秒前のような、好きな人の前で転んでぱんつ見えちゃった、みたいな、そういう震え方をしてるんでしょうか?
「こっ、こんな格好させたの、喜緑さんでしょーっ! もうっ、何よこれ!? 人類未到の地に初めて足を踏み入れたとか言って、先にカメラが入ってるような番組じゃないんだからね! まったく、人を着せ替え人形で遊んで……自分は無難な格好だなんてあんまりだわ」
「健康的な太股がステキですよ。丸太もぽっきりへし折れそうですね」
にっこり、と笑ってもですね、今の一言はどう考えてもフォローになってないんじゃないでしょうか。
「やっぱり普段着に着替えてくる」
場所と状況を考えれば、そんな変な格好じゃないと思うんですけど、その格好にさせられるまでの経緯に何かしらの嫌な思い出でもあるんでしょうか。朝倉さん、妙にぷりぷり怒って部屋に引き返そうとしたんですが。
「いいじゃないか、よく似合ってるよ。僕の感性が世間と大きくズレていなければ、誰が見ても心奪われる格好だよ、朝倉さん」
「え?」
もう、なんて言うんですか? 佐々木さん、それは狙って言ってるんですか? 素で言ってるのであれば、もう少し自分のキャラクターというものを把握された方がいいんじゃないかと思うわけですよ。
「そ、そうかな? じゃあ、このままで……いいかしら」
ほらー、朝倉さんが一人赤くなってモジモジしてるじゃないですか。佐々木さん、あなたはいったいどこを目指すつもりですか。
「それにしても、二人は遅いねぇ」
二人……というと、言い出しっぺの橘さんと周防さんですね。藤原さんは勘定に入ってないんですか。不憫すぎて涙も出ません。
「呼んできましょうか?」
「いや、そこまではいいよ。ただ、行くにしても、やめるにしても、早く来て決めてもらいたいなと思っただけさ。言い出した当人に決めてもらわないとね。こちらはただ、話に乗るだけの立場じゃないか。中止も決行も、勝手に決められないだろう?」
確かに、佐々木さんがおっしゃることには一理あります。わたしも、半ば無理やりとは言え断固とした態度で拒否しなかったので、勝手に「行くのを止める」と言い出すわけにもいきません。今のこの状況になってしまえば。
そういう意味でも、確かに早く来て欲しいところですが。
「やーやー、皆様。お待たせしちゃいました」
あ、やっと来た……って、橘さん……。
「いやー、九曜さんの準備に手間取ってしまったのです。お待たせしちゃって申し訳なしです」
いったいどんな準備をしてたのか、それは橘さんじゃなくて周防さんを見れば一目瞭然です。
服装は朝倉さんに近いものですが、その、首から下げているのがですね、水筒じゃなくて紐に通したニンニクとか、手に持ってるのがピックじゃなくて杭とか、いったいどんなバケモノ退治に行くんですか。
「世の中、何が起こるか解らないですよ。準備は念には念を入れてこそです」
ええ、まったくですね。周防さんにそんな格好をさせるだなんて、ちっとも予想していませんでしたよ。本当に何が起こるか解りません。特に橘さんの奇行が。
「────…………────…………」
ほらー、周防さんもぶつぶつ文句言ってるじゃないですか。あまり感情を表に出さない人みたいですから、橘さんの無理難題にも素直に従っちゃったみたいですけど。
周防さん、何ですか? わたしが代弁してあげますよ。
「────観自在菩薩────行深般若波羅蜜多時────照見五蘊皆空────度一切苦厄────舎利子────色不異空────空不異色────色即是空────空即是色────……」
ちょっ! はっ、般若心経をぶつぶつ唱えてたんですか!? もしかして、仕込みで時間がかかったって、これを教え込んでたんでしょうか?
お経の内容云々は有り難いものなんでいいんですが、ただ……無表情でぶつぶつ唱えてると、ですね。子供が泣き出しそうなくらいコワイですよ、周防さん。
「なるほど……その手がありましたか」
「いくら何でも、わたしはあそこまでしないわよ?」
それでも喜緑さんに押しきられて、朝倉さんならやっちゃいそうです。
「ところで、雨が降り始めてるんだけど」
この状況を「ところで」の一言で流せる佐々木さんは、やはり大物の素質を備えていると改めて思いました。
「それでも行くの?」
「むっ、雨ですか。これは困りましたね」
わたしとしては、訳のわからない宝探しを諦めて、悟りを開きそうな周防さんを正気に戻すのが先決だと思います。
「山の天気をナメちゃいけませんし、ここは少し待って雨足の様子を見るのがいいでしょうか。本降りなれば困りものなのです」
さすがの橘さんも、山の天気に対してはまともで助かりました。
「その宝とやらがある場所は」
話が様子見に傾きかけたところ、口を挟んできたのは喜緑さんでした。
「ここから遠いのでしょうか」
「場所は解りませんよ」
「それでもおおよその位置は覚えてらっしゃいますでしょう? 遠いのですか?」
「そんなに遠くはないですね。山道を歩いて十分くらいですので」
「それなら、さくさくっと行ってみるのもよろしいんじゃないでしょうか。この辺りは斜面もそれほど急ではありませんし、多少の雨なら土砂災害の危険も少ないでしょう。大丈夫ですよ」
ちょっ、何を言い出すんですか喜緑さん。やる気満々だったのは、やはり朝倉さんが言うように喜緑さんの方だったんですか?
