category: 日記
DATE : 2008/10/26 (Sun)
DATE : 2008/10/26 (Sun)
バックアップ用で購入した外付けHDDなんですがね。
初期不良品でした。
( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
いやもう、最初から動かないのであれば問題なかったんですが、最初はちゃんと動いてたのが問題。どーにも認識しなくなって買ったお店に持っていったら「こりゃダメですねー」と来たもんだ。や、もうちょっと申し訳ない感じではありましたけどね。
なもんでHDDに入れっぱなしにしてたデータはすべてパァでございます。がっでむ。バックアップがメインより先に壊れてどうする。これがあれか、バックアップという言葉的意味で言えばメインより先にいなくなった朝倉さんらしいと言うことか。どこで笑えばいいんだ!
んまー、それでも小説関連、HP関連、同人関連のデータは壊れる前に新PCに移動させといたんで問題なかったりします。だからこうやってネタにしてるという。ちなみに移動させる前に残ってたのは仕事関連とプライベート写真関連。けどまぁ、仕事のは全部終わったヤツでして、なんら支障はなかったりします。重要そうなのはMacにも入れてるしね!
そんな感じで昨日も今日も元気に生きてます。
ではまた。
初期不良品でした。
( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
いやもう、最初から動かないのであれば問題なかったんですが、最初はちゃんと動いてたのが問題。どーにも認識しなくなって買ったお店に持っていったら「こりゃダメですねー」と来たもんだ。や、もうちょっと申し訳ない感じではありましたけどね。
なもんでHDDに入れっぱなしにしてたデータはすべてパァでございます。がっでむ。バックアップがメインより先に壊れてどうする。これがあれか、バックアップという言葉的意味で言えばメインより先にいなくなった朝倉さんらしいと言うことか。どこで笑えばいいんだ!
んまー、それでも小説関連、HP関連、同人関連のデータは壊れる前に新PCに移動させといたんで問題なかったりします。だからこうやってネタにしてるという。ちなみに移動させる前に残ってたのは仕事関連とプライベート写真関連。けどまぁ、仕事のは全部終わったヤツでして、なんら支障はなかったりします。重要そうなのはMacにも入れてるしね!
そんな感じで昨日も今日も元気に生きてます。
ではまた。
前回はこちら
吉村美代子の奔走:2
喜緑さんを待つと言っても、店の中で居座り続けるには周囲の目が気になりそうな時間はかかりそうだ。そこまで節操なしに居座り続けられる図太い神経の持ち合わせがない俺とミヨキチは、仕方なしに外に出た。行くあてなんぞどこにもないのだが、それでも話をするだけなら歩きながらでもかまわない。
「笑われちゃうような話かもしれませんけど」
と、ミヨキチはそんな前置きをしてぽつりぽつりと語り出した。
「昨日の朝に──」
つまり金曜の朝に目が覚めたミヨキチは、寝惚けた頭が覚醒するにつれて普段着のままでいる自分に驚いたようだ。俺にとっちゃどうってことない話に聞こえるが、ミヨキチにしてみれば物凄く違和感のある状況だったようだ。
「それってつまり、お風呂にも入ってないってことですよね?」
風呂上がりとなれば、まずパジャマなり室内着に着替えるのが妥当だろう。わざわざ一日の汚れを洗い落としたってのに、また普段着に身を包むのは考えにくい。なのに普段着のまま自分のベッドで目を覚ましたということは、つまり風呂にも入ってないことになる。
だったら風呂に入らずに寝たんじゃないか、と考えるのは男の思考のようだ。金曜の朝にそういう状況だったとなれば普段着のままで寝たのは木曜の夜の話であり、翌日には学校がある。そのことを忘れるようなら、ミヨキチの親も小学生の一人娘を残して旅行に行ったりしない。