「ふむ……あなたがそう言うのであれば、大丈夫なのでしょう」
そこにどのような根拠があるのか、じっくりねっとり聞かせてもらいたいです。
「行くの?」
これが最後の確認とばかりに佐々木さんが改めて橘さんに聞いてます。
「行ってみましょー」
やっぱり行くんですね……。
つづく
【Respect redo】吉村美代子の憂鬱
橘さんに引っ張られ、準備しろとせっつかれても何をすればいいのか解りません。五円玉に糸を通しておけばいいんですか? どうして五十円玉じゃダメなんでしょう。もしや無くしたときにショックの度合いが十倍になるから、なんて理由だったりしませんよね? もしそうなら、なくしたときはわたしから橘さんに、飴玉でもプレゼントして慰めてあげますので安心してください。
「雨だね」
わたしの準備なんてあるはずもなく、せめて浴衣から普段着に着替える程度です。当然、旅館の正面エントランスに到着するのも早かったわけですが、それよりも早いのは佐々木さんでした。
わたしが来たことに気付いているのかいないのか、少なくともこちらをチラリとも見ずに空を見上げて呟きました。
分厚い雲が空一面を覆い、ぽつりぽつりと雨粒が落ちてきています。
本降りにはなっていませんが、何しろ場所は山です。山の天気は変わりやすいとはよく言ったもので、今は小降りかもしれませんが、今後どうなるか解ったもんじゃありません。
「こうなると、中止でしょうか」
もともとやる気なんてゼロなわたしです。むしろ、中止になってくれた方がどれだけ嬉しいか。
いいじゃないですか。橘さんの小さいころの思い出を無理に掘り返すことありませんて。思い出は、胸の中に眠らせておくことに意味があるんです。思い出はあれです、心の中で良い方にどんどん膨らんじゃうものなんですよ。それが現実と直結しようものならあなた、そこにはギャップが生じるわけで、その差が大きければ大きいほどショックも大きいですよ、万が一のとき。
「あらあら、中止ですか」
佐々木さんと二人、並んで空を見上げていれば、背後から聞こえるのは喜緑さんの声でした。髪の毛は邪魔にならないようにポニーテールに結わいて、スカートの下にはスパッツなんて履いてます。昨日の食材探しの時でもスカートのみだったのに、今日はもしかしてやる気があるんですか?
「やる気ですか? いえいえ、同性相手と言っても下着を見せてしまうのは、さすがにはしたないと思い至っただけですよ。やる気で言えば、うちの朝倉さんでしょうか。ほら、このように」
つい……っと一歩横へ引いて、背後に控えていた朝倉さんがご登場です。その格好がまた……なんて言うんですか? よくある探検家ルックなんですよ。その格好だけでやる気満点なのが解ります。
「いえいえ、それだけではございません。ほら、水筒に双眼鏡、リュックにハンガーを壊して作った即席ロッド・ダウジングも装備しております。やる気をここまで格好で表せる方など、そうそうおりませんでしょう? わたしにはそこまで準備する気力など、とてもともて……」
確かに喜緑さんが言うようにやる気を見せている朝倉さんが……ですね。どうして、怒り爆発五秒前のような、好きな人の前で転んでぱんつ見えちゃった、みたいな、そういう震え方をしてるんでしょうか?