男よりも女子の方が身だしなみに気を遣うのは当たり前の話で、特に思春期に差し掛かった女の子が風呂にも入らずに学校に行こうと思うわけもなく、けれど事実として服を着たまま寝ていた。
なるほどね。そういうことなら確かに妙な話だと思う。思うが、それでも少し、ミヨキチがここまで気にする理由になるには説得力が足りない。
「わたしも、起きたときはそこまで気にしなかったんです。ただ……」
目を覚まし、自分が服を着たままだということに疑問を抱きつつも、それはすぐに忘れるような他愛もないことだった。ただ、朝の忙しい時間帯にシャワーを浴びるというひと手間が加わり、慌ただしく学校に行く準備を進めていた……のだが。
「既視感……みたいなものなんでしょうか」
本人はそう言ってるが、話を聞いた感じでは違うような気がする。何をどう言っていたのかというと、例えば今こうして歩いていて目に入る光景を見ていると、そこに被せてくるように別の情景が脳裏に浮かんでくるらしい。
ミヨキチが金曜の朝に感じたのはそういうことだ。
朝起きて、服を着たまま寝ていた自分がリビングに入れば、まず違和感を覚えた。その違和感ってのが、さっき喫茶店で話していた「いつもより綺麗だな」ってことらしく、けれど脳裏では何故か部屋の中がめちゃくちゃになっている光景が浮かんだらしい。
「既視感って言うのは『前にこんなの見たことあるな』っていうことを言うんだろ? どっちかっていうと……何だろうな、別の映像が割り込んでくるから……ノイズみたいなもんか?」
「あ、そう言われるとそうかもしれませんね」
まるでフラッシュバックするように、覚えのない映像がふとした弾みにチラチラと脳裏を過ぎる。そんなノイズが気になって居間の中をあれこれ見ていた過程で、俺名義の携帯電話を見つけたようだ。
それだけでなく、さらに俺と喜緑さん、そして何故か朝倉も一緒に自分の家の居間に居るような映像が紛れていて──。
「実際に喜緑さんが居て驚いた、か」
「でも、それだけじゃなくって」
ミヨキチが気にしている問題は、そういう「身に覚えがないけれど見たことがあるノイズ」ではなく、自分の行動に対する違和感の方だった。
「なんとなく……本当になんとなくなんですけど」
例えば「電話の前に行かなくちゃ」と理由なく思い立った途端に電話が鳴ったり、学校の授業で出てきた小テストの問題文を見て「前にも見たことあるな」と思ったりすることが、昨日から頻繁に起きている。
「そういうのを既視感って言いません?」
「そういうのなら確かにそうだが」
「もしかしてわたし、予知能力か何かに目覚めたんでしょうか? これって凄いですよね」
「はは、まさか」
冗談めかして言うミヨキチに俺は笑い飛ばしながら答えたが、内心では気が気じゃなかった。超能力者の知り合いは、ワガママ娘が気まぐれで作り出す限定空間でしか使えないヤツだけで充分だ。ミヨキチまで一般常識から掛け離れた連中の仲間入りをしてほしくない。
「それだったら部屋の中がめちゃくちゃってことも、前にどこかで見かけたことになるんじゃないのか? あるのか、そういったことが」
「それはないですけど……でも、先ほどの喜緑さんのこともそうですし、おまけに身内の方も……朝倉さん、ですよね? いらっしゃるってことらしいですから」
いる……と言っていいのかどうか悩むところだ。そもそも朝倉は今はもういない。いないヤツとミヨキチが会っているとは思えないし、ミヨキチが言う『朝倉』が俺の知っている『朝倉』と同じヤツなのかどうかもわからない。
ただ、ミヨキチは喜緑さんに会って「ちらちら脳裏を過ぎるノイズの映像と同じ人」と言っている。その中に出てきているらしい朝倉も、もしかすると……と思えなくもない。
でも、それならいったい何故? どうしてミヨキチがそんなノイズを見るんだ?
けれどミヨキチには、事実体験したことがないのに覚えがある日常を見たり、同じ日が繰り返されている錯覚のようなものを感じているようだ。偶然と言うにしてはその頻度が多いようだし、喜緑さんや朝倉の名前までドンピシャで当てるからには、そこに何かしらの理由があることは間違いない。超能力とか関係なしに。
体験していないはずなのに身に覚えがあり、知らないはずなのに知っている。だとすればその理由は……ん? 何やらそういう話は前にどこかで……あれは……そう。
「……そうだ……」
去年の終わらない夏に俺たちが感じていたものと似ている。
ハルヒが夏休みを終わらせたくなくてループさせた日々。一万ン千回と繰り返したあの日。そのときに俺やSOS団の連中が感じていた既視感。ミヨキチが感じているものは、それに近いものがありそうだ。
ということは……ループしている? またそんなことが起きているのか? ハルヒが何かをやらかそうとして、それでミヨキチにそんな症状が出ているとでも? いやしかし、だとしたら何故、ミヨキチなんだ?
そこがわからない。
俺にはそんな自覚がまるでないし、ここ数日の出来事で既視感を感じることも何もない。にも関わらず、ミヨキチにはそれがある。
もしノイズやら既視感やらと呼んでるものが長門や古泉、朝比奈さんに出ているなら俺が鈍感だって話で終わり、こっちも解明に向けて東奔西走するだけの話だ。けれど、ハルヒと縁もゆかりもなさそうなミヨキチにそんな症状が出て、ハルヒの側にいる俺たちには何の自覚もない。今日の、午前中に行われていた市内不思議探索の中で長門は……いつも通りだし何があっても動じなさそうなヤツだが、古泉や朝比奈さんを見た限りでは、何か感じるところがあったようには見えない。
「お兄さん?」
「……まー」
俺も以前に同じような経験をしたんだ、とはとても言えない。何より、涼宮ハルヒという訳のわからんパワーを持ったキテレツ女と俺が知り合いだなんてことを、ミヨキチに知られたくもない。
「あまり気にするようなことじゃないと思うけどな。問題は、」
と、俺がそれとなく話の軌道を修正しようとしたときだった。
「ごるぁっ!」
「げほぉっ!?」
怒鳴り声とともに、真後ろから俺の腰椎をだるま落としのように吹き飛ばさんとする物凄い衝撃が襲ってきた。
「ひゃあっ!」
傍らのミヨキチが上げる悲鳴が聞こえた。むしろ何かを叫びたいのは俺の方であり、けれど俺が怒鳴るよりもその声は飛んできた。
「こンのエロキョンがあっ! あんた、こんなとこで何やってんのよ!」
「は……ハルヒ……」
憤怒の形相で仁王立ちしているその姿は、涼宮ハルヒで間違いない。ミヨキチからハルヒの話を遠ざけようとしたつもりが、よりにもよって本人登場とは何事だ。
おまけに──。
「きょ、きょきょきょ、キョンくん大丈夫ですか!?」
言葉をどもらせながら駆け寄って来たのは朝比奈さんだ。この二人が一緒に居るということは、長門と古泉もいるのかと思ったが、けれど二人は居ない。
「なんでおまえがここに、」
と聞いてもハルヒは答えない。俺の問いかけをしっかり耳に入れて返答するだけの精神的余裕がなさそうな面持ちで一気に捲し立ててきた。
「なぁにが『急用が入ったから午後はパス』よ、このバカ! 午後の市内不思議探索を休む理由が女の子とのデートとは何事!? あんた、そんなんだからいつまで経ってもヒラなんでしょっ!」
ああ……なるほどね。つまり俺が抜けた後も市内をぶらぶらしていたわけだ。ここに朝比奈さんがいて長門と古泉がいないのは、そういうペア組になったからだろう。
「ま……まぁまぁ涼宮さん。キョンくんにも事情があるでしょうし、それを聞かないで一方的にっていうのは……その、あまりよくないんじゃないかなぁって、」
「みくるちゃん」
「はっ、はぅい」