「こっ、こんな格好させたの、喜緑さんでしょーっ! もうっ、何よこれ!? 人類未到の地に初めて足を踏み入れたとか言って、先にカメラが入ってるような番組じゃないんだからね! まったく、人を着せ替え人形で遊んで……自分は無難な格好だなんてあんまりだわ」
「健康的な太股がステキですよ。丸太もぽっきりへし折れそうですね」
にっこり、と笑ってもですね、今の一言はどう考えてもフォローになってないんじゃないでしょうか。
「やっぱり普段着に着替えてくる」
場所と状況を考えれば、そんな変な格好じゃないと思うんですけど、その格好にさせられるまでの経緯に何かしらの嫌な思い出でもあるんでしょうか。朝倉さん、妙にぷりぷり怒って部屋に引き返そうとしたんですが。
「いいじゃないか、よく似合ってるよ。僕の感性が世間と大きくズレていなければ、誰が見ても心奪われる格好だよ、朝倉さん」
「え?」
もう、なんて言うんですか? 佐々木さん、それは狙って言ってるんですか? 素で言ってるのであれば、もう少し自分のキャラクターというものを把握された方がいいんじゃないかと思うわけですよ。
「そ、そうかな? じゃあ、このままで……いいかしら」
ほらー、朝倉さんが一人赤くなってモジモジしてるじゃないですか。佐々木さん、あなたはいったいどこを目指すつもりですか。
「それにしても、二人は遅いねぇ」
二人……というと、言い出しっぺの橘さんと周防さんですね。藤原さんは勘定に入ってないんですか。不憫すぎて涙も出ません。
「呼んできましょうか?」
「いや、そこまではいいよ。ただ、行くにしても、やめるにしても、早く来て決めてもらいたいなと思っただけさ。言い出した当人に決めてもらわないとね。こちらはただ、話に乗るだけの立場じゃないか。中止も決行も、勝手に決められないだろう?」
確かに、佐々木さんがおっしゃることには一理あります。わたしも、半ば無理やりとは言え断固とした態度で拒否しなかったので、勝手に「行くのを止める」と言い出すわけにもいきません。今のこの状況になってしまえば。
そういう意味でも、確かに早く来て欲しいところですが。
「やーやー、皆様。お待たせしちゃいました」
あ、やっと来た……って、橘さん……。
「いやー、九曜さんの準備に手間取ってしまったのです。お待たせしちゃって申し訳なしです」
いったいどんな準備をしてたのか、それは橘さんじゃなくて周防さんを見れば一目瞭然です。
服装は朝倉さんに近いものですが、その、首から下げているのがですね、水筒じゃなくて紐に通したニンニクとか、手に持ってるのがピックじゃなくて杭とか、いったいどんなバケモノ退治に行くんですか。
「世の中、何が起こるか解らないですよ。準備は念には念を入れてこそです」
ええ、まったくですね。周防さんにそんな格好をさせるだなんて、ちっとも予想していませんでしたよ。本当に何が起こるか解りません。特に橘さんの奇行が。
「────…………────…………」
ほらー、周防さんもぶつぶつ文句言ってるじゃないですか。あまり感情を表に出さない人みたいですから、橘さんの無理難題にも素直に従っちゃったみたいですけど。
周防さん、何ですか? わたしが代弁してあげますよ。
「────観自在菩薩────行深般若波羅蜜多時────照見五蘊皆空────度一切苦厄────舎利子────色不異空────空不異色────色即是空────空即是色────……」
ちょっ! はっ、般若心経をぶつぶつ唱えてたんですか!? もしかして、仕込みで時間がかかったって、これを教え込んでたんでしょうか?
お経の内容云々は有り難いものなんでいいんですが、ただ……無表情でぶつぶつ唱えてると、ですね。子供が泣き出しそうなくらいコワイですよ、周防さん。
「なるほど……その手がありましたか」
「いくら何でも、わたしはあそこまでしないわよ?」
それでも喜緑さんに押しきられて、朝倉さんならやっちゃいそうです。
「ところで、雨が降り始めてるんだけど」
この状況を「ところで」の一言で流せる佐々木さんは、やはり大物の素質を備えていると改めて思いました。
「それでも行くの?」
「むっ、雨ですか。これは困りましたね」
わたしとしては、訳のわからない宝探しを諦めて、悟りを開きそうな周防さんを正気に戻すのが先決だと思います。
「山の天気をナメちゃいけませんし、ここは少し待って雨足の様子を見るのがいいでしょうか。本降りなれば困りものなのです」
さすがの橘さんも、山の天気に対してはまともで助かりました。
「その宝とやらがある場所は」
話が様子見に傾きかけたところ、口を挟んできたのは喜緑さんでした。
「ここから遠いのでしょうか」
「場所は解りませんよ」
「それでもおおよその位置は覚えてらっしゃいますでしょう? 遠いのですか?」
「そんなに遠くはないですね。山道を歩いて十分くらいですので」
「それなら、さくさくっと行ってみるのもよろしいんじゃないでしょうか。この辺りは斜面もそれほど急ではありませんし、多少の雨なら土砂災害の危険も少ないでしょう。大丈夫ですよ」
ちょっ、何を言い出すんですか喜緑さん。やる気満々だったのは、やはり朝倉さんが言うように喜緑さんの方だったんですか?
「ふむ……あなたがそう言うのであれば、大丈夫なのでしょう」
そこにどのような根拠があるのか、じっくりねっとり聞かせてもらいたいです。
「行くの?」
これが最後の確認とばかりに佐々木さんが改めて橘さんに聞いてます。
「行ってみましょー」
やっぱり行くんですね……。
つづく
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[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
佐々木さんには中性的な魅力を存分に発揮してもらいたいと思いまして、男女問わずにフラグをたてる人になってもらおうかと!
……あれ? それってキョンくんのこと?
……あれ? それってキョンくんのこと?
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
喜緑さんに遊ばれる朝倉さんもいいかなと。というか、これが世間一般で認識されている二人の関係じゃないかと思うんですけど、どうなんでしょう?
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