そこはかとなく朝比奈さんが俺の助けにまわろうとしてくれているようだが、いかんせん相手はハルヒだ。ひと睨みされただけでガクガクに震え上がっている。
「キョンはね、重要かつ重大、神聖にして厳粛な団活を抜け出して女の子と二人でいるの。しかも団活から抜け出す理由が『急用』っていうたった一言で。そんなことをするヤツに理由も事情もあったもんじゃないでしょう?」
まるで気力体力ともに充実した休日の午後に訪れた爽やかな風が吹く草原で、小さな子供に世の中の道徳を伝え教える保母さんのように、ハルヒは慈愛にも似た笑みを浮かべて淡々と、とつとつと、とうとうと朝比奈さんに言って聞かせている。それが嵐の前の静けさなのは言うまでもない。余計に怖い。
「そ、そそそ、そうですね……」
どうやら朝比奈さんも俺と同意見らしい。フォローにまわろうとしてくれたのはとても有り難いのだが、ハルヒの凄惨さを前に震え上がっている。
どう考えてもハルヒの言い分はあまりにも傍若無人で、そんなものに同意しないでくださいと言いたい。が、このハルヒを前にすれば誰であろうと逆らう前にまずは謝っておこうかな、などと思ってしまうのも仕方がない。
「んで、キョン」
このまま朝比奈さんにハルヒの怒りの矛先が向くのは本意ではなかったが、だからと言って俺に戻ってくるのも勘弁して欲しかった。
「あんた、この落とし前をどう付けてくれるつもり?」
「落とし前って、」
「あ、あのそのっ!」
何をどう言い訳すれば五体満足で切り抜けられるかなぁ、などと考えつつハルヒのあしらい方をシミュレートしていたのがマズかったのか、ハルヒの蹴撃ならぬ襲撃から立ち直ったミヨキチが、ただでさえ注目されている周囲の目をさらに引き付けるような大声を出して割って入ってきた。
「わ、わたしがその、お兄さんを無理に呼び出したんです。だからお兄さんには何の非もないっていうか、だから……」
ハルヒの迫力に対抗するように一気に捲し立てたミヨキチだが、そういうテンションは普段からでなければ長続きしないらしい。
「ええと、どちら様ですか?」
「そっちこそ……誰?」
ミヨキチはハルヒを見て不思議そうに小首を傾げ、ハルヒはミヨキチをまじまじと頭のてっぺんからつま先まで目を這わせ、互いが互いに俺を見る。
そんなことを言われても、俺が言うべき台詞はひとつしかない。
やれやれ、だ。
つづく
吉村美代子の奔走:2
喜緑さんを待つと言っても、店の中で居座り続けるには周囲の目が気になりそうな時間はかかりそうだ。そこまで節操なしに居座り続けられる図太い神経の持ち合わせがない俺とミヨキチは、仕方なしに外に出た。行くあてなんぞどこにもないのだが、それでも話をするだけなら歩きながらでもかまわない。
「笑われちゃうような話かもしれませんけど」
と、ミヨキチはそんな前置きをしてぽつりぽつりと語り出した。
「昨日の朝に──」
つまり金曜の朝に目が覚めたミヨキチは、寝惚けた頭が覚醒するにつれて普段着のままでいる自分に驚いたようだ。俺にとっちゃどうってことない話に聞こえるが、ミヨキチにしてみれば物凄く違和感のある状況だったようだ。
「それってつまり、お風呂にも入ってないってことですよね?」
風呂上がりとなれば、まずパジャマなり室内着に着替えるのが妥当だろう。わざわざ一日の汚れを洗い落としたってのに、また普段着に身を包むのは考えにくい。なのに普段着のまま自分のベッドで目を覚ましたということは、つまり風呂にも入ってないことになる。
だったら風呂に入らずに寝たんじゃないか、と考えるのは男の思考のようだ。金曜の朝にそういう状況だったとなれば普段着のままで寝たのは木曜の夜の話であり、翌日には学校がある。そのことを忘れるようなら、ミヨキチの親も小学生の一人娘を残して旅行に行ったりしない。
男よりも女子の方が身だしなみに気を遣うのは当たり前の話で、特に思春期に差し掛かった女の子が風呂にも入らずに学校に行こうと思うわけもなく、けれど事実として服を着たまま寝ていた。
なるほどね。そういうことなら確かに妙な話だと思う。思うが、それでも少し、ミヨキチがここまで気にする理由になるには説得力が足りない。
「わたしも、起きたときはそこまで気にしなかったんです。ただ……」
目を覚まし、自分が服を着たままだということに疑問を抱きつつも、それはすぐに忘れるような他愛もないことだった。ただ、朝の忙しい時間帯にシャワーを浴びるというひと手間が加わり、慌ただしく学校に行く準備を進めていた……のだが。
「既視感……みたいなものなんでしょうか」
本人はそう言ってるが、話を聞いた感じでは違うような気がする。何をどう言っていたのかというと、例えば今こうして歩いていて目に入る光景を見ていると、そこに被せてくるように別の情景が脳裏に浮かんでくるらしい。
ミヨキチが金曜の朝に感じたのはそういうことだ。
朝起きて、服を着たまま寝ていた自分がリビングに入れば、まず違和感を覚えた。その違和感ってのが、さっき喫茶店で話していた「いつもより綺麗だな」ってことらしく、けれど脳裏では何故か部屋の中がめちゃくちゃになっている光景が浮かんだらしい。
「既視感って言うのは『前にこんなの見たことあるな』っていうことを言うんだろ? どっちかっていうと……何だろうな、別の映像が割り込んでくるから……ノイズみたいなもんか?」
「あ、そう言われるとそうかもしれませんね」
まるでフラッシュバックするように、覚えのない映像がふとした弾みにチラチラと脳裏を過ぎる。そんなノイズが気になって居間の中をあれこれ見ていた過程で、俺名義の携帯電話を見つけたようだ。
それだけでなく、さらに俺と喜緑さん、そして何故か朝倉も一緒に自分の家の居間に居るような映像が紛れていて──。
「実際に喜緑さんが居て驚いた、か」
「でも、それだけじゃなくって」
ミヨキチが気にしている問題は、そういう「身に覚えがないけれど見たことがあるノイズ」ではなく、自分の行動に対する違和感の方だった。
「なんとなく……本当になんとなくなんですけど」
例えば「電話の前に行かなくちゃ」と理由なく思い立った途端に電話が鳴ったり、学校の授業で出てきた小テストの問題文を見て「前にも見たことあるな」と思ったりすることが、昨日から頻繁に起きている。
「そういうのを既視感って言いません?」
「そういうのなら確かにそうだが」
「もしかしてわたし、予知能力か何かに目覚めたんでしょうか? これって凄いですよね」
「はは、まさか」
冗談めかして言うミヨキチに俺は笑い飛ばしながら答えたが、内心では気が気じゃなかった。超能力者の知り合いは、ワガママ娘が気まぐれで作り出す限定空間でしか使えないヤツだけで充分だ。ミヨキチまで一般常識から掛け離れた連中の仲間入りをしてほしくない。
「それだったら部屋の中がめちゃくちゃってことも、前にどこかで見かけたことになるんじゃないのか? あるのか、そういったことが」
「それはないですけど……でも、先ほどの喜緑さんのこともそうですし、おまけに身内の方も……朝倉さん、ですよね? いらっしゃるってことらしいですから」
いる……と言っていいのかどうか悩むところだ。そもそも朝倉は今はもういない。いないヤツとミヨキチが会っているとは思えないし、ミヨキチが言う『朝倉』が俺の知っている『朝倉』と同じヤツなのかどうかもわからない。
ただ、ミヨキチは喜緑さんに会って「ちらちら脳裏を過ぎるノイズの映像と同じ人」と言っている。その中に出てきているらしい朝倉も、もしかすると……と思えなくもない。
でも、それならいったい何故? どうしてミヨキチがそんなノイズを見るんだ?
けれどミヨキチには、事実体験したことがないのに覚えがある日常を見たり、同じ日が繰り返されている錯覚のようなものを感じているようだ。偶然と言うにしてはその頻度が多いようだし、喜緑さんや朝倉の名前までドンピシャで当てるからには、そこに何かしらの理由があることは間違いない。超能力とか関係なしに。
体験していないはずなのに身に覚えがあり、知らないはずなのに知っている。だとすればその理由は……ん? 何やらそういう話は前にどこかで……あれは……そう。
「……そうだ……」
去年の終わらない夏に俺たちが感じていたものと似ている。
ハルヒが夏休みを終わらせたくなくてループさせた日々。一万ン千回と繰り返したあの日。そのときに俺やSOS団の連中が感じていた既視感。ミヨキチが感じているものは、それに近いものがありそうだ。
ということは……ループしている? またそんなことが起きているのか? ハルヒが何かをやらかそうとして、それでミヨキチにそんな症状が出ているとでも? いやしかし、だとしたら何故、ミヨキチなんだ?
そこがわからない。
俺にはそんな自覚がまるでないし、ここ数日の出来事で既視感を感じることも何もない。にも関わらず、ミヨキチにはそれがある。
もしノイズやら既視感やらと呼んでるものが長門や古泉、朝比奈さんに出ているなら俺が鈍感だって話で終わり、こっちも解明に向けて東奔西走するだけの話だ。けれど、ハルヒと縁もゆかりもなさそうなミヨキチにそんな症状が出て、ハルヒの側にいる俺たちには何の自覚もない。今日の、午前中に行われていた市内不思議探索の中で長門は……いつも通りだし何があっても動じなさそうなヤツだが、古泉や朝比奈さんを見た限りでは、何か感じるところがあったようには見えない。
「お兄さん?」
「……まー」
俺も以前に同じような経験をしたんだ、とはとても言えない。何より、涼宮ハルヒという訳のわからんパワーを持ったキテレツ女と俺が知り合いだなんてことを、ミヨキチに知られたくもない。
「あまり気にするようなことじゃないと思うけどな。問題は、」
と、俺がそれとなく話の軌道を修正しようとしたときだった。
「ごるぁっ!」
「げほぉっ!?」
怒鳴り声とともに、真後ろから俺の腰椎をだるま落としのように吹き飛ばさんとする物凄い衝撃が襲ってきた。
「ひゃあっ!」
傍らのミヨキチが上げる悲鳴が聞こえた。むしろ何かを叫びたいのは俺の方であり、けれど俺が怒鳴るよりもその声は飛んできた。
「こンのエロキョンがあっ! あんた、こんなとこで何やってんのよ!」
「は……ハルヒ……」
憤怒の形相で仁王立ちしているその姿は、涼宮ハルヒで間違いない。ミヨキチからハルヒの話を遠ざけようとしたつもりが、よりにもよって本人登場とは何事だ。
おまけに──。
「きょ、きょきょきょ、キョンくん大丈夫ですか!?」
言葉をどもらせながら駆け寄って来たのは朝比奈さんだ。この二人が一緒に居るということは、長門と古泉もいるのかと思ったが、けれど二人は居ない。
「なんでおまえがここに、」
と聞いてもハルヒは答えない。俺の問いかけをしっかり耳に入れて返答するだけの精神的余裕がなさそうな面持ちで一気に捲し立ててきた。
「なぁにが『急用が入ったから午後はパス』よ、このバカ! 午後の市内不思議探索を休む理由が女の子とのデートとは何事!? あんた、そんなんだからいつまで経ってもヒラなんでしょっ!」
ああ……なるほどね。つまり俺が抜けた後も市内をぶらぶらしていたわけだ。ここに朝比奈さんがいて長門と古泉がいないのは、そういうペア組になったからだろう。
「ま……まぁまぁ涼宮さん。キョンくんにも事情があるでしょうし、それを聞かないで一方的にっていうのは……その、あまりよくないんじゃないかなぁって、」
「みくるちゃん」
「はっ、はぅい」
そこはかとなく朝比奈さんが俺の助けにまわろうとしてくれているようだが、いかんせん相手はハルヒだ。ひと睨みされただけでガクガクに震え上がっている。
「キョンはね、重要かつ重大、神聖にして厳粛な団活を抜け出して女の子と二人でいるの。しかも団活から抜け出す理由が『急用』っていうたった一言で。そんなことをするヤツに理由も事情もあったもんじゃないでしょう?」
まるで気力体力ともに充実した休日の午後に訪れた爽やかな風が吹く草原で、小さな子供に世の中の道徳を伝え教える保母さんのように、ハルヒは慈愛にも似た笑みを浮かべて淡々と、とつとつと、とうとうと朝比奈さんに言って聞かせている。それが嵐の前の静けさなのは言うまでもない。余計に怖い。
「そ、そそそ、そうですね……」
どうやら朝比奈さんも俺と同意見らしい。フォローにまわろうとしてくれたのはとても有り難いのだが、ハルヒの凄惨さを前に震え上がっている。
どう考えてもハルヒの言い分はあまりにも傍若無人で、そんなものに同意しないでくださいと言いたい。が、このハルヒを前にすれば誰であろうと逆らう前にまずは謝っておこうかな、などと思ってしまうのも仕方がない。
「んで、キョン」
このまま朝比奈さんにハルヒの怒りの矛先が向くのは本意ではなかったが、だからと言って俺に戻ってくるのも勘弁して欲しかった。
「あんた、この落とし前をどう付けてくれるつもり?」
「落とし前って、」
「あ、あのそのっ!」
何をどう言い訳すれば五体満足で切り抜けられるかなぁ、などと考えつつハルヒのあしらい方をシミュレートしていたのがマズかったのか、ハルヒの蹴撃ならぬ襲撃から立ち直ったミヨキチが、ただでさえ注目されている周囲の目をさらに引き付けるような大声を出して割って入ってきた。
「わ、わたしがその、お兄さんを無理に呼び出したんです。だからお兄さんには何の非もないっていうか、だから……」
ハルヒの迫力に対抗するように一気に捲し立てたミヨキチだが、そういうテンションは普段からでなければ長続きしないらしい。
「ええと、どちら様ですか?」
「そっちこそ……誰?」
ミヨキチはハルヒを見て不思議そうに小首を傾げ、ハルヒはミヨキチをまじまじと頭のてっぺんからつま先まで目を這わせ、互いが互いに俺を見る。
そんなことを言われても、俺が言うべき台詞はひとつしかない。
やれやれ、だ。
つづく
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[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:罪な男
いやあ、さすがのハルにゃんも小学生相手にムキになることは……あるんでしょうか、どうなんでしょう?w
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
使えないのは、使えないということですw んー、日本語って便利ですなぁ(・∀・)ニヤニヤ
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
ンモー、さすがに朝一番にショップへ持って行って交換してもらったですよ。
交換したHDDは、今のところ快適に動いてますw まぁ、面倒なので名前は変えてないですけど。
交換したHDDは、今のところ快適に動いてますw まぁ、面倒なので名前は変えてないですけど。
[にのまえはじめ/にのまえあゆむ] Re:無題
朝倉さんのようなバックアップだと、暴走しそうではありますよw
